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イギリスのEU離脱問題。
国民投票があるという話はもちろん知っていた。
なんかFX企業が「当日はヤバイからポンドはやめとけ」って、通知出してたのも知ってた。
でもまあどうせ僅差で残留なんだろって、前回のスコットランド独立騒ぎと似た様な結果になるんだろって、そう思っていた。
そう、このとき自分は完全に油断していたのだ。

 
参照:http://jp.reuters.com/news/world/brexit

( ゚д゚) ・・・
 
(つд⊂)ゴシゴシ
 
(;゚д゚) ・・・
 
(つд⊂)ゴシゴシゴシ
  _, ._ 
(;゚ Д゚) …!?


まじかよ・・・・。
お昼休みに弁当を食べようとしたときには、既に大勢は決していた。
開票率70%、この時点で70万票差が開き、イギリスはEU離脱へと止められない流れの中に身を投じていた。

そしてそれは当然こういう結果に繋がる。

 

「もうやめて!ポンドのライフはゼロよ!」(´Д` ;)

もちろん株価も爆下げして、サーキットブレーカーまで発動。
買われるのは困ったときの円頼み、安全資産の日本円だ。99円とか100円切り超お久しぶりです。
果たして何人のデイトレーダーが犠牲になっただろう。
一切関係ない外野の自分からすれば「ムチャしやがって・・・」の何事でもなく、「JR」「 遅延」でぐぐって関東全線が正常運行しているのを確認し、そっ閉じした。
その後何度か人身事故があったらしいけど、それは違う別の、通常起こりえる事故だったと信じたい。
ああ、そういえば先月末のサミットで安倍さんが「リーマンショック前夜だ」って力説してたっけなあ。。。消費税増税延期した判断は正しかったよ。


さて、今回のイギリス独立騒ぎについてはちょっと調べてもらえればまとめサイトが見つかるので、ここでは詳細な経緯の記載は省略します。
有名な背景の一つが、イギリス国民が、EU繋がりで流入してくる移民問題に耐えかねて「いい加減にしろやゴルァ!」となったこと。あとはEU加盟国間の負担にルールの押し付けとか色々。
中でも移民に関しては、EU加盟国は人の移動が自由なので流入が止められず、勿論移民の質が良ければ良いのですが、イギリスには税金を納めないのに行政サービスを受けるだけ移民が多かった。2015年は30万人を越える移民があったそうです。

参照:http://jp.reuters.com/news/world/brexit

そのため、影響を強く受ける都市圏の住民は独立賛成派が多く、EU繋がりで商売しているような企業サイドや、あまり移民の影響を受けず、別な思惑のあるスコットランドなどは独立反対派が多かったわけですね。

イギリスを旅行した事がある方はわかると思いますが、こうした問題を背景として、イギリスの玄関口であるヒースロー空港の入国審査はガチで厳しいです。
フランスが「ボンジュゥール」と言えば「オッハヨウゴザイマース」と陽気に、何の確認も無くスタンプを押してくれるのに対し、帰りのチケット、宿泊先、財布の中身まで確認してきて、怪しいヤツは強制送還までありえるという嘘のような話まであります。
まあ、そんなことしてもEU加盟国からは無関係に移民が入ってきてしまうので、本質的な解決にはなってないのですけど。

そうした国民感情を背景に、キャメロン首相がやらなくても良い国民投票を約束してしまった。
ガス抜きのつもりだったんでしょうね。
「ほら、みんなで決めたことなんだから、これからも仲良くやっていこうぜ」ってのがシナリオだったんでしょう。
が、国民サイドの不満は想定以上に強大だった。6月24日、運命の国民投票によって歴史の1ページは刻まれてしまったわけです。
キャメロン首相は辞意を表明したようですが、おそらくイギリス史上最悪の指導者の一人として、汚名を残した結末だったと思います。
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出典:http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/43812

ここから先はより一層個人的な感想になりますが、今回の独立決定後の独立推進派のイギリス様子を見ていて、2009年に民主党が政権を奪取したときの日本のフィーバーっぷりが思い浮かびました。
まあ日本の場合ここまで僅差じゃなく、むしろ圧勝だったので、イギリスの皆様のほうが、まだ理性的だったのかもしれません。

今回のイギリス独立、長期的に見たらひょっとしたら色々うまくいって、目的としている「イギリスの主権」とか「移民の問題」とか、経済とか、良い方向に転がっていくかもしれませんが、ことはそう単純ではなく、短期的にはマジでメリットが見えません。
世界市場に与えた混乱のほうがはるかに大きく、世界経済失速の引き金になる可能性は大いにありえます。(実際、この1日だけで世界市場から約215兆円が消えたという統計も出ています。)

ドミノ式にEU独立を宣言する国が出てのEU崩壊シナリオも、あながち妄想ともいえないレベルです。元々EUに不満を抱いていたのはイギリスだけではなく、連鎖的な独立運動に発展する可能性は大。そしてイギリスには様々な企業や大銀行が入っているのも、その影響に拍車をかけています。
また、スコットランドという爆弾を抱えるイギリスでは、早くも「スコットランドの独立」が再び話題になっていて、住民投票の手続きを進めていくという宣言まで飛び出しています。独立後はEUに入ることを希望しているのだとか。アイルランドの話も出てますね。
イギリスが空中分解という可能性には、大陸側では中国さんも虎視眈々です。


最後にスコッチウイスキーはどうなるかというと、これは現時点でははっきり見えない部分が多いものの、一つあるのはポンド安だからといって喜んでばかりはいられないと言うのは間違いありません。
日本からすれば短期的にはイギリスのショップやオークションでウイスキーを安く買えますが、経済が失速するれば、ウイスキー消費量や生産量にも当然影響が出ます。
またEUがイギリスに対して今後どのような関税、輸入政策を取っていくかで、最悪スコッチウイスキーがヨーロッパからが締め出されるだけでなく、シェリー樽だってEU加盟国のスペイン国内のボデガから買ってるんですから、手に入らないまでも値上げしてしまう可能性だってあります。
さらにさらに、上で述べたようにまたスコットランドの独立騒動が勃発しそうな状況にあり、今やったら相当な確立で独立してしまいそうな気がします。
そうなったらそうなったで、兼ねてからいわれていたスコットランドの自立力はどうかと言う話に。ぶっちゃけ大いに疑問があります。

逆にそうしたスコッチウイスキーのモノ不足感、先行き不透明感から、安定供給できるジャパニーズウイスキーやバーボンウイスキーに大きな注目が集まる可能性もあります。
歴史的な1日、世界が大きく動いた日。私のように凡夫の頭では、ここから先のことなど見通せません。
もちろん相場も外交関係も落ち着くところに落ち着くとは思いますが、しばらく混乱は続くでしょう。
差し当たっては週明けの市場がどうなるかですね。ただただ、良い方向に転がる事を祈るばかりです。