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樽には天使が住んでいる。
ウイスキーを嗜む人ならたいていは知っている、「天使の分け前」、エンジェルズ・シェア。
映画のタイトルにもなってるので、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
ウィスキーの熟成過程で起こる蒸発のことを総称した表現で、熟成中のウイスキーが減っていくのは天使が飲んでいるからだと。
そして天使は飲む替わりに、熟成過程で得られる様々なフレーバーを与えてくれている。なんとも素敵な表現です。 

実際、ウイスキーは樽で貯蔵されることで、樽の成分と、樽を通じて触れる外気の影響を受け、芳醇で豊かな香味を身に着けていきます。通常のプロセスで熟成させる以上、天使の分け前が無ければ、ウイスキーとはなりえない。まさに必要対価というやつです。
では、通常のプロセスではない熟成方法があるのかというと、それも色々研究されているのですが、そこはまたの機会にネタにするとして、次に進みます。

ウイスキーはボトリング後は熟成しないと言われています。
しかし実際は瓶内で酸化などの変化は起こっていて、長期スパンで見れば味の変化があります。
この変化でアルコールのカドが取れたり、ちぐはぐだった味わいのまとまりが良くなったりすることもあり、それを狙ってボトルを買い置きするケースもあります。逆にこの変化によって、飲めたものじゃないほどスカスカの味に劣化してしまうこともあります。
ただ、これが熟成なのかどうかというと、ウイスキーの熟成は樽での貯蔵ですし、ボトリング後については切り分けて考えるべきとも思います。劣化という表現は響きも悪いので、経年変化としておきましょうか。
 
加えて、ボトリング後もキャップの気密性の関係で多少の揮発が起こりえます。
特にオールドボトルでは保存環境や当時のボトリング技術の関係もあって、半分以下まで減っているようなボトルもあります。
人によってはこれも天使の分け前だと言う人がいますが、これは上述のとおり熟成ではなくただの揮発です。
新たな香味を与えてくれるワケでもないので(キャップ臭やらはつくかもしれませんが)、天使の分け前と言えるのか、疑問があります。
 
 
ここから先は持論であり、今日のオチ。
自分はボトリング後の揮発を「悪魔のぼったくり」と呼んでいます。
これは某ゲームのキャラクターが、天使の分け前のことを指して使ったローカルネタなのですが、ボトリング後の揮発を表すのにぴったりだなと引用しています。
つまり天使は香味という分け前を与えてくれますが、悪魔はぼったくっていくだけ。
 
樽には天使が、ボトルには悪魔が住んでいる。
 
  IMG_2862
(写真:1960年代流通のジョニ赤。どちらも見事にぼったくられていますw)
 
そういえば我が家の開封済みボトルも、持ち主の記憶が無いのに減っていることがあります。
ボトル以外にも悪魔が住んでるんでしょうか?w


なんとも日記的な記事になっちゃいましたが、とりあえず今回はここまでで(笑)