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PRINCE
Special Scotch Whisky
1970's
760ml 43%

グラス:木村硝子
場所:自宅
時期:開封後2ヶ月程度
評価:★★★★(4ー5)

香り:蜂蜜、干し藁、穀物、乾燥とうもろこし、強くグレーンの甘いアロマ。ほのかにほうじ茶を思わせる渋みも感じる。

味:スムーズでバニラや穀物のグレーン系の甘さ、甘みは強いが奥行きはそれほどない。徐々に干し藁、ウッディーな渋み、じわりと開くピート香。長く染み込むように残る。

体感はグレーン主体に中庸な内陸系モルトの組み合わせというブレンデッドで、目立った個性は感じられないが、奥から開くピーティなフレーバーに原酒の時代を感じる。ハイボールでガシガシ飲みたい。


1969年設立、ブレンデッドメーカーのレッドライオンブレンディング社がリリースしていた、プリンスホテル向けブレンデッドウイスキー。構成原酒不明、熟成年数は飲んだ感じ8年から12年程度でしょうか。
数あるブレンデッドメーカーにあって、同社は自社でブランド作って市場を開拓するよりも、買い集めた原酒を用いてODM的な製品開発で他社向けのリリースを行なっていたようです。

上記写真は、プリンススコッチウイスキーの1980年代流通ラベル(左)と1970年代流通ラベル(右)。手持ちの都合で180mlボトルですが、通常品は750ml。どちらもマイルドでグレーン系のフレーバーが主体ですが、特に1980年代流通はその傾向がより強くなっています。

当時のブレンドメーカーの中で、特にマイナーメーカーがリリースするスコッチには、この手の構成がよく見られます。
これは勝手な推測ですが、これらメーカーは特定の蒸留所を傘下としていないだけでなく、DCLなどのスコッチ産業主流派グループに属していたわけでもありませんでした。
そのため、ブレンドのキーモルトとなる原酒調達の不確実性を補うため、味にブレの少ない中庸なモルトやグレーンを中核とせざるを得なかったのではと考えています。

ちなみに、レッドライオンブレンディング社について調べていたところ、ウイスキーマガジンのデータベース上にあった記述から、同社の社長Robert Mendelson(ロバート・メンデルスゾーン)氏が、ブレンダーとしてその他のリリースにも携わっている事がわかりました。

そのうちの一つが下記のダイナースシリーズ。ダイナースクラブの会員向けだったウイスキーで、この付属冊子にロバート・メンデルスゾーン氏がドイツの音楽家メンデルスゾーンの後裔であることと、スコットランドでも5指に入る天才ブレンダーであると言う事が、同氏の肖像と共に書かれていました。
個人的には驚愕というか、じわじわツボにくる写真なのですが、今日のところそのPRの真贋は読者の皆様にお任せし、ここで一息、一度筆を置くとします。