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ワイルドターキー 8年 101proof 50.5%

カテゴリ:
WILD TURKEY
Kentucky Straight Bourbon Whiskey
Aged 8 years
1000ml 50.5%

グラス:グレンケアン
場所:自宅
時期:開封直後
評価:★★★★★(5)

香り:スパイシーでナッティ、バニラとウッディなえぐみ。ツンとした刺激のあるウッディさ、新築の家具を思わせる溶剤香、ほのかにライムやハーブのアクセントも感じられる。

味:メローな口当たり、スパイシーな刺激も感じられるがボディは軽め、徐々に焦げ感とウッディな苦味を伴う。
余韻はドライでスパイシー。チャーオーク香が長く続く。

ロックにすると滑らかで飲みやすい、非常にマイルドな味わいになる。これはこれで何も考えないで飲むなら良いかもしれないが、個性はぼやけてしまう。何よりボディ、奥行きの軽さは時代のトレンドなのだろうか。


最近はめっきり個性もボディも軽くなってしまった、ワイルドターキー。過去何度か記事にしている、消費者に向かってメンチを切っていた威勢のいい時代は遥か昔。
当ブログの読者からは、マイルドターキーなどともコメントされているそれですが、正面を向いていたターキーのイラストが横向きとなり、絵柄がシャドーとなって、まるでその味わいの変化と比例するかのようなデザイン遍歴であることは、果たして偶然の一致なのかと感じてしまうほどです。

さて、昔を懐かしむのはこれくらいにして、現行品に限ってターキーを見ていくと、8年表記のターキーは2000円少々で購入できるバーボンの中では案外よく出来ている1本。実は一部市場ではNAに置き換わっているそうで、限られた市場のみで流通しているボトルという話です。
飲みごたえ、甘さとウッディネスのバランス、スパイシーさ。コクの薄さや樽のえぐみは如何ともしがたいものの、ストレート以外のロックやハイボールという飲み方であれば、中々楽しめるボトルと言えます。

特に2000円代の価格帯のバーボンでは、以前はエヴァンウィリアムズ12年を買っておけば良かったものの、そのエヴァン12年も値上がり&ラベルチェンジして味が変わってしまいました。その他の銘柄とも比較しつつ冷静に見て行くと、ターキー8年は現行品の中では頑張っている方なのかなと思ってしまいます。
(追記:輸入元がサントリーから明治屋に変更となるに合わせ、ターキーの値上げが昨年12月下旬に告知されていました。明治屋扱いのボトルは2000円代後半とのこと、これは世知辛い。。。コメントでの情報ありがとうございます。)

現在このターキー8年を中心にマイ樽熟成を進めていますが、これがどう育つかも今年1年間の楽しみです。

ワイルドターキー 14年 マスターディスティラーセレクション 53.5%

カテゴリ:
WILD TURKEY
MASTER DISTILLER SELECTION
Aged 14 years
2006's 
750ml 53.5%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★★(7-8)

香り:パワフルでウッディーで濃い甘みを伴う香り立ち。りんごのカラメル煮やメープルシロップ、チェリー、ドライクランベリーを思わせる甘みの奥から感じる穏やかな酸味。ほのかに植物が燃えたあとのような焦げ感もある。

味:とろりとした甘い口当たりから、スパイシーなウッディネス。しっかりとしたパンチのある味わい。香り同様の赤い果実の甘酸っぱさに加えてキャラメリゼ、徐々にほろ苦い味わいが余韻に掛けて感じられる。
フィニッシュはビターでスパイシー。華やかな樽香が鼻腔に抜け、実に長く続く。

パワフルだが熟成したバーボンの深いコクと甘酸っぱさのある味わい。合わせて感じるスパイシーなウッディネスがワイルドターキーらしさでもある。
少量加水するとさらに華やかな樽香、これは銘酒だ。機会があれば是非ロックも試して見たい。


