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グレングラント 10年 40% & 酒育の会リカル9月号

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GLEN GRANT 
Aged 10 years
Release 2018~ 
700ml 40% 

グラス:国際企画テイスティング
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★(5ー6)

香り:華やかでドライ、オーキーな香り立ち。若干粉っぽさもあるオーク香だが、ファイバーパイナップルや洋梨を思わせるフルーティーさと仄かな酸味。奥には白粉っぽさも混じる麦芽香も潜んでいる。

味:フレーバーの輪郭は少しぼやけているが、ライトでスムーズな口当たり。乾いた麦芽風味とオークフレーバー。香り同様に華やかな含み香に加え、若干の酸を伴う。徐々に薄めたパイナップルシロップの甘味と、じわじわとスパイシーな刺激、干し草や乾いたウッディネスを伴うドライなフィニッシュ。

香味とも加水で若さや熟成の荒さを誤魔化したような部分はあるが、癖の少ない酒質の素性の良さに加え、時間経過で麦芽香がオークフレーバーのなかに開いてくる。ストレートだけでなくハイボール等他の飲み方に幅広くマッチする、使い勝手の良い1本。価格も実にお手頃。

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現行品のスペイサイド・オフィシャルでオススメを問われたら、間違いなくチョイスするのがグレングラントです。
変な癖のない素直な酒質に、バーボン樽(アメリカンオーク樽)由来の華やかなオークフレーバーを組み合わせた、近年スペイサイドの典型的な構成とも言える仕上がりが特徴で、香味の安定感だけでなくキャラクターを経験する意味でも価値ある1本。
2016年にラインナップが大々的にリニューアルされ、以降上記の傾向が強調される形になっています。

グレングラントのオフィシャルリリースは通常ラインナップで4種あり、すべてに共通するのがアメリカンオークの華やかなフレーバー。熟成年数を増すごとにそれがリッチになっていく、分かりやすい違いがあります。
ラインナップでもっとも若い5年・メジャーリザーブは流石に若さが目立つものの、以降は適度な熟成感に樽香のノリが良く。
特にリッチなフルーティーさが楽しめるのは18年ですが、コスパが良いのは10年、12年。店頭価格3000円程度で購入できる10年は現行品のスコッチモルト全体を見てもなかなかのものだと思います。

スペイサイド&ハイランド地方から、他の同価格帯のモルトを挙げると、グレンフィディックやグレンリベット12年などもありますが、それぞれキャラクターが異なっている。飲み口の柔らかさならフィディック、華やかさならグラント10年といった具合です(なおリベットry)。ただフィディックは近々ラベルチェンジが行われるようで、今後「良くなった」といわれる味わいを維持できるかは様子見の状況です。
また、似たようにライトでオーキーなタイプだとグレンマレイ12年もありますが、ほんの少し流通価格が高く、これならグラントやフィディックで良いかなとか思ってしまうのです。

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さて、先日発刊された酒育の会の機関誌「LIQUL(リカル)」9月号。
メインの特集では蒸留所リストと共に、ジャパニーズクラフトの同行について触れられていて読みごたえのある内容。
そのなかで、担当させていただいているコーナーで、グレングラントをクライゲラヒと共にスペイサイドモルトのオススメ2銘柄として掲載しています。
※酒育の会:LIQUL(リカル)電子版はこちら

記事の文字数制限で両者に関する詳しい解説は省略していますが、これも今回のように補足していければと。記載の2銘柄だと、グレングラントからは山間を吹く冷涼な風を思わせる爽やかな味わいが。クライゲラヒからは、一面に広がる麦畑を思わせる牧歌的なイメージ、というくらいに明確に違いがあります。

違いの理由については断定できませんが、調べてみると蒸留方法でグラントは1980年代に新しい設備への切り替えがあった一方、クライゲラヒは古典的な設備をそのまま使っていることが少なからず影響しているように考えられます。
スコッチモルトはかつてグレングラントも含めて麦感を厚く備えた原酒が多かったわけですが、一方で近年は麦芽品種の変更や、ピートの使用を控えたり、あるいは蒸留方法を切り替えたりで、先にも述べた通りライトで華やかなタイプの仕上がりが増えてきているのです。

