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ワイルドターキー トラディション 1990年代流通 50.5%

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WILD TURKEY 
TRADITION 
Kentucky Straight Bourbon 
1990's (1994's)
750ml 50.5% 

グラス:テイスティンググラス
場所:お酒の美術館 神田店
時期:開封当日
評価:★★★★★★(6)

香り:ドライな香り立ち。干し草、ドライオレンジピール、微かなえぐみを伴うウッディネス。クッキーやキャラメルポップコーンのようなメローで軽い香ばしさに通じるアロマも感じられる。

味:パワフルな口当たり。乾燥した穀物やバニラウェハース、口内で転がすと微かにオレンジママレードやメープルシロップのアクセント。カカオのような苦味と焦げ感の伴うウッディさがあり、ドライでスパイシーなフィニッシュへと繋がる。

ドライでスパイシーなキャラクターが印象的なバーボン。時期が時期なのでえぐみのような要素は少なく、メローで適度なコクも備わっているが、濃厚な味わいという程ではない。加水するとマイルドだが穀物っぽさが強く、

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1990年代、輸出向けにリリースされていた銘柄のひとつ。(2009年に14年がリリースされていますが、これは時期も構成も別物。)
同時期では、先日記事にもしたワイルドターキー・ケンタッキーレジェンドが同じく輸出向けにラインナップされていましたが、香味が似通うことの多いバーボンにありながら、ドライでスパイシーな本銘柄と、リッチでメローなケンタッキーレジェンドとで明確な違いが感じられます。

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(同時期流通のワイルドターキー・ケンタッキーレジェンド。メローなオークフレーバー、ほのかにベリーなどドライフルーツを思わせる酸味も混じるリッチな味わい。)

その背景には、熟成年数の違いがあるのではという印象。ちょっとライっぽい気もするので、通常のライ13%のマッシュビルとの違いもあるのかもしれませんが、同じ流通時期の8年50.5%と比較してもドライな構成であり、例えばケンタッキーレジェンドを10年程度の熟成とすると、今回のトラディションは6~8年、レアブリードの加水調整品的な位置付けと考えれば、しっくり来る気がします。

比較的種類のあるオールドターキーの中では、メローで濃厚、甘酸っぱい果実感に、熟成感も強いハイプルーフなものが高い評価を受けている現在の市場にあって、このトラディションはその逆をいくスタイル。当然、市場価格はそこまで高くなっておらず、5000円を下回ってリサイクルショップ等で販売されていることも珍しくありません。
確かにトレンドとは違っているのですが、ネガティブな要素が強い訳ではなく、特に現行品との比較ではそう悪くないとも感じられます。そういう系統のバーボンとして考えるなら、案外お買い得な1本かもしれません。

ワイルドターキー ケンタッキーレジェンド 1990年代流通 50.5%

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WILD TURKEY 
Kentucky Legend 
Kentucky Straight Bourbon 
1990's 
750ml 50.5% 

グラス:国際規格テイスティング
場所:お酒の美術館 神田店
時期:開封当日
評価:★★★★★★★(7)

香り:濃厚で芳醇。しっかりと力強いメローな香り立ち。チャーオーク、チョコレートクッキー、微かな焦げ香や溶剤と合わせ、レーズンやベリーのドライフルーツの果実香がアクセントになっている。

味:濃厚で甘酸っぱい口当たり。チェリーやベリーなどの赤い果実と、カラメルソースのようなほろ苦い粘性が舌に絡み、芳醇な樽香と微かにフローラルなニュアンスが鼻孔に抜けていく。
後半は徐々にビターでしっとりとしたウッディネス、ピリピリとスパイシーな余韻となって長く続く。

リッチな樽香に、熟成感も備えた上等なバーボン。オークフレーバーに混じるスパイシーさと果実味が、まさにオールドターキーらしさである。ストレート以外にロックなどでも楽しめる。1本自宅に常備しておきたい。


ワイルドターキーの3代目マスターディスティラーである、ジミー・ラッセル氏が選定したという特別な一樽からボトリングされたのが、ワイルドターキー・ケンタッキーレジェンドです。
同品には今回紹介するくびれのあるボトル形状の加水調整&複数樽仕様の他、ずんぐりとした形状のシングルバレル&バレルプルーフ仕様があり、それなりに量も生産されていたようです。

香味からは濃厚なチャーオーク香、熟成を感じさせる力強さを併せ持ったメローな甘みとウッディネスの中に、オールドターキーらしい赤い果実味も備わっていて上々な仕上がり。ウッディなえぐみが少ないのもポイントで、個人的にはドライでスパイシーさが強く感じられたシングルバレル仕様より、加水品のほうがバランスが良いように感じます。

他方で、特別な一樽と言っても基準の詳細なところは定かではなく。膨大なワイルドターキーの貯蔵原酒のなかから樽を選ぶなど時間がいくらあっても足りないため、恐らくある一定の基準を満たした(例えば熟成年数に到達した)原酒に対して、官能評価をしているものと思われます。
上述の通り濃厚でメローな構成ですが、同時期にリリースされていた12年ゴールドラベルほどは樽感が濃くないため、熟成の最低ラインは10年程度だったのではないかと推察します。

