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シングルモルト 長濱 3年 2017-2020 ミズナラカスク 53.7% #0002

カテゴリ:
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NAGAHAMA
Single Malt Japanese Whisky
Aged 3 years
Distilled 2017.3.20
Bottled 2020.4.22
Cask type MIZUNARA Cask #0002
500ml 53.7%

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★(5)(!)

香り:キャラメルを思わせるような濃縮感のある甘いアロマ。日本家屋や古い家具のような落ち着いた木香に、甘栗や干し草、ニッキ、クローヴ等のスパイス香、ほのかにお香のような要素も混じる。

味:干し柿や杏のペーストを思わせるようなねっとりとした甘いオークフレーバーに、若い原酒に由来する酸と微かに根菜系のピートフレーバー。続いてスパイシーでハーバルなニュアンスが混じる複雑な味わい。余韻はドライでウッディ、ほのかなタンニンの渋みが樽由来のキャラメルシロップのような甘さを伴い長く続く。

短熟ながら熟成環境に由来して樽感が強く、濃縮したミズナラフレーバーが特徴の1本。現時点ではまだフルーティーさやミズナラ樽に求める香木系のニュアンスが整っていないが、ニッキ系のニュアンスが強く出たり、ウッディなタンニンが強すぎたりという熟成の若いミズナラ樽にありがちなネガティブな部分が目立たず、面白い複雑さが楽しめる。将来リリースされるブレンドやシングルモルトの軸としても可能性を感じる1本である。

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長濱蒸留所、ファーストリリース三部作のうちの1つ。おそらく最も注目されているのではないかと思われるミズナラ樽熟成の1本。また、ほかの2本がノンピート仕様なのに対して、このボトルはライトリーピーテッド仕様となっています。

長濱蒸留所からは、これまで
・ノンピート(0ppm)
・ライトリーピーテッド(??ppm)
・ピーテッド(20ppm)
・ヘビリーピーテッド(45ppm)
と、ピートの強弱で4種類のニューメイクがリリースされていますが、今回のリリースに使われているライトリーピーテッド原酒は、ノンピート用とピーテッド用の麦芽を仕込み段階で混ぜ合わせているため、フェノール値が測定できないためか、数値としては明らかになっていません。

ただ、同仕様のニューメイクを飲んだ印象としてはフェノール値は10弱程度という感じ。ピートフレーバーは熟成によって減少していくため、長濱蒸留所の雑味が少なく柔らかい味わいの酒質と合わさって、スコットランドの内陸蒸留所のいくつかに見られるような、モルティーでほのかなピート香という熟成後の仕上がりを予想していました。
今回のリリースを飲んだ印象としてもそれは変わらず、順調にまとまってきていると感じます。

そして注目ポイントはもう一つ、ミズナラ樽由来のフレーバーです。
新しいミズナラ樽の短熟は、愛好家が求める所謂オリエンタルなフレーバーやフルーティーさよりも、ニッキ等のスパイシーさやウッディなえぐみが先行して出てしまいがちな傾向があります。
長濱モルトも1年未満のものはそうしたキャラクターが出ていましたが、熟成環境によるものか、樽の仕様によるものか、3年と短い期間でありながら樽由来の甘みがあって、既にリッチで複雑さもあるフレーバーが付与されているのです。

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(2017年に蒸留所を見学した際、試飲したカスクサンプル4種のなかに同じ仕様で蒸留日4日違いのミズナラ樽原酒があった。この時点では樽の甘みよりニッキ系のフレーバーが強く出ていたが、ここから約3年の間にこれだけの成長を見せたと思うと非常に興味深い。)



長濱蒸留所が火入れ(創業)式を行った際、記念式典と合わせて最初に蒸留された原酒を詰めた樽がミズナラ樽でした。次のミズナラ樽はピーテッドで仕込むことが触れられていますが、今回のリリースのカスクナンバーが2番であることからも、リリースされたのはまさに引用したFacebook投稿で書かれている樽ではないかと考えられます。

投稿では”ピーテッドモルト100%で仕込んだ原酒”とありますが、実際の仕様がライトリーピーテッドなのは、原酒の試作を進める中で方針の変更があったのかもしれません。
結果論ですが、それは正しかったとも思えるのがテイスティングを通じての印象でもあります。長濱のピーテッド&ヘビーピート原酒は、ベースの酒質のボディがそこまで強くないためか、ニューメイク時点ではちょっとピートが浮つくように感じていました。その点、自然にまとまりそうなライトリーピーテッドのほうがミズナラフレーバーとの馴染みも良さそうです。

