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FBでの繋がりの中で、ガチなテイスティング勉強会が開催される運びとなり、1回目の会に参加してきました。
ウイスキーの経験値がある少数の飲み手で開催された会で、参加者全員に共通する目的が「テイスティング技法、表現をわかりやすく、かつ確立したものにしたい」というもの。
最終的には直感的に操作可能なアプリの構築まで行きたいという意見もあり、トライ&エラーの中、ボトルをどう深堀りしていくかというところにウェートが置かれて議論が進みました。


(持ち寄られたボトル。近年リリースで共通認識として分析しやすい「バーボン樽系」を中心としました。)

テイスティングの技法、表現を確立するとはどういうことかというと、ウイスキーのテイスティング方法は個人個々多くのスタイルがあるわけですが、大きく分けると
・「旨い、不味い」という極めて直感的な表現。
・フレーバーの各要素をピックアップする。例えば「焦げた木材の香りとシトラスやレモンピール、柑橘系のフルーツ・・・」などのように分析するスタイル。
以上2点があります。

これは経験値がある飲み手同士だったり、好みを知っている相手であれば、ボトルスペックなども見るとなんとなく伝わるのですが、第三者から見てフレーバーひとつひとつがどの程度強いのか、より明確にイメージが伝わるようなテイスティング形式は無いか・・・飲んだボトルを明確かつわかりやすくまとめる、それが最終的には自分自身のボトルの理解にも繋がります。
14時30分からスタートして23時過ぎまで、実に9時間にわたり、あーでもないこーでもないとアツく議論をしました。

その中で、まだ未完成ながら形として見えてきたのが、
①ウイスキーを香り、味(樽由来の香味か、原料由来の香味か)、余韻の各要素ごとに分類する。
②分類された要素がどのどの程度の強さ、濃さがあるのか(5段階評価で)数値化する。
③最終的に自分の好みかどうかの点数をつける。
そして①~③を写真のような形式で、全員参加のフレームワーク形式で行うテイスティングスタイル。

①、②は言ってみれば機械的な分析、③は官能評価に近い形になります。
また、これらはブラインドテイスティングで行うというのもポイントです。


 

上記写真は自分が持っていった富士山麓18年の結果です。
ポストイットのカラーは参加した人毎に異なります。

分析部分を見てみると、樽の要素由来だと感じるコメントが多く集められています。酒質そのもの由来のフレーバーは少なめで、実際どの程度の強さがあるかを数値化する項目でも「樽が強い」「ボディは弱い」と言う評価が見られます。樽香主体なウイスキーであるということですね。
ボディの弱さもこの蒸留所の特性をそのまま拾えていると思います。御殿場は蒸留方法も熟成方法も少々特殊ですから。甘みは強く、バランスは樽主体の味わいをどう捕らえたかで分かれたようです。

では違うボトルのテイスティングだとどうか。例えば以下はGMジュラ1995-2014のテイスティング。
リフィルバーボンバレルでの熟成ということもあって、樽要素に加えて酒質由来の麦芽系の風味などもコメントの拾われています。 オークと麦芽系の風味、梅を思わせる酸味、余韻にはピートも感じられています。
ボディ感はそこそこあり、樽もある程度強いと評価されていますが、シングルカスクであることからか複雑さはあまり無く、単調であるという評価が見て取れます。 (+は加水で良い影響があるとする記載です。)
また、ピートの強さを表現する項目が無かったため、これは今後追加することを決めました。
 


なお、こうして見える化、数値化した要素は、最終的な点数である③には完全にリンクしません。
例えば賛否の分かれるフレーバーである、パフューム、ソーピーさ。分析ではフレーバーがあれば記載されますし、該当するフレーバーが強ければ、強さの項目も高い評価がつきます。
とはいえそれが好きか嫌いかは飲み手の好みの問題になるため、③では低評価となる。また、その逆もありえると思います。
 
従来自分がやってきたようなテイスティング方法は、漠然と整理はしてきたものの、明確に整理できる形式に大きな可能性を感じました。
フレームワークでのアイディア出しのようにポストイットで参加者全員がぺたぺたやってくスタイルも、参加型のテイスティングとして非常に面白い、新しい取り組みだと思います。


今回試してみたテイスティング方法についてはまだ未完成という認識で、これからも色々変えていきながらということになります。
まだ名前も無いテイスティング勉強会は、今後
・1~2ヶ月に1回程度の頻度で開催していく。
・基本は5名程度の少人数制で運営。
・ボトルは一人1本、決められたテーマの中でブラインドでブラインドで持ち寄る。
・現行品あるいは比較的近年リリースのボトルにフォーカスしていく。
・酒販店に依頼し、価格を決めて評価対象とするボトルを出題してもらう。
・コスパなどの指標も取り入れられるように項目を検討。
・特定のフレーバーや、オフフレーバーなどテイスティング要素を特出しして勉強するような機会も作る。
というような形で開催をしていく予定です。
私もメンバーの一人として、微力ながらでもお手伝いできればと思います。

あぁ、あと会の名称も決めなければなりませんね(笑)
このブログでもテイスティング結果などはUPしていきますので、読者の皆様には是非色々コメントいただければ幸いでございます。また評価してほしいボトルのリクエストなどありましたら、こちらもコメントください。


追記:このような素晴らしい会を立ち上げて、開催していただいたT様。
そして、会場をご提供いただいたBAE Ambrosia様、本当にありがとうございました!

BAR Ambrosia
(東京都豊島区池袋 2丁目53-10 池袋第10松本ビル7F )
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