ケンタッキーレジェンドの加水品は1990年代前半に流通しており、裏ラベルにボトリング時期が記載されているものは詳細な時期を絞り込むことができます。今回のボトルはそのどちらも確認できませんでしたが、この時期の10年以上かつハイプルーフなバーボンウイスキーは質の良いものが多く、これまで飲んで来た同銘柄の中身は総じてレベルが高い印象です。
こういうバーボンが1本あると、家飲みが充実していいんですよねえ。


余談:写真のボトルはローヤルのキャップが刺さっていますが、開封時にコルクが折れたための代用品で、実際は楕円形で空飛ぶターキーのイラストが書かれたものが使用されています。
お酒の美術館神田店、提供されるモノはそう悪くないのですが、コルクブレイクが多いんですよね・・・。オールドのコルクは折れやすいものの、経験上リカバリー出来るものも多いので、もうちょっと慎重に開けて欲しいなあ、なんて。

ワイルドターキー 12年 50.5% 1990年代流通

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WILD TURKEY
12 Years old
1980-1990's
750ml 50.5%

グラス:テイスティンググラス
場所:BAR Perch 萌木の村
時期:開封直後
評価:★★★★★★★(7)

香り:濃厚なウッディネス、パンチのあるスパイシーさからスワリングで芳醇な甘みと艶やかさ。色の濃い蜂蜜、キャラメリゼ、ドライベリーとチェリー、微かにハーブ。熟成した葉巻のようなニュアンスも。

味:リッチでマイルドな口当たり。カラメルと赤い果実の甘酸っぱさ、そしビターで濃厚なウッディネスへと繋がる。余韻はウッディでパワフル。焦がしたオークの苦味、スパイシーな刺激を伴い長く続く。

しっかりと濃厚、マイルドな口当たりに熟成と経年を感じる一方、余韻はスパイシーで苦味、タンニンが強いが、時間経過で赤い果実の甘酸っぱさやシロップのような艶のある甘みも開いてくる。少量加水で香りの開きも良い。オールドターキーのお手本のよう。

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通称フライングターキーと呼ばれる時代のワイルドターキー。並行品でしょうか、背面ラベルはスコッチウイスキーではあまり馴染みのない貿易業者名で、"着色料カラメル"の表記に時代を感じます。

飛翔の二つ名の由来は説明するまでもなく、ラベルの七面鳥が空を飛んでいるため。"フライングターキー"は80年代のリリース開始から、90年代初頭にラベルチェンジして計2種類のラベルでリリースされていますが、今回の90年代初頭ボトルは一面ピカピカの配色から、ゴールドラベルと呼ばれることもあります。 
(コメントでご指摘いただくまで勘違いしていたのですが、12年はターキーが着色されているラベルと平行してリリースされ、厳密にはゴールドの方が後出しのようです。調べてみると確かにそれを裏付ける情報が多くありました。)

個人の趣向もありますが、この時代のそれは正直あまり趣味が良いとはいえないデザインです。なんせ外箱も含めて全てゴールド一辺倒なのですから・・・。海外のレビューサイトでは"Cheesy"と表現されているのも納得してしまいます。 
ただ、その中身は決してCheesy(悪趣味、安っぽい)なんてことはなく、オールドバーボンのお手本とも言うべき濃厚でパンチの効いた味わい。余韻に残る焦げたような樽のニュアンスが逆にらしさとして感じられ、その芳醇さに思わずフルボディなシガーを銜えたくなります。

ワイルドターキー12年は日本向けボトルというわけではないようですが、現地ではあまりヒットしなかったのか、アメリカ向けボトル(0番バーコード)でありながら、海外サイトにあまり情報がありません。現在もその流れを汲む13年が日本市場向けという位置付けですし、当時大きな市場を持つ自国以外にモノが流れたのではないかと推測しています。
その物量もあって一時期は比較的安価・・・(といっても1万円強ですが)で購入出来たこともあり、BAR飲みでお世話になることも多かった銘柄ですが、近年はオールドターキーのハイプルーフが全般的に高騰気味で、悪趣味な七面鳥も随分と天高く舞い上がってしまいました。

この日、Bar Perchのカウンターでオススメバーボンとして船木村長からオススメ頂いたわけですが。酒屋巡りで在庫を見つけあるだけ買い付けたいう話、このバーボンが安定して在庫にあるのは今となっては羨ましい限りです。 

ワイルドターキー 13年 ディスティラーズリザーブ 45.5%

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WILD TURKEY
Aged 13 years
Distiller's Reserve
Kentucky Straight Bourbon
700ml 45.5%

グラス:エリート
場所:ACE@池袋
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:艶やかな甘い香り。キャラメルとチェリー、ほのかにハーブ香。コクを感じるふくよかなアロマ。時間経過でバニラの甘みが強くなる、えぐみのない上質なチャーオーク。

