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Ken’s Choice アメリカンドリームバレル 13年 テネシーウイスキー 50% TWSC2021受賞

カテゴリ:
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AMERICAN DREAM BARREL 
SINGLE BARREL TENNESSEE WHISKY
Ken’s Choice 
The Independence 
Aged 13 years 
Distilled 2003 
For Ken's bar 
700ml 50% (101.6proof)

評価:★★★★★★★(7)

香り:焦げ感を伴う無骨なウッディネス。トーストやキャラメルソース。甘くビターなアロマの中に、松の樹皮やスパイスを含む香り立ち。徐々に焼き洋菓子を思わせる香ばしい甘みも開いてくる。度数も高さ故、骨格もしっかりとしており濃厚でリッチな構成。

味:香りに反してスムーズで柔らかく、メローでバランスの良い構成。メープルシロップを思わせる甘み、微かに焼き林檎やチェリーの果肉、焦げたオークのアクセント。じわじわとウッディなタンニンが口内に染み込んでいくが、嫌味の無い程度で余韻は穏やかに消えていく。

香り立ちは一般的なアメリカンウイスキーのそれと異なり、まるで余市の新樽熟成や羽生モルトのいくつかに感じられるような、無骨なウッディさが感じられるが、味は非常に柔らかくマイルド。香りとのギャップに驚かされる。この味わいの中にある素朴な感じと柔らかい酒質、蒸留所はジョージ・ディッケルだろうか。熟成を経たことで感じる角の取れた甘み、バランスの良さ、完成度の高い1本である。
飲み口のすぼんだテイスティンググラスだと香りが少しくどくも感じられるため、リーデルのモルトグラスか、なければロックグラスに氷を入れず、ストレートで濃厚かつ円熟した香味を楽しみたい。

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先日発表された、ウイスキー文化研究所主催のコンペ、TWSC2021。有識者による審査の結果、ウイスキーカテゴリーで最高金賞に受賞した12本のうち1本が、このボトルです。サンプルを頂いていたんですが…ブログ掲載していませんでした(汗)。
モノはアメリカンウイスキーへのこだわりで知られるKen’s barのプライベートボトル。ラベル右上に書かれた2005は蒸留年ではなく、同BARの創業年となります。
原酒はTWAからの調達で、TWAでテネシー、そして2003年蒸留と言うと、同ボトラーズが10周年を記念してリリースしたボトルをはじめ、同年のものがいくつかリリースされていますので、TWAが蒸留所からまとめて購入した樽の一つ、と考えるのが妥当でしょうか。

最近はテネシー州にも蒸溜所が増えていますが、2000年代蒸留で10年以上熟成したテネシーウイスキーとなると、蒸溜所の選択肢はジャックダニエル、ジョージディッケル。この2つはマッシュビル※がコーン比率高くライ比率少な目という共通点がある中で、明確な違いはやはり味の柔らかさでしょうか。どちらもテネシーウイスキーらしくメローで甘めな香味であるものの、ジャックダニエルのほうが骨格がしっかりしており、ボリューミー。ジョージディッケルのほうが柔らかい、というのが個人的な印象です。
※ジャックダニエル:コーン80、ライ8、モルト12
※ジョージディッケル:コーン84、ライ8、モルト8

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以前飲んだTWAの別リリース(上画像)は、香味とも樽が強く、正直どちらの蒸留所なのかわかりませんでした。
しかし今回のリリースは、13年間の熟成を経たことによる濃厚さはあるものの、味はスムーズでマイルド。香りに少々特殊な要素がありますが、味はジョージディッケルと言われて違和感ありません。
また、補足的な推測材料として、ラベルの表記が「SINGLE BARREL TENNESSEE WHISKY」となっている点ですね。オフィシャルボトルの整理で言えば、ジャックダニエルはWHISKEY、ジョージディッケルはWHISKY表記となっており、こだわりの強いKen's Barさんなら、ここは合わせてくるのではないか…と思うのです。

