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Karuizawa Club 
Shinsyu Mars distillery 
39% 720ml 
暫定評価:★★★★(4) 

甘く酸味と粘性のある香りはワイン樽やカラメルのそれ、奥行きはなく表面的で地ウイスキー的な癖も強く感じる。
口当たりもまた平坦でのっぺりとしている。アルコールを思わせる甘味ととろみ、ツンとした刺激が鼻に抜ける。湿気ったウエハース、甲類焼酎、ほのかに梅干しの酸味。


信州地方限定で販売されている、マルスウイスキー(本坊酒造)製造のブレンデッドウイスキー。タカギ酒店のプライベートブランド。
確かに同じ長野ですけど、マルスが軽井沢とか、日本の蒸留所について知識がある人なら違和感を覚えずにはいられないネーミング。かつては軽井沢蒸留所のモルトウイスキーを購入して、ピュアモルト軽井沢倶楽部を販売していたそうですが、軽井沢の閉鎖に伴って原酒が手に入らなくなったため、同じ長野県にあるマルスウイスキーから原酒を調達したためだとか
新生マルスの話は先日竜胆の記事で少し触れましたが、味も仕様も、立派な地ウイスキーです。

で、まぁこの手の低価格地ウイスキーの限界というか、仕様としてどうしようもないところで、ストレートで飲む酒ではないんですよね。ハイボールとか、ロックとか、割り材向け。自分はスコッチの低価格帯は積極的には薦めませんが、これを飲むなら・・・。もはや完全に酔うための酒です。

どのメーカーがそうであるとは言いませんが、クラフトウイスキーメーカーの現状として、多種多様な原酒も、グレーン製造の設備もなく、ブレンドウイスキー製造においては必然的に少ない原酒で無理やり作るか、原酒を外部調達する形になります。
良いブレンドを作ろうとすれば何十種類という原酒が必要になります。かの響のブレンド現場では、使われた原酒の種類は100は下らないと聞きます。
しかし幅広い原酒をそろえようとすればコストがかかる。結局値段を抑えて大量生産するにはブレンドアルコールやほぼ熟成していない原酒に頼らざるを得ない部分も出てきます
若いウイスキー同士であれば、ブレンドアルコールを使ってある方が若い香味が抑えられて飲みやすいと感じるケースもありますが、出来上がる製品の風味は原酒100%のものに比べると落ちてしまいます。

なお、普段ウイスキーを飲んで二日酔いはもちろん、頭が痛くなることはめったにないのですが、このウイスキーを飲んだ後は激しい頭痛に襲われました。
酒類では缶チューハイなど飲むと同じ症状になることがあり、自分の体として受け付けないアルコールは頭痛に変換されるようです。
まぁ、いい経験になりました。