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LEGEND OF CUBAN RUM 
Pre 1962 Solera "Valdespino" 
Lot 2016 
700ml 45% 

グラス:リーデルコニャックテイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★(5)

香り:サルファリーさを伴う黒糖系の甘いアロマ。焦げたトースト、ハッカのキャンディ、植物感、オールドカナディアンのような古酒のニュアンスも感じる。時間経過でスパイスを伴うウッディネス。

味:とろりと甘く濃厚な口当たり。あわせて軽いゴムっぽさ、硫黄香が鼻腔に抜ける。焦げたカラメルソース、アロエやサトウキビの植物感、微かにレーズン。余韻はトフィーを思わせるベタつきのある濃厚な甘み。サルファリーなニュアンスが苦味となって非常に長く続く。

長期熟成原酒がベースにあるため、香り立ち、口当たりはまろやかでリッチな香味があるが、シェリー樽由来の濃厚な甘さ、グレーンウイスキーに共通する穀物や植物っぽいニュアンス、そして硫黄。判りやすくはっきりとした味わいはB級グルメというか、なんともくどさを感じる味付け。確実に好みが分かれる。

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キューバ革命よりも前の時代、1940年から1950年代にキューバで蒸留されたラムの古酒をベースに作られているのが、このレジェンドオブキューバンラムです。
1950年以前の原酒とされながら、ラベル表記は1962年よりも前を示すPre 1962。キューバ革命とするなら1959年あたりが一般的ですが・・・同年はキューバ危機として海上封鎖も行われた年ですから、「この時期よりも前」とするのにちょうど良かったのでしょうか。
国内のリリース時期は毎年年末頃で、ファンにとっては毎年の楽しみでもあるようです。

原酒の所有者は、シェリー酒の超名門ボデガであるバルデスピノ社。前オーナーであるミゲル社長は、門外不出の逸品として製品化に後ろ向きであり、ゲストへの振る舞い酒として使っていたようです。
その後、1999年のボデガの売却でオーナーが変わり、ついに日の目を見ることとなったのは、今から10年ほど前のこと。同社が所有していたのは、半世紀を越える熟成を経た超古酒となるキューバ産ラム2樽。そんな貴重な原酒がなぜ毎年リリースされるのかというと、所謂ソレラシステムで作られているため、抜いた分だけ新しい原酒を継ぎ足しているから。純粋に1962年以前の原酒だけで構成されているわけではないと考えられます。 

実際、レジェンドオブキューバンラムは、ロット毎に味が変わるようです。
自分はこの銘柄をこれまで飲んだことが無かったのでロット毎の違いは体験していませんが、以前はフルーティーさとラム系の植物感、熟成原酒の舌触りで絶妙なバランスだったとのこと。ここ数年はかなり甘口に振れてきたと言う声もあります。
甘みや硫黄を含むシェリー感が濃くなっているという点については、新たに買い付けてきたラムを同社のシェリー樽で熟成させてからレジェンドオブキューバンラムのソレラに加えているのではないかと推察。
それこそ、今回テイスティングした2016年ロットは、濃厚な甘さに加えてサルファリーな香味も備わっており、好みが分かれる分岐点をいくつも持っているという印象。ラム独特のフレーバーはある種の個性でもあるため、合う合わないはさておき、例えば硫黄耐性があり、グレーンウイスキーを好んで飲める人ならストライクゾーンになりそうです。(自分は苦手とする部類でした。。。) 

さて、キューバといえば葉巻です。レジェンドオブキューバンラム2016年ロットの濃厚な甘みは、葉巻とあわせるには好都合。キューバ革命前の原酒が一部でも使われているだけに、出来ればキューバンダビドフなんて吸ってみたいですが流石に手元に無いのでパルタガスかボリバーあたりフルボディタイプで。今度ボトルを片手に行きつけのBARに吸いにいってみようかな。