2007年、サンフランシスコで開催されたスピリッツコンペにおいて、アメリカンスピリッツ部門の最優秀賞を獲得したという1本。リリースは6000本限定で、日本市場向けとして流通したようです。
WEB上の記録では、当時のマスターディスティラーであるジミーラッセル氏が、46万の貯蔵原酒の中から素晴らしいひと樽に出会ったことがきっかけとなり、このマスターディスティラーセレクションがリリースされたのだとか。

ただ、1樽でボトリングできるのは精々200本程度なわけですから、限定6000本という30倍のリリースは、同じように素晴らしい樽が30樽あったのか、それとも鱗を1枚貼っただけのレプリカなのか。文句なく旨いバーボンですので前者だろうと思う反面、こうしたリリースを作ろうと思い立たせるさらに素晴らしい原酒なら、それを飲んでみたくもあります。
いやほんと、バーボンって度肝抜かれるような原酒が今なおあったりするんですよね。特にターキーにあっては、現行品がもはや目も当てられないレベルになってしまっただけに、そうした原酒に出会いたい気持ちはひとしおです。

さて、このリリースの良さは、なんといってもターキーとして旨いという熟成のバランスにあると感じます。
人によってはウッディでスパイシーなアタックが気になるかもしれませんが、元々ターキーはこの荒々しさというか、樽をしっかり焼いたアタックの強さが売りの一つ。そこに12年を越える熟成したバーボンらしいコク、甘み、そして個人的に旨いバーボンの条件とも言える赤い果実のニュアンスが感じられ、熟成のバランスが整っているのです。

この日、バーボンは愛好家垂涎と言えるリリースをいくつも飲みましたが、一番印象に残ったのはこのワイルドターキー14年でした。月並みですが、素晴らしい出会いに感謝です。

ワイルドターキー 8年 1970年代流通 50.5%

カテゴリ:
WILD TURKEY
KENTUCKY STRAIGHT BOURBON
8 Years old
1970's
1Quart 101proof

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:艶のある甘みとベリーやチェリーの果実香。メープルシロップ、カカオを思わせる焦げたオーク材。華やかでウッディなアロマが、穏やかでありつつも、じわじわとスパイシーな刺激と共に香り立つ。

味:コクのあるまろやかな口当たり、小麦を思わせるような柔らかさと落ち着いた甘み。甘酸っぱくクランベリーや焦がしたバニラ、徐々にキャラメリゼのほろ苦くビターな味わいへと繋がっていく。
余韻はドライでウッディで力強い。スパイシーな刺激と焦げ感を伴いつつ、華やかで艶のあるオーク香が長く続く。

ワイルドターキーの魅力が十二分に詰まった実にウマい1本。この時期のバーボンに多く見られるコクと甘酸っぱい赤い果実のニュアンスを伴いつつ、ヘビーチャーを施す処理故か焦げたウッディネスもらしさとして感じられる。余韻にかけて力強さが増していく構成で、ストレート、少量加水、ロック、どの飲み方でもOK。


個人的に"メンチ切りターキー"と呼んでいる、ターキーの顔が正対した、若干エイリアンっぽくてキモいデザインの8年ハイプルーフ。
この系統のラベルは、かなり古い時代から2000年頃まで続くため、一見すると見分けがつきづらいですが、日本市場には1970年代以降のボトルの流通が多く、ネック部分に使われたシール素材やコルクキャップ部分の違いを認識すれば、比較的容易に見分けられます。
また、1970年代から1980年代のロットにおける新旧の区別は、裏ラベルのバーコード有無で線引きすることも可能です。(アメリカは1980年代初頭からバーコードが酒類に採用されているため、08バーコードがあるほうが後期ロットということに。)

ワイルドターキーは、1980年代流通のゴールドラベルで七面鳥が空を飛ぶ、12年熟成の通称"フライングターキー"が高い評価を受けていますが、この"メンチ切り"ターキーも負けず劣らず素晴らしいバーボンだと感じています。
昔はもっと荒々しかったのかもしれませんが、経年で落ち着いた飲み口に広がる華やかでコクのある甘み、果実を思わせる甘酸っぱさ、余韻にかけて強まる香味の刺激。1990年代の8年熟成も決して悪くないのですが、完成度が頭ひとつ違います。

