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キャパドニック 14年 1977-1992 ケイデンヘッド 60.5%

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CAPERDONICH 
CADENHEAD'S 
AUTHENTIC COLLECITON 
AGEd 14 YEARS 
Distilled 1977 
Bottled 1992 
Cask type Sherry Oak 
700ml 60.5% 

グラス:木村硝子
時期:開封後10年程度
場所:自宅
評価:★★★★★★(6ー )

香り:ハイトーンで強いアタック。ローストしたアーモンドや麦芽のクッキー、かりんとうを思わせる香ばしい甘さがあり、その奥にはリンゴのカラメル煮、エステリーなフルーティーさも潜んでいる。

味:スウィートでリッチな口当たり。経年故に序盤はマイルドだが、徐々にハイプルーフらしくヒリつくような刺激を伴う。ボディは骨格がしっかりとしており、レーズンやオレンジを思わせるドライフルーツの甘み、微かに黒糖かりんとう。口内で膨らむように広がる。
余韻はスパイシーでシェリー樽由来のウッディな甘さに加え、焙煎麦芽を思わせるほろ苦い香ばしさが長く残る。

この時代のケイデンヘッドリリースらしく、開封直後はパワフルでバッチバチ。樽感は淡いがシェリー系で、硫黄要素が樽由来の甘みの中に目立つ、中々扱いに困るボトル。ただ、時間経過で随分こなれて美味しく頂けるまでに変化した。時代的に酒質に厚みがあることもあって、少量加水すると樽由来の甘み、フルーティーさが香味とも開き、高度数故の刺激も収まることで全体のバランスが極めて良くなる。


ケイデンヘッドからリリースされていた、オーセンティックコレクションシリーズ。通称グリーンケイデン。
黒ダンピーボトルの後継として、主に1990年代にリリースされていたもので、蒸留時期としては1970~80年代、熟成年数10~20年程度の、比較的短熟~中熟クラスのカスクストレングスが多いという特徴があります。

また、蒸留時期がシェリー樽からバーボン樽にシフトする狭間の期間にあったためか、熟成に使われている樽は一部長熟モノを除きリフィルシェリータイプ(中にはサードフィルっぽいものも)を主とするのも特徴の一つ。よってシェリー系の香味がメインにあるわけではなく、現在のようなアメリカンオークの華やかでオーキーな香味というわけでもない、樽香のプレーンなリリースが多くありました。

これらの特徴から、同シリーズは開封直後はとにかく高度数と熟成年数の若さからくるバチバチとした刺激が強かったのですが・・・それが逆に、樽出しとは、酒質由来の香味とはこういうものだと、あるいはボトラーズリリースとはこういうものだと。総合的な完成度として熟成のピークを見極めたというより、多少の粗さは目をつぶりつつ個性を楽しめる時期に入ったからリリースしたという、オフィシャルとは評価軸の異なるリリースが、グリーンケイデンの魅力だったとも感じています。
この辺は、シェリー系でも濃厚なタイプが多かったGM、樽だけでなく加水にも抵抗はなかったシグナトリーらとは異なるベクトルだったと言えます。

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(我が家のグリーンケイデンたち。。。7年前時点。当時は60年代の長熟が注目の主流で、ちょっと外れた時期のグリーンケイデンは、そこまで高騰していなかった。行きつけのBARにモノが多くあったことや、このデザインが好きでかなり飲んだボトルである。)

前置きが長くなりましたが、こうした特徴に対して、このキャパドニックがどうだったかと言うと、だいたいは上記で述べたスタイルに合致して、その他ボトラーズリリースに見られる熟成したスペイサイドモルトのフルーティーさとは違い、モルティーな厚みが楽しめるタイプ。経年からアルコールが抜けてスカスカというわけではなく、55%くらいは残っているように感じます。
また、開封直後はシェリー感にネガティブな部分も多少あったわけですが、これがかなり時間をかけて抜けた結果、ドライフルーツ系の香味の要素の中に、かりんとうを思わせる香ばしさといったフレーバーに繋がっています。

先日キルホーマン・サロンドシマジ向けのレビューでも触れましたが、硫黄は適度に抜けてくれれば、後はそれが香味の下支えになって全体の厚みにも繋がってくる。このボトルはとにかく時間がありましたが(汗)、瓶熟の可能性を含めてしっかりと楽しませてもらいました。

