コルクを折らずに抜く方法と、折れてしまった場合の対処方法(上)
- カテゴリ:
- ウイスキー特級(オールドボトル)関連
- ウイスキー関連の話
ボトルを開封しようとしたらコルクが折れた。
あるいはゆるゆるのコルクで落ちてしまった。
特にオールドボトルのコルクは経年劣化で脆くなっていたり、ボトルに張り付いていたりで普通に抜こうとすると折れてしまうこと
折れてしまったものは仕方ない、一度落としてフィルタで濾して・

【コルクを折らずに抜く】
オールドボトルに限らずコルクが折れる原因はいくつかありますが、乱暴に抜くとかそういう人的要因による無謀を除けば、大きくは「経年劣化や着脱を繰り返したことによる外傷等でコルクが脆くなっている場合」と、主にシェリー系の甘口ウイスキーに多い、「コルクが糖分等でボトルに張り付いてしまうこと」、この2点です。
前者は以下に記載するいくつかの決まりごとを守ってあげれば、粉屑のようにボロボロになっていない限りは抜くことが可能です。後者は強敵で、ここに経年劣化が加わると相当難易度が高くなりますが、抜けないわけではありません。
オールドボトルに限らずコルクが折れる原因はいくつかありますが
前者は以下に記載するいくつかの決まりごとを守ってあげれば、
大事なのは以下の3点。
・ボトルの温度が低すぎないこと。
・ボトルの中に空気を入れて、圧を一定にすること。
・へばりついたコルクを剥がすこと。
下手に動かそうと力を入れればコルクがもげてしまう。空気を入れようにも入れられない。そんな場合は強めに温めたおしぼりを用意し、コルク周りに巻いて温めてみてください。
しかし人事を尽くしても折れてしまうこともあるのがコルクです。
抜こうとしたら上の部分だけもげてしまったなんてこともよくあります。直近1か月だけで2事例あったなぁ(笑)。
どうやってやるのか、それを以下で個別に解説していきます。
①ボトルの温度を高める。
特に未開封のボトルでは重要なテクニックです。
40度、50度まで温めるって話じゃありません。冬場等でボトルが10度前後まで冷えてしまっている時は、暖房の効いている部屋に置いておくなどして、25度くらいまで温めてあげるのがコツです。
アルコールは水に比べ、温度で体積が大きく変化します。度数によって変化量は異なりますが、50%のウイスキーで10℃違うと700mlのボトルで約4mlの増減があります。
通常のボトルはネック部分が細くなっているため、数ml程度でも目に見える変化となります。
温度が低い時は液面が下がるため、合わせてボトルの中の空気圧が下がることになり、コルクを引っ張る力が発生します。そもそもコルクを抜くときは、引き抜く課程で外の空気が入るまで一時的にボトル内の気圧が下がるところ、それがさらに強くなるわけです。
脆いコルクだと、これでブチっといきます。ちょうど冬場は空気が乾燥し、コルクも継ぎ目が乾燥していることも多いため、注意が必要です。
②空気を入れる(コルクを湿らせる)。
仮に温度が万全でも、ボトリングした場所からの移動、環境の変化、保管状況などでボトル内の空気が押し出されて、そもそも気圧が下がりきっている場合が特にオールドに多いと感じます。コルクを抜こうとした時に、「ブシューッ」と勢いよく空気が入っていくアレ。
コルクキャップのボトルを開けるときは、ボトルを横にして液面をコルクにつけ、じっくりゆっくりコルクに力をかけます。コルクは引き抜くように動かすのではなく、押し込むイメージで力をかけ、少しずつ左右にずらしてみます。
①ボトルの温度を高める。
特に未開封のボトルでは重要なテクニックです。
40度、50度まで温めるって話じゃありません。
アルコールは水に比べ、温度で体積が大きく変化します。
通常のボトルはネック部分が細くなっているため、
温度が低い時は液面が下がるため、合わせてボトルの中の空気圧が下がることになり、コルクを引っ張る力が発生します。
脆いコルクだと、これでブチっといきます。
②空気を入れる(コルクを湿らせる)。
仮に温度が万全でも、ボトリングした場所からの移動、
コルクキャップのボトルを開けるときは、