実際、今回のリリースについても粗い部分は当然ありますが、ミズナラ樽由来のフレーバーの中でライトなピートフレーバーが程よいアクセントとなっており、同系統の樽があれば今後数年間の熟成で樽感はよりリッチに、そして酒質と馴染んで甘やかに。ピートフレーバーは隠し味にと、面白い仕上がりになるのでは・・・と。
また、こうした原酒はシングルモルトやブレンデッドを作る際にも力を発揮するもので、バーボン樽やシェリー樽原酒とのブレンドによる多層的なウッディさ、奥行きのある味わいは、例えばサントリーのブレンド等で既に高く評価されている組み合わせです。

今はまだその領域に届くレベルではないですが、限られた原酒で作られる蒸留所のファーストリリースは、将来の可能性をどれだけ感じさせてくれるかという点に魅力があり、今回のリリースは十分合格点であるように思います。


以下、同蒸留所繋がりで余談。
長濱蒸留所が同蒸留所のモルトと輸入原酒を使い、ブレンドに焦点を当てて作るオリジナルブランド”アマハガン”の3rd Releaseに、ミズナラウッドフィニッシュがあります。
このブレンデッドは昨年のWWAでジャパニーズブレンデッド部門でベストアワードを受賞するなど実績もあるのですが、以下の通り6月30日に新しいブレンドレシピによるミズナラウッドフィニッシュがリリースされるようです。

長濱蒸留所が保有する長期熟成の輸入グレーンは、自分もグレンマッスル2ndリリースで使わせてもらいましたが、「そのままボトリングしたい」という希望が出るくらい、クオリティの高いものです。モルトについても同様で、質のいい輸入原酒があるところに、長濱のモルトも上記の通り粗削りながら育ってきています。長濱モルトの個性がさっそくブレンドで活かされてくるのか、このリリースにも注目しています。


シングルモルト 長濱 3年 2017-2020 バーボンカスク 61.3%

カテゴリ:
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NAGAHAMA 
Single Malt Japanese Whisky 
Aged 3 years 
Distilled 2017.1.26 
Bottled 2020.4.20 
Cask type Bourbon Cask #0007 
500ml 61.3% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★★(5-6)

香り:柔らかい香り立ちから、オーキーな華やかさ。樽由来の甘いアロマは、バニラや林檎の蜜、微かに木材の削りカスのような粉っぽさを感じる。

味:口当たりはねっとりとしたオーク由来のフルーティーさと合わせて、若い原酒由来の刺激と酸味が混じる。加熱した林檎や黄色い果実、じわじわと柑橘の皮を思わせるほろ苦さ。フィニッシュはオーキーでドライだが、60%以上の度数を感じさせない柔らかさもあり、長く続く。

若い原酒にバーボン樽という組み合わせだが、温暖な地域で熟成されていたこともあってか、熟成年数に反して濃い目の樽感、オーキーなフレーバーが主体。樽感と合わさる長濱の原酒は、蒸留直後から柔らかくクリアな麦芽風味で、若さに由来するネガティブなフレーバーは目立たず、むしろ樽感と合わさることで蜜っぽい甘みへと姿を変えようとしている。ピークが短熟傾向にあり、現時点で3年とは思えないクオリティの高さ。2~3年後が楽しみな原酒である。

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長濱蒸留所のファーストリリースとなるシングルモルト3種のうちの1つ。2017年に蒸留された原酒を、バーボン樽に詰めて3年熟成させたシングルカスクで、この他にミズナラ樽、シェリー樽がそれぞれリリースされています(以下、写真参照。)

長濱蒸留所の原酒の特徴は、酒質の柔らかさに加え、若い段階でも発酵臭や硫黄といったニューメイクにあるネガティブな要素が少ないことが挙げられます。
ボディはライト~ミディアム程度で長熟向きではありませんが、逆に樽感が強く出やすい熟成環境と合わさることで、5年もあれば酒質の若さと喧嘩せず、バリっと樽が効いた仕上がりが期待できる。今回は3年ということでまだ成長途中と感じる部分はありますが、バーボン樽由来のオーキーさとフルーティーさの中にその片鱗があるというか、完成図が見えるようなリリースとなっています。

