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グレンキース 23年 1995-2019 富嶽三十六景シリーズ for モルトヤマ 53.4%

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GLEN KEITH 
Abeyhill (Kingsburry) 
Aged 23 years 
Distilled 1995 
Bottled 2019 
Cask type Hogshead 
For Maltyama 
700ml 53.4% 

グラス:シュピゲラウテイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:ドライで華やかな香り立ち。乾いたオークと干し草、レモンピール。スパイシーではあるが徐々に林檎やファイバーパイナップル等のドライフルーツを思わせるアロマ、バニラの甘さが開いてくる。

味:リモンチェッロ等の柑橘系のリキュールを薄めたような甘さから、すぐにドライでオーキーな華やかさと乾いた刺激。ナッツや洋梨、奥には麦芽を思わせる要素もあるが、樽感主体であまり目立たない。
余韻は華やかでドライ、微かに黄色系果実の戻り。ややエッジの立ったウッディネスとスパイシーな刺激を伴って長く続く。

ホグスヘッドで熟成した内陸原酒らしい、軽やかで華やかな構成。開封直後はツンとドライな刺激があるが、時間経過でポテンシャルを発揮する。グラスでの変化や類似リリースの傾向から、ボトル所有なら開封後1~2年後くらいで、余韻にかけてフルーティーさがさらに広がってくるような変化が期待できる。時間をかけてデレさせるべきボトル。
加水すると華やかさはぼやけるが、洋梨のピューレや麦芽風味を思わせるまろやかな甘味が感じられる。なお、ハイボールも悪くないがこのボトルじゃなくても感は否めない。


富嶽三十六景シリーズは、ここ数年積極的にプライベートボトルのリリースを行っている、富山のウイスキーショップ「モルトヤマ」のオリジナル。ファーストリリースのブナハーブンから数えて4作品目にあたります。
同店のオリジナルブランドのラインナップでは、富嶽三十六景は中長熟の原酒を選定し、全体を通して一定以上の完成度を目指しているシリーズで、近年のなかで間違いのないところが揃っているという印象です。

今回のグレンキースも、近年系スペイサイドの王道的な構成と言えるもの。ホグスヘッド樽(アメリカンオーク樽)のオーキーなフルーティーさが20年を越える熟成で酒質とほどよく馴染んでおり、ややドライな要素はありますが、それもキースらしさというか、熟成のピークに来ていることを感じさせます。
市場を見ると類似のスペックのボトルが結構リリースされていて、違いは樽がどれだけ効いてるかというところ。元々ボディがそこまで強くない酒質故に、軽やかでシャープな特徴を活かすなら、これくらいの味付けはちょうど良いように感じます。

グレンキースは1999年に操業を休止していましたが、近年のウイスキー需要増を受けて2013年に再稼働して現在に。
いわゆる生産調整というヤツですね。基本的にシーバスリーガルなどのブレンデッド向けの原酒ですが、1990年代に限らずボトラーズリリースが多いのは、冬の時代を中心に当時のブレンドメーカーに原酒が売られていたからと推察します。
なお、再稼働したグレンキースは、マッシュタン、ウォッシュバックなどの主要生産ラインを含む全面的なリニューアルを行っており、スチルの一部を残して全く新しい蒸留所に生まれ変わっています。
蒸留所側は休止前と同じ酒質を再現するよう心がけているとのことですが、近年の他蒸留所の動向を見ると、さらにライトで癖のない感じになりそうな。。。(何年ものが使われてるかわかりませんが、最近リリースされた蒸留所限定品のNASは、だいぶ軽い仕上がりでした。)

そう考えると、現在比較的市場にモノがあるグレンキースの90年代も、あの頃のフルーティーなキース、意外と良かったねと言われる時代が来るのかもしれません。
個人的な感覚ですが、グレンキースの熟成原酒は、過去のもの含めて開封から良さを発揮するのに時間がかかる。最近のリリースだけでなく、今より酒質が強かった1960~70年代でもそんな感じなので、ちょっと時間をかけながら楽しんでいくのがオススメです。
今回のボトルは、余韻にオーキーなフルーティーさがはっきりと開く変化が理想系。余韻部分だけ切り取ると、埋められた種から芽が出て花が咲くような、そんな成長が期待出来ると思います。


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今日のオマケ:リチャードハミルトン センチュリオン シラーズ 2002

