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トバモリー 24年 1995-2019 AQUA VITAE 49.8%

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TOBERMORY 
AQUA VITAE 
FIVE ELEMENTS "AIR"
Aged 24 years 
Distilled 1995 
Bottled 2019 
Cask type Hogshead #188 
700ml 49.8% 

グラス:国際規格テイスティンググラス
時期:開封後数日以内
場所:ジェイズバー
暫定評価:★★★★★★(6)

品のいい香り立ち。クリーミーさを連想させる丸みがあるオーク香、白系のフルーティーさ、微かに柔らかいスモーキーさ。
味わいも同様の構成で、口当たりは柔らかく穏やかで、皮ごとピューレにした洋梨を思わせる、微かに青みがかった要素のある植物感と共に品のいいフルーティーさが広がる。そこからじわじわと内陸系のピートがほろ苦く全体を引き締めていき、しつこさのないドライなフィニッシュへと繋がる。

あくまで近年系のフレーバー構成であるが、モルトにおいてオールドスタイルが好みというアレン氏チョイスらしく、また"AIR(空気)"の属性のとおり、引っ掛かりが少なく自然に入っていくような角のとれた柔らかい味わいと、過度に主張しないピートのバランスが良い。トバモリーとしては珍しく?綺麗にまとまっていて”美味しい”1本。

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先週末開催されたイベントでテイスティングした1本。AQUAVITTEのファイブエレメンツシリーズ。そういえば昔フィフスエレメントとかいう比較的ぶっとんだ設定のSF映画があったなぁ・・・なんておっさんの記憶はさておき。
このシリーズでは15年熟成以上の原酒に限定するという設定があり、ボトラーズAQUAVITAEのなかではミドルグレード以上、アレン氏が特に自分の好みをもって選んでいる原酒のシリーズといったところでしょうか。

下の写真はこの日テイスティングすることができた、ファイブエレメントシリーズの3種類。左からグレンキース、トバモリー、アードモア。
どれもホグスヘッド樽熟成で、オーキーな華やかさは多少共通するところはあるものの、すべて系統が異なっており。ソフトで穏やかなトバモリー、強く華やかでドライなキース、リッチでどっしりとピーティーなアードモアと、最近ありがちな”銘柄関係なくでもアメリカンオーク味”に統一されていない、属性に準ずるような幅の広さがあるのも印象的でした。

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どれもきっちり熟成されて仕上がっているモルト。飲んだ順番で今回はトバモリーから紹介していきます。
やはり最大の特徴は、香味ともに感じられるオークフレーバーと酒質の柔らかさ。開封直後から即美味しいタイプです。
加水ではなく、熟成を経て自然に度数が落ちていった結果、ちょうどこのような形に落ち着いたのだと思いますが、奔放な(とっちらかって落ち着きのない)ボトルが多いトバモリー蒸留所のモルトとしては珍しくまとまって、きれいに仕上がっている1本です。

1995年は、トバモリー蒸留所が1993年にバーンスチュワート傘下に移り、大規模な改修工事を経て再稼働した直後。公式には酒質が向上したとされる時期。
昨今、トバモリーはノンピート、レダイグはヘビーピートと作り分けがされているものの、この時期はそのルールは統一されておらず、香味から察するに原酒はライトピートタイプのものが使われていると考えられます。

また先に触れているように、AQUAVITAEのアレン氏は、オールドボトルのモルトが好みで、近年の開けてから時間のかかるタイプや、サルファリーなシェリー樽があまり好みではなく、自分の好みのウイスキーをリリースするためボトラーズを立ち上げたというエピソードがあり。
こうしたピーテッドタイプの原酒かつ、穏やかなフルーティーさの組み合わせは、ピュアモルト時代のグレンリベットとか、なんとなくその辺を連想したのかなと。思って聞いてみると「特にこれといってマッチはしてないと思うけど、リベットとか、ドロナックグリーンダンピーとか、そういう味わいの系統を選びたいよね」と。

