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ベンネヴィス 25年 1990-2015  Mr,竹鶴シングルカスク 61.3%

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BEN NEVIS 
Mr,TAKETSURU'S SINGLE CASK 
Aged 25 years 
Distilled 1990 
Bottled 2015 
Cask type Remade Hogshead #1 of 1990 
Bottle No, 44/235 
700ml 61.3% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:ー
暫定評価:★★★★★★(6ー7)

香り:焦がした木材、松の樹皮を思わせるウッディネス、ローストアーモンドやキャラメルを思わせるほろ苦さと甘さ。じわじわとオレンジやパイナップルキャンディの人工的なフルーティーさを伴うアロマ。微かに溶剤的な刺激も感じる。

味:とろりとした口当たりから、ウッディでビター、軽いスパイシーさを感じる。新樽系のウッディさに続き、ケミカルなシロップを思わせる甘味とフルーティーさ。それらは風邪薬シロップのミックスフルーツ味ようである。
余韻はビターなウッディネスに加え、舌の上でひりつくようなアタックがケミカルシロップの残滓と合わさって長く続く。

樽由来の要素のなかに、ベンネヴィスらしい特徴的なフルーティーさを感じるボトル。リメードホグスヘッド樽(鏡板が新樽)で熟成されているため、新樽香がアクセントとなって、ニッカらしいビター武骨な要素を伴う。度数もあってストレートではウッディな苦味と堅さ、アタックの強さもあるが、少量加水すると薬品シロップのようなフルーティーさが全面に広がり、好ましい変化がある。

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2014年12月に90歳で天寿を全うされた、竹鶴政孝氏の甥にして、後に養子となる竹鶴威氏。同氏のベンネヴィス蒸留所との繋がりから、2015年に235本のみボトリングされたのが今回の1本です。

裏ラベルを読むと、ニッカウイスキーが1989年に傘下としたベンネヴィス蒸留所における、竹鶴威氏の業績(1986年から休止中だったベンネヴィス蒸留所の再稼働にあたり、マッシュタンの交換やビジターセンターの新設を行ったこと等)に加え、この樽が蒸留所が再稼働した1990年の1樽であり、当時ニッカの副会長かつベンネヴィス蒸留所の会長でもあった竹鶴威氏が所有していた1樽であることが書かれています。

カスクナンバーである1 of 1990については、"1番目"と"1990年のうちの1つ"のどちらの意味でも読めますが、類似のリリースとして同時期蒸留で2014年にボトリングされたThe President Cask は No,2 of 1990 となっていることから、前者の意味と考えて間違いないと思われます。
つまりベンネヴィス再稼働の日は蒸留所買収から約1年後の1990年9月、蒸留器から流れ出た最初のスピリッツを樽詰した蒸留所にとっても記念の1本であるわけです。

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さて今回のボトルで特徴的なのは、ニッカでは定番ながらスコットランドでは珍しいリメードホグスヘッド樽(鏡板をアメリカンオークの新樽とした、バーボンホグスヘッド樽)で熟成されているということ。そし現在の90年代蒸留ベンネヴィスの個性として知られているケミカルなフルーティーさが、蒸留所を再稼働した最初の蒸留からしっかりと出ているということです。

新樽は強めに樽感が付与されてる傾向があるのは、余市等その他のリリースでもレビューの通りですが、それが鏡板のみであっても流石に25年の熟成。熟成感に加えニッカらしいウッディネスがしっかりと備わって、ちょっと樽が強くビターな味わいは、開くのに時間がかかるような印象も。。。
ただ、このニッカらしい樽感と個性的なフルーティーさが合わさった構成故、同時にテイスティングしたメンバーからは、ピュアモルト竹鶴そのものという声もあったほどでした。

