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タリスカー 8年 59.4% リミテッドリリース 2018

カテゴリ:
TALISKER
Aged 8 years
Limited Relase in 2018
Cask type 1st fill American oak Bourbon Casks
700ml 59.4%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:持ち寄り会
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:透明感があり、塩素を思わせるツンとした刺激、シトラス、フレッシュなピート香と淡い焦げ感。徐々に燻したようなニュアンスとヨードを淡く伴う。

味:ピーティーでオイリーな口当たり。奥からグレープフルーツのわた、砂糖漬けレモンピールを思わせる柑橘感をアクセント。合わせてソルティー、乾燥した麦芽、個性が際立っている。
余韻はスパイシーで焦げたようなピーティーさ、口内を刺激する軽い荒さを伴って長く続く。

樽感は比較的プレーンで、フレッシュな香味を邪魔しない程度。それでいてニューポッティーな印象はなく、若い原酒の勢いと個性がまとまっている、作りの上手さを感じる1本。
少量加水すると程よいこなれ具合、ハイボールは微かな柑橘感のある酸味、焦げたようなピーティーさでこれもまた楽しめる。


毎年恒例、ディアジオのリミテッド、スペシャルリリース。日本では例年翌年の4月にMHDからまとめてお披露目されますが、イギリスでは銘柄毎に順次リリースされています。
今年はここ数年必ずラインナップに組み込まれていたポートエレンやブローラが無いなど、価格的な派手さは控え目。
ですが、そのラインナップのうちコアドリンカーの注目を集め、既に話題になっているのがこのタリスカー8年です。


リリースそのものは、昨年ラガヴーリン8年がリリースされたように、NA化やヤングエイジ化という近年のスコッチに見られる傾向の一つ。しかし、ことタリスカーで言えば、8年熟成は1980年代までのリリースで高い評価を受けたオフィシャルスタンダードを連想するスペックであるだけでなく。ヤングエイジで初のカスクストレングス仕様という点も合わせて、その筋の愛好家から興味関心を集めるには充分すぎると言えます。

一方、ハイプルーフで若いオフィシャルと言えば、タリスカーノース57%あたりと香味の重複があるんじゃないかと思いきや、そこは流石のリミテッドです。
ノースは若く荒々しい味わいに、樽香も強目な作りですが、この8年は樽香はあくまで自然に、淡く柑橘感とコクを後押ししている程度。無難と言えばそうなのですが、若い酒質由来のフレッシュな香味が嫌味少なく楽しめるあたりが、これまでのスペシャルリリース路線から外れない丁寧さを感じる構成であり、違いとも言えます。

かつてのTD ラベル時代のタリスカー8年とは構成から違うので、比較するようなモノでもありませんが、これはこれで好まれる味わいなのではないでしょうか。
先述の通り話題性も抜群。価格も現地を見る限りそれほどでもないですし、国内入荷の暁にはちょっとした争奪戦になるんじゃないかと思います。

夏本番 タリスカー10年で楽しむ ペッパーソルトハイボール

カテゴリ:
 
実売3000円代という価格帯を考慮すると、言うことは何もない。いや、流石MHDというべきでしょうか。タリスカー10年は、ハウススタイルと美味しさを両立させたクオリティの高いオフィシャルボトルだと思います。
熟成はリチャードオークを交えたサードフィルあたりの樽が中心と推測。近年多く見られるバーボンオークのフルーティータイプではない、酒質ベースの香味に淡い樽香がのっているため、スモーキーフレーバーなどの個性が感じやすいのもポイントです。

タリスカー10年の飲み方で代表的なものは、やはりハイボール。そのレシピは、販売元たるMHDが推奨のハイボールに黒胡椒を挽いたスパイシーハイボール(別名、タリソーペッパー)。そして当ブログでも推奨している目黒発祥、四川山椒(藤椒)を挽いて爽やかな柑橘系の香りとビリビリとした刺激を加えた痺れるハイボール(シビハイ)が、愛好家の間でも認知されていると感じています。


元々タリスカーは余韻にかけてスパイシーな香味があり、それが酒質由来の要素で柑橘のニュアンスや、樽やピートフレーバー由来の要素で黒胡椒を思わせる香味が故、黒胡椒や山椒との親和性が高かったわけです。

ただスパイシーハイボールは食中酒としての相性は文句のつけようがないものの、それ単品で飲むと個人的にはちょっと胡椒の香味が強すぎるかなという印象も。そのため、胡椒以外のものを加えて足りないものを補えないか探求した結果。。。今年のバーショーのジョニーウォーカーブースにヒントを得てたどり着いたのが、"タリスカー・ペッパーソルトハイボール"です。