ここまで読んで、つまり長濱蒸留所はカヴァラン系統ってこと?と感じる方も居るかもしれません。
確かに樽感が短期間で仕上がるという点は同じですが、カヴァランはニューメイク時点でボディが非常に軽く、樽の要素によってフルーティーさの出やすい、樽感を邪魔しない酒質である一方。長濱はカヴァランほどボディが軽くないモルティーな甘みの残るタイプで、樽感と混じることで蜜っぽい質感にもなっていくような系統の違いがあります。

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(長濱蒸留所、待望のシングルモルト・ファーストリリース3種。それぞれ使われている樽の特徴がはっきり出ているだけでなく、ネガティブ要素の少ない酒質が樽感に溶け込み、3年とは思えない仕上がりである。王道的な美味しさはバーボン、複雑さ・面白さはミズナラ、わかりやすい味としてはシェリーカスクという印象。残りの2種も追ってレビューする予定。)

長濱蒸留所は、1996年創業のクラフトブリュワリー長濱浪漫ビールが、その製造現場の一部を改装してウイスキーづくりの設備を併設したものです。
ウイスキーの入門書籍等で、ビールとウイスキーは親戚で、途中まで製造行程は同じなんて説明があったりしますが、長濱蒸留所はまさにその説明の通り、共有できる設備は共有したコンパクトな設計となっています。
それこそ下の写真だけで、麦芽の粉砕以外の、糖化(写真右)、発酵(写真上)、蒸留(写真中央奥)の3行程が含まれているだけでなく、併設するレストランまで映り込んでいるあたり、日本最小と言われるそのサイズ感が伺えると思います。

原酒の仕込みでは、ノンピート、ライトピート、ヘビーピートといったピートレベルの違いに加えて、コーヒーモルト等原料を変えたモノも仕込まれています。
今回リリースされたのは、スタンダードなノンピート仕様。酵母はDistilaMaxで、糖化・発酵は写真に写るクラフトビールと共同利用のタンク。蒸溜に使われているアランビックタイプの小型蒸留器2基(後に3基に増設)は、銅との接触面積が大きくなるためか、あるいは蒸留の際にそうした酒質を狙って蒸留器の温度や内容量、カットポイント等を調整しているためか、酒質は雑味が少なく柔らかいモルティな甘みが感じられる仕上がり。
この質感が、最近流行りのハイブリットスチルや、スタンダードなポットスチルによる原酒とは違う、長濱蒸留所の個性だと感じています。

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さて、ファーストリリースの話は残る2本の更新に先送りするとして(ここで書きすぎるとネタがなくなるw)、そろそろ長濱蒸留所”そのもの”についても紹介していきます。
写真だけ見ると、規模の小ささと効率化された設計が目立つように思えますが、個人的には、それら設備の繋ぎ部分の原始的な工程や、ビアパブ併設という一般のウイスキー蒸留所とは異なる環境が魅力であると感じています。

例えば蒸留行程では、まず2Fの発酵槽から蒸留器へとホースを垂らしてもろみを移し、蒸留後はスピリッツセーフがないので写真のような桶にためて、人力でスピリッツタンクに移すという重労働を1日に何度も繰り返していたり・・・熟成も、蒸留所から離れた場所にある関係上、樽詰めされた原酒がトラックで現地まで運ばれていたり・・・小さい蒸留所だからコンパクトで効率化されているわけではないという手作り感があります。

蒸留所の雰囲気としては、一般的なウイスキー蒸留所にあるような工場や酒蔵的なそれとは異なって、まさにパブの中の蒸留所。オリジナルビールを店内で作っているビアパブは珍しくありませんが、ビールとウイスキーを同時に作っているパブは、世界広しと言えど長濱蒸留所・長濱浪漫ビールだけではないでしょうか。
蒸留所見学を見学していると、同時に食事目当てのお客さんが多数来店され、ワイワイと楽し気な雰囲気が全体を包んでいるのです。

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ちなみに、この長濱浪漫ビールが作るビールのキャラクターは、主にホップをしっかり効かせたIPAタイプのビール。これが本場にも負けないレベルの美味さで、個人的に蒸留所訪問の楽しみでもあったりします。
スタンダード品でも十分レベルは高いのですが、定期的に限定品がリリースされるなど、面白い取り組みをいろいろ行っているため、ウイスキーと合わせて是非一度飲んで欲しいなと感じています。(ウイスキーファンにはIPA系のビールが好きな人、多いですよね。)