実際のところ竹鶴17や21年には、余市の新樽や宮城峡のリメード樽など、熟成したモルトの異なる傾向のフルーティーさもあるため、必ずしもベンネヴィスがそれを形成しているわけでは無いと思いますが。そうした邪推はさておき、ラベルは竹鶴威氏の肖像で非常に雰囲気があり、ニッカファンなら間違いなく高まってしまう、垂涎の1本。
同蒸留所再開後の最初の一樽としてだけでなく、ニッカウイスキーとベンネヴィス、両社の発展に貢献した竹鶴威氏に捧げる一樽として、これ以上ない構成となっています。

惜しむらくは日本での販売がなかったため、このボトルそのものの存在が知られていないということ。時期的にはマッサン放送直後なのだから、故人の話とは言えバブル的な注目を受けるようなリリースだったはず。。。
まあ、現親会社であるアサヒビールはベンネヴィスブランドを重要視しておらず、蒸留所と不仲であるという話もあり、なんとなく複合的な要員が背景にありそうだなぁと推察しています。実際、リニューアルしているオフィシャル10年が未だに日本には入りませんし。ベンネヴィス名義のブレンデッドをPRせず、結婚式やパーティー会場での飲み放題要員としてあてがっている点が、ベンネヴィス側には不評という話も聞いたことがあります。

いずれにせよ、現在の関係はともかく、竹鶴威氏が現地の発展に貢献した偉人として評価されたからこそのリリースです。それをレビュー出来たのはブロガー冥利に尽きる機会でした。
なお、テイスティングは年末に開催された持ち寄り会で機会を頂きましたが、その場で開封という瞬間にも立ち会わせてもらい、持ち主の男気に感謝しかありません。貴重なボトルをありがとうございました。

2019年を振り返る ~印象に残ったボトルや出来事など~

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1年があっという間に過ぎ去ってしまった・・・なんてことを毎年呟いている気がしますが。(もう歳だなぁ・・・とも)
日々こうしてブログを更新していると、過ぎ去ってしまった時間の存在を実感出来る、日記的な感覚があったりします。

2019年に更新したレビュー数は270程度、総数は1500を越えました。うち投稿していない銘柄もあったりで、何だかんだ500銘柄は飲んでいると思います。
また、今年はブログ活動をしてきた中でも、最も繋がりの広がった年で、楽しいことも多かったですし、考えさせられる事柄も少なからずありました。
2019年最終日の更新では、これら1年で経験したことの中から、印象に残っている出来事やボトルをまとめて振り返っていきます。

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■Liqulの執筆開始&グレンマッスルのリリース
最も印象的だった出来事は、勿論この2つ。
まずひとつ目が、酒育の会の代表である谷島さんからお声がけいただき、Liqulでオフィシャルボトルレビューの執筆を開始したこと。
同紙がWEB媒体へと移行する来年からが本番なので、今年は準備運動的な意味合いもありましたが、業界で活躍されている皆様と一緒に活動することができたのは、大きな刺激になりました。

また、執筆にあたりアイコンを新垣先生に描いて貰えたのも、ウイスキーの縁で実現した出来事のひとつです。
某海賊漫画風くりりん似顔絵。個人的にはすごく気に入っているものの、仲間内から「こんな悪い表情出来てない」と言われておりますがw
2020年最初の記事は既に入稿済みで、先日リニューアルが発表されたアランの新旧飲み比べが掲載される予定です。

そしてもうひとつの出来事は、オリジナルリリース「グレンマッスル18年ブレンデッドモルト」が実現したことですね。
宅飲みした際の酔った勢いで始まった計画でしたが、愛好家にとってのロマンをこうして形に出来たことは、ブログ活動というか人生の記念になったといっても過言ではありません。
実現に当たってご協力頂いた笹の川酒造、ならびに福島県南酒販の皆様、本当にお世話になりました。。。

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グレンマッソー18年は、国内で3年以上貯蔵されていたものとはいえ、輸入原酒(バルク)を使ったブレンデッドモルトウイスキーです。
突き抜けて旨いリリースとは言えませんが、キーモルトを探るミステリアスな面白さに、嗜好品として楽しんでもらえるバックストーリー。加えて香味にも流行りの系統のフルーティーさがあり、一定レベルのクオリティには仕上がっていたと思います。

