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安積蒸留所 ザ・ファースト 山桜 3年 50%

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YAMAZAKURA 
JAPANESE SINGLE MALT WHISKY 
ASAKA "The First"
Aged 3 years 
Distilled 2016
Bottled 2019
700ml 50%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:自宅
評価:★★★★(4-5)

香り:レモンタルトを思わせる酸と軽やかに香ばしい麦芽香主体。微かに酵母香、焦げたオークのアクセント。あまり複雑さはないがフレッシュで嫌味の少ないアロマ。

味: 若々しく、レモングラスや微かに乳酸っぽさも伴うニューポッティーな含み香。口当たりはとろりとした甘みから柑橘類を皮ごとかじったような酸味と渋み、麦芽由来のほろ苦さがある。
余韻はアメリカンオークのバニラ、微かな焦げ感。序盤に感じた酸味と共にざらざらとした粗さが若干ある。オーキーな華やかさは今後熟成を経て開いていくことが期待される。

樽感はほどほどで、ところどころ粗さを残した酒質。まだ完成品とは言い難い、スタートラインのモルト。それ故現時点での評価は本ブログの基準点の範囲となるが、これをもって将来を悲観するような出来ではないことは明記したい。
この蒸留所の特徴とも言える、酸味に類するフレーバーやコクのある味わいは健在で、オフフレーバーも目立たない。今後の成長を安心して見ていける、素性の良い原酒である。なお加水するとオーク香が多少開くだけでなく、粗さが落ち着いてぐっと飲みやすくなる点も、将来が期待できる要素である。

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2016年、試験蒸留期間を経て稼働した福島県郡山市の安積蒸留所。スコッチの基準でウイスキーを名乗れる、3年熟成の条件を満たしたシングルモルトがいよいよリリースされました。
蒸留所を操業するのは、かつて羽生蒸留所の原酒の引き取り先として、資金を肩代わりし熟成庫を提供した笹の川酒造。その安積蒸留所のウイスキー作り開始にあたっては、イチローズモルトが逆にスタッフの研修先となったり、肥土さんがアドバイスをされるなど、両社の繋がりが創ったウイスキーでもあります。

安積蒸留所の原酒は、ミディアムボディというか、そこまで癖の強いタイプではなく、初期からオフフレーバーも少ない仕上がりでした。
ただし基準(3年熟成)を満たしたといっても、スコッチタイプの原酒が3年でピークに仕上がる訳がなく。。。安積蒸留所の熟成環境なら最低でも5年、最初のピークとしては7~8年は見たいという印象。とはいえウイスキーを名乗れる基準を満たしてのリリースであるため、他のリリースと同様の整理のもと、当ブログの評価分類に加えることとします。

樽構成はラベルに記載がありませんが、ファーストフィルのバーボン樽を軸に据えに、リフィル(ウイスキーカスク含む)や新樽等を加えたような、いずれにせよアメリカンオークの樽がほとんどを締めると思われるバッティング。シェリーは使われていないか、使われていても1樽とかリフィルとか、全体に対して少量ではという感じですね。

アメリカンオークがメインとなると、華やかで黄色いフルーツやバニラっぽさのあるオークフレーバーを連想しますが、さすがに熟成期間からそこまで強く効いておらず、まだ蕾というか種から芽吹いたレベル。該当するフレーバーの兆しがないわけではなく、オーキーな要素が所々に溶け込んでいて、今後の熟成を経て開いていくという感じです。
それこそ7~8年熟成させれば、温暖な日本での熟成らしいリッチなウッディさとオークフレーバー、アプリコット系の甘酸っぱさが混じるような味わいになるのではと期待しています。

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(安積蒸留所のポットスチルとニューメイク。同蒸留所の原酒や環境等については、2年目時点での比較記事を参照頂きたい。なお、2019年までの仕込みに用いたマッシュタンはステンレスだが、2020年に向けて木桶を導入して更なる進化を目指す模様。)