それこそ、高品質なビールがあるということは、ウイスキーとのタイアップも期待できるということですし。今後ウイスキーのリリースが拡充されていけば、ウイスキーに加えてビール、そして美味しい料理と酒飲みの楽園のような環境が蒸留所内に充実していくことにもなります。
現在はなかなか現地に行くことが難しい状況ですが・・・、長濱浪漫ビールのビールはメーカーサイトの直販に加えて、提携しているリカーマウンテンでも購入可能です。最近気温が上がり、ビールが美味しい季節にもなってきました。今回のリリースを通じて長濱蒸留所を知ったという方は、ウイスキーと合わせて長濱のビールも楽しんでみてほしいです。

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(写真上:長濱蒸留所併設レストランの近江牛のたたきと長濱ハイボール。写真下:長濱ロマンビールから季節限定ビールの第4弾・レモンホップIPA。IPAらしくホップがしっかり効いた味わいに、レモンの爽やかさと甘酸っぱさ。室内の照明の関係で色の映りが悪いが、個人的にはかなりヒットなビール。)

アマハガン ワールドモルト 山桜ウッドフィニッシュ 47%

カテゴリ:
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AMAHAGAN 
World Malt Whisky 
Edition Yamazakura Wood Finish 
Release in 2020 
700ml 47% 

グラス:グレンケアン
時期:開封後数日
評価:★★★★★(5)

香り:柔らかく甘いウッディネス。桜餅を思わせるような個性的な和風の甘さ、微かに乾いた植物や麦芽のようなニュアンス、若い原酒由来かツンとした刺激とドライな要素も混じる。

味:スムーズな口当たり。香りで感じたのと同様の個性と、色濃いシロップを思わせるようなエキス由来のとろりとした甘味がありつつ、干し草やバニラウェハース、徐々にビターでドライな質感。ほどよい渋味を感じるフィニッシュへと繋がる。

和のニュアンスという点ではなるほどという、個性的な仕上がりのブレンデッド。プレーンで癖の少ないモルティーなブレンドに、山桜樽のフィニッシュで付与された濃いめのウッディさが、ソースのようにかけられている。ただ、ベース部分の主張と喧嘩しないため、フィニッシュによる違和感は少ない。その甘味故にストレート以外にロックや水割りも面白いかも。


先日紹介したグレンマッスルの親戚とも言える、長濱蒸留所がリリースするウイスキー・アマハガンの第4弾。ノーマルのアマハガンレシピで作られたベースウイスキーを、4ヶ月間山桜の木材で作られた樽でフィニッシュしたもの。タイミングも良いので、長濱繋がりでレビューを掲載します。
山桜と最初聞いた時は笹の川酒造をイメージしましたが、まさか長濱からこういうリリースがあるとは驚きです。

ウイスキーに用いられる樽材は、通常アメリカンオークやスパニッシュオークあたりが一般的ですが、日本的な木材で作られた樽による熟成が新しい可能性として注目されています。
ミズナラについては言わずもがな、杉、栗、桜。。。日本の樽工場である有明クーパレッジではこうした材木での樽の加工も請け負っており、自社での熟成実験も進んでいます。

例えば、自分が過去に試飲した熟成サンプルだと、これらは短期間で強めのウッディさが付与される傾向があり、栗はミズナラに近いスパイシーさとさらに濃いエキスが。桜はまさに桜餅を思わせるような甘味とほのかな酸が香る。杉についてはハーバルな感じですが、桧同様にエキスの出方がべったりとしているというか、独特な印象がありました。
基本的に、国産ウイスキーであっても原料は輸入で作られるものですから、日本酒等のようにその土地その土地の原料で個性を出すとなると、麦芽で差別化することができません。
よって、熟成環境だけでなく樽材がその土地のものというブランド作りは、新しい取り組みとして可能性のあるものと思うのです。

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(有明クーパレッジ(有明産業)のイベントブースにて提供されていた、各樽材での試験熟成原酒。それぞれ個性が強く、単品では難しいかもしれないが可能性を感じる原酒でもあった。)

今回の山桜カスクフィニッシュですが、ベース部分は加水で整えられたプレーンで癖の少ない、柔らかい甘さのあるモルトウイスキー。長濱原酒も一部使われていますが、若さが目立つものではなく、全体的にバランスは悪くありません。

