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「え、まだ出すの?」
つい1週間ほど前、笹の川酒造の新商品に関する情報が入ってきました。

かねてより原酒を買い付けているという話があり、創業250周年を記念して何かしらのリリースがあることは予想されていました。そして夏のギフト商戦にピュアモルト15年カスクストレングス、シェリーカスクフィニッシュが合計100本程度投入され。流石にこれで終了だろうと、思っていた矢先のこと。
笹の川さんはさらにとんでもないネタを仕込んでいました。

本記事はどの程度のトーンで情報を上げるか悩んでおりましたが、今朝方笹の川の社長自らFBに記事をUPされ、サイト上でも情報を公開されましたので、当ブログでも取り上げさせていただきます。



YAMAZAKURA
rare old whisky
Celebrating our 250th Anniversary
700ml 約53%くらい

メーカーサイトは以下。
販売本数は30本、予約は9月25日~。
http://www.sasanokawa.co.jp/topics20150915_2.html

サイト情報からこだわり具合は伝わってきますが、使われている原酒についてはあまり書かれておらず、蒸留所不明、度数すら不明(情報提供により53%程度とのこと)。
しれっと他の原酒も混ぜたことを触れて、ただし容器と木箱についてはアツく語る。
なんていうか、飯屋の店主が食器とお箸にこだわっている感じ。
我々が説明してほしいのは料理のほうなんだけど・・・。
絶対の自信があるのか企業秘密なのか、それもとニッカウイスキーの竹鶴政孝氏よろしく、ボトルは衣装として素晴らしものを用意したということか。店主はこれ以上語らない。ならば公式発表ベースにこれまでの流れからわかっていることを整理しておこうと思います。


笹の川のラインナップに「THIS is」というアメリカンスタイルウイスキーがあります。
ケンタッキーから輸入した原酒をベースにして、バーボンタイプのウイスキーに仕上げて販売している地ウイスキーのひとつ。
今回リリースされる山桜レアオールドウイスキーの原酒には、このTHIS is用に買い付けた原酒が使われているわけですが、この原酒はこれまでもいくつかのエピソードがあります。

笹の川酒造は買い付けた10年程度熟成のバーボン原酒(過去の記録では5年以上という発表もあり)をそのまま樽で同社倉庫で熟成(単に在庫がはけていかなかっただけという可能性が微レ存)させた後、おそらく過熟防止のためだったのでしょう、貯蔵タンクに移し、そして約20年間の長きにわたってタンクに入れた原酒の存在を忘れていました。
元福島県民として言わせていただければ、福島県民はとても"おおらか"なのです。

ある日その原酒が発掘され、笹の川酒造はチェリー・アメリカンスタイルウイスキー20年をリリース。
2006年頃にはベンチャーウイスキー社からクエッション「?」シリーズがリリースされ、タンクに忘れ去られた謎のバーボンとして話題となりました。
クエッションシリーズはその後メーカーズマークの樽で再熟成したクエッションMなどもリリースされ、どれも今考えれば破格と言える値段で高品質なオールドバーボンが詰められていました。
逆算すれば1970~1980年代蒸留、一説ではヘブンヒルと言われる原酒のハイプルーフです。不味いわけがありません。
今回の山桜レアオールドのメーカー説明文の中にある「これまで2~3地区からの依頼で限定品として出荷した」というのは、これらのリリースのことではないかと思われます。

メーカー発表を整理すると以下の通り。
・30年以上前に10年モノ以上との指定で原酒を購入
・5年ほど笹の川の倉庫で熟成
・その後20年ほどタンクで貯蔵(放置とも言う)
・タンクから取り出し数年間バーボン樽で再貯蔵(おそらくクエッションシリーズの関連)
・別途貯蔵していた原酒を厳選し、ブレンド(リリースされた山桜の原酒か、買い付けたモノか)
・最後にシェリーフィニッシュで仕上げたらしい(情報提供アリ)

以上の通り大変貴重な約40年前のバーボン原酒がベースとなったウイスキー。
ボトルには10本作って1本出来るかどうかというこだわりの手吹き容器採用。 
笹の川酒造の250周年を祝う、記念すべき1本。

これまでの流れから推論を積み重ねましたが、後は飲んでからですね。
それでは最後に、このウイスキーの希望小売価格を記載して、結びとします。

お値段
176,500円(税別)(税込190,620円)


(´Д` )…山桜ェ…
1ショットいったいいくらになるんだろう・・・(ガクガク