作り方はタリスカーを冷凍庫でキンキンに冷やすところから始まります。
今回は写真のようにグラスの縁に塩をつけるため、通常のハイボールの手順でステアが出来ないので関西式ハイボールの作り方を採用します。あるいは別容器で氷を加えてステアして、ウイスキーを冷やしてから移すという方法も可です。

まずはグラスのフチを濡らし、ソルティードックのように塩をつけていきます。使う塩は特に指定はないですが、にがりの味が少なく、粗挽きじゃない方が口当たりは良いですね。
そしてグラスに冷やしたタリスカーを注ぎ、こちらもよく冷やしたソーダを使って割っていきます。
先に書いたように、通常のハイボールなら常温のウイスキーに氷を加えてステアで温度をさげますが、今回それをやると塩が吹き飛んでしまいます。
ソーダ割りにした後、そっと氷を加えてもOKですが、やはりウイスキーもソーダもキッチリ冷やしておく方が出来は良く。最後に黒胡椒をミルで適量粗挽きすれば完成です。

一口飲むとタリスカーソーダの爽やかでスモーキーな飲み口に、炭酸と合わせてじゅわっと溶け出る塩気とコク、胡椒の風味がマッチし、強すぎる胡椒感を程よく抑えつつ美味しさが増している。これはちょっとしたカクテルとも言える香味の相性の良さが感じられます。
(塩を加えてステアしても良いのですが、飲んだ瞬間に混ざり合う感じが美味しさのポイントでもあるので、多少手順は増えますがこの形を推奨します。)

個人的に、このスタイルのハイボールにはタリスカー10年をオススメするものの、タリスカーが使われているジョニーウォーカーや、ソルティーハイボールならオールドプルトニーなど、様々な組み合わせも楽しめます。
なお、塩分の取りすぎは当然体に悪いので飲みすぎに注意は必要ですが、いよいよ夏本番という最近の真夏日、猛暑日の中にあっては適度な塩分摂取も必要。この日はクソ炎天下の河川敷で野球をやった後。一口目の旨さと言ったらもう。。。運動後の一杯はビールやノーマルなハイボールですが、その中でこのペッパーソルトハイボールもオススメしたいですね!

TALISKER 
Aged 10 years 
700ml 45.8% 

【テイスティングコメント】 
香ばしくほろ苦い香り立ち。スモーキーで焚き木のような焦げた木材、ヨード、奥には乳酸系の若いニュアンスもあるが、スワリングしているとハチミツ梅のような甘酸っぱさも感じられる。
口当たりは若さを感じる荒さが若干あるが、それもハウススタイルの一要素として上手くまとまっている。ピーティーで燻した麦芽や焦げた木材、ほのかに酸味も伴う。余韻にかけて塩水のコク、スパイシーでスモーキー。ピリピリとした刺激を伴い長く続く。 

グレンキンチー 24年 1991-2016 スペシャルリリース 57.2%

カテゴリ:
GLENKINCHIE
Special Release
Aged 24 years
Distilled 1991
Bottled 2016
Cask type Refill European Oak Butts
700ml 57.2%

グラス:サントリーテイスティンググラス
場所:BAR飲み@Y’s Land IAN
時期:開封後1年程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:青みがかったウッディさ、ドライな麦芽香、ハイプルーフらしくアタックは強く鼻腔を刺激する。奥から蜂蜜を思わせる甘み、ほのかに林檎のようなニュアンスも。

味:ややぬめりのある口当たり。麦芽風味、洋梨、中間はクリアで雑味が少なく徐々にドライ。シロップのかかったホットケーキ、微かにレモンジャム。
ツンとした刺激が感じられ、ジンジャーエールのようなヒリヒリとした余韻へと繋がる。

ディアジオのリフィルオーク熟成らしい、ニュートラルでトーンの高い味わいのモルト。軽くスパイシーさを伴う酒質由来の香味を感じつつ、樽材そのものが溶けたような要素も伴う。アメリカンオークのようなフルーティーさは控えめなあたり、材質の違いを感じる。


昨年のリリース時に飲み損ねていたグレンキンチーのスペシャルリリース。
グレンキンチーの通常リリースは12年のみで、限定品のダブルマチュアードも同等程度の熟成と、近年はボトラーズリリースもほとんどない中、久々にリリースされることとなった20年オーバーは、いちウイスキードリンカーとして純粋に興味をそそられていました。