言い換えると、強みとなる個性もないという点はありますが・・・。そこに山桜樽の濃いめのエキスが混じり、特徴的な甘味とウッディさを含み香で感じる面白い仕上がりとなっています。
リリース時期から逆算すると、この樽の強さは盆地滋賀県の夏場に期間がかかっていることからくるものと推察。樽材の個性をしっかり活かしつつ、和のニュアンスを付与した味わいは、前作ミズナラウッドよりも面白いリリースだと思います。

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また、使われている2年熟成程度の若い長濱原酒も早熟でそれなりに楽しめるクオリティであることが、プラスに働いているように感じています。

長濱蒸留所は、創業比較的すぐのタイミングで見学させてもらっており、そこからイベントで色々話を聞いたり、蒸留所を再訪したりと、現在進行形で成長を見ることが出来た蒸留所のひとつです。
ただ、初期の原酒は麦の甘味は出ているのですが、なんだか全体的にぼんやりしているというか、キレに乏しい感じがあり。。。
蒸留器が小型のアランビック式であることもあって、少しの調整で大きな変化が出てしまう難しさがあったのだと思います。現場ではラインアームの角度、カットポイントの変更など、様々な微調整、トライ&エラーが繰り返されていました。

その結果、1年過ぎたあたりからバランスが良くなり、昨年蒸留所で飲んだものは、さらにクリアで嫌みが少ないなかに、柔らかいモルティーさと適度なコク、様々な調整の末に成長が感じられるニューメイクが作られていました。
現在審査が進む今年のワールド・ウイスキー・アワードでも、アマハガン、長濱ニューメイク共に日本カテゴリーのなかで存在感を放っているようです。
同蒸留所からは今年中に3年熟成のシングルモルトがリリースされるということですし、今後ウイスキー市場のなかでさらに評価を高めていくことを期待したいです。

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ちなみに以下、余談として・・・。
長濱蒸留所で合わせてウイスキー好きに知られてほしいと思うのが、ビールです。
長濱蒸留所(長濱浪漫ビール)は、エールタイプのビールがスタンダードブランドとして作られており、しっかりと麦の味にホップも強めに効いたビターで奥深い味わい。IPA系のビールを好む傾向があるウイスキー飲みにあっては、好まれるビールだと思います。

特に、現地で飲む作りたては最高(正直、蒸留所見学は半分それ目当てで行っていたりもw)。瓶売りしているものも現地そのままの味で、行ったら必ずお土産に買って帰っています。
将来、この長浜ビールカスクで熟成された長浜原酒やアマハガンがリリースされたら良いなぁ、なんて思いつつ、今日の記事の結びとします。

グレンマッスル 2ndリリース ブレンデッドウイスキー 55.1%

カテゴリ:
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GLEN MUSCLE
Blended Whisky
2nd Release
「No,2 Shiagatteruyo!!」
Cask type 2nd fill bourbon finish #0706
Release in 2020 
700ml 55.1% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後2日時点
評価:★★★★★★(6)

香り:注ぎたてはややドライだが、次第にバニラの甘みとオーク香。ほのかにハーブのアクセントを伴う乾いたウッディネスから、徐々に林檎の蜜や洋梨を思わせる白系果実の甘さと酸も感じられる。

味:スムーズでボディのしっかりした口当たり。パイナップルシロップや蜂蜜レモンキャンディー。熟成したモルティーな甘みとコク、フルーティーな酸味を伴う。
余韻にかけてじわじわとウッディなアクセントに、ケミカルなピーチフレーバーとオーク香。フルーティーでほろ苦く、長いフィニッシュ。

適度な熟成感のある、フルーティーな甘味と酸味がメインのブレンド。アイリッシュにも似たケミカルさを伴うもので、好ましい要素として感じられる。また、余韻にかけてのほろ苦いウッディネスがアクセントとなって、全体を引き締める。モルティで骨格がしっかりとしているため、様々な飲み方で長く楽しめるのもポイント。少量加水すると全体がマイルドになり、余韻のフルーティーさが広がる。個人的にはロックにして変化を楽しみながら飲むのがオススメだが、ハイボールもGOOD。

