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最近、ネタのストックが減るどころかどんどん増えていくってことに気がつきました。
飲む頻度を上げたとかではなく、ただ飲んだという証拠がコメントとして残るようになっただけ。
つまるところは元々これだけ飲んでた(飲ませて貰っていた)ってこと。
あぁ、我が人生は本当に琥珀色だ・・・。

そんな人生の旅路は平坦な道のりばかりではなく、時として厳しい壁にぶち当たることもあります。また自発的にその道を歩むことも。
今日のボトルはそんな一本。仲間曰く場末のPUBの香りがするという、フローラルなアレです(笑)。

BOWMORE
Aged 12 years
1990's
43% 750ml
評価:★★☆☆☆(2-5)

"ポプリや香水のような甘くドライでフローラル、裏には石鹸のニュアンス。ほのかにナッティーで、ピートもある。口当たりは粘性があってオイリー、余韻は染み込むように残る。"

ボウモア蒸留所の1970年代中頃から1980年代を象徴する1本。石鹸、香水、酷いものだと洗剤を連想させるパフューム香がその特徴です。
直前の1960年代にあったフルーツフレーバーがどうしてこうなった…とは言い切れない。はっきりとダメな人が存在する一方で、好きな人は好き。自分の意見を言えば、マズイんじゃなくて"受け付けない"んです。肉は好きだけど脂っぽいのは最近…みたいな。
ウイスキーのフレーバーの中でも特に好みの振れ幅が大きいため、評価も幅を持たせる形にしてあります。

前者に強く該当する人は「何を言っているかわからねぇと思うがありのまま感じた事を話すぜ。ピートとか硫黄とかそんなチャチなモノじゃねえ、もっと本能的にヤバイと感じるものの片鱗を味わったぜ。」と生理的なレベルで受け付けません。

自分が記憶する限り、パフュームが出ていた蒸留所と、おおよその蒸留時期は以下。
・ボウモア1970年代半ば頃から1990年代初頭まで。
・グレンタレット1960年代以前から1970年代半ばまで。1990年代前後でも観測。
・エドラダワー1960年代から2000年頃まで。
・グレンフィディック 1960年代。
・グレンギリー 1980年代。
・ブラドノック 1980から1990年代で出たり出なかったり。
などなど。

また、ジュラ1976やQE2(タムナヴーリン)のように、オフィシャルにないパフューム香がスポットで発生するケースがあれば、逆にエドラダワーやタレットのように、パフューム期間でも出なくなる時期があったりもします。

なぜこの香味が出てしまうのかは、ウイスキーにおける大きな謎の一つです。
蒸留器の汚れ、銅イオンの減少、ワームタブでの過度な冷却、蒸留・熟成・瓶詰め行程での外的要因による事故、発酵槽に住み着いた菌のいたずら、説は色々あります。

たぶん長期的に出るケースは蒸留行程に原因があって、短期の場合はなんらかの事故なんだろうなと。
エドラダワーは蒸留器洗ったら消えたって話ですし、ボウモアに関しては、サントリー資本になったあたりの蒸留からこの香味は消えました。
非公式ながら、蒸留行程における冷却機器(熱交換器)に問題があったというコメントもあります。

一方で確かなことは、この香味を備えるリリースが絶滅危惧種になりつつあるということ。
私は「はっきりと受け付けない側の人間」なので、特にこの香味を深掘りするつもりもないのですが、もしオフィシャル現行品で出ているボトルがあったら教えてください。