需要があるのか、はじめてしまったら止められませんから書き続けるしかないブーム考察。
シリーズモノはここが怖い(笑)。

第2の要因として、各社の取組ですが、 これは国内向けと国外向けの取組があります。
後者の国外向けは、販路の確保をさらに進めるというところで、「その④」に続く話ですから、
国内向けの取組についての分析となります。

まず、 過去ウイスキーブームが起こっていた1980年頃の状勢について 、おさらいしてみます。

1980年代のウイスキーブームの絶頂は、 サントリーオールドの最高出荷記録(12000000ケース) をたたき出した1980年頃です。これは1973年までの高度経済成長により日本人1人あたりの所 得が大きく回復し、人口も増え、安定期に入ったところ。
"2本箸作戦"などの戦略もハマり、嗜好品へのあこがれから、 ぐんぐん消費が増えていった状況です。

その後、 複合的な要因によってどんどん市場を縮小していくことになるわけですが、
ここで重要なのは消費を伸ばしたサントリーの2本箸戦略であり、 バブル期で消費が伸びなかった背景として、 ギフト用にレアなパッケージを作ったり、 代わり映えしないCMを流す程度で、いわば所得が増えたのに依然ターゲットを変えてない、下地作りに積極的でなかった、 という、 言ってしまえば各社の戦略の稚拙さにあると考えています。

では現在はどうでしょうか。
今回のウイスキーブームはドラマと共に火が付いた印象があります が、
その下地であるハイボールブームは非常に緻密に、 しっかりとした戦略の中で仕込まれていたもので、
一時的に売るためだけのPRではなく、 長期的に市場を作るための試みが多く行われていました。
詳細は以下参照のプレジデントオンラインの記事を見ていただければと思いますが、
その戦略は今までウイスキーを扱って無かった店、若者層をターゲットとした真・2本箸作戦とも言えるほど、 ただの営業売り込みではなかったことがわかります。


(引用:サントリーWEBページ。)
(作り方も店舗側に徹底して、狙い通りの美味しさが出せるようにしている。)

この戦略で、若者にウイスキーが身近になっていたのは大きく、
飲み屋での取り扱い増加を始め、特にサントリーのハイボールバー、銀だことのタイアップなど、
とにかく街に出て気軽にウイスキーを飲める環境が整っていきました。
かつてBAR、PUBなどの夜の街主体の環境が大きく変わったと言えます。

さらにサントリー、ニッカはドラマで付いた付加価値をフル活用するため、
復刻版のウイスキーや新商品を投入して、 ブームを長続きさせる戦略をとっています。
キリンはWEBで限定ウイスキーを販売、マルス、ガイアフローなどでも動きがありますね。
懐広く、奥が深い、 各社の取組で現在のブームは盤石の状況と言えるところにあると感 じます。


参照:古くて新しい製品「サントリー・ハイボール復活物語」( プレジデントオンライン)
http://president.jp/articles/-/5691

参照:ウイスキー各社、「マッサン」効果の維持狙う 戦略商品や増産で愛飲者確保(産経新聞)
http://www.sankei.com/economy/news/150327/ecn1503270003-n1.html

参照: 地ウイスキー、クラフトビール、着実な成長

参照:キリン、凋落を招いた稚拙な海外戦略 遠ざかる"M&A巧者"サントリーの背中
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150328-00010001-bjournal-bus_all&p=1

しかしニッカ(アサヒ) やキリンが何もしていなかったとは言いませんが、
サントリーがこれだけ仕込んだところに、 マッサンでニッカが持って行く。。。
マッサンの放送や宣伝については、サントリーが色々口出ししたなん てゴシップがありましたが、
そういうコトを言う気持ちも、 わからなくもない気がしてしまいますね(汗)

参照:サントリー、講談社に激怒。
http://biz-journal.jp/2014/11/post_6529.html