リンクウッド 27年 1992-2019 ザ・ニンフ forハリーズ高岡 46.9% #5282

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LINKWOOD 
The Nymph "Blue Dun" 
Aged 27 years 
Distilled 1992 
Botlled 2019 
Cask type Hogshead #5282 
For Harry’s Takaoka 
700ml 46.9% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:オーキーでエステリー、ドライで華やかな香り立ち。じわじわとファイバーパイナップルやアプリコットなどのドライフルーツ、微かにすりおろしたリンゴや麦芽の甘やかなアロマ。オーク由来のハーブを思わせる要素も混じる。

味:香りはドライ寄りだが、口当たりはクリーミーで柔らかい。ナッツをまぶした焼き洋菓子の香ばしさ、熟した洋梨の柔らかい甘酸っぱさと蜜のような熟成感のあるフレーバー。ボディはミディアム程度。じわじわとほろ苦いグレープフルーツやオレンジピールの柑橘感を感じるウッディさ。微かなピート香が余韻にかけて感じられ、軽い刺激と共に全体を引き締めるようにまとまっていく。

自分の好きなタイプのリンクウッド。アメリカンオークとリンクウッドの組み合わせの代表的なフレーバー構成。そこに麦感の甘味がオーク由来のフルーティーさ、ウッディネスに混じり、華やかさ、果実味、軽い香ばしさと麦芽風味、そしてビターなフィニッシュへの変化を味わうことができる。度数は46.9%と下がっており、余韻は多少弱くもあるが、逆に飲み口の柔らかさとの一体感、バランスの良さに通じていて杯が進んでしまう。加水には向いておらず、ストレートでじっくりと楽しみたい。

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若鶴酒造・三郎丸蒸留所の稲垣マネージャーが、独身豚ことモルトヤマの下野さんと立ち上げたオリジナルブランドのファーストリリース。昨年スコットランドで確保してきた1樽で、若鶴酒造と同じ系列のBARである Harry's Takaoka(ハリーズ高岡)向けのプライベートボトルとして、5月18日にリリースされたばかりの1本です。

今回のリリースは、事前予告なく若鶴酒造、モルトヤマで一般販売が開始されたのですが・・・公開から約30分で完売。
リンクウッドにバーボンホグスヘッドという間違いない組み合わせに加え、最近リリースの少なくなってきた1990年代前半蒸留の中長熟モルトなら、今の相場だと2万円前半してもおかしくないのがあの価格。記載間違いか、味や品質の訳あり樽なのではと思った人も少なくないのではないでしょうか。

味については、レビューに記載のとおり問題なし。価格については「今回は運が良かった」との話を聞いていますが、ウィックおよびリラックスというグループ傘下の系列企業によるメーカーとのコネクション、輸入・流通で独自の強みがあるとしたら、今後のリリースにも期待が持てますね。



ブランド名となっている「Nymph(ニンフ)」は、ギリシア神話で川や泉に住むとされる妖精の名前です。そうした精霊はウイスキー樽にも住んでいるのではないか、というイメージから、ニンフが住む樽のウイスキーをリリースするというのが、ブランドコンセプトのようです。
とするとラベルに描かれるのは、当然美しい妖精の姿・・・かと思いきや、描かれているのは”毛鉤”。ご存じの方も多いと思いますが、川に住むトビケラやカゲロウなどの羽虫を総称してニンフとも呼び、その羽虫の姿をベースにした毛鉤もまた、ニンフと呼ばれているのです。(ブルー・ダンはそのニンフフライの配色と種類にあたります。)

先日、ラベルデザインとともにこのリリースの話を聞いた時は、「スコットランドはサーモンやトラウトフィッシングのメッカだし、ウイスキー好きは釣り人も多い。良いブランド名じゃないですか。」なんて返していた、学の無い趣味人な私。。。
稲垣さんも釣り好きだし、ラベルも毛鉤だし、マジで違和感なかったんですよね。
それが蓋を開けたら妖精ってどういうことやねんと。いや価格だけでなく味も良いので、妖精が住んでる樽として文句はありません(笑)。