一方、ここで違和感を覚えたのが、ファーストリリースの樽の強さです。
安積蒸留所は、東北の盆地の中心部分という、夏暑く冬寒い、寒暖差の激しい地域にあります。
そのため、これまで複数リリースされた1年熟成程度のニューボーンには、新樽やシェリー樽のものなど今回のリリースより樽感の強いものが普通にありました。 そうした原酒を活かしたバッティングも、恐らくできたはずです。
ですが、裏ラベルにも書かれている「安積蒸留所の風味の傾向」を主とするため、一部そうした樽は使いつつも、あえてそう仕上げなかったのではないかと感じました。

では風味の傾向とは何か。今回、原酒の成長を確認する意味も兼ねて、ファーストリリースのコメントと、ほぼ同じ時期のニューポットのコメントを比較して、残っているフレーバーとなくなったフレーバを整理してみました。同時に比較をしたわけではありませんが、「安積蒸留所の風味の傾向」を形成する、熟成によって変化した、酒質由来と樽由来の要素を可視化する整理ができたのではないかと思います。

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※2016年蒸留原酒、ニューポット時点でのテイスティングコメント
香り:酸味が強く、ドライなアルコール感と微かに発酵臭を伴うアロマ。加水すると乾燥させた麦芽、おかき、無糖のシリアルを思わせる香ばしさを感じる。  

味:軽くスパイシーな口当たり、最初はニューポットらしい乳酸系で微かに発酵したような酸味、口の中で転がすとオイリーで香ばしい麦芽風味が主体的に。 余韻は麦芽系のフレーバーが後を引きつつあっさりとしているボディはミドル程度、加水するとバランスがとれて口当たりは柔らかくまろやかに。 

また、過去のコメントではフルーティーなタイプというより、田舎料理のような素朴さがあるというコメントも。
今回のボトルのテイスティングをするにあたり、あえて過去の記事は見直していません。ファーストをテイスティングをした後で改めて両コメントを見直して、強く共通する部分は太字で、あまり感じられなくなった部分を取り消し線で表記。
未熟成によるネガな要素が熟成によって軽減されたことは勿論、酒質部分は「酸、香ばしさ、コク(オイリーというよりはとろみ)のある麦芽由来の風味」この点が共通項として残る要素となります。

つまりこれが、安積蒸留所の風味の傾向なのではないかと思うのです。
あくまで自分の個人的な整理、考察でしかないため後日機会があれば蒸留所関係者に話は聞いてみたい。とはいえ、もしこれから飲まれる方は、ベースにある要素を意識しつつ飲んで貰えると、その傾向が分かりやすいのではないかと思います。
なお当時から加水でのバランスも評価していますが、見直すまですっかり忘れてました(汗)。


さて、今回リリースされた安積蒸留所の3年熟成品を筆頭に、新たに開業したクラフト蒸留所のシングルモルトウイスキー・リリースラッシュがこれから始まります。
その際、香味を「若い」と感じることは間違いなくあると思いますがこの場合の「若い」は、それ以上の原酒が蒸留所に存在しえないのだから当然であって、無い袖は振れないもの。だから悪いという話ではありません。

まず大事なのは”ちゃんとウイスキーである”ということ。理想的には”その蒸留所の個性を認識できる”こと。この辺は人間も同じですよね。
3年熟成時点で、明確にピークを見据えていけるスタートラインにある、というのがこの時点のリリースで認識されるべき一つのポイントだと思います。
当たり前のように思えるかもしれませんが、そうではないモノも当然あるのです。
そして成長を楽しみながら、次を思い描く。その点で、安積The Firstは十分に条件を満たしたリリースだと感じています。

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(ウイスキーフェスティバル2019会場、笹の川酒造ブースにて。出荷前の安積ファーストと山口社長。)
こうして"安積"の名を冠するウイスキーが目の前にあるということ、元郡山市民としては感慨深いものがあります。
3年前の夏、初めて蒸留所を見学させて貰った日から今日まではあっという間でしたが、先日の台風災害対応を始め、蒸留所としては様々な苦労があったことと思います。
改めて蒸留所の皆様、ファーストリリース、おめでとうございます!

