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ROYAL BRACKLA
Kingsbury
Aged 18 years
Distilled 1979
Bottled 1998
Private bottled by Yukio Okamoto
700ml 62.3%
評価:★★★★★★(6)

香り:トーンの高い甘さ、和三盆、麦芽風味、レモングラス、微かにオレンジピール。
基本的にはエッジの鋭い麦芽風味主体で、鼻腔を強く刺激する。

味:粘性のある麦芽風味、ハイプルーフらしくパワフルでスパイシー。甘みの少ない洋梨、金平糖、ほのかなヒネ感。ニュートラルな酒質で非常に純粋な味わいだが未熟感など嫌味な部分はない。
フィニッシュはトーンの高い甘さ、鋭いエッジ、微かにレモンの香味が混じる爽やかな余韻。 


元外交官(現在は外交評論家)の岡本行夫氏が詰めたプライベートボトル。
中身はキングスバリーからリリースされたロイヤルブラックラ18年と推定。リリースの一部を先行して買い付けてオリジナルボトルとしたのでしょう。
ラベルに使われている海中写真は、同氏が毎年ダイビングと撮影を行っているというエジプトの紅海ではないかと思われます。
岡本氏の経歴や活動についてはググっていただければと思いますが、1990年代に個人でこうしたボトリングを行っている、それもロイヤルブラックラなどと国内ではマイナーな部類に入る蒸留所を出しているというのは、驚きの一言です。

味については、一言でレアモルト味。
樽感が非常にプレーンで、適度なボディと高度数からくるエッジの鋭い麦芽風味が主体。ニューポット系の要素があるわけではなく、度数高いまま麦感だけ残し、若さにリンクするフレーバーはそぎ落としてある、そんな印象です。
こういう味のボトルでスティック使ったり、チビ樽で熟成させたら美味しくなるだろうなと思います。ブレンドの際にも使い易そうな、
まさに白紙のキャンバスです。

ロイヤルブラックラは過去にもリリースがありましたが、全般個性は強くなく、微かに柑橘風味を伴う麦芽風味主体のハイランドモルトというのが個人的な印象。
シェリー樽が使われたリリースでは、 もはや原酒の個性はどこへやら。
その点でこのボトルはロイヤルブラックラらしさのあるボトルとも 言えます。
最近新しいオフィシャルリリースが復活したようですが、こうした特に個性のない蒸留所をどのように仕上げてきたのか気になります。

実はこのボトル、開けたては味も香りも特徴のない、とにかくプレーンな味わいで、エッジの鋭さだけが際立っているようなボトルでした。
これはアカンわーと早々に見切りをつけて、そして知人に押し付けていたんです。飲みたい人が居たら飲ませたってくれと。それがこういう原酒こそウチで熟成させてる樽に入れたら面白いんじゃないかと思いつき、回収してきたわけです。
開封して3年、バリカタだった味わいは適度にこなれて、久しぶりに飲むとこれはこれで良いじゃないかと思えるレベル。
今回はじっくりと付き合ってみようと思います。