近年多く見られるプレーンで主張の乏しいリンクウッドと違い、程よく残った麦芽風味、ほろ苦いウッディネス、しっかりとした熟成感にオールドスタイルなリンクウッドにも似た個性を感じます。
度数落ちは組み直しのホグスヘッド樽によくある仕様とはいえ、しかしこれが適度な落ち具合。抜けた感じ、枯れた印象は目立たず、アメリカンオーク由来のオーキーなフルーティーさとナッツを思わせる軽い香ばしさ、そしてクリーミーな麦芽風味とウッディネスが熟成を経て混ざり合う。2杯、3杯と杯の進む飲み口でありながら、シングルカスクらしい主張の強さも適度に感じられるバランスの良さが、このリリースのポイントです。

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(富山県高岡市駅前、BARハリーズ高岡のバックバーの一部。ウイスキーBARとして本格的に動き出してから3年間でみるみる増えた。近年リリースのボトルに限れば、日本全国でもこれだけボトルが揃うところは少ない。今回の1本は、同店にとっても待望のプライベートリリースとなる。)

一方、今回のリリースで謎なのが、27年熟成で300本というボトリング本数。ホグスヘッドなので250リットル容量として、年1%のエンジェルシェアで計算しても27年で180~190リットル、250本程度しか残らない計算になります。
つまりよほど水分の揮発が少なく、アルコールの揮発が多い環境にあった樽ということになるのですが、実はメーカー側から聞いていた本数にブレがあったそうで、300本と言われてラベルを作ったところ、最終的にはそれより少ない本数に落ち着いたのだとか。
うーん、なんというスコットランドクオリティ(汗)。

とはいえ熟成した原酒の確保が難しい状況下で、これだけの原酒をあの価格でプライベートボトルに出来たハリーズ高岡さん、なにより稲垣・下野ペアの引きの良さには軽く嫉妬してしまいそうです。
評価は、価格の件があるので(!)は確定。自分が大好きな味の系統なのもあって、★6からプラスで6.5前後のイメージ。もっとガツンとくる50%オーバーが好みの人には物足りないかもしれませんが、麦感とフルーティーな甘酸っぱさが苦味へと変化していく流れが、古典的なスペイサイドモルトを連想させて個人的にどストライクなのです。

あとは香りが注ぎたてから甘やかに広がれば★7固定なのですが、そこまで求めるのは無粋というものですね。従って7に近い6ということで。
時期は不明ながら、ニンフシリーズは次のリリースも予定されていると聞いていますので、次回作が今から楽しみです。

リトルミル 23年 1988-2012 ダンスシリーズ 54.7%

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LITTLEMILL 
The Dance 
Aged 23 years 
Distilled 1988 
Bottled 2012 
Cask type Bourbon Hogshead 
700ml 54.7% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:ケミカルなニュアンスと共に、華やかなオーク香。微かにハーバル、ジャスミンのようなアロマ。フルーティーさはキャッチーなタイプで、メロンやオレンジキャンディ、和紙紙系のニュアンスを伴う。

味:オイリーな口当たりのなか、駄菓子のオレンジやパイナップルフレーバーを思わせるケミカルなフルーティーさ。余韻にかけて果実の皮を思わせるほろ苦いウッディさ、ハーブ、オーク由来の華やかさがアクセントとなって長く続く。

最近で言うところのジェネリックトロピカル系統。樽感は程よく、リトルミルらしい紙感や、人工的というか薬っぽいケミカルなフルーティーさを主とするタイプ。ただ、オイリーで粘性を感じる口当たりと、ケミカルな要素があざとさにも感じられる。この辺りのキャラクターが、一部の愛好家から熟年の人間を連想させると言われる所以だろう。
加水すると一瞬薬っぽいアロマ、若干ネガティブな風味も出てくるが、すぐに軽やかなフルーティーさ、オーク香が広がる。

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酒置場整理してたら出てきたシリーズ。1994年に閉鎖されたローランド地方の蒸留所、リトルミル。
リリース当時は「最近リトルミル増えてきたよね」なんて、食傷気味ですらあったのですが(市場でも余っていましたが)、5年強経過した現在は閉鎖蒸留所としてオフィシャル、ボトラーズとも価格急上昇中。気が付けば高値の花という蒸留所になっています。
それこそ、昨年発売されたオフィシャルの40年や29年なんて、同じ蒸留所とは思えない価格設定でした。