実際、ラベル(ボトルデザイン全体)を眺めると、リリース側の妥協なき拘り、溢れる愛が見えてきます。
アメリカンウイスキーの禁酒法前後の時代を彷彿とさせる、スコッチウイスキーとは異なる空気を纏うオールド調のデザイン。
拘りはキャップにまで及んでおり、同時期を意識したと思われるTAXシール風の紙封印に加え、上から蝋封してあるのがいかにもそれっぽい。ここまで来ると、販売上の度数設定が50%(実際は101.6Proofだが、小数点以下切り捨てのため)というのも、BIB仕様を意識したのではないかとすら感じます。

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中身が素晴らしいので、これらのネタは分からなくても充分楽しめるウイスキーですが、同店の常連になるような愛好家からすれば、オタク心を擽る一粒で二度美味しい仕様。リリースする側の表情が見えるとは、こういうことを言うのかもしれません。
リリースを調整されたインポーターさん(信濃屋さん?)は相当苦労されたんじゃないかとも推察しますが、実に良い仕事だと思います。
近年様々なラベルリリースが増えていますが、やはり自分の好みはこういうタイプですね。

改めましてKen‘s Bar様、最高金賞の受賞、おめでとうございます。
早く一連のコロナウイルス問題が落ち着き、BARに伺って、リリースを飲みながら関わった方々の話を聞きたいです。


以下、余談。
話は逸れますが、今回のTWSC2021には、我々がリリースに関わらせてもらったウイスキー、GLEN MUSCLE No,5もエントリーされており、シルバーを受賞しました。

突き抜けて美味しいウイスキーではなく、コンセプトと将来性を楽しむリリースなので、ゴールド以上はないだろうと思っていましたが、コンペで自分たちの作品が評価されるというのは、想像以上にワクワクするものでした。
若鶴酒造さま、ウイスキーのリリースだけでなく、普通は経験できないような機会を頂き、本当にありがとうございました!

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テネシーバーボンウイスキー 14年 2003-2018 ウイスキーエージェンシー 49.6%

カテゴリ:
VERY FINE OLD TENNESSEE BOURBON WHISKY
THE WHISKY AGENCY
For 10th Anniversary
Aged 14 years
Distilled 2003
Bottled 2018
Matured in a barrel
700ml 49.6%

グラス:
場所:BAR 水楢佳寿久 (MIZUNARA CASK)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:しっかりとしたウッディネスを感じるメローで濃厚なアロマ。メープルシロップやキャラメル、バニラ、奥には焦げたゴムと溶剤、ワックスを伴う。

味:ねっとりとした口当たり。チャーオークのキャラメルを思わせる甘いウッディネス。チェリーのシロップ漬け、微かにハーブ。余韻は焦げ感とえぐみを感じるウッディネス、スパイシーでビター。長く続く。

濃厚なバーボンウイスキー。フルーティータイプではなくウッディでスウィートなタイプだが、熟成年数からかえぐみや強いウッディさも相応にある。
加水するとゴムや溶剤っぽさが強くなり、マイナス1ポイント。ストレートで。


ウイスキーエージェンシーが10周年記念でリリースした1本である、バーボン(テネシー)ウイスキーのバレルプルーフ&シングルバレル。
プロデザイナーによるラベルデザインが同社リリースのウリの一つらしいのですが。。。まあ確かにインパクトはあるよねってことで外観はさておき、重要なのは中身です。(こういうとこも味覚以外に、感性の違いを感じるなあ。)

その中身について、ラベルは蒸留所表記がなく、テネシーのみの記載。これまでも何種類かリリースされていたと思いますが、どれも蒸留所はオープンにされていなかったと思います。
14年という熟成期間はアメリカンウイスキーでは長熟の部類に入る熟成で、樽感はいい部分も悪い部分もしっかりという構成。樽由来 バニラ系の香味甘みの強さに加え、強いウッディさなど、テネシーの有名どころで考えればジャックダニエルっぽ いのですが。。。
んー10年越えてるアメリカンは樽が強くて判別つかないですね。正直なところよくわかりません

