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KIRIN WHISKY
FUJISANROKU
Sigunature Blend 2017
Non-Chill Filtered
700ml 50%

グラス:サントリーテイスティング
量:ハーフショット+ハイボール
場所:BAR飲み(サウスパーク@中野)
時期:開封後1ヶ月以内
暫定評価:★★★★★★(5-6)

香り:少し焦げたような香り立ちだが、すぐにママレード、バニラを思わせる甘いアロマ、アーモンドナッツの香ばしさ、徐々にツンとエステリーなニュアンス。樽香を主体に香味が充実してくる。

味:とろりとした口当たり、ウッディーな樽香、カステラのような甘み、軽やかなスパイスが広がる。中間はグレーン感が主体で香味の広がりは穏やかだが、ボディはしっかりしており、バランスの良い熟成感を感じる。
余韻はコクのある甘みから舌上ドライ。べたつきなく、カカオや焦げた木材を思わせるほろ苦さを伴い長く続く。

樽のしっかり効いたブレンデッドだが、若さ、えぐみや渋みといったマイナス面は控えめで、甘くリッチで奥からエステリーな"らしさ"もある味わい。ハイボールにすると炭酸に負けず香味がしっかり広がり、個人的にストレートよりも楽しめた。若いニュアンス少なく、伸びしろも大きい印象。

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先日、蒸留所限定のディスティラーズセレクトを記事にした際、あわせて紹介させていただいた富士山麓の新商品。キリン・ドリンクス限定販売のシグネチャーブレンド。
今週は更新状況でお察しいただければと思うほど、本当に本業のほうが激務で、とてもウイスキーを飲んでいられる状況ではなかったのですが、週末何とか常識的な時間で業務を終えることが出来、ウイスキー仲間のTさん、Mさんと飲みに行く中でやっとテイスティングできました。

同品は樽毎に異なる原酒のピークを見極め、通常の富士山麓以上に厳選した原酒からブレンドしたブレンデッドウイスキー。富士御殿場蒸留所の原酒が個性を発揮する熟成期間は、バーボン樽で8年から15年との話なので、おそらくそのレンジの原酒が使われているのではないかと推測しています。
加えて、通常の富士山麓にある若いニュアンスを除外する方向でブレンドしている他、モルト比率は40%程度、ピーティーな原酒も使われているそうです。(前記事から再掲)

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飲んだ印象としては、通常の富士山麓 樽熟原酒50%の完全に上位互換と言えるブレンドで、双方を飲み比べると、樽香や熟成感といった違いと共通点がわかりやすく感じられました。
熟成は事前情報のとおり10年前後という感じ。樽香が結構しっかりついているのですが、樽香にある"嫌な部分"と"良い部分"で言えば、嫌な部分が目立つような濃さではなく、バランス良く仕上がっている印象を受けます。
少し苦味を感じる部分は樽以外にピート由来でしょうか。ストレートの味を引き締めているだけでなく、ハイボールにしても樽香と全体の味わいを整えています。

贅沢を言えばグレーンが多いためか、モルト原酒のようにコシのある香味が広がってこない、若干のっぺりとした感じになってしまう部分。それゆえか、甘みはあるのですが、煮た林檎やアプリコットを思わせる熟成した御殿場モルトのフルーティーさがあと一歩前に来てほしい、という点が少し気になりました。
勿論富士御殿場と言えばグレーンウイスキーは世界的に有名なブランドであるのですが、バランスが良い分ちょっとどっちつかずかなと。
開封からそう時間がたっていない時点でのテイスティングでしたので、今後開いてくるであろう「伸びしろ」として期待したいです。(評価についても幅を持たせてあります。)

それにしても、キリンウイスキーの商品展開戦略は面白い。通常商品は富士山麓樽熟原酒などの低価格帯を軸に、自社販売サイトオンリーの商品でコアユーザー向けを展開していく。
予算的にこれしか出来なかった。。。のかもしれませんが、現在の他社には見られない方式で、情報がどの層まで広げるかで販売量を管理している印象があります。
キリン本社のウイスキーに対する姿勢も変わってきたという話も聞いており、今後の展開が更に楽しみです。