笹の川酒造 安積蒸留所の現在

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笹の川酒造が操業する、福島県郡山市の安積蒸留所。
2016年に創業、試験蒸留期間を経て2017年1月にニューポット発売、共同カスクオーナー制度開始、ニューボーン発売。。。などなど、同蒸留所にとってシングルモルトウイスキー業界への船出となった1年間が過ぎ去り。いよいよ今年3月24日には、2度目の共同カスクオーナー制度の見学会&交流会が開催されます。

これまでも何度か触れていますが、ウイスキー製造は作り手側の技術、ノウハウの蓄積に加え、設備の慣れ的な要素も原酒の仕上がりに少なからず関わってきます。特に規模の小さいクラフト系は、創業から1〜2年程度は香味の変化が大きい時期と感じています。
自分も共同カスクオーナー制度に参加しているので、ぜひ見学会にて安積蒸留所の進化を感じたいところでしたが、あいにくこの週末はとても重要な家庭行事があり、参加が叶わないのです。(いわゆるひとつの記念日というヤツでして。)

また自分以外にも、様々な理由から現地訪問が中々出来ない愛好家はいらっしゃると思います。
そこで見学会&交流会をちょっとフライングし、直近で蒸留されたばかりのニューポットをテイスティング。その変化を紹介するとともに、熟成中の原酒の成長をイメージ出来る指標になりそうな話など、安積蒸留所の"現在"を掲載していきます。


さて、2017年1月に発売された、安積蒸留所のニューポット。当時自分は以下のテイスティングレビューを掲載しています。

香り:酸味が強く、ドライなアルコール感と微かに発酵臭を伴うアロマ。加水すると乾燥させた麦芽、おかき、無糖のシリアルを思わせる香ばしさを感じる。

味:軽くスパイシーな口当たり、最初はニューポットらしい乳酸系で微かに発酵したような酸味、口の中で転がすとオイリーで香ばしい麦芽風味が主体的に。
余韻は麦芽系のフレーバーが後を引きつつあっさりとしている。 ボディはミドル程度、加水するとバランスがとれて口当たりは柔らかくまろやかに。


これが約1年間でどのように変ったかというと、ベースはもちろん同じながら、香味の中にあったネガティブな雑味、発酵したような感じが軽減され、綺麗な酸味から軽く香ばしい麦芽風味とコクを感じる酒質へと変化。この綺麗な酸味が、安積蒸留所の個性の一つですね。
ネガティブな要素が少なくなったことで、個性が洗練されてきた印象です。

日本のクラフト蒸留所なんてブームに乗ってるだけだろ?、と思う方も少なからず居ると思いますが、安積蒸留所は秩父蒸留所の協力でスタッフの研修を行うなど、秩父蒸留所がこれまでチャレンジしてきた試みのうち、成功事例、良い部分を引き継いでいるとのこと。
こうした知識に加え、1年間の操業を通じた経験の蓄積や試行錯誤の結果が、今回ニューポットに感じられた変化であるとすれば、既にそれは色眼鏡で見るものではなく。蒸留所としても業界としても、良い方向に進んでいると感じます。 

安積蒸留所ポットスチル
(定点観測:ポットスチルの外観。左が2016年7月ごろ、右が現在。使い込まれたことで色合いに変化が見られる。)

熟成庫
(定点観測:熟成庫の一画。2016年7月の試験蒸留時点(上)と現在(下)。貯蔵量が増えたことで、樽とウイスキーの香りが熟成庫を満たしている。新樽、ミズナラ、バーボン、シェリー、ワイン・・・様々な種類の樽が並んでいる。)

ニューポットに良い変化が見られたことは、この時期の原酒を樽詰めする共同オーナー制度だけでなく、蒸留所の今後に向けても明るい話です。
しかしもう一つ忘れてはいけないのが、熟成環境がもたらす原酒への影響です。