1990年前後において、蒸留所に特段大きな変革は無かったようなので、ロケーションや蒸留環境云々の話は省略。
熟成のバランスは充分。元々そこまで強い酒質ではないので、近年蒸留では25年前後がちょうど良いかもしれません。
軽い麦芽風味やスパイシーさをそのまま伸ばしたような香味に、ディアジオのスペシャルリリースらしいリフィルオーク由来の樽感がそれを邪魔しない。ファーストフィルシェリー樽のように、圧殺するような構成ではないため、丁寧な作りとも感じる「面白みはないが、個性は楽しめる」といったボトルだと思います。

グレンキンチーは現存する数少ないローランドモルトとして、もう少し日が当たってほしい蒸留所。
企業側の方針もあるので難しいでしょうが、ディアジオ傘下にはそうした蒸留所がいくつかあり、今年はグレンエルギン、来年はオーバン。。。普段はブレンデッド向けに位置付けられている蒸留所のハイエンドリリースの中で構成される酒質の個性が、こうしたボトルを飲む楽しみです。

リンクウッド 37年 1978-2016 スペシャルリリース 50.3%

カテゴリ:
LINKWOOD
Limited Release
Aged 37 years
Distilled 1978
Bottled 2016
Cask type Refill American Oak Hogsheads & Refill European Oak Butts
700ml 50.3%

グラス:サントリーテイスティング
場所:BAR飲み@Y's Land IAN
時期:開封後1年程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:やや青みがかったドライな香り立ち。ツンとした刺激に乾いたオーク、品のいい果実香はファイバーパイナップル、青林檎、アロエを思わせるニュアンスを感じる。

味:プレーンで癖のないニュートラルな味わい。徐々にオーキーなトロピカルフレーバー。パイナップル、林檎のコンポート、奥には微かなピートフレーバーも感じられる。ボディはミディアム程度、余韻はしつこくない程度にドライでオーキー、華やかで長く続く。

花と動物のリンクウッドの延長にあると言えるボトル。淡麗系の酒質にほのかなピート。リフィルオーク樽を用いたことによるバランスよく、当該シリーズらしい整った熟成感がある一方で、青みがかったウッディさもある。


日本では2017年版のスペシャルリリースとして発売された、オフィシャルにおいて最長熟成となるリンクウッド。1978年という蒸留時期もあり、淡麗傾向で癖の少ない酒質となっています。
また、ボトルに書かれたポットスチルが、花と動物シリーズにおける同蒸留所の白鳥をイメージするようなデザインとなっており、上述の中身と合わせて関連性を感じる仕上がりでもあります。(価格は随分と差がありますが。。。汗)

当時のリンクウッドは新しい蒸留設備が1971年に稼働し、新旧合わせて生産量が大幅に増加していた時代。かつてはスモーキーで芳醇だった酒質は、生産方針の変更か、酒質の幅を増やすためか、この時期からオールドスタイルのものと、ライトスタイルのものが混じるようになるのは、これまでも度々触れてきているところです。
この背景には、新旧設備での作り分けのみならず、ライトなウイスキーを求める時代の需要、樽や麦芽品種の変化など、多方面からの影響があったのだと思いますが、その点で言えばこのスペシャルリリースのリンクウッドは近年寄りの仕上がりと言えます。

なお、リンクウッドは99%がブレンド向けに使われてきたという蒸留所。ジョニーウォーカーなどのDCL系列のブレンデッド他、直系としては先日記事にしたアボットチョイスやチェッカーズがあります。
この2銘柄については1980年代後半にかけて香味から徐々にクラシックなスモーキーさが失われて行くわけですが、この背景にリンクウッドのスタイルの変化があるのではないかと推察しています。


以下、雑談。
今回のリンクウッドしかり、これまで紹介してきたスペシャルリリースしかり、整っていてバランスも良いんだけど、高い評価に至らないボトルについて、どう位置付けているのかという質問を頂きましたので補足をさせて頂きたいと思います。

これは個人的に漫画のようなものだと思っていて、漫画は絵の良さと、ストーリーの良さが大きく分けてあるとすると、どっちを評価するかという話なんですよね。
勿論両方いいものの方が満足感は高まるのですが、例えば極めて両極端な事例は除いて、ストーリーはそこそこだけど絵やコマ割りは綺麗な漫画は無難に楽しめて、万人ウケもするけどしかし熱狂的にハマるかというとそうではない。これをウイスキーに置き換えると。。。バランスは良いけど突き抜けなくて★6、という評価をする事が多いと思います。