何の思い入れもなくとりあえずサンプルだけ手配して、複数のなかから比較的まともなものを選んで・・・というような選定方法では、我々愛好家側の色は出せないと思っての”ブレンド”というジャンルでしたが。SNS等で「今年印象に残ったウイスキーのひとつ」と、何人かに言って貰えていたのが嬉しかったですね。
そして第一歩が踏み出せたことで、それに続く新しい動きもあり、来年はそのいくつかを発表出来ると思います。我々の作った味がどんな感想をいただけるのか、今から楽しみです。

※参照記事

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■ジャパニーズウイスキーの定義とワールドブレンデッド
さて、輸入原酒と言えば、2019年は輸入原酒を使いつつ「ジャパニーズ的な名称を用いたリリース(疑似ジャパニーズ)」が、前年以上に見られたのも印象的でした。
一部銘柄に端を発し、ウイスキーの成分表記についても少なからず話題となりました。こうした話は、すべて情報を開示したり、事細かに整理したからといってプラスに働くものとは限りませんが、法律上の整理と一般的なユーザーが求める情報量が、解離してきているのは間違いありません。
今の日本は、昭和のウイスキー黎明期ではないんですよね。

一方で、大手の動きとしてはサントリーが「ワールドブレンデッドウイスキー AO 碧」を新たにリリースしたこともまた、2019年の印象的な出来事のひとつだったと感じています。
ワールドブレンデッド表記は、自分の記憶ではイチローズモルト(ベンチャーウイスキー)が2017年頃から自社リリースに用い始めた表記。ジャパニーズウイスキーブームのなかで、それとは逆行するブランドを業界最大手であるサントリーが立ち上げたのは驚きでした。

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ウイスキー文化研究所ではジャパニーズウイスキーの定義作りが進み、既に素案が公開されている状況にあります。
来年のTWSCはその定義に基づいてカテゴリーの整理が行われていますし、4月にはジャパニーズウイスキーフェスティバルが開催される予定であると聞きます。

シングルモルトウイスキーでは、産地が重要な要素となるため基準に基づく産地呼称等の整理が必要ですが、ブレンデッドはジャパニーズだけでなく、広い視点で考えなければならないとも思います。
他産業ではMade in Japanブランドが世界的に強みと言っても、日本製のパーツや材料が評価されている部分もあれば、国内外問わず作られたそれらを、日本の技術や品質追求の考えの下で組むことで形成されている部分もあります。
サントリーの碧を始め、ワールドブレンデッド区分のウイスキーは、日本の環境だけでなくブレンド技術という日本の技をブランドに出来る可能性を秘めたジャンルと言えます。

つまり輸入原酒(バルクウイスキー)もまた、使い方次第で立派なブランドとなるのですが、問題なのは酒ではなく”売り方”。どこのメーカーとは言いませんが、海外市場をターゲットに、紛らわしいを通り越したえげつない商品をリリースしている事例もあります。
現在作られている基準をきっかけに、そうした整理にもスポットライトが当たり、業界を巻き込んだ議論に繋がっていくことを期待したいです。

※参照記事

■2019年印象に残ったウイスキー5選
小難しい話はこれくらいにして、行く年来る年的投稿ではお決まりとも言える、今年印象に残ったウイスキーです。
まず前置きですが、今年は冒頭触れたとおり、500銘柄くらいはテイスティングをさせていただきました。
中には、サンプル、持ち寄り会等でご厚意により頂いたものもあります。皆様、本当にありがとうございました。

オールドの素晴らしいものは相変わらず素晴らしく、そうでないものはそれなりで。一方ニューリリースでは原酒の個性が弱くなり、ボトラーズは特にどれをとってもホグスヘッド味。。。のような傾向があるなかで、それを何かしらとタイアップして売るような、ラベル売り的傾向も目立ちました。
市場に溢れる中身の似たり寄ったりなリリースに、食傷気味になる愛好家も少なくなかったのではないかと推察します。