安積蒸留所は、"風の蒸留所"と名乗るように、盆地福島県の中心部に位置し、夏はカラッと暑く、冬は磐梯山と安達太良山からの冷たいおろし風が吹きすさぶ、寒暖差の激しい地域にあります。
本来、設立したばかりの蒸留所の原酒がどのように成長していくかは、相応の時間が経たなければ判りません。そのため、厚岸蒸留所などは試験熟成として建設予定地で原酒への影響を調べていたほどです。
では安積蒸留所はというと、先日掲載したニューボーンに加え、蒸留所設立前、笹の川酒造としてウイスキーを製造していた頃に購入した原酒があります。
そのうちの一つ、ニューポットからバーボンバレルで約8年間熟成させてきた某国産原酒を飲んでみると、これが日本らしい熟成感、蜜っぽい甘みとフルーティーさで多少樽は強いものの美味しいウイスキーに仕上がっているのです。

これは郡山の環境がもたらす熟成への影響を量る上では、重要な指標であると言えます。
樽にもよりますが、バーボンバレルでなら上記同様5〜10年程度の熟成期間を設定しておくのがこの環境では良さそう。その他の樽との組み合わせを考え、工夫を続ける必要はあると思いますが、現在の原酒との組み合わせで考えると、同様の系統に育つのではないかとも思うのです。

(オマケ:福島県南酒販がリリースする963の樽も安積蒸留所の熟成庫に置かれている。250リットルのシーズニングシェリーカスクでマリッジされているのはネットショップ限定品?、左奥には昨年高い評価を得たミズナラウッドリザーブのセカンドバッチの姿も。)

そんなわけで、安積蒸留所の現状と原酒の出来は比較的順調といえる状況であり、今後がますます楽しみになりました。
所縁の地にある蒸留所だけに、この成長と可能性は嬉しいですね。
今回はノンピートの原酒にフォーカスしていますが、ご存知のようにピーテッド原酒も昨年から仕込まれておりますし、さらには日本酒酵母で仕込んだ安積蒸留所独自の原酒もあります。
これらの成長についても、今後レポートできればいいなと思っています。

山桜 安積蒸留所 ニューボーン アメリカンホワイトオーク 63.3% 笹の川酒造

カテゴリ:
ASAKA
NEW BORN
YAMAZAKURA
Distilled 2017.1.5
Bottled 2017.6.27
Cask type New American Oak Barrel #17003
700ml 63.3%

グラス:木村硝子テイスティング
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月以内
評価:ー

香り:ツンとしたアタック、ほのかに甘酒や麹のような癖を伴う香り。レモンバウム、乾いたウッディネス、ポップコーンや焼き芋を思わせる軽い香ばしさと甘みもある。

味:少しの刺激を伴う粘性、コクのある口当たり。蜂蜜レモンキャンディの甘み主体の味わいに、東京沢庵のような出汁っぽさを伴う酸味がある。
余韻はハイトーンでヒリヒリするアルコール感、焼き芋を思わせる焦げ感とねっとりとした甘みで長く続く。

新樽熟成らしく樽系の香味がだいぶ出始めているが、決して悪い方向ではない。あくまで発展途上であり、むしろ3年〜5年でのウッディでメローな仕上がりが期待できる。
加水すると香味とも酒質由来の酸味が引き立ち、天然酵母の麦パンを食べているよう。この麦芽風味と酸味が今後の熟成を経て熟成香、樽香と合わさった時にどう仕上がるか、楽しみになる1本。


昨年初頭、ちょうど今から1年前。福島県郡山市に創業した安積蒸留所から初のニューポットがリリースされました。
その原酒は多少荒削りながらネガティブ要素の少ない、素朴でコクと個性とも言える酸味のある味わい。当ブログでもレビューを掲載していますが、熟成による伸び代と削りしろのある素性の良い原酒と感じています。