この空気が入るのがひと段落するまでボトルをそのままにして待ちます。時間にして数分くらいです。空気が入っていくのがひと段落したら、同じようにじっくり力をかけてコルクをずらし、手ごたえを見ます。いけるようならそのまま抜いてください。
また、このステップには乾燥したコルクを湿らせる効果に加え、コルクとボトルの隙間にウイスキーを染み込ませる目的もあります。染み込んだウイスキーで滑りがよくなり、抜く際の摩擦抵抗が減って折れにくくなります。
また、
開封済みのボトルを久々に開封するときなどは、このように逆さにしてコルクを湿らせながら慎重に抜いてみてください。
③コルク周りを温める。
甘さの強いシェリー系のオールドボトルにみられる症状で、コルクが樽成分やカラメル成分等に含まれる糖質でボトルに張り付いて、どうにも動かせない場合の対処法です。オールド コルク抜栓時に最もオススメの方法ですね。
③コルク周りを温める。
甘さの強いシェリー系のオールドボトルにみられる症状で、
下手に動かそうと力を入れればコルクがもげてしまう。
固着してしまったジャムや蜂蜜の瓶を開けるのと同じイメージです。ただし中身のウイスキーを必要以上に温めるわけにはいきませんので、お湯にはつけられず、ボトルを立てた状態でおしぼりを巻く形になります。
これでコルクがはがれてくれれば、②の段階に移れるようになり、コルクが抜きやすくなります。
過去何度もこの流れで抜栓してきましたが、これでほとんどの固着はとれますし、甘味が濃いことが分かっているオールドボトルは、最初からこの対応をしておくと 抜ける確率はかなり上がります。
(陶器ボトルなど熱伝導が悪いものは、少々強引ですがお湯を張ったグラスにキャップ部分だけ浸けて温めるとOK。)
しかし人事を尽くしても折れてしまうこともあるのがコルクです。
抜こうとしたら上の部分だけもげてしまったなんてこと
※2018年2月10日追記。
以上の方法で実際にコルクが抜けるのか、検証頂きました。
無事にオールドボトルのコルクを抜くことが出来たようです!
(私の記事より図説が多くてわかりやすいですねw)
琥珀色の研究 -A Study in Amber-
コメント
コメント一覧 (5)
いつも参考にさせてもらいつつ、楽しく読ませてもらっています。
今回のコルク栓には付き物の悩ましいこの問題について、本記事は大変参考になりました。
特に「空気を入れる」方法は考えた事がなかったので、言われてみれば納得でした。
続編のコルク昇天後の対処方法についても楽しみにしています。
コメントありがとうございます!
参考になると言っていただけるのが一番うれしいです。
後編については明日の更新に向けて調整中ですので、そちらも参考になればうれしいです。
今後ともよろしくお願いいたします!
ですので今回この記事通りにやってみることにしました。
レミーマルタン セントー ナポレオンで試しました。
まずボトルをある程度暖める工程
時間が無かったのでガスストーブの前であたためて、いざ横にして慎重に開けようとしたら未開栓のはずのボトルから中身が漏れ出ていました。
もしかしてコルクが腐っていて、横にしたときに漏れたのかな、、などと思いつつ、コルク栓の頭のすぐ下にある周りの金属みたいなものをペリペリと剥がし終えた瞬間、コルク栓が天井まで跳び上がりました笑
暖めすぎのせいで内圧に耐えきれず中身が漏れ出ていたようです。
でも一発目でここまで気持ちよく開栓出来たので満足です笑 次回からは慎重にやらせていただきます、有難うございました。味はgoodでした(^ー^)
お役に立てて何よりです!
が、コルクが吹き飛ぶというのは自分も経験がありません(笑)
上に蛍光灯など無くてよかったです。
次回は暖めほどほど、あとはアツアツおしぼりを試してみてください。
自分のウイスキー仲間らから、この方法でコルク折れは激減したと多数感想を頂いている実績のある方法です。
また暖め方ですが、今の時期ですと一緒にお風呂に入るのも効果的です。
といっても湯船にいれるわけではなく、湯気があたるような場所に置いておくということなのですが、風呂から出る頃にはちょうど良い温度に温まっています。
この記事を見ながら古酒の開栓に挑戦しました。
見事にコルクを綺麗に抜く事が出来ました。
大変参考になりました!ありがとうございました。