その中で、今年印象的だったボトルを年始から思い返すと、オフィシャルリリースや、作り手や選び手の想いが込められたものほど、そのバックストーリーの厚みから印象に残りやすかったように思います。
個人的な好みというか、その時その時の美味しさだけで選ぶなら、カテゴリーから上位を見てもらえれば良いので、面白味がありません。味以外の要素として、そのリリースに込められた情報、背景、個人的な思い入れ等も加味し、”印象に残ったウイスキー”を選んでいきます。
なお先の項目で触れている、グレンマッスルやサントリー碧も該当するボトルなのですが、二度紹介しても仕方ないので、ここでは除外します。(ニューポット、ニューボーンについても、来年まとめるため対象外とします。)

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チャーしたスパニッシュオークの新樽で熟成された山崎。味は若い原酒を濃い樽感で整えたような粗さはあるが、その樽感がシェリー樽、あるいはシーズニングという概念を大きく変えた。味以外の"情報"で、これ以上のインパクトはない。是非飲んで欲しい1本。

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最高の白州のひとつ。白州蒸留所シングルモルトで初の30年熟成という点も印象的だが、15本と極少数生産故、樽から全量払い出されなかったことがもたらした、アメリカンオーク由来の淀みのないフルーティーさ、良いとこ取りのような熟成感が素晴らしい。

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アメリカで多くのシェアを獲得していた、全盛期とも言える時代のオールドクロウ。
100年を越える瓶熟を経てなお濁らずくすまず、艶のある甘味と熟成ワインのように整ったウッディネスが素晴らしい。また味もさることながら、ボトルそのものが有するバックストーリーも申し分なし。記憶に刻まれた、文化財級の1本。

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新しい蒸留所が示した新時代への可能性。樽由来のフルーティーさ、麦芽由来の甘味とフロアモルティングに由来する厚みのあるスモーキーフレーバーが合わさり、短熟らしからぬ仕上がりが評判となった。来年の10周年、そしてこれから先のリリースにも期待したい。

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マイ余市を選ぶつもりが、年末の持ち寄り会で滑り込んだ特別なウイスキー。2014年に天寿を全うされた、故竹鶴威氏に敬意を表した記念ボトル。ニッカが蒸留所を再稼働させた1990年の、最初の原酒をリメードホグスヘッド樽で熟成させたシングルカスクで、ニッカらしいウッディさにオークフレーバーと、ベンネヴィスらしいフルーティーさが合わさった、ファン垂涎の1本。

※その他候補に上がったボトル
・グレンファークラス 29年 1989-2019 ブラックジョージ
・リトルミル40年 1977-2018 セレスティアルエディション
・アラン 18年 オフィシャル
・アードベッグ 19年 トリーバン
・余市10年 2009-2019 マイウイスキー作り#411127

ちなみに、2019年はウイスキーだけでなく、ワインも色々飲んだ1年でした。
いくつか個別の記事を書いてみて、まだワインについては1本まとめて記事に出来るだけの経験が足りないと、オマケ程度でふれるにとどめましたが、ウイスキー好きに勧められるボトルもある程度固まったように思います。
ウイスキー愛好家のなかでも、ワインを嗜みはじめたメンバーがちらほら出てきていますし、来年はウイスキー×ワインの交流も進めていきたいですね。

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■以下、雑談(年末のご挨拶)
さて、本更新をもって2019年の投稿は最後となります。
まとめ記事ということで長くなりましたが、最後に来年の話を少し。。。

来年3月で本ブログは5周年を迎えます。
ブログ活動を再開した当時はどれだけ続くかなんて考えてませんでしたが、これも本当にあっという間でした。
ブログを通じて色々と繋がりも増え、執筆活動以外の動きもあり。先に記載した通り、来年は新たに発表出来ることもいくつかあると思います。

