ベリーシェリード シングルモルト 21年 ミシェルクーヴレー 45%
MICHEL COUVREUR
Very Sherried Single Malt's
Over 21 years
Landed Scotch Whisky
1990's
700ml 45%
グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み(Y's Land IAN)
時期:開封1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)
香り:どっしりとしたシェリー感、黒蜜を思わせる甘いアロマ。ナッツ、レーズンチョコ、オールドシェリーのほのかなヒネ感。実にリッチで濃厚な樽感がある。
味:カラメルソース、チョコレートクリームを思わせるしっとりとして濃厚な口当たり。序盤から中間はのっぺりとしているが、徐々に樽由来の風味、ビターなウッディネスが感じられる。
余韻はサラサラとした舌触り、ほのかにパフューム。レーズンチョコレートを思わせる濃厚な甘酸っぱさ、ウッディなえぐみを伴う。
とにかくこってりと濃厚なウイスキー。シェリーカスクとしての良さ以上に、カラメルソースをそのまま入れたような独特の濃い甘さがあり、中間で広がるモルトの風味を圧殺している。
フランスのボトラー、ミシェルクーブレ社の懐かしいボトル。この濃いシェリー感、コニャックのカラメル添加を思わせるこってり感は、スコッチのそれとは異なる同社の特徴という味わいで、この点からも懐かしさを感じる1本です。
ミシェルクーブレといえば樽へのこだわり「ウイスキーの95%は樽が決める」という信念で知られています。
創業者であるクーブレ氏は元々ワインビジネスで培ってきたコネクションを活かし、スペインからシェリーカスクを独自調達。別途調達した原酒をフランスにある自社のカーヴで熟成させていたわけですが、その信念の背景にはスコッチの熟成に対し差別化できるのは、自分が調達できる"最高の樽"というプライド、あるいはビジネス方針があったのではと個人的には感じています。
さて、その別途調達したという原酒が今回のポイント。
ミシェルクーブレ社において有名なのが、古代品種の大麦をハイランドパークでフロアモルティング(精麦)し、エドラダワーで蒸留、自社の調達の樽に貯蔵し熟成させた「シングル シングル ベレバーレイ」。それ故、この繋がりから今回のベリーシェリードシリーズもエドラダワーの原酒が使われているのでは、という説が愛好家の間で知られていました。
実際今回のテイスティングでは、ほのかにパフューミーな要素が奥にあり、エドラダワーの蒸留設備由来かと感じたところ。
しかしIANのマスター、横矢さんからこの説とは異なる証言が。
ミシェルクーブレ立ち上げ当初、クーブレ氏はスコッチ業界とコネクションが殆どなく、原酒調達にも苦労したそうです。そんな中、同氏の交友があった業界関係者にジョージ・グラント氏がおり、その繋がりからグレンファークラスの原酒を調達。
今でこそミシェルクーブレ社は多様な原酒を調達していますが、かつてのシリーズはグレンファークラスの原酒をフランスで熟成させたものという事に。これはジョージ・グラント本人から聞いた情報とのことで、信ぴょう性は高いと感じます。
その情報の元このボトルを飲んでみると、確かにファークラスを思わせるふくよかさ、ボディの強さはあるような。。。ただ、兎に角シェリー感と独特のカラメル感が濃く、よくわからんというのも感想ではあります(笑)。
近年の同社のボトルは、比較的若く、樽感の薄いものが増えてきました。見た目濃いものもいくつかありますが、今回のような特濃なモノは最近のリリースで記憶になく。
この懐かしい味わいは、締めの一杯としてぴったりです。