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先週5/9の世界ふしぎ発見はウイスキー特集、ご覧になった方も多いと思います。
クイズのほうはコアなウイスキーファンには少々簡単だったと思いますが、特集全般については情報に偏りが少なく良いまとまり具合だと感じました。

ただ、その番組の中で異色を放ったのが、試飲として配られた1980年代流通のザ・ロイヤルハウスホールド。 何かしら試飲はあるんだろうと思っていましたが、まさかのTHE付き。味はさておきオークション価格は軽く10万オーバーのボトルがポンと出てくるあたり、TV局は金もってますね(笑)。
そして"THE"の意味についても、仕込みチックな質問からの回答と、ここだけ妙にマニアック。一般視聴者がどれだけ理解できたかは謎です。
その影響なのか、5月9日の21時だけこのブログのアクセス数が倍増、アクセス先はザ・ロイヤルハウスホールドでした(笑)。

参照①:世界ふしぎ発見 過去の放送
http://www.tbs.co.jp/f-hakken/bknm/20150509/p_1.html

参照②:The Royal Household 1990年代流通
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1024982543.html

せっかくなので、今回は家飲みボトルの中から、ロイヤルハウスホールドのキーモルトである、ダルウィニー蒸留所のオールドボトルをチョイス。
1980年代後期頃の流通と思しきボトルで、原酒的には1970年代初頭蒸留。番組の中で紹介されていたロイヤルハウスホールドに使われていたものと同時期と思われる原酒であり、現行品よりも強い蒸留所の個性が特徴の1本です。

DALWHINNIE
15 Years old
1980's

評価:★★★★★★(6)

"酸味を伴う麦芽香。干草を思わせる乾いた植物感、レモンピールの酸味とほろ苦さ、メンソール系の爽やかな香りもある。オールド感は控えめで、状態の良さを感じさせる。
口当たりは 薄めた蜂蜜と麦芽風味、麦芽風味はワクシーで芯のある麦感。
フィニッシュにかけては微かなピート香。あっさりとしているが長く残る。 ”

気象観測所としての役割も持っている、不思議な蒸留所ダルウィニー。
現行品があっさりしすぎてこじんまりしているところ、オールドボトルを飲むと麦の存在感、蒸留所の”らしさ”に納得させられる味に仕上がっています。
この違いはどこから来るのか、ひとつは麦の品種の違い。現行品が当時の味を再現しようとして壁になる大きな要素がこの点。

そして蒸留行程としては、1968年にフロアモルティングが終了、1986年に全面改装があったこと、ここが香味が異なる分岐点になっていると言われています。
1986年の全面改装後は、味が変わってしまったためワームタブを元に戻したとも伝えられていますが、シングルモルトよりもブレンデット向けの位置づけが強い蒸留所です。
個性的な原酒よりもあっさりとしてスムーズなほうが都合がいいのかもしれません。

このボトルはフロアモルティング時代の原酒がギリギリ入っているかどうかの流通時期ですが、全面改装前であることは間違いなく、上述の麦の違いとあわせて現行品との違いに繋がっていると感じます。