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IMPERIAL 
The NECTAR of the daily drams 
16 years old 
Distilled 1995 
Bottled 2011 
Bottling with La maison du whisky 
700ml 46.6% 

【ブラインドテイスティング】
地域:ハイランド(モーレンジあたり?)
熟成年数:15年程度
度数:46%前後
熟成樽:ワインフィニッシュ(前はバーボンホグスのイメージ)
評価:★★★★★★(6)

香り:レモンクリームやマンゴー味のグミ、マシュマロ、ココナッツ、人工的なフレーバーを思わせる甘い香り立ち。続いて溶剤を思わせる刺激、草っぽさ、オーク香と麦芽風味。

味:コクのある甘さと麦芽風味主体の口当たり。オークフレーバー、白葡萄、ミルク入りの紅茶。
徐々に蜂蜜を思わせるような粘性のある甘さと麦感が盛り上がってくる。
フィニッシュはレモンピールや樽材由来の渋みとピリッとしたキレのいいスパイス、中間から続く甘みは長く続く。


TWDでのテイスティング。
メンバーのAさん持参のサンプルで、ハイランドらしい酒質に通常のオークフレーバー、さらにリキュールや貴腐ワインのような作為的な甘さが印象的でした。
そうした樽での違和感を除けば、自分のテイスティングでは地域、度数、熟成年数とも印象の通りというか特に意外性のあるものではなく、感じたの通りそのままであったように思います。
メンバーのテイスティングを見ると樽感(あるいは甘さのとらえ方)で大きく意見が分かれ、それが地域にも付随した印象。コメントにおいて樽での重複がなく、さらには地域の重複もない、非常に面白いテイスティングとなりました。


出題者以外がテイスティングで記載した地域と樽の組み合わせ。
(アイルランド、バーボン樽)
(スペイサイド、シェリーホグスヘッド)
(日本、ミズナラ)
(ハイランド、ワインフィニッシュ)

各要素を見ると、甘さと複雑さは平均以上で、特に甘みが強いという評価。
ボディも厚みがある部類であり、その厚みはフレーバーとしてはクリーミーな舌触りや麦芽風味、蜂蜜として評価されています。
要素単位で切り出せば、インペリアルのここ数年のボトリングで出ていた、フルーティーさや麦芽風味などはしっかりあるボトルとも言えるのですが、らしいととるか、そうでないととるか、人によって分かれるボトルと言えそうです。

特徴的だった"甘さ"については、香りのファーストからミドルで通常のホグスヘッドでは記載されないようなフレーバーが見られます。「香水」「グミ」「ストロベリーゼリー」「ココナッツプリン」「マシュマロ」など。では酒質由来かというとそれとも異なる…。
これはボトルを見て「あぁ」と思ったのが、最近の黒ケイデンなどの一部ボトラーから感じられる、通常の熟成香とは異なる不自然なフレーバーの存在です。
古くはピアレス香等と言われたモノが走りですが、ピアレスが似たような華やかでフルーティーなボトリングを連発したのは、単にダンカンテイラー社の立ち上がりがアメリカであったことから、へレスよりケンタッキーとの結びつきが容易で、1950年代、60年代としては数がまだ少ないバーボンホグス樽を大量に保有したためだというのが自分の仮説です。
では最近はというと、技術革新の結果か、往年のそれとはまた違う露骨というか作為的なもの、ってかそもそもオーク香じゃないだろっていうレベルのフレーバーがダンカンテイラーに限らずTWEやケイデン等で増えているように思います。

これに対する明確な答えは不明です。そもそも自分の考えすぎかもしれないし、熟成環境の影響かもしれない、ホグスヘッド樽を作った時の処理や交換した鏡板によるものかもしれないし、あるいはボトリングの際の"事故"かもしれない。
まぁ仮に何かがあったとしても、美味しければ結局のところは良いとも言える。それがボトラーのキャラクターだとも割り切れるし評価もできるので、逆にボトラーズ各社はどんどんいろいろやってほしいですね。

※ブラインド用に小瓶での持ち込みだったため、画像はキンコーさんからお借りしました。
http://www.yousyu-kinko.jp/smp/item/109685.html