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MADEIRA WINE
Verdelho vintage 1850 
Pereira D'Oliveiras(Vinhos)
Matured over 150 years in old oak casks
Finest & Oldest
750ml 20%

約160年前に醸造されたビンテージマディラワイン。
ある日のBAR ウォッカトニック。この日はこの日で素晴らしいお酒を散々飲んでいたのですが、しれっととんでもないものが出てきて、感動と話題をかっさらっていきました。

今まで飲んだことがあるウイスキーで最も古かったのは、1910年代のデュワーズかグレングラント。
ワインだと、出産祝いで1杯頂いた1900年代のポートが最古だったと思います。
全ての酒類において、1800年代なんて未知の領域。その熟成がどのような境地に辿り着くのか、いつか飲んで見たいと思ってはいましたが。。。出会いというものはいつだって唐突です。
まして目の前でそのボトルが抜栓される瞬間に立ち会えたわけですから、これ以上ないライブ感に味への期待が高まりまくりです。

"開栓したマディラをサーブするマスター。サーブ前の状態確認テイスティングで満面の笑みが溢れ、それを微妙に引きずっている1シーン。"

ペレイラ・ドリヴェイラは1850年に創業した歴史ある製造元。つまり今回のボトルはその創業年に仕込まれたワインということになります。
1850年は立派な江戸時代、黒船が来る3年前で、あまりに古すぎて目の前にあるボトルとの時間軸がピンときません(汗)
しかし、さすがに160年以上も熟成させたワインは終わってるんじゃ無いかと身構えてしまいますが、マディラワインにおいてその品質は「ほとんど不滅」であり、1900年以前の逸品の味わいは「生涯忘れ得ぬ至福」とまで言われているそうです。

香りは150年以上の時を経ているとは思えないほどフレッシュさがあり、同時に奥深いコク、黒蜜を思わせる甘みと凝縮感。熟成を経ることで逆に洗練されている印象すらあります。
一呼吸置いて立ち上がってくるブルーベリージャム、葡萄、ほのかに黒酢のようなアクセント。スワリングすると土っぽいウッディネスとローストアーモンドを思わせるスモーキーな燻香、時間経過でさらに酸味と甘みが開く。 
口に含むとコクのある甘みを下支えに、しっかりと酸味、梅干し、木苺、黒蜜。余韻にかけて金属味が舌先に残り、柔らかい渋みとタンニンが甘酸っぱい風味と合わせて長く感じられます。

いやぁ、とんでもないですね。
ボトリングは比較的近年で、流石に全期間樽熟成ではなく、味に感じる金属味などからタンクでの貯蔵(あるいは、昔の樽には釘が使われていたという話もあるので、それ由来か)もあったと思いますが、中辛口のマディラであることもあって、時間経過でぐんぐん果実味あふれる酸味が開いてきて、その奥にある深みのある甘みと合わさって世界を作り出しています。
これが生涯忘れ得ぬ至福の一つ・・・思わず終電を逃すほどにトリップしてしまいました。

ちなみに、このマディラワインの前にサーブ頂いたのが、写真のシャトー・ディケム1981です。
ウットリするような深い甘み、上品な果実香に溢れており、その余韻がしみじみと身体に染み渡ったところで、満を辞してビンテージマディラで締める。極上の甘みから酸味へ、一つのコースのようなこの組み合わせが、後に続く味わいをより高めてくれていたように思います。

ウォッカで飲むとこういう経験が普通にあるのが、これこそ家飲みでは味わえないBARで飲む楽しさ、喜びの一つと感じます。
素晴らしい体験をありがとうございます!