※開封直後は樽由来の要素が馴染んでおらず、フルーティーさが開きにくい印象が感じられた。すぐに馴染むが、数日時間を要する。

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改めましてご紹介。
自分を含め、ウイスキー仲間で関わらせてもらったオリジナルウイスキーの第2弾。グレンマッスル・ブレンデッドウイスキーが以下のスケジュールでリリースされます。
滋賀県・長濱蒸留所が保有する原酒を使い、ブレンドを作成。蒸留所で使われていたバーボン樽で追熟した、所謂シングルカスクブレンデッドです。

【販売スケジュール】

2月16日(日)秩父ウイスキー祭り2020 長濱蒸留所ブースにて先行販売、試飲有り。
2月17日(月)長濱浪漫ビールWEBサイトにて 12:30から販売開始

販売ページはこちら:https://romanbeer.buyshop.jp/items/26056247
※販売ページは、仕様の関係で在庫反映まで売り切れ表示になっています。
※総ボトリング本数は約270本です。
→2月17日 完売しました。多くの関心を頂きありがとうございました!

◼️GLEN MUSCLE(グレンマッスル)とは
グレンマッスルは、ウイスキー好きが笑顔で楽しんでもらえるようなウイスキーを、ウイスキー好きの基準をもって、国産・輸入原酒を問わず活用して作り上げる。言わば愛好家による愛好家のためのウイスキーです。

近年、美味しいだけでなくちょっと尖った魅力のあるリリースが減少傾向にあります。例えばボトラーズのシングルカスク。予算を増せば手に入るのは当たり前ですが、1万円前後という価格帯で、そうしたリリースを実現することは困難な状況と言えます。
ならば自分達で作ることは出来ないか。具体的にはウイスキーメーカー協力のもと、メンバーがブレンドやリリースの監修、テイスティング(評価)を行うもので。。。言い換えれば、こういうリリースがほしいと、メーカー側に実例を示して直接交渉しているとも言えます。

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(グレンマッスルは昨年5月、笹の川酒造と福島県南酒販の協力で1stリリースを実施した。ブレンドにあたっては協力メーカーの保有する原酒を活用するため、1stと2ndで構成は異なる。)

◼️ブレンドの構成とエピソード
今回のリリースは、冒頭述べたように長濱蒸留所が保有する原酒を用いてメンバーがブレンドの試作、リリースの監修を行ったものです。
数ある原酒の中からブレンドの軸として選んだのが、以下3種類のスコットランド産原酒。
・特徴的なフルーティーさを持つ18年熟成のモルト
・ボディと勢いのある10年熟成のモルト
・柔らかい甘さと熟成感のある19年熟成のグレーン
ここにさらに複数の原酒を加えるなど、構成比率を模索。ベースとなっている蒸留所の良さを引き出せるブレンドレシピを目指し、議論と試作を繰り返しました。

18年の原酒は、近年のトレンドのひとつとも言えるフルーティーさがある一方。ボディーがやや細く、その他のモルト原酒に負けやすいという弱点があり。
10年は若く奔放でパワフル(かつ最も低価格)であるものの、プレーンなハイランドタイプで特徴に乏しく、飲み心地に引っ掛かりがあり。
また、グレーンはクラフトシーンでは珍しい20年弱と中長期間の熟成を経て、包み込むような柔らかさが魅力である一方、使いすぎるとウッディな要素が目立ってきてしまう。
完璧な人間などいないように、見事なまでの一長一短なのです。

最終的に構成原酒と比率の違いで5つのプロトタイプに搾り込み、どれがグレンマッスルとして相応しいかという激しい議論の末に選ばれたのが、今回のブレンドレシピです。モルト比率80%は一般的なレシピからすればかなり攻めていますが(通常、モルト3、グレーン7。クラシックな比率でモルト6~7、グレーン3~4)、コンセプト的にも香味の面でも、多少尖った設計の方が良いかなと。
その際の熱気は、さながらボディビル選手権のようでもあり。。。ラベルに書かれた「No,2 シアガッテルヨ!!」は、テイスターの一人が思わず発した掛け声であるとかないとか。

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作成したレシピは、マリッジを兼ねて長濱蒸留所で使われていたリフィルバーボンバレルで後熟し、新たな個性を付与されてリリース。シングルカスクブレンデッドらしく、はっきりとしたフレーバー、一体感のある味わいに仕上がりました。
樽入れ前に比べ、余韻にかけて日本的なウッディさとオークフレーバー、やや酸を後押しするような香味が感じられるものの、全体のバランスに問題はなく。。。むしろ、素性がわかるとある種の隠し味、遊び心として楽しめる範囲だと思います。

