カテゴリ:

THE LUCKY CAT
For my favorite Sun
Port & Madeira Cask Finish
39% 700ml
暫定評価:★★★★★(5)

香り:濃いウッディーな香り立ち、ウッディーさには焦げたニュアンスもあり、粘性のある甘さと微かに湿ったような酸味も伴う。焦げたオーク、お菓子の苺シロップ、ナッツ、徐々にシップやハッカのような薬っぽいアロマ。加水すると近年シェリーにも感じられる生木っぽさもある。

味:甘く濃厚な口当たり、焦げた木のエキス、ドライプルーンや苺キャンディのようなとろりとした粘性、そこからすぐに強い渋み、苦味が顔をだす。ドライな酒精強化系にしばしば感じられるフレーバーでもある。
余韻はそのままビターでウッディー。喉の奥に強い苦味が残る。加水少量加水すると苦味が落ち着き、バランスがよくなる。 

あの手この手でいろいろな銘柄を売り出してくる、本坊酒造のニューリリース。 
このラッキーキャットは社長のペットをラベルデザインに採用したという、中身もラベルもユニークな1本。自分の記憶にある限り、飼い猫をラベルにして売ったメーカーは無かったように思います。
ただニューといってもラッキーキャットは販売開始から2か月近く経過しているため、ニューとは言えないかも知れません(笑)。 

個人的に40%下回って売られているウイスキーは、トリスしかりブラックニッカクリアしかり、安物の典型的イメージで、香味を楽しむ対象としてまったく良い印象は無いのですが、このウイスキーは良い意味で裏切られました。
ポートワイン樽、マデラワイン樽、フィニッシュに使われたというそれぞれの樽(っていうか原液そのもの)の個性が強く残っており、これ原液混ぜてないかってくらいの濃厚さと、これまでのウイスキーには感じたことがないような苦味が余韻で感じられます。
こういうわかりやすい仕上げ、面白いですね。 

39%加水のブレンデッドでボトリング本数1200本。これだけで考えると使われた原酒の種類はそこまで多くないように感じますが、メーカーコメントでは様々な原酒を使って作ったブレンデッドを、ポートとマディラのワインフィニッシュで2年熟成して仕上げたということですので、ベースとなるブレンデッドをガッツリ作って、それを小分けに"色付け"し、小出しでリリースする形なのかもしれません。
実際今のマルスは、クラフトディスティラリーらしく少量生産で売り切るスタイルで、越百だ岩井だと色々なリリースがされています。シングルカスクではなく加水のブレンデッドでそれをやったのは挑戦的ですらあるものの、マルスとしては再稼働から日が浅く、原酒も若く使える量も限られているので、外部からの調達に頼るしかなく、こういう形にならざるを得ないところを逆手にとっている、企業努力も感じます。
結果目新しさがあってそれほど高いわけでもないので、ユーザーとしては飽きが来ないのも人気の後押しに繋がっているように思います。

今回のテイスティングは、西のIさんからサンプル交換でいただきました。気になっていた1本だったので飲めてよかったです。ありがとうございました!