何れにせよボトラーズバーボンはラムやコニャック同様、ここ数年でちょっとずつリリースが増えてきている印象で、スコッチ系統に比べてその筋のリリースが少ないジャンルにあって、外観、中身共に新しい価値創出につながる可能性を秘めていると感じています。


先週末、ちょっと風邪をこじらせてしまい記事をUPしそこねてしまいました。
ストックのない状態でスタートしたので、今週はちょっと辛いブログ運営になりそうです(汗)。

ティーニニック 43年 1973-2017 パーフェクトドラム 48.8% リンブルグウイスキーフェア向け

カテゴリ:
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TEANINICH 
THE PERFECT DRAM 
WHISKY AGENCY 
Aged 43 years 
Distilled 1973 
Bottled 2017 
Cask type EX-Sherry Butt 
700ml 48.8% 

グラス:サントリーテイスティンググラス
量:ハーフショット
場所:BAR飲み(BAR GOSSE)
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★★★(7-8)

香り:チェリー、枝付きレーズンあるいは黒葡萄、林檎のカラメル煮を思わせる華やかでフルーティーなシェリー香。やややドライ、徐々に渋みを感じるウッディネス、キャラメルコーティングしたアーモンドナッツのアクセント。

味:フルーティーでオーキーな華やかさが口当たりから広がる。レーズン、ドライマンゴー、シナモンアップルパイ。ハイトーン気味でヒリヒリとした飲み口の硬さもあるが、ボディはしっかりしており、樽香とのバランスは悪くない。
余韻はウッディでドライ。濃く入れた紅茶を思わせるタンニン、ナッティーなオークフレーバー、艶やかで長く続く。

高貴さの漂うフルーティーなシェリー香に、エージェンシーフレーバーとも言えるナッティーなリフィル系のオーク香が合わさって、充実した1本に仕上がっている。口開け直後のテイスティングだったが、過度な硬さは無くうっとりする味わい。加水は水っぽさがあり向かない、ストレートで。


つい先日開催された、リンブルグウイスキーフェア2017向け、ウイスキーエージェンシーからのリリース。何とも目を引くラベルは、同社代表であるカーステン氏の奥様がプロデュースしたとのことです。

ここ最近、ウイスキーエージェンシーからは1970年代前半蒸留となる"スペイサイド名称"の長期熟成モルトが集中的にリリースされています。 
同社はドイツ系ボトラーズメーカー。つまりこのリンブルグ向けは自国向けのリリースということにもなるわけですが、このリリースも最近集中しているスペイサイド・・・かと思いきや、銘柄はまさかのティーニニック。随分マニアックなチョイスだなと感じてしまいました。

こういうボトル、長期熟成リリースが枯渇している昨今においてはもっと注目されるべきと思うものの、ここまで短期間だとありがたみが無くなっていく不思議。味わい的にもテイスティングに書いたように、"エージェンシー味"と言える独特の樽感があって、だいたいその系統なのも一役買っているようです。
直近では信濃屋のNAGOMI、山岡氏がリリースに関わったスペイサイドリュージョン、海外のBARのプライベートボトリング・・・これらは一説にはグレンファークラスとも言われており、樽はリフィルシェリーホグスヘッドタイプだろうというオーク系の華やかな香味、長期熟成ゆえにややボディが硬く、ドライな味わいが共通するところです。 

このティーニニックも"そんな感じ"かと思っていたわけですが、共通するフルーティーさこそあれど、香りの段階からひきつけられる要素がいくつかあり。加えて近年中々見ることの無い、澱みの無いシェリー香は「間違いない」という確信に近い予感が沸き起こる。思わず口角が上がってしまいます。
   