リトルミルの特徴は、ダンボールだとか紙っぽさだとか、とても食指が動かないような個性的なフレーバーで語られていました。
しかし最近は潮目が変わってきて、「トロピカルなフルーティーさ」などのフルーティーなフレーバーとセットで語られることが増えてきています。
リトルミルのリリースを購入またはBARで注文する際、近年では前者のニュアンスを多少折り込みつつ、後者の個性を強く期待して・・・と言う方も多いのではないでしょうか。
この状況、昔はパッとしないクラスメイトが、同窓会で会ってみたら流行りのファッションを着こなして180度印象が変わっていたような感じと言いますか、あれ?お前こんなだったっけ?みたいな。記憶にある姿とのギャップを感じる古参愛好家も少なくないと思います。

リトルミルの酒質、系統はアイリッシュ寄りの個性があり、若い時はそこまでフルーティーでもなく、むしろ紙っぽさや植物感等”○○警察出動”な要素が目立ちますが、熟成を経て樽由来の風味と交わって熟成感が出てくると、次第に”ジェネリック・トロピカル”とも言われるフルーティーさや、モノによってはよりはっきりとしたトロピカルフレーバーが備わってくるように感じています。



今回のボトルは、その例に漏れずジェネリック系です。
一方で、上の記事にもあるように、昨年オフィシャルからリリースされた29年熟成のリトルミルなど、30年近い熟成年数となるものには、60年代蒸留のモルトに通じるようなトロピカルフレーバーが感じられるものもあります。 80年代以降の蒸留でありながら、なぜこうした個性が生まれたのかは謎ですが、ローモンドスチルを用いた独特な蒸留方法が影響しているのかもしれません。

それを裏付けるように、リトルミルの個性は後継の蒸留所であるロッホローモンドに受け継がれており、原酒の作り分けでリリースされる現在のインチマリンが、熟成したリトルミルに最も近い個性を持っていると感じています。
同蒸留所は、2000年代以降蒸留のシングルカスクやシングルモルトから酒質が向上しており(理由は不明)、インチマリンの場合は蒸留方法の工夫や樽使いから、若い熟成年数であってもフルーティーさがはっきり出ているものもあります。最近はオフィシャルの12年に次いで、2000年代の原酒の比率が増えてきた18年も徐々にフルーティーになってきました。

以前セミナーで聞いた話では、現存するリトルミルの原酒は、1990年代のものはまだあるが、80年代以前はほとんど無いとのことです。現在のブランド戦略から考えれば、残された原酒はリミテッドリリースとして、とんでもない価格でリリースされていくのだと思います。
しかしその個性を楽しみたい人はロッホローモンド(インチマリン)がある。 まだボトラーズ含めて該当する蒸留時期のリリースの少ない蒸留所ですが、今後2000年代以降の原酒が、20年熟成、30年熟成と育つ中で、より明確に好ましいフルーティーさを纏っていく姿を、過去にリトルミルにあった変化から期待したいです。

ボウモア 14年 1997-2011 セレブレーションカスク for 信濃屋 60% #80028 

カテゴリ:
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BOWMORE 
CELEBRATION OF THE CASK 
For SHINANOYA 
Aged 14 years 
Distilled 1997 
Bottled 2011 
Cask type Hogshead #80028 
700ml 60%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後2年程度
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:ハイプルーフ故に鼻腔を刺激する強さと、バニラなどの樽由来の甘さ、微かに薪の灰。シトラスやグレープフルーツを思わせるニュアンスを含んだピート香。磯っぽさと魚介粉末のようなアイラ要素の奥には、古典的な麦芽風味に通じるアロマも潜んでいる。

味:ハイプルーフらしく強い口当たり、塩気を伴うオイリーさ、燻した麦芽のほろ苦さとピートフレーバー。ヨードや魚介系のニュアンスを強く感じる含み香が続くが、グレープルーツ系の果実感、仄かにトロピカルなフレーバーもあり、ボウモアらしさに通じるアクセントになっている。
余韻はスパイシーでピーティー。口内がひりつようなフィニッシュだが、フルーティーさの残滓がピートフレーバーと合わさって長く続く。

香味の傾向としては、アメリカンオーク系フレーバーにボウモアの組み合わせという、ブラインドで最も正解率が高いだろうアイラモルト王道的な組み合わせの1つ。中身はやや粗さの残るボウモアだったが、経年変化(瓶熟)によってか多少丸くなっており、それによって奥に押し込まれていたベース部分の酒質由来の麦芽風味、オイリーな質感を伴うアイラフルーツとピートフレーバーが感じやすくなっている。加水も少量までならさらに香りの開きがある。グラスで時間を置いた際もいい変化が見られたので、まだ時間を置いても良いかもしれない。その時まで残っていればだが・・・。