そして今回テイスティングするニューボーンは、その同時期に蒸留した原酒をアメリカンホワイトオークの新樽で約半年間熟成させたもの。
この他にも安積蒸留所からはバーボン、シェリー、ミズナラといった樽でそれぞれ数ヶ月熟成させたニューボーンが、樽毎に複数種類リリースされています。


日本の酒税法等においてニューボーンの定義は明確にはありませんが、熟成期間3年未満のウイスキー(スピリッツ)がリリースされる際の名称として、主に国内市場で使われています。
言わばニューポットはスタート地点、そしてニューボーンは成長過程であり、決して美味しいだけのウイスキーとは言えないものですが、それぞれを飲むことで原酒の成長曲線に2つ以上の点がプロットされ、当該蒸留所における原酒の質、熟成環境の影響、それらを踏まえての成長を認識するきっかけとなります。

さて、安積蒸留所のニューボーンシリーズですが、先に書いたように酒質は素性の良い部類であり、若さゆえに多少感じられるネガティブな要素は熟成の過程で軽減されて樽感と馴染んでいくものと感じます。
それより、見ておきたかったのは熟成環境の影響です。
樽由来の要素としては、バーボン樽は余韻にかけてコクと淡い華やかさがあり、5〜8年程度でピークを迎えるであろう構成。ミズナラはスパイシーでニッキのような香味が早くも感じられ、シェリーはやや癖のあるウッディさで甘みが出ておらず、まだ未知数のところがある印象。

そして今回のテイスティングアイテムである新樽熟成のニューボーンは、バレルサイズであることも影響してか、4種類の中で最も樽の影響が出ているだけでなく、今後夏場を迎えることを考えても、やはりピークは速そうです。
それこそ10年で余市の新樽熟成のような、濃い甘みとウッディな仕上がりになるのではないかと感じます。やはりピークは速そうですね。

なお、ピークが早く来るということは、それだけ酒質の仕上がりが荒くなる可能性もあります。
安積蒸留所の酒質はそこまで荒いタイプではないので、短熟で飲めない味わいにはならないと思いますが、より馴染みやすい綺麗なニューポットを作っていく必要があるのも事実です。
2016年の創業から1年以上が経過して、スタッフの技術やノウハウの蓄積、設備としての慣れ、つまり蒸留所としてはどう成長しているのか。この点については、後日改めて記事にしたいと思います。

笹の川酒造 安積蒸留所ニューポット ピーテッドモルト初蒸留記念 63.4%

カテゴリ:
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SASANOKAWA
ASAKA Peated Malt
No Aged (New Pot)
Mashing 2017.7.11
Distilled 2017.7.16
Bottled 2017.7.28
Phenol 50ppm
250ml 63.4%

【テイスティング】
柔らかい酸味と穀物を思わせる軽い香ばしさ、ほのかな甘み。奥から重みのあるピート香と、時間経過でニューポッティーな乳酸系と発酵香も漂う。
口当たりはシャープな刺激があり、そこから程よくコクのある甘み。香りではスモーキーな主張はあまり強くないが、味ではピートフレーバーが余韻にかけて焦げたようなニュアンスも伴って広がる。


安積蒸留所がリリースした、初仕込みのピーテッドモルトです。
操業から1年と少々、ついにピーテッド原酒の仕込みが本格的にスタートしました。
元々安積蒸留所の計画段階では、ピーテッドスタイルを中心に蒸留するという案も聞いていましたが、ご存知の通り、まずはピーテッドではない原酒作りからスタートしていました。 

この背景には、ノンピート(あるいは数PPM程度の超ライトピート)のほうが、原酒のベース部分の出来を確認しやすいという品質管理の面がひとつ。そしてもう一つが、普段ノンピート原酒を作り、1年のうちのメンテナンス期間前にピーテッドを作るというスタイルはありえても、ピーテッド原酒を作っていてノンピートに切り替えることは、蒸留設備への影響を考えると困難であるという、製造面の要素があるようです。

