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先日公開したウイスキーブーム考察の中で、参考記事としてスコッチウイスキーの輸出増加に関する発表のリンクを張っていたんですが、誤って2011年度統計のモノを貼ってしまっていました。飲みながらやると仕事が荒いですね(汗)。
あ、こりゃいかんと新しいモノに張り直すため、以前見た記憶があるニュースをネットで掘り起こしていたところ・・・丁度4月2日付けで2014年統計の速報的なニュースがWSJに載っていました。
 
スコッチウイスキーの輸出額は、2013年度はほぼ横ばい(3%増)という発表がありました。
まあユーロ圏がごたごたしていたし、アメリカも本調子じゃなかったから誤差の範囲だろうと思っていたところ。
それに過去10年スパンで見れば大幅増であるわけですから。ところが2014年は7%減という発表です。

ジムビーム蒸留所
(Facebookより写真引用、ジムビーム蒸留所蒸留棟。撮影、編集、Ishihara Tatsuya氏。)

参照:スコッチ、パーティーではのけ者 バーボンに押され世界輸出7%減(WSJ)
まとめると、中国市場でスコッチの売り上げが鈍化。
アメリカ市場もスコッチからバーボンへの切り替えが起こりつつある。
輸出総額は2013年を7%下回り、米国市場では約9%の売り上げ減少となったとのこと。
 
バーボンは価格面のアドバンテージもさることながら、ブレンドもスコッチに比べて容易という点もあるとの見方。
確かにバーボンは製法(連続式蒸留で新樽貯蔵)の関係から、スコッチに比べて安価で品質が安定しやすくブレンドも容易である印象です。
 
また、最近バーボン業界はフレーバーウイスキーを展開し、若手層の獲得にも積極的で、
ジャックやワイルドターキーのリリースする、蜂蜜などで甘みを付けたウイスキーがうけており、販売数を増やしているようです。
こうしたところから、パイの取り合いですが、じわじわスコッチからバーボンへの動きが出たのでしょう。
 
参照:ファイアボール人気で熱気帯びる米ウイスキー市場(WSJ)
 
あぁなんてことでしょう。スコッチ危うし、ついにアメリカ市場に飽きられたか!
確かに現行品のスコッチ、特ににブレンデットの質は・・・。
なんて中身の話は直接的な原因では無いでしょうから置いておいて、スコッチの生産側から見ると、バーボンの消費が増えることはマイナスばかりでは無く、歓迎すべきニュースでもあります。
 
スコッチの熟成に使われる樽として、バーボン樽の需要が増加しているのは周知の話ですが、バーボン樽がスコッチに使われるようになるためには、加工に1~2年程度、バーボン熟成に2年以上と、最低でも4年近いタイムラグが発生します。逆算してみると、最近流通している樽というのは、かの悪名高いリーマンショックからアメリカ経済が停滞していた時期の製造にあたります。つまりこの時期の樽が少ないんですよね。
その影響は現在明確に出て来ており、各社樽の安定供給を受けるため奔走した結果、樽の価格が高騰し、スコッチ値上がりの一端を担ってしまったというものです。
バーボンとスコッチはもはや表裏一体、バーボン樽の品質が上がればスコッチの品質向上に繋がり、供給量が増えれば価格の低下にも繋がる、将来的に良い影響を与えると期待出来ます。
 
参照:樽が足りない? 【前半/全2回】
 
 
ただし、樽がいくら良くても中身が伴わなければ樽香だけでスカスカのウイスキーになってしまいます。
これはバーボン側の問題では無く、スコッチ側の問題です。
1990年から2000年頃、グレンモーレンジを筆頭に各社が取り組んだのが樽でした。
そして現在、フロアモルティングや古代種の復活といった、麦、原材料のがピックアップされています。
 
この辺はまた後日まとめていきたいです。