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GWはステイホームということで、自宅で微妙な量を残したままになっているボトルや、頂いたテイスティングサンプルを楽しませてもらいました。
今回のボトルは、その飲み残しボトル1本。信濃屋向け・セレブレーションカスクのボウモア1997。最近めっきり見なくなった90年代ボウモアですが、これは当時飲み進まなかった1本。それがレビューの通り、瓶熟を経て結構良くなっていたのです。

発売当時はキャンベルタウンロッホの1993を筆頭に、1990年代蒸留ボウモアが注目された時期。脱パフューム、60年代への回帰、まあとにかく様々なリリースがありましたね。この信濃屋向けは、イベントあたりでサンプルを飲んで、これ結構良いじゃんと購入したボトルだったのですが・・・。開封直後の印象は、アルコール感が強く、ドライで果実味よりも塩気やピートフレーバーのほうが強く出ている印象。なんというか旨みが薄く感じられてあまり飲み進まなく、当時はハイボールで消費しきったと記憶しています。60%あったので、凶悪に酔えたんですよねぇ、これ(笑)。

97、98、99と、90年代後半あたりのボウモアは、90年代初頭から中頃に比べて味の幅というか、ボディが薄いものが増えていくので、樽次第でフルーティーなフレーバーが際立つ反面、それを外したボトルも散見されるのが、特に1997年のボウモアの特徴でもあります。
今回のボトルはホグスヘッドで14年熟成。王道系の味わいですが、使われていたのがバーボンバレルか、あるいはもう3~4年熟成していたなら、開封直後からわかりやすくフルーティーで美味しいボトルだったのではと思います。少なくともリリース当時は、樽感に対して、度数の強さが勝ってしまっていたのです。

このボトル、諸事情により2本あって、残っていた1本を1年半くらい前に開栓。開封直後の印象は当時とあまり変わらず。。。しかし約8年の瓶熟(うち、約2年弱の開封後放置)が変化を与えており、久々に飲んでみると先に触れた若さ、強かったアルコール感、ドライさが収まり、その奥にあったコク、魚介系のニュアンス、古典的なボウモアのフルーティーさに通じる要素が開いてきていました。そういえば試飲して感じた印象ってこんな感じだったなと。記憶はあいまいですが・・・。

おそらく、試飲の時は、飲んだのがカスクサンプルだったか、イベントでの輸送や環境によって結果的にこなれたような感じになっていたのでしょう。回り道はあったが、その状態に時間をかけてたどり着いた。度数の高さ故に経年変化を許容出来たことも、今のボトルの状態に繋がっていると思います。
先日、Wu Dram Clan向けハイランドパークのコメントで、瓶熟に関する質問を受けたばかりでしたが、思いがけずその事例を楽しむことが出来ました。

スプリングバンク 19年 2000-2020 ”鹿バンク” 50.8%

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SPRINGBANK 
Aged 19 years  
For Wu Dram Clan (Kyoto Fine Wine & Spirits)
Distilled 2000 
Bottled 2020 
Cask type Refill Sherry Hogshead #699 
700ml 50.8%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:自宅@サンプル
評価:★★★★★★★(7)

香り:微かに青みがかっているが、メインは香ばしいカルメ焼きやライ麦パンを思わせる麦芽香。バンクらしい蝋っぽいニュアンス。奥にははちみつやパイナップルを思わせる甘酸っぱさ、オークの華やかさもあり、ピートスモークと共に存在を主張してくる。

味:熟成感のしっかりとある濃厚な口当たり。とろりとした質感、アプリコットやパイナップルの甘酸っぱさとオークフレーバーのアクセント。合わせて香ばしい麦芽風味。余韻にかけてヒリヒリとする唐辛子系のスパイシーさに、土や焦げた植物を思わせるピート、香りで感じたバンクらしさが鼻孔に抜ける。

通好みで多層的なバンク。オフィシャル10年のようなバーボントロピカル全面路線ではなく、酒質の個性、ピート、それらを熟成して伸ばしたような味わい。序盤は一瞬若さを感じるが、時間経過で香りに華やかさと統一感、味わいにフルーティーさが感じられるようになる。ピート香は強くないが存在感があり、飲むほどに薫製香のようなスモーキーさも楽しめる。見た目も良く、中身も懐が深い、理想的なモルトウイスキー。