地酒が世界的なブランドに成長するなかで、求められる香味にアジャストしていったようにも見える変化。ただし、そのフレーバーが完全になくなった訳ではなく、オーク香の奥に潜んでいるのも感じ取れます。
今回レビューしたグレングラント10年か、あるいは別途記事にしている12年あたりと、該当する麦芽風味が出ているモルトを飲み比べていくことで、さらに個性の理解が進むようにも感じられます。

酒育の会 Liqul(リカル)での連載について

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お酒に関する正しい知識や、趣味としてのお酒の楽しみ方を発信するため、イベントやセミナー等の各種活動を行っている一般社団法人酒育の会。
同会が奇数月に発刊している機関誌「リカル」に、2019年7月号からウイスキー関連の記事を連載させていただくことになりました。

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酒育の会 LIQUAL (リカル)
※最新刊ならびにバックナンバーについては上記URL参照。ウイスキーだけでなく、コニャック、テキーラ、ラム、ワイン等様々なお酒やBAR飲みのスタイルなどが特集されています。7月号はアルマニャック特集で、7/1以降WEB公開予定。


連載に当たっては、テーマも含めて自由に決めて良いという条件を頂いており、会の目的とも照らして"オフィシャルスタンダードの再認識"にしました。
ブログを書き始めてから、特にここ1~2年は意識的にオフィシャルスタンダードも飲むようになったのですが、最近そのオフィシャルが美味しくなったという声を、自分だけでなく周囲の愛好家からも聞きます。
この機会に再勉強も兼ねて、良いと思ったリリースや、従来に比べて好ましい変化のあった蒸留所のラインナップを紹介していく企画を考えたワケです。

文字数に制限があるため、細かい部分の解説やテイスティングコメント、スコアリング等はブログで補足する整理。書くのは良い部分をざっくり程度となるため、テイスティングレビューというよりコラムに近い構成になりますが、内容やラインナップに共感して貰えたら嬉しいですね。

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記念すべき連載一回目。掲載は巻末のほうかと思いきや、隣のページは吉村さんで、しかも一番開きやすいセンター部分。例えるならプロ入り1年目のピッチャーが、ブルペンでエースと一緒に投球練習をするような心境。。。になりましたが、自分の記事がこうして紙媒体に掲載されるのは本当に感慨深いです。(プロになったこともピッチャー経験もありませんがw)

チョイスしたのは、アバフェルディ12年とロッホローモンド系列の12年クラスで、ロッホローモンドやインチマリンを想定。
アバフェルディは今も昔も普通に美味しいハイランドモルトで、コスパも素晴らしいだけでなく、上位グレードとの共通点もある佳酒であることから。そして同じハイランド地方から、かつてはダンボールと呼ばれて珍味扱いされていた蒸留所ですが、近年好ましい変化が見られたロッホローモンドを。
どちらも記事化に当たって、外せないオフィシャルボトルだと思っていました。

一方オフィシャルスタンダードと言っても幅広く、もうひとつ基準に考えているのが、1本5000円台までの価格で販売されている、エントリーグレードであるということ。
例えば同じオフィシャルでも、スプリングバンクの10年は近年文句なく良くなったボトルのひとつですが、今回使わなかったのは8000円弱という価格が他のミドルグレードと同じ区分で整理出来てしまうためです。
同価格帯からカダム15年とか、ノッカンドゥ18年とかも。。。本当は使いたいんですけどね。5000~10000円のクラス、あるいはそれ以上の価格帯にも注目の銘柄は多く、そのうち各価格帯から1本ずつという形式にシフトしても面白いかもしれません。
他方、このあたりを制限しても候補は多いので、どれを取り上げるか悩むことにはなりそうです。


今回の話は、年に2回招聘頂いている、非公開のブラインドテイスティング会をきっかけとして、同会代表の谷嶋さんから頂きました。
これまで酒育の会と特段接点のなかった自分ですが、今までの経験を微力でも同会の理念に役立てられればと思います。
先に述べたように、最初はオフィシャルで最近注目している美味しい銘柄、面白い銘柄を中心に。その上で来年からは、日本のリユース市場に一定数以上在庫があるオールドボトルについても別特集で掲載していければと考えており、企画案は提出済みです。

なお、本著述については会社の許可をとった上で実施しています。今後は許可範囲内で、自分の時間のなかで無理なく参加させていただくつもりです。
そのため、締め切り前は執筆を優先するためブログの更新が止まるかもしれませんが。。。そこは察して頂ければ幸いです。(笑)
リカルでのくりりんも、よろしくお願いします!

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