自分はどっちかというとストーリー重視で、絵はそこそこ、ストーリーそこそこでも評価が変わらなかったりしますが、数値化されない部分は本文の表現で補足したいですし、それ以上に個人個々の感覚、評価軸があって然るべきと思います。
こんなところで説明になっていれば幸いです。


ポートエレン 37年 1979-2017 リミテッドエディション17th 51.0%

カテゴリ:
PORT ELLEN
Limited Edition 17th
Aged 37 years
Distilled 1979
Bottled 2017
Cask type Refill American Oak Hogsheads & butts
700ml 51.0%

グラス:木村硝子テイスティング
場所:Y's Land IAN
時期:開封後数日以内
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:柔らかい香り立ち。レモンピールのジャム、ほのかにグレープフルーツ、黄色系の柑橘感に魚粉のようなダシ感がアイラ要素を主張。オーク由来の品のいいドライさと干草、合わせて存在感のあるスモーキーフレーバーを伴う。

味:柔らかい口当たり、燻した麦芽とピートフレーバー。一瞬ソルティーなコクを感じるが、すぐに蜂蜜、熟した洋梨、香り同様の黄色い柑橘感。微かに湿ったような酸味。ボディはしっかりとしてバランスを取っている。
余韻はスパイシーでドライ、乾いた植物感、スモーキーで長く続く。 

オークフレーバー由来の要素と、この時期のポートエレンのピーティーでクリアな酒質の融合。ディアジオのリミテッドらしい丁寧な作りが、長期熟成ならではのバランスの良さと高い完成度に繋がっている。 


今回のスペシャルリリース最高価格にして、 モルトラインナップの中では最長熟成となるリリース。そのお値段たるや、初期リリースの10倍以上。っていうか当時は3万でも「高いけど希少だから仕方ないよね」と言われていたのに、17thまでリリースが続いて価格はあれですから、もうワケがわかりません。(補足:1stリリース約2〜3万円、17thリリース48万円・・・)

そのポートエレンもブローラ同様に再稼働に向けた調整を開始したことが宣言され、2018年のスペシャルリリースラインナップからも除外。閉鎖前の原酒としては、今作が最後のボトリングとも噂されています。

(約40年ぶりに稼働することとなったポートエレン。クリアでピーティーな味わいに期待したい。なお熟成庫にはラガヴーリンが詰まっているらしいが、熟成場所はどこに。。。Photo by T.Ishihara)

70年代のポートエレンの酒質はカリラと重複するところがあり、クリアで繊細、カスクストレングスではキレの良さ、なめし皮のようなニュアンスと、加水すると柔らかさが感じられる、少なくともラガヴーリンとは対極にある個性を持っていました。
しかし今回のボトルでもある70年代末期、特に80年代に入ってから1983年の閉鎖にかけてはピートと酒質が強く、キレと荒々しさを感じるボトルが見られます。
これが今回のボトルのように40年近い長期熟成に耐える要因の一つと考えられるわけですが、その他1980年代に閉鎖された蒸留所が、閉鎖間際は個性に乏しいプレーンな原酒を作っている傾向がある中、その流れに逆行する面白い事例だと思います。

元々、ポートエレン閉鎖の経緯は、ウイスキー不況における生産調整とグループ全体の効率化のためだったと言われています。
生産量のバランスの関係で、アイラ島の傘下蒸留所を一つ休止しなければならず、精麦工場を持つポートエレンは精麦に専念させて、ラガヴーリンとカリラを残したという話。この精麦工場における大規模なドラム式麦芽乾燥用設備が稼働し始めたのは1974年ごろ。以後、同工場はカリラやラガヴーリンにも麦芽を提供しているワケですが、上述の酒質の変化は、閉鎖前の時期は仕様を分けず、全体の仕込みの量を見ながら他と同じ麦芽を用いていたためではないかと推測しています。

仮にそうだとして、今はウイスキーブーム真っ只中。ブレンド以外にシングルモルト需要も非常に高い。調整が不要となった再稼働後のポートエレンは、果たしてどんな原酒を作っていくのか。
再稼働に向けては関係者間の調整に加え、各種工事もあって数年。少なくとも今すぐ再稼働とはいかないという話も伝え聞くところですが、ブローラ同様にその報せが届くことを楽しみに待ちたいと思います。

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