そしてそれは現行の8年を何十年熟成、瓶熟させようと、ベースが違いすぎて辿り着かない領域でもあることは言うまでもなく・・・このレベルのバーボンを量産していたのですから、古のアメリカはなんと言う技術を持っていたのでしょうか。
昔安かった時期にいっぱい買っておけばよかったとか、後悔しているボトルです。

近年、モルトウイスキーの長期熟成原酒が枯渇する中、グレーンウイスキーの長期熟成原酒がリリースされるシーンが度々見られるようになってきました。
もちろんそれはそれで美味しいものもあるわけですが、であればこそバーボンにあまり興味がないというスコッチタイプ派のウイスキードリンカーにも、この辺りのボトルは是非飲んでもらいたいですね。
ひょっとしたら、新しい発見(沼)があるかもしれません。

ワイルドターキー 12年 2010年頃流通 50.5%

カテゴリ:
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WILD TURKEY
Aged 12 Years
Kentucky Straight Bourbon Whisky
2010's
750ml 101Us proof (50.5%)

グラス:木村硝子テイスティンググラス2
量:30ml程度
場所:BAR飲み(Ambrosia)
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★(6) 

香り:華やかでスパイシーな香り立ち、濃厚なチャーオークの焦げたようなアロマは黒砂糖を思わせる甘み、植物と微かなハーブを伴う。徐々に溶剤っぽさも感じる。 

味:飲み口は軽めだが徐々にコクが感じられ、スパイシーでパワフル、キャラメリゼを思わせる甘みとウッディな渋み、木香が濃い濃厚な紅茶を思わせる。余韻はピリッとした序盤のスパイシーさ、ほのかにハーブ、渋みは過度に残らずあっさりとしている。


いつの間にか姿を見なくなり、ラインナップから消えていたワイルドターキー12年。今回のボトルは2011年にラベルチェンジが行われる前、旧ボトルに当たる1本です。
ワイルドターキーの旧ボトルといえば、正面を向いてメンチ切っている"こっち見んな"ラベルが印象的ですが、それは1990年代に流通したもの。近年のターキーはこのラベルのようにそっぽを向いてしまっています。
また、味もどんどん薄くなっている傾向があり、ここ最近流通しているラベルはターキーのイラストがシャドウのように薄くなっているのは、その味わいとかけているのかと考えてしまうほどです。
(某酒屋は、ウチは今のターキーNAだけは絶対に入れないと豪語するほど・・・。)

さて、ワイルドターキー12年は、1980年代以前はメンチを切るどころか空を飛んでいる姿が書かれた、通称フライングターキーと呼ばれる時代のものが愛好家の間では有名です。
味わいもコクと華やかさがあって美味。かつて酒屋めぐりをしていた時は出てきたボトルに対して「えーメンチ切り~?、ターキーは空を飛んでないとね~?」なんて考えていた時代がありました。
それがいまや遠い昔、メンチ時代ですら価格もどんどん上がってしまい、ちょっと手を出しづらくなったなと感じていたところに、1つ前のそっぽ向きラベルと出会いました。

久しぶりに飲んでみると、艶やかで妖艶でウットリする味わい、という感じではないですが、スパイシーでパワフルで甘みがしっかりとあり、そこに焦げたようなウッディネス。ボディーにもコクがあり、強い樽香を受け止めてバランスを保っています。
この焦げたようなウッディネスが、所謂ターキーの特徴である製法の一つ、アリゲーターチャー由来のものなのでしょうか。現行バーボンのえぐみが強いラインナップから比べたら普通にイケてる。なかなか良いバーボンです。
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ワイルドターキーを飲んでいると、なぜかシガーが欲しくなるんです。前回8年を記事にした時も吸ってましたね(笑)。
バーボンの中でも、濃いめのタイプはシガーとの相性が良いと感じていますが、このターキーはチャーオーク由来の焦げ感、タンニン、そしてあまり果実系に振ってない味わいが、自分の中でシガーに繋がるのかもしれません。
今回はシガーの準備がなかったので、この時お店にあった唯一のシガー、コスパが高いと評判のビリガーをチョイス。
流石に軽すぎて合いませんでしたが、雰囲気は楽しめました(笑)