他方で、ブログ外のところでは息子が小学校に上がるなどの家庭環境の変化や、仕事のほうも任されている事業で管理職的な立ち回りが求められるようになってきて、公私とも変化の大きな年になりそうです。
自分にとってブログ活動は趣味であるため、継続はしていくつもりですが、今年から暫定的に行っている週休二日ルールを定着させるなど、時間の使い方を考えなければならなくなると思います。こうして、環境が変わっていくなかで何かを継続することは、本当に難しいんですよね。

楽しみである気持ちが半分と、不安のような複雑な気持ちが半分。。。というのが今の心境。そんな中でも、細々とでも活動は継続していくつもりですので、皆様来年もどうぞよろしくお願いします。
それでは、良いお年をお迎えください。

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ベンネヴィス 20年 1996-2017 AQUA VITAE #2028 50.6%

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BEN NEVIS 
AQUA VITAE 
Aged 20 years 
Distilled 1996 
Bottled 2017 
Cask type Sherry Butt #2028 
700ml 50.6% 

グラス:国際規格テイスティンググラス
時期:開封後数日以内
場所:ジェイズバー
暫定評価:★★★★★(5)

湿ったようなウッディネス。ブラウンシュガーやドライプルーンの甘いアロマから、サルファリーでオロロソシェリーそのものが混じったような椎茸っぽさを感じさせる。
口当たりはリッチで、かりんとうの甘味からカカオを思わせる苦味がすぐに開き、そのままサルファリーさとビターなフレーバーが主体。余韻はややハイトーン。ウッディで熟成感がある一方、評価が難しい。

ビターな樽感とサルファリーさで、90年代ベンネヴィスに求めるフルーティーさは潰れている。これもシェリー樽の系統のひとつであるが、AQUA VITAEのラインナップでは異端。
レビューすべきか迷ったが、エピソード的に厚みがあったので掲載。カスク選定の難しさ、サンプル通りの味わいにならないこともままあるという1本。

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先月、ジェイズバーで開催された信濃屋およびAQUA VITAEによるテイスティング会にて。
90年代中頃のベンネヴィスといえば、経緯は不明ですが所謂ジェネリックトロピカルと言われるケミカルなフルーティーさが特徴として挙げられます。
それ故、ボウモアのトロピカルフレーバーや、ホグスヘッドの華やかなオークフレーバーを好む同社代表のAllen氏なら、このスペックのボトルであれば間違いなくそっちの系統をチョイスしているだろうと飲んでみると・・・全くイメージと異なる味わいに驚かされました。

本人がその場に居るのですから質問しない手はありません。
くり「ベンネヴィスだけ他のボトルとイメージが違うように感じるんですが。」
Allen「サンプルの時はもっとクリアなシェリー感だったのに、ボトリングしてみたらウッディな感じになってしまったんだ。」
くり「ちょっとサルファリーですよね?(控えめに質問)」
Allen「ちょっとじゃないよ、かなりだよ(笑)」
Allen「でも、海外のイベントとかで人によっては美味しいって言うんだ。だから1本くらいはこういうボトルがあっても良いかなって思うんだよね。」
まあ僕は好みじゃないけど、というコメントが飲み込まれたようにも感じましたが、なるほどなあと。

この手の話は、樽の中身は場所によって味が異なる(樽感が一定ではない)ということからくる”ボトリングの罠”です。
樽の中のウイスキーは、樽の木材に触れている部分が濃く、ウッディであり。中心部分はクリアである傾向があります。これが熟成が長い樽であればあるほど全体が均一になってくるのですが、スコットランドで20年クラスのものは、その差が大きいのでしょう。
樽の”中取り無濾過”とかできれば良いんですが、払いだしの際は全部混ざってしまいます。結果、他のサンプルでも、カスクサンプルとボトリングのもので味が違うことはよくある話です。
(故に、店頭でサンプルを飲む場合は、これがカスクサンプルなのか、ボトリング後のサンプルなのかを確認すると誤差を減らせるという訳です。)