味:まろやかでコクのある口当たりからウッディでメロー、キャラメルの甘みとシロップ漬けチェリー、淡い植物感。徐々にドライでビター、口内の水分を奪うように長く続く。

香りは柔らかく艶もあり、加水によって調った上質さが感じられる。味についても序盤は現行品として申し分ないものの、余韻かけて香味が弱くなっていき樽由来のドライさだけが残る。ストレート、あるいは割り切ってハイボールも良いかもしれない。


終売した12年の後継的位置付けのグレードですが、個人的にあまり興味がなく完全にノーマークだったターキー13年。
現在の8年、13年は、ワイルドターキーラインナップの中で日本市場限定品という位置づけで、海外だと逆輸入している一部の有名酒販店以外では、手に入らないラインナップです。

バーボンウイスキーを探求している方に話を聞くと、アメリカなどではこうした長期熟成品より、サードフィル・バーボンバレルで熟成させたような、安くて、ライトでプレーンな"アメリカンウイスキー"をコーラ割するほうが主流なのだそうです。
逆に日本のように、ロックやストレートで熟成感のある味わいを楽しむ市場には、今回のテイスティングアイテムである13年などのほうが向いているという判断。 とはいえ、その日本も最近はハイボールブームでライトなウイスキーのソーダ割が主流ですし、バーボンハイボールも一般的になってきて、今後市場がどう変わっていくかはわかりませんが・・・。(参照:http://whiskymag.jp/wt_da_2/

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(ワイルドターキーの熟成庫。歴史を感じさせる雰囲気が写真からも伝わってくる。Photo by T.Ishihara)

このワイルドターキー13年の良さは、1990年代以前の濃くてパワフルだった時代のバーボンに通じる、コクや艶やかな甘みが感じられることにあります。
以前流通していた12年50.5%と比較すると、加水の影響もあってさすがにボディが弱くなっており、テイスティングでも触れたように余韻にかけてその香味が持続しない点がネックではあります。ただ、加水で整えられた飲み口と、香りの上質さは古きよき時代を感じさせる1本に仕上がっており、現行品の中ではがんばっているなと感じる構成です。

ちなみにこの並行品が、密林や楽天では送料込み5000円を切る価格で販売されてるんですね。 
定価ならこんなもんかなと思いますが、この味で5000円以内なら悪くない。一昔前の艶のある甘み、熟成感を手軽に感じることが出来る家飲みバーボンとして、オススメできる1本です。

ワイルドターキー レアブリード バレルプルーフ 58.4% 2017年リリース

カテゴリ:
WILD TURKEY
RARE BREED
Barrel Proof
2017's
700ml 58.4%

グラス:グレンケアンテイスティング
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★(5-6)

香り:メープルシロップとナッツを思わせる甘いアロマ、焦がした穀物、ジンジンと鼻腔を刺激するチャーオーク香。奥からほのかにハーブや青みがかった植物、生木っぽい香りも感じられる。

味:パワフルなアタック、口内をビリビリと刺激するスパイシーさ。キャラメリゼ、少し焦げたワッフル、口の中でジワジワとコクが出てくるよう。
余韻はハイトーンな刺激と少しべたつきがある。キャラメルの甘み、ウッディなえぐみがタンニンとともに残る。

パンチはかなり強いものの、熟成感、樽由来の甘みとも最低限必要な範囲で備わっている。少量加水するとマイルドな飲み口やメープルシロップのような甘みを引き出せる一方、ロックも悪くないが、氷に負けるのが早い気がする。


ワイルドターキーの樽出し原酒を、加水せずバッティングして仕上げるレアブリード。
昨年ひっそりとパッケージリニューアルが行われ、ビッカビカの金色の外箱が白地のデザインに、1990年代のレアブリード及び1855リザーブ発売から続いていたボトルシェイプも、少し角ばったようなデザインに変更されています。
(1月1日から輸入元が明治屋にも変わってますね。)

では中身はというと、値段なりではありますが、上位グレートとなるラッセルズリザーブ10年に通じるコクと甘みがあり、樽感に嫌な要素が少ない、意外と楽しめる刺激強めなオーソドックスバーボンという感じ。
刺激の強さはワイルドという単語がしっくりくる構成で、ここは旧ボトルより強くなっているような。。。また、ドライだった樽感も少し濃くなった印象です。

まあ初期ボトルと比べると、樽感はともかくコクが足りないので、下手に樽感を強くするのではなく、酒質を厚くして欲しいというのはレアブリードに限らずターキー全般に思うところでもあります。
3月には新商品の「ケンタッキースピリッツ」が発売されるようですが、これはどう仕上がってくるでしょうか。


今回なぜレアブリードの現行品を買っているかというと、それは先日から始めた自宅樽でのバーボン追熟、その度数調整に使うため。経験上ですが、50%を超えていないと樽に負けやすいので。

そんな中、ふと気づいたのがコルクキャップの変化。
以前は写真右側のように差込口の角を削って丸くしてあったのですが、その工程が省かれてダイレクトな切り口になっています。
これ、差し込みづらいだけじゃなく、折れたり欠けたりしやすいんですよね。自分で削れって話かもしれませんが、中身の構成は好みや作り手の解釈と割り切っても、こういうところはユーザー視点に立って欲しいなーと思います。

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