週末飲んでたワイン。樹齢100年を越える古木から採れる葡萄を使って作られる、オーストラリアの濃厚シラーズ。毎年ラベルの年数が増えているのが特徴。穏やかながらフルボディなワインで、早飲みから10年以上の熟成にも耐えるという1本。
比較的新しいものは、シラーズらしい熟したようなベリー感とスパイシーさ、ギュッと歯茎を引き締めるようなタンニンが感じられますが、熟成した今回の1本は果実味やタンニンが落ち着いた代わりに黒土のような香りと枯れた木材、スパイスの種類も増えているような印象を受けます。

このワインは初日より2日目、時間をかける方が開きも良い。またスパイシーな肉料理との相性抜群。特にチョリソー、ステーキ等の焼き系はまず間違いない組み合わせなんです。ガッツリ行きたい日におすすめ。

ブナハーブン 14年 2003-2017 モルトヤマ5周年記念 富嶽三十六景 57%

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BUNNAHABHAIN
ABEYHILL (KINGSBURY)
Aged 14 years
Distilled 2003
Bottled 2017
Bottled for Maltyama 5th Anniversary
Matured in a Sherry Butt
700ml 57%

グラス: スピリッツスニフター
場所:BAR飲み@Nadurra
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ウッディで濃い甘み、ミルクチョコレート、プルーン、微かにスパイシー。徐々にカカオの苦味。スワリングすると熟成紹興酒のような古酒系の酸味を伴う。

味:しっかりと樽由来の粘性のある口当たりからマイルドなシロップの甘み、プルーン、ココア、黒砂糖、少し湿ったようなウッディさ。余韻はドライで心地よいタンニン、少し舌に刺激が残るが、それが全体の濃厚さを打ち消すバランスの良さに繋がる長いフィニッシュ。

良好なシーズニングシェリー感でキャッチーな味わい。香木系ではないがクリーミーさに近い濃い甘みとコクで、安心感がある。加水するとやや荒さはあるが少し前のマッカラン12年を思わせるウッディネス、黒糖系の甘みやナッツの香味が広がる。選定者の狙いが伝わる1本。


富山のウイスキーショップ、モルトヤマが開業5周年を記念してボトリングした1本。
「5周年だから5本出す!」と聞いた時は、幾ら何でもそれは・・・と耳を疑いましたが、思えばモルトヤマ店長こと腐梨こと腹パンチョンことヒトリモーンこと・・・年々どこぞの将軍様みたいに肩書きが増えていく下野君が「ウイスキー酒販に、俺はなる!」と言い出した5年前も、「幾ら何でもそれは・・・」と思っていた一人が自分です。

しかし有言実行、この5年間様々な障害はあったと思いますが、それらを実現してきた彼の行動力であれば、今回のリリースのみならず、後の企画も必ず形にしていくことでしょう。
いやもう素直に脱帽、ここまでくるとは思ってませんでした。5周年、おめでとうございます!

シングルモルト通販 モルトヤマ

さて、ボトリングした人の紹介はこれくらいにして中身の話。今回のリリースは最近流行りの濃厚なシェリー系。熟成年数相応の熟成感ですが、濃さで荒さがカバーされて、わかりやすい味わいに仕上がっています。近年高騰気味の濃厚シェリーにあって、価格的に手を出しやすい範囲な点も嬉しい。
ただ、この濃厚さはともすれば、単調で飲み疲れがちないつものボトラーズカスクではあるものの、加水すると家飲みにマッチしたゆるいシェリー系の味わいまでカバーするのもポイント。
後は葉巻と合わせてゆったりと楽しみたいです。

なお、第一弾のブナハーブンに続いて、第2弾の記念ボトルも早々に売り切れたモルトヤマ5周年記念シリーズ。第3弾については近日公開予定とのこと、店主曰くヒントは「G」から始まる。。。後は後日!ってあんまヒントになってないゾw
でも楽しみにしてますよ!!

自身がボトリングしたボトルをテイスティングする下野氏。満足げな笑みである。
ぶっちゃけ羨ましい。自分でカスクチョイスしてボトリングするとか、ウイスキー好きの夢見たいなもんですから。
BARで注文する時は、「あの有名なモルトヤマ(パンチョン)のウイスキーを頼む」でオーダーしてみましょう!

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