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という話は、自分の英語力では残念ながら翻訳することが出来ず。。。その場に居たウイスキー仲間も断念し、伝えることができなかったのですが、ボトラーの選定者が、どういう狙いで樽を選び、その結果に対してどういうイメージを持っているのかという感想まで聞くことができた。非常に実りの多いイベントだったと思います。

日本という国は、高度経済成長からバブル景気にまたがる洋酒ブームからの、不景気とウイスキー冬の時代の到来。また、日本の洋酒ブーム時には本国側がウイスキー冬の時代にあったという点も重なり、この落差が多くのオールドボトルを日本国内に産み出す結果になりました。
では台湾はどうかというと、アジア向けのボトルは多少ありますが、日本が埋蔵する在庫量とは比べ物になりません。
そうしたなかで、気軽にオールドを飲めないなら、自分がそれに近い味わいのものをリリースしたいと考えたAllen氏の行動力に、あれこれ動いている自分もエネルギーを貰えたようにも感じました。
近い将来、自分が関わったリリースが出た暁には・・・逆に感想を聞いてみたいですね。

デュー オブ ベンネヴィス 1970年代流通 特級表記 43%

カテゴリ:
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DEW OF BEN NEVIS 
OLD SCOTCH WHISKY 
Ceramic decanter 
1970's 
760ml 43%

グラス:国際企画テイスティング
時期:開封直後
場所:お酒の美術館
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:しっかりとした骨格を感じるリッチな香り立ち。香ばしさのあるカラメルソースとオールブラン、奥から熟した果実を思わせるフルーティーさ。また、微かにスモーキーなニュアンスも伴う。

味:ややアタックが強く、ボディはそれほどでもないが余韻にかけてひりつくような刺激に繋がる。フレーバーは香り同様で、色濃い甘味から香ばしさとほろ苦さ、徐々にフルーティー。ピートを伴うトロピカル感がカラメルソースを思わせるフレーバーのなかに溶け込んでいる。
余韻はビターでハイトーン、微かにハーブのようなフレーバーを伴って張り付くように残る。

若干コルキーなニュアンスはあるが、それ以外はアルコールや香味の骨格もしっかりとしていて状態は良好。年数表記はないが、おそらく通常リリースと同じ8年程度だろう。それに由来するアタックの強さがある一方で、構成は熟成したグレーン多めの中にモルティーさの感じられる作り。キャラメルのような甘味の奥に、熟した南国果実の風味が潜んでいる。

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表記はベンネヴィスですが、シングルモルトではなくブレンデッド。当時の通常品はダンピー形状「Dew of Ben Nevis(ベンネヴィスの滴?)」8年表記で販売されていた銘柄の、セラミックボトルバージョンです。
蒸留所の名前がそのままブレンデッドに使われているというのは、トマーティン・BIG-Tと似ていますね。

リリースを遡ると、デューオブベンネヴィスは、1970年代がリリース最初期のようです。
その後1980年代は存在が確認できず、1990年代に入ると12年熟成のものと、ノンエイジの"蔵出し"がリリースされるようになります。
ベンネヴィス蒸留所は1978年に操業を休止しており、それを1981年にロングジョン社が買収。1984年には一時的に再稼働しますが、78年の操業休止とともにブレンデッドの生産も終了していて、その後原酒はロングジョンに優先的に供給。1989年にニッカ傘下に移った後、オリジナルのブランドを再開したとすれば、時系列に違和感はありません。

8年熟成にしては色濃い作りで、香味にはシェリー系のニュアンスを感じるだけでなく、この時代の他のブレンデッドとは異なる独特の香ばしさやフルーティーさを備えています。
このフレーバーをもたらしたキーモルトはベンネヴィス。そして主要なグレーンもおそらくベンネヴィス。ベンネヴィス蒸留所は、1955年に連続式蒸留器コフィースチルを導入し、スコットランドで初めてグレーンウイスキーとモルトウイスキー両方を作ることが出来る単一蒸留所となった経緯があり、モルトとグレーンで充分な量が確保出来たことから、自社としてもブレンデッドの生産に動いた(ただしメインは他社への原酒供給だった)、ということなのではと考えられます。