そうした経緯もあって、熟成年数表記はAge Unknownとしています。しかし決して若いブレンドではなく、大半が18年以上熟成された原酒で構成されているため、熟成感も適度に備わっている。
ブレンドの軸にあるフルーティーさは、近年のトレンドの一つと言えるもの。加水等でそれらが開くだけでなく、カスクストレングス故の粗さが慣らされ、ポジティブな変化が感じられるのはブレンドならではというか、様々な飲み方で楽しめるのがこのウイスキーの良さだと思います。

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(開封直後、香味に堅さや若さが混ざりきらないようなキャラクターを感じる場合は、ハイボールを試してみてほしい。それらが馴染み、フルーティーさが適度な酸を伴って美味しい"マッスルハイボール"が出来上がる。また、そうして飲んでいるうちに、中身も馴染んで良さが開いてくる。)

◼️総評
とまあ、我が子かわいさでつい良い部分を見てしまいがちですが、一歩引いてドライに評価しても格的には妥当というか、ここ数年以内の相場で考えて、違和感のないクオリティではないかと思います。

もちろん、香味にネガティブな部分がないわけではなく、狙い通りいかなかった部分も当然あります。同価格帯で突き抜けて素晴らしいレベルとも言えないため、ほかのウイスキーを購入したほうが良い、という評価も間違いなくあるでしょう。ですが先に記載した、グレンマッスルの目指す姿は、ある程度満たしているのではないかと感じています。

このウイスキーは
・シングルカスクのモルトウイスキー
・稀少な長期熟成原酒
・日本的な名称や、国産原酒を主たる要素として構成
・有名なキャラクターやデザインを用いたラベル
等々、レアリティに直結する要素と言えるものは何もありません。
ラベルに関してはまず味を見てほしいと、あえて最近の傾向から逆行し、一昔前のボトラーズやスプリングバンクのDuty Paid Sampleのようにシンプルに構成しています(どこかのスポーツジムで見たような?気のせいだデスヨ?)。オークションでの付加価値は、見込めるものではないと思います。

ですが、この謎なウイスキーに興味を持ってくれた方々は、「愛好家による愛好家のためのウイスキー」というコンセプトを見たとき、きっと言葉では言い表せない、「ときめき」のようなものを感じてくれたんじゃないかと思う。
原酒枯渇、価格高騰、終売・休売。。。殺伐とした世の中で、そういう気持ちを感じて楽しんでもらえるようなリリースでありたい。そう思ってこのウイスキーを作ったのです。(バーボンハウスじゃないよ、マッスルハウスだよ)


なおリリースにあたり、以下のBARならびに飲食店各位から、本ボトルの先行予約を頂いております。重ねてお礼申し上げます。

BAR 無路良 札幌
Malt Bar Kirkwall 札幌
バルハルヤ 菊水
Bar BOTA 小樽
BAR fishborn 帯広
BAR Harry's Takaoka 高岡
GO BAR 北浦和
旬味 菜野 北千住
BAR HONESTY 北千住
BAR shu-shu 葛西
Jam Lounge 高田馬場
BAR 新宿ウイスキーサロン 新宿
BAR LIVET 新宿
BAR GROOVY  神田
BAR Eclipse first 神田
BAR GOSSE 目黒 
ジェイズ・バー 池袋
酒処 石場 祖師谷
BAR BLACK HEART 恋ヶ窪
BAR Sandrie 立川
&BAR Old⇔Craft 関内
BAR Rubin's Vase 栄
シルバームーン 伏見
BAR Kaguya 宇治
BAR SIMON 難波
あじどころ はる 長田

このウイスキーが、愛好家の輪の中で、笑顔を醸してくれるものとなれば幸いです。
2020年2月 Team GLEN MUSCLE 一同

グレンマッスルロゴベース(白・透過色指定r)

アマハガン ワールドモルト Edition No,3 ミズナラウッドフィニッシュ 47%

カテゴリ:
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AMAHAGAN 
World Malt 
Malt Whisky Edition No,3 
Mizunara Wood Finish 
700ml 47% 

グラス:テイスティング
時期:開封後1ヶ月以内
場所:新宿ウイスキーサロン
評価:★★★★★★(5ー6)

