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日中の暑さは好きですが、夜の暑さは勘弁してほしい。
ここ最近夜が涼しくなってきて、やっとあの寝苦しさ、 過ごしにくさから解放されると思うと肌に感じる秋風は歓迎の一言 に尽きます。
こうなってくるとウイスキーが美味しくなってくる。 昼間は運動しやすく夜は酒が旨いだなんて最高じゃないですか。

我が家には数十本単位で開いてるウイスキーがあり、 まだ記事化していない開封済みボトルだけでも1~ 2ヶ月は更新し続けられる状況にあります。
ただその手のボトルは今更買えるワケでもなく、 記事として需要があるのかも定かじゃないため、 まさに完全な備忘録になるわけですが、 今需要があるボトルに集中したら記事がニッカとサントリーだらけ になってしまうので、 こういうのも定期的にちりばめて行きたいと思います。

OLD MALT CASK
TORMORE
Aged 21 years
Distilled 1977 Apr
Bottled 1998 Aug
750ml 50%

評価:★★★★★★(6)

香り:ドライなオーク香、ザラメ、蜂蜜、乾いた木材と甘いアロマが主体。スワリングするとカスタード、レモンピール、微かにハーブの香りも感じられる。また時間経過で青い植物系のアロマも。

味:なめらかな口当たりでオーク風味主体だが、その中から梅を思わせるほのかな酸味、アロエの品の良い甘さと植物感、麦芽、微かに湿った新聞紙。樽由来とは違う個性を思わせる香味も顔を出す。
フィニッシュはトーンの高い甘さ、ピリピリとした刺激にシロップとハーブ、そして樽香。鼻に抜けるオーク香もあわせて爽やかな余韻。

水彩画ラベル時代のトーモア10年と共通する個性も感じられる。
加水すると柔らかく儚い味わいに。


ボトラーからのリリースが少ないトーモア蒸留所から、珍しい1本です。
今更書くまでもなくトーモア蒸留所は1960年操業と新しい蒸留所。外観が美しいとか、古典的スペイサイドモルトの再現は難しいと思われていたのに出来たとか、いくつか有名なエピソードがあります。
その操業初期蒸留の原酒は王道的スペイサイドという以上に素晴らしく、1970年代から1980年代に流通したグリーントールや赤丸10年などは、愛好家から高い評価を受けています。

トーモアは1980年前後あたりの蒸留から、濡れた新聞紙、古びたオイルのような、えぐみとも違うクセが出始めます。こうしたクセは設備によるものか、樽によるものか、はたまた原料由来か。理由は定かではありません。
今回のボトルは1977年蒸留で、丁度その時期にかかるあたりの頃の蒸留です。
基本的な味わいは、如何にも1970年代後半らしく穏やかな麦芽風味に樽香主体ですが、その裏には例のクセが少々。ひょっとしたら1980年代流通のボトルからも出ていたのかもしれません。ただ当時はシェリー系の風味が主体だったためか、六角ボトルの5年、上述の10年などからもあまり感じませんでした。

多くの方に馴染みがあるトーモアと言えば、1990年代に入りサントリーが国内に販売した水彩画ラベルのトーモア10年でしょう。
美しい水彩画のラベル同様に淡く柔らかいタッチの麦芽風味主体で、アーモンドやオレンジピールを感じる中、上述のクセも感じられます。
この水彩画ラベルのトーモア10年もまた、一定数ファンの居るボトルです。

とはいえ元々特段有名でも無く、オフィシャルも通常販売されているのは12年の1種類のみでしたが、去年くらいから16年のスモールバッチがオフィシャルからリリースされています。
周囲の評判は悪くなく個人的に興味のあるボトルで、見かけたら是非飲んでみたいですね。