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余市蒸留所限定、2014年に終売となる直前まで販売されていた、 新樽熟成の10年モノです。
色が濃いので一見するとシェリー樽とも間違えそうですが、この樽番号はウイスキー仲間複数名が蒸留所で確認しておりますので、新樽で間違いは無いかと。 実際、バーボンかと見紛うほどのチャーオークフレーバーは、通常のシェリー樽とは異なるものです。 

YOICHI 
SINGLE CASK 
10 years old 
Cask No 419536 
500ml 57% 

評価:★★★★★★(6)

香り:チャーしたオーク材のアロマが強く香る。豊富な木材感は、松の木を連想させるクセや微かなセメダイン臭を伴う支配的なアロマだが、他にはカステラの茶色い部分、メープルシロップ、アーモンドの香ばしさ。少量加水すると艶のある熟成香とトースティーな麦芽風味、ピートもある。

味:粘性のある口当たり。ウッディーで香り同様にチャーオークのフレーバーが主体的。ボディーは厚く、熟したバナナ、カラメルソース、中間以降はスパイシーで黒土を思わせるピート香、焦げた木材、フィニッシュはタンニンが舌にしみこんで水分が揮発していく、ドライで長い。加水するとバランスが良くなる。


新樽といってもいくつかパターンがあり、それは内側の焼き(チャー)具合の違いが大きく、今回のボトルのように色が濃いタイプは内側をしっかり焼いており 、大量のエキスが原酒に溶け出て短期間で原酒が仕上がる代わりに、長期熟成には向かず、 また繊細な味わいも失われやすいというデメリットもあります。
このタイプの樽で得られる香味はまさに「バーボン」です。 受け皿がグレーンなのか、モルトなのかの違いで、乗っかっている香味は同じモノ。 線の細い原酒だと腰砕けになって樽の味しかしなくなってしまうのですが、 トースティーで骨格のしっかりした余市原酒がこれを 支えて、余市らしさを形作っているように感じます。

先日テイスティングしたピーティー&ソルティーに感じたチャーオーク系のフレーバーもまた、この風味でした。
終売となった余市20年にもシェリー等のその他の原酒に混じって、この傾向の濃い樽の風味を感じるので、ある程度しっかりチャーした樽が使われているように感じます。もちろん新樽のみならず、リメードバーボン樽 (2回目のバーボン樽をリチャーしたもの)も使われているのでしょう。

ただ、蒸留所限定のシングルカスク20年(新樽熟成)や、先日発売された余市ヘビリーピーテッドはオフィシャルの資料に「新樽熟成したヘビーピート原酒」とありながら、こうした「チャーオーク香」はほとんど感じなかったため、今回テイスティングした10年とは、使われている樽に違いがあるのだと感じます。

樽の個性がわかりやすく、その中に蒸留所の個性もある。万人向けのラインナップとは一味違う尖った風味、加水での開き方も良い。
蒸留所のワクワク感がそのまま自宅で味わえる、良いボトルでした。