ティーニニックの中ではかなり旨いリリースである一方、"らしさ"は開封時点ではほぼ皆無。目を瞑って飲むと「またスペイサイド出してきた?」と思ってしまうかもしれません。
それでも約49%の度数とボディが樽感を支え、樽しゃぶり系になりつつある長期熟成モルトとは一線を画している仕上がりに、エージェーンシーの自国向けボトルとしての本気を感じます。
また、最近増えたスパニッシュのコテコテシェリーボトルとは異なる、長期熟成によってこそ作られる華やかでよどみの無いフルーティーさが、懐かしくも、そして嬉しくもある1杯でした。

グレンファークラス 35年 1971-2006 ウイスキーフェア 51.4%

カテゴリ:
SPEYSIDE SINGLE MALT
(GRENFARCLAS)
THE WHISKY FAIR
Aged 35 Years
Distilled 1971
Bottled 2006
Cask type Oloroso Sherry Butt
700ml 51.4%

グラス:木村硝子
量:30ml程度
場所:個人宅
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:香り立ちはスパイシーで淡いスモーキーさ、ナツメグを思わせるアロマ。湿ったウッディネス、枝付きレーズンやチョコレートを思わせる甘さが徐々に発散してくる。

味:口当たりはとろりとリッチ。黒砂糖の甘みからレーズンとドライベリー、チョコレートケーキ。酸味を内包した甘みが豊かに広がる。中間はコクがあり、微かにシナモンを思わせるスパイシーさ。
余韻はドライでウッディー、ほのかにバニラやオーキーなフルーティーさを伴う長い余韻。


いわゆるオールドシェリーに分類される長期熟成シェリー樽に、ドイツ系ボトラーズらしいフルーティーなエッセンスが加わっている1本。
ドイツ系のボトラーズがなぜフルーティー系統が多いのかとか、シェリーバットで35年熟成で534本はちょっと多いのでは・・・とか思ったりもしますが、バットで700本ボトリングする某蒸留所とかに比べれば熟成の神秘で説明がつくレベルであり、話を先に進めます。

今回は口開け直後であるためか香り立ちに少々難がありましたが、元々黒糖系の甘みが主体であるところに、時間経過でドライフルーツの酸味もが広がってきて、これはなかなかイケてるグレンファークラスです。
テイスティング中の変化と同様に、開封後の時間経過で果実味がさらに開いてくれば。。。★7はわりと辛口めな評価でありますが、★8まで伸びていく変化も期待できます。

ここ最近、上等なグレンファークラスのリリースが集中してあったわけですが、10〜20年前後で仕上げたスパニッシュオーク系のボトルも決して悪くはないものの、当時の突き抜けたボトルを飲むと、役者というか時代の違いをどうしても感じてしまいます。
だからと言って今評価されている新規リリースを軽視するわけではなく、これはこれ、それはそれでそれぞれ良い。バーボン樽熟成とシェリー樽熟成は直接比較しないように、シェリー樽熟成の中でも整理をする時代が来ているのかもしれません。

ちなみにこうしたウイスキーのベースとなっていると考えられる、数十年単位でシェリーの熟成に使われた樽は、某商社と取引されている方の話を聞く限り、実は数こそ少ないものの一定数市場に出回っており、しかも価格は数ヶ月~数年間のシーズニングシェリー樽よりも安価なのだそうです。
オフィシャルメーカー側としては安定して数を確保できるシーズニングシェリー樽を重視し、計算しづらい古樽は敬遠している・・・のでしょうか。あるいはそうした樽が、オフィシャルのファークラスであればファミリーカスクになり、ボトラーズなどからリリースされる飛びぬけた1本に繋がっていくのかもしれません。
とすると、案外今後もそれなりなリリースは続いていくのかと楽観的なことを考えてしまったり。ただ可能であれば、近年系シェリーではなく、こうした古き良き時代のシェリーカスクも再現してほしいものです。

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