大手メーカーなら設備を切り替えるなど、同時平行で原酒を作ることも出来るのでしょうが、設備を一式しか持たないことが多いクラフトディスティラリーはそうはいきません。
実際、厚岸蒸留所など、2種類の原酒を作るクラフトは、このスタイルで操業されているようですね。

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さて、今回の初仕込みピーテッド原酒。安積蒸留所はノンピート原酒では素直で素朴なキャラクターのニューポットを作ることが出来ていましたが、ピーテッドモルトはまた違う難しさがあると聞きます。
そんなわけで「お手並み拝見といきますか」なんて若干尊大な気持ちでテイスティングしてみると、これが中々悪くない。ベースとしてはノンピート原酒同様酸味が強めながら、口当たりはシャープな刺激、嫌味の少ないプレーンなニューポッティーさに、ピートフレーバーが馴染んでいて、後はここからの成長次第というスタートラインに立っている原酒だと感じます。

スコッチに例えるなら、カリラ7:ラガヴーリン3くらいの比率で混ぜたようなキャラクター。
シャープな刺激もある香味はカリラのようであり、余韻にかけてしっかりと広がるピートフレーバーはラガヴーリンを思わせる要素に通じる。後は後述する植物的なニュアンスで、レダイグ的な要素も少し混じっている感じもあります。
近年、入手する麦芽の種類からか、ラフロイグを思わせる味わいのピーテッドモルトが一部クラフトからリリースされていますが、それらとは異なる仕上がりが期待できます。

ネガティヴ要素をしいて言うなら、酸味の奥に植物感、発酵した漬物というか、野菜のようなニュアンスが混じっているので、これが強くなりすぎると嫌味になるのですが、気になったのはその点くらい。 
そもそもニューポットは、産まれたばかりの今この瞬間より、その後の影響の方が将来の製品化においてウェートが大きく、一定のレベルがあって、"スタートラインに立てているかどうか"がポイントだと考えます。
そして我々消費者としては、今もさることながら、今後どう育つかという先も見据えて楽しむものかなと。

その先については、安積蒸留所が所有する樽で考えると、リフィルのシェリーバットやウイスキーカスクで10年熟成を目指すか、ファーストフィルバーボンなら3年くらいの短熟で出しても、ベースが素直なので短熟ピーテッドとして面白いかなという印象。逆に5年以上の熟成では、安積蒸留所の環境だと樽感が強くでるので、ピーティーさとチャーオーク系のフレーバーがこってりでた、濃厚なタイプに仕上がりそうです。
いずれにせよ、ここから数年先のリリースが楽しみです。



話は少し変わりますが、先日発売された雑誌Pen(11月15日号)に"ウイスキー最新案内"という特集が組まれています。
主要なクラフトディスティラリーの動向から、大手メーカーの最新リリース傾向、オールドボトルの特集など、非常に充実した内容で、自分の周囲のウイスキー愛好家からの反応は上々。
通常この手の特集は、どうしても大手メーカーの関与を邪推されがちですが、それよりも書き手の愛というか、現場の空気感がしっかり伝わる特集だったことが、評価される要素にあったようです。

この特集の中には安積蒸留所の取材記事もあり、今回のニューポットのテイスティングとしてもジャストタイミングでした。
まだお会いしたことはないのですが、安積蒸留所のクラフトマンは私と同世代。記事中から、日々悩み、考え、工夫しながらウイスキーづくりにあたられている姿と、今回のニューポットを重ね、その真摯な努力が実を結びつつあるのだなと、合わせて楽しむことが出来ました。
今後も引き続き地元に愛され、世界に評価されるようなウイスキーを目指し、頑張って欲しいです。