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ウイスキー繋がりで、O氏から頂いたスプリングバンク、通称”鹿バンク”のサンプル。
同氏は元々ワイン系では相当なストックを所有しているヘビードリンカーなのですが、数年前からウイスキーにも手を伸ばし、趣味が高じて酒屋まで開いてしまったという相当ぶっ飛んだガチ勢です。
そのO氏の営む酒屋”Kyoto Fine Wine & Spirits”が、ドイツ、シンガポールの有志と共にボトリングしたのが、今回のスプリングバンクになります。

近年のスプリングバンクと言えば、スタンダードの10年にあるようなバーボンオーク由来のフルーティーさと、麦芽由来の要素が混じったタイプが評価されていますが、このボトルは樽構成がリフィルシェリー(恐らくアメリカンオーク)ホグスヘッドであり、バーボンオーク系統とは少々異なる、酒質ベースの香味がメインで、そこに品の良いオーク香のアクセント。

序盤は若干の固さや樽由来と思われる青みがかった要素が感じられ、「おや?」と思わされるかもしれませんが、その香味は麦芽風味の厚さに由来してか、グラスの中でじわじわと変化。熟成感のある蜜のような甘味とフルーティーさ、華やかなオークフレーバーもアクセントとして伴って、異なる魅力を見せてくれます。
麦芽風味を主体としての奥行き、風味の引き出しの多さが、スプリングバンクらしさと言えます。

加えて、中身の良さに花を添えるラベルのセンスのよさ。スコットランドの精霊と言われても違和感のない、神秘的な印象さえ受ける鹿のイラストは、工芸画家・牟田陽日氏作のオリジナルで、O氏の依頼で描き起こした絵画。(牟田氏の作る陶器、工芸品は一見の価値ありです。)
このラベル案を初めて見せてもらったのは、今年の2月上旬。ほぼ同時期にマッスル3のラベル作りをしていた自分からすれば、完成度の差を見せつけられて。。。いやもう、軽く嫉妬しちゃいましたねw

まさにかつてのムーンインポート等に見られた、飲める芸術品の類。
今回、ご厚意からサンプルをいただき、「どれどれラベルは良いけど、中身はお手並み拝見ですね」なんて思ってましたすいません、文句のつけようがありません(汗)。内輪のボトルには多少厳しめに評価するところですが、これはもう・・・。強いて言えば、注ぎたては★6相当ですが、10分もしないうちに変化して、そのスケールの大きさと香味の多彩さで★7です。
外観、中身ともにあふれるセンスの良さ。価格は確かに高いですが、それに見合うこだわりを細部(外箱のシール)にまで感じることができる1本です。

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ご無沙汰しております。
随分更新が開いてしまいました。多分このブログが始まって5年、ここまでの長期間更新無しは初じゃないでしょうか。
まず、生きております(笑)。話題のウイルスに感染して隔離されたとか、そういうことではありません。

本業のほうで大きな仕事にぶち当たり、コロナ禍に伴う計画全面見直し、テレワークの緊急導入に伴う混乱。。。作業員が削減されて、仕事量が増えたと言いますか。完全に1日のサイクルが仕事と睡眠になっていました。
休日であっても気軽に仕事が出来てしまうし。。。。マジでテレワーク考えものですよ。
生活のリズムがガラッと変わってしまった1ヶ月、仕事、家庭、そして趣味、こんな非常事態だからこそ、整理しないといけないなと色々考えさせられた期間でした。
ブログの方は、ぼちぼちやっていきます。

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さて、前置きがなくなりましたが、今日のオマケは、ルスタウのアルマセニスタのオールドボトル。年代は不明。ミリオンさんじゃなくて、HATTA SHOTEN名義というところに時代を感じる、ドライタイプのオロロソシェリー。
澱がかなり出てるので、ワインのようにパニエを使って斜め置き。ドライオロロソってそこまで魅力を感じなかったのですが、これはすごく良いですね。長熟酒精強化ワインにあるぞくぞくするような熟成香に、アーモンド、ドライフルーツを思わせる酸味。食後酒だけでなく、食中酒としても大活躍でした。
こういうシェリーが熟成されていた樽を使ったウイスキーは、きっと美味しくなるのでしょう。

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