香り:ウッディで乾いた植物感、オレンジピール、ほのかに干し柿を思わせる甘やかさ。ウッディーさはオーク由来の要素に加えて、微かに香木、甘栗、ニッキを思わせるスパイシーさも感じられる。

味:樹液を薄めたようなクリーミーな柔らかさ、やや水っぽさを感じる口当たり。そこから薄めたキャラメル、甘栗を思わせる甘味、香り同様の構成だが、後半にかけてウッディさに青さの残る干し草、ニッキ、若干の和紙っぽさを思わせる含み香を伴う。
余韻はウッディでほろ苦く、若干の焦げ感を伴う穏やかなフィニッシュ。

ベースとなるブレンドの香味と、フィニッシュで付与されたミズナラのウッディでスパイシーな香味。オリエンタルというにはもう一歩足りない気もするが、それらが同系統の香味を軸に繋がっていて、多少の分離感はあるが及第点と言える仕上がり。加水するとその部分が強調され、シロップを思わせる甘味と草っぽさ、ベースに備わるクセのような香味が顔を出す。目立った若さはなく、ストレートがオススメ。

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長濱蒸留所が自社蒸留原酒と、輸入原酒を使ってリリースする、ワールドブレンデッドモルト「アマハガン」。2016年に稼働した同蒸留所は、初期の原酒がいよいよ3年熟成を迎え、リリースに向けた準備を進めている最中です。

本シリーズは、今後同社がウイスキーメーカーとして活動していくにあたり、避けては通れない”ブレンド”の経験を積むために作り出したもの。ですが、ちゃんとウイスキーしているというか、思ったよりも良くできいているというのが第一印象。
第1弾は若いなりのバランスが魅力であり、第2弾はワインカスクが効いて、ブレンドに使われた原酒の繋ぎになるような丁度いい濃厚さに、どちらもそれなりの評価が得られていたと思います。

そして今回、2019年9月3日に発売された第3弾はミズナラ樽でのフィニッシュ。ワイン樽は使い方が難しい樽ですが、個人的にミズナラ樽のほうが、難しさもさることながら、熟成させた原酒に求められる香味のハードルがワイン樽よりも高いため、トータルで難しいという印象があります。
アマハガンのファーストリリースが発表されたのが2018年11月。その前にまとめてブレンドを作り、ワイン樽、ミズナラ樽にも詰めていたとすれば、フィニッシュ期間は約10ヶ月程度。ファーストフィルのミズナラ樽はエキスが結構しっかりでますし、何より熟成場所は寒冷かつ温暖な盆地・滋賀県です。真夏をギリギリ避けたボトリング時期の判断が、スパイシーさ、ウッディさの出すぎない仕上がりに繋がっていると感じます。

事前の印象では、ミズナラ樽由来の香味がどこまで馴染むかという警戒は多少ありましたが、これは普通に前作より良いのでは。
好みの問題もありますが、元々少々癖のある輸入原酒が使われているなかで、それらとミズナラ樽由来のウッディさとスパイシーさが、フレーバーの方向性が喧嘩していない。
フィニッシュ期間で使われた原酒の熟成が進んだこともあるのでしょう。普通に飲めて、完全にオリエンタルとは言い難いもののミズナラ由来の個性も感じられて、悪くない仕上がりだと感じたのが率直な感想でした。

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今日のおまけ:長濱蒸留所内観とニューメイク2019。
先日、約2年ぶりに訪問させてもらいましたが、相変わらず小さな蒸留所です。隣にあるのはレストランで、しかもビールの醸造所まで兼ねているのですから、こんなスペースにここまでの機能を詰め込んでいる蒸留所は長濱だけだと思います。

さて、2年間での変化はスチルが1基増えていただけでなく、ノンピートタイプの酒質がかなり良くなっていて驚きました。
2年前はまだ製造ラインの癖を掴みきれていなかったのか、麦芽風味のぼやけたような味わいがあり、まだこれからだなと感じていたところ。それが今は雑味が少なくクリアで柔らかい味わい。それが単に薄っぺらいだけっではなく、麦の味わいと厚みも適度にあって、短熟から仕上がっていくような素性の良い原酒が作られていました。
今年か来年早々にあるであろう、3年熟成のリリースだけでなく、この蒸留所の今後の成長が楽しみです。

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