確かに似てるかどうかは無理があるとわかってましたが、それでアメリカンオーク・ホグスヘッド好きならなるほどなーと。カスク選定者の好みも感じつつの普段とは違った視点で楽しめたテイスティングでした。


ボウモア 23年 1995-2018 ウィームス 57.4%

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BOWMORE 
WEMYSS MALTS 
"Nostalgic 70's Flavor" 
Aged 23 years 
Disilled 1995 
Bottled 2018 
Cask type Hogshead 
700ml 57.4%

グラス:国際規格テイスティング
時期:開封直後?
場所:ジェイズバー(ALLEN氏持参物)
暫定評価:★★★★★★★★(7ー8)

香り:エキゾチックなニュアンスを含む、トロピカルなフルーティーさ。熟した果実の発散するフェロモン。アップルマンゴー、グレープフルーツ、土っぽいピートと燃えさしのような柔らかいスモーキーさ。微かに地磯を思わせる要素もある。官能的なアロマ。

味:とろりとした口当たりから、香り同様に南国果実に混じる柑橘のニュアンス。ピートのほろ苦さと、ダシっぽいコクのある塩気、熟したマンゴーの甘さと薬品を思わせる含み香が、余韻のウッディネスと混ざりあって鼻孔に抜けていく、長く続くフィニッシュ。

90年代中頃のボウモアらしいダシっぽさと適度な雑味、厚みのある酒質に60年代に通じるトロピカルなフルーティーさが備わった素晴らしい1本。1995年にもこんなカスクがあったのかと衝撃を受ける。サブタイトルはノスタルジック70'sではなく60’sにするべき。

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先日、台湾のボトラーズである”AQUAVITAE”の代表アレン氏が開催した、招待制のテイスティング会。そこでスペシャルアイテムとして振る舞われた1本。
アレン氏は兼ねてから日本の愛好家のなかでも、ウイスキーに造形が深いブロガーを招いたテイスティング会を開催してみたかったとのことで、信濃屋さんの協力を経て企画の実現に至りました。

その際のテイスティングアイテムについては、追って個別に記事化させていただくとして、イベントの最後に提供されたのが、アレン氏ら台湾のグループでジョイントボトリングしたこのボウモア。
会のラインナップのボトルはどれも面白く、かつアレン氏が好んでいるフレーバーの傾向が、我々日本の飲み手の好みと近いことが理解できるなど、1本1本選び手のイメージを確認しながらテイスティングできる貴重な機会であったわけですが。。。ボウモアのあまりの美味しさに、最後に全部持っていかれてしまった感すらあります。

スペシャルアイテムの提供はブラインド。ですがノージングで即90年代のボウモアとわかる、官能的なフルーティーさとピート香のハーモニー。
フルーティーさについては
アレン「昔のボウモアを思わせるフレーバーがあるから、Nostalgic 70's flavorと書いているんだ(英語)」
くり「70年代というより60年代なんじゃ?(日本語で呟く)」
アレン「(通訳もなしに)自分も60年代だと思うんだけど、実は78年に似ているという人が居たから、配慮して70sにしたんだ」
という、通訳なしで想いが通じあってしまったやりとりも(笑)。
さすがにパフューム時代のボウもアとは違うと思いますが、このくだりからも我々とアレン氏は感じ方が近いんだな、と感じたエピソードでした。

しかし1995年のボウモアはフルーティーさよりもアイラ要素の強いものがメインという印象でしたから、1990~1993年あたりを思わせるフルーティー系統とボディ感の両立した味わいには驚かされました。まさしく現代に甦った60年代のボウモアです。
そして会を通じて、アレン氏だけでなく日本のブロガー、情報発信者との交流ができたことも大きな収穫であり、今回の機会を作っていただいた、アレン氏と信濃屋さんには感謝しかありません。(また、金曜日の20時30分からというゴールデンタイムに会場を提供してくださった、ジェイズバー・蓮村さんの男気にも。)
お声がけいただき、ありがとうございました!!

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