余談ですが、この紛らわしいベンネヴィス表記のブレンデッド。スコッチ法改正に伴って蒸留所名をブレンデッドウイスキーにそのまま使うことができなくなり、現行品はネヴィス・デューとしてリリースされています。
ただ法改正が行われたのは近年で、上記トマーティン含めて約40年そのままだったのは。。。おおらかというかなんというか(笑)

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今日のオマケ:カレラ ピノノワール セントラルコースト 2013
個人的にかなり気に入っている銘柄。ウイスキー仲間からも評価の高いボトルです。
以前1年違いの2012をレビューしていますが、それ以来迷ったらこれという位置付け。
5年くらい熟成させたカレラのセントラルコーストは、香味とも柔らかく、カリピノらしく熟したベリー感に加えて余韻のタンニンも適度でするする飲めてしまう。変に甘味も強くないし、バランスのよさが良い感じ。
こういうのを週末の家御飯で使えるようにストックしておくのは、アリだと思うのです。
だからまあまとめ買いも仕方ないってことで。。。

ベンネヴィス 21年 1996-2018 ウイスキートレイル 45.3% #864

カテゴリ:
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BEN NEVIS 
WHISKY TRAIL 
Aged 21 years 
Distilled 1996 
Bottled 2018 
Cask type Hogshead #864 
700ml 45.3%

グラス:テイスティンググラス
場所:新宿ウイスキーサロン
時期:開封直後
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:チーズのような乳酸を思わせる少し発酵したような酸を感じるアロマ、汗っぽいニュアンスも感じるが、時間と共にケミカルさ、パイナップルキャンディを思わせる人工的なフルーティーさも開いてくる。

味:乾いた麦芽とウッディさ、少しオイリーでケミカルな甘みもある。それが余韻にかけてパッションフルーツやパイナップルを思わせる南国系のフルーティーさに代わり、薄皮付きのアーモンドのようなほろ苦く軽めのタンニンを伴うフィニッシュが長く続く。

いわゆるケミカルなフルーティーさが主体のボトルであるが、余韻にかけてただケミカルなだけではない、熟した果実のフェロモンのような南国系トロピカルフルーツを伴う点がポイント。樽の要素、熟成による抜け、そして酒質由来の特徴、これらが混じりあった結果であろうか。加水すると麦芽風味が開き、バニラや粥のような甘みを伴う。


エリクサーディスティラーズリリースのベンネヴィス21年。フルーティー路線で安定したリリースの多い印象がある1996年のベンネヴィスですが、このボトルについても香りはいかにも、味もいかにも、というベンネヴィスらしい構成です。
ただしそのフルーティーさに、余韻にかけて往年のトロピカルフレーバーを含むニュアンスが備わっていて実に好ましい。この要素だけで、思わずワンランク高い評価をつけてしまいたくなります。

ベンネヴィスからは1996年蒸留に加え、その前後の蒸留時期のものが数多くリリースされてきましたが、ここまではっきりとしたトロピカル系のニュアンスが備わったボトルはあまりなく、大多数はアイリッシュウイスキーを思わせるようなケミカルなタイプが主流です。

1960年代、70年代と酒質が安定せず、良いものも希にありますが、個性の乏しいものも少なくない。それが1986年に設備を改修し、時系列的には休止を挟んでその後1989年にニッカが買収しているのですが、1990年代からこの手のキャラクターが強くなってくることを考えると、設備の改修が蒸留所として持っていたポテンシャルを引き出したのかもしれません。

今回のリリースについては、同じ時期に樽違いの47.5% #869  (下図ラベル)が発売されており、聞くところでは同様のキャラクターを備えている模様。どこかで試してみたいです。

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(それにしてもこのシリーズのラベルはファンタジー要素で溢れている。ウイスキー要素とは一切関係ないのだがw)

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