笹の川酒造 安積蒸留所が第2回共同カスクオーナーの募集を開始

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昨年、笹の川酒造と福島屋商店さんのコラボで実施された安積蒸留所の共同カスクオーナー制度。
募集が行われた当時、まだ安積蒸留所からはニューポットの販売もされておらず、すべてが未知数だった状況。にも関わらず最大150口の予定を大きく上回る254名317口の応募があり、急遽樽数を増やして対応したというのですから、やはり自分の樽を持つという特別感、未知のものへの期待感は愛好家の背中を押すのに充分すぎる効果があるということだと思います。


さて、その共同カスクオーナー制度ですが、つい先週末から第二回の募集が開始されました。
今年の募集は100〜150口、2018年の蒸留から5年間の熟成で、価格は1口1万6000円から。
樽は今年もバーボン樽でしょうか。
ボトリング時の仕様は700ml43%の加水シングルカスクで1口あたり2本を予定。オリジナルラベルは別料金で対応と、告知されている内容は、基本的に前回第一回と同じ仕様となっています。 

笹の川酒造×福島屋商店 共同カスクオーナー制度「琥珀色の浪漫」
※参加登録ページは以下からとなります。
(10/17 申し込み多数により今年も2樽への増加調整中とのことです。)



樽詰めされる安積蒸留所のニューポットは、少し田舎っぽさのあるオーソドックスなタイプ。酸味と程よい雑味を感じるアロマ。口当たりに柔らかいコクのあるモルティーな甘み、香ばしさがあって「いいんじゃない?」と言いたいところですが。。。
日常的に行われる試行錯誤や、今年からノンピートに加えてピーテッドモルトの仕込みも始められており、2018年にはこれまでとは違った仕上がりのニューポットが作られる可能性は高いと感じます。
(2016年12月と2017年1月に仕込まれたニューポット。後者の方が嫌味な部分が少なく感じられる。)

それはピーテッド、ノンピートという仕様の根本的な違いというよりも、酒質そのものの変化があるのではないかということ。
現時点で蒸留時期の異なる複数種類の安積蒸留所のニューポットを飲んでいますが、雑味がクリアになっていたり、コクがあったりと、ウイスキー作りの経験が詰まれる中で酒質のブレを繰り返しながら、徐々に洗練されてきている印象も受けます。
それはイチローズモルトの秩父しろ、厚岸にしろ、津貫にしろ・・・全てのクラフトにあることで、ポットスチルや設備の癖的な理解をはじめ、ウイスキーの作り手が常に良いモノを求めて工夫を続けているからに他なりません。
こうした変化を味わう意味で、第一回目に参加されている方が引き続き参加されるのも面白いかもしれませんね。

ちなみに自分も今回の募集に一口応募していて、手続き待ちです。
ボトリングされるのは2023年。ウイスキー業界はどのようになっているのか、そして我々はどのように年を重ねているのでしょうか。


【以下、ご参考】
笹の川酒造、安積蒸留所の紹介については以前記事化していますので、そのリンクも貼らせて頂きます。

第一回募集記事と蒸留所(熟成環境)等の紹介記事。
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1062846773.html
   
安積蒸留所 ニューポットのテイスティング記事
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1064108877.html

また、他のサイトとなりますが、第一回の共同オーナー制度に参加され、その後同蒸留所を見学、個別に取材をされた方の記事が大変良くまとまっておりますので紹介させていただきます。
笹の川酒造では、共同オーナーを対象とした交流会、現地見学会を今年の3月に開催しており、その模様もまとめられているのでオーナーになる楽しみの一つもイメージしやすいかなと思います。

クラウドファンディングの現場から ~福島・ウイスキー共同樽オーナープロジェクト~
http://www.actzero.jp/social/report-21210.html


前回のオーナー募集の際は、当ブログの記事がきっかけとなって参加された方が結構いらっしゃったそうです。元郡山市民として、地域活性化にも繋がる活動を応援出来て嬉しいですね。
自分は日本全体のウイスキー文化の発展もさることながら、縁のある土地にウイスキー文化が根付いて、そこで作られたウイスキーを飲むのも楽しみの一つ。
笹の川酒造さんの活動は、引き続き応援を兼ねて紹介していきたいです。

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