最近は見なくなりましたが、一時期はビックカメラでも店頭販売していた12年。こういうボトルは地方の中小規模酒販店とかだと売れ残ってたりするんですよね。
近年、スコッチだけでなく原酒の枯渇が進むバーボン。このボトルも見かけたら購入しておいて損なしだと思います。


ワイルドターキー 1855リザーブ バレルプルーフ 55%

カテゴリ:
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WILD TURKEY
1855 RESERVE
Barrel Proof
55.0% 750ml

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml
場所:BAR飲み (Ambrosia)
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★★(6)

香り:華やかで甘い香り立ち、メープルシロップ、穀物系の軽やかに香ばしくも甘いアロマ。若干のサトウキビっぽい青い甘さもあるが、濃い樽感がありしっかりとメロー。

味:まろやかでコクがある濃い口当たり。徐々にウッディーさが増していき、チェリーのシロップ漬けを思わせる甘みと微かな酸味。薔薇の花、ドライなニュアンス。鼻抜けはメローな樽香、じんじんと舌を心地よく刺激するウッディーな余韻。


自分にとってはお久しぶりな、ワイルドターキーの1855リザーブ。このブログを書き始めた1年半前、「はじめに」を書いてる最中に飲んでいました。1855リザーブは現在リリースされているワイルドターキー・レアブリードの旧ボトルで、同銘柄と同じく110Proof、55%仕様でボトリングされています。
流通時期は1990年代で今から20年ほど前。これが現在のワイルドターキーのスタンダード品とは比べ物にならないほどコクと甘味がしっかりあるバーボンで、何より近年のバーボンに見られるセメダインのようなフレーバーが少ないのもポイント。
シガーとの相性が非常に良く、シガーマスターな知人にサンプルを渡したところ、その場でオークションに落としにいっていました(笑)。

同じバーボンでなぜここまで味が異なるのか。
最初自分はスコッチのように材料から樽まで全て変わってしまった結果だと思っていましたが、近年流通の中にいくつか突き抜けたボトルと出会い、作ろうと思えば作れるけど大量生産できないのか?という考えに変わっていきました。
一説には昔のバーボンは過熟気味の原酒も一部混ぜられていたため原酒構成が異なるとか、シェリーを原料とするカラメル添加が良い方向に作用していたとか聞いたことがあるのですが、個人的には樽材の質が違うのではないかなという印象があります。

オーク材は伐採された後ですぐには使われず、2年程度屋外で干されてから使用されます。この期間が長いオーク材ほどえぐみやツンとした香りが抜けて、まろやかな味わいになるとされ、状態の良い樽材は高値で取引されると聞きます。
ところが最近は需要を満たすため、最初から機械乾燥で天日干しされることなく仕上げられるケースや、1年少々の天日干しの後で機械乾燥で仕上げるという手法が広まってきたそうで、安価なバーボン用の樽と上級グレード用は分けられているのではないかと推測しているところ。
先日ウイスキー仲間のIさんがアメリカのクーパレッジを見学されたので、後で詳しく話を聞いてみたいと思っています。

今回は新しく入れるバーボンにオススメしたのもあって、届いたボトルを自分でも1杯頂きました。
やはり現行品とは比べ物にならない深みがありますね。もう少し艶のある香味だとさらにドストライクなのですが、 この年代でこのクオリティなら充分でしょう。
ハイボール向きではありませんが、ストレート、ロック、どちらでも楽しめる良いバーボンです。

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