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グレンリベット 12年 ダブルオーク 40% Lot2023.3 &ごめんなさい案件

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THE GLENLIVET 
12 YEARS OLD 
DOUBLE OAK 
Lot 2023.3 
700ml 40% 

評価:★★★★★(5)(!)

【ブラインドテイスティング】
トップノートはオーキーで華やか、ややドライ。洋梨などの果実香を感じる。奥には干藁、おが屑。
口当たりは蜜っぽい甘さ、ボディは加水で緩いが麦芽由来の甘みの後から、香り同様にオーキーでほろ苦いウッディネスを伴うフィニッシュ。
香味のスケールは小さくまとまった感じはあるが、好ましい要素主体でバランス良く味わえる。

バーボンオーク主体、12年熟成程度、オフィシャル複数樽バッティングのシングルモルト、地域はスペイサイド。
というところまでは絞り込める。
また、酒質には素性の良さが感じられ、大手メーカー、大手蒸留所による造りとも感じられる。
予想銘柄はグレンフィディックかグレンリベット。

ただ、オールドっぽさはないし、現行と考えるとフィディック12年かな。現行フィディックにしては麦感が柔らかいというか、蜜っぽい甘さが気になるけど・・・。
グレンリベットは一つ前のグリーンボトル時代や、ちょっと前に終売になった13年ファーストフィルアメリカンオークならともかく、現行はかなり樽感が淡くなってドライ、若さも目立ってた印象だから、近年リリースでは無いと予想。
現行リベット12年だったら、ペルノさんにゴメンナサイ発信するよ(笑)
ということで、銘柄はグレンフィディックで!
……。

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『グレンリベット及びペルノリカールさん、ごめんなさい』

ドヤ顔で回答しました。
しかも現行リベットはないとまで断定して回答しました。
まさかのど現行、グレンリベット12年ダブルオークでした。
出題者でもないのに、この時隣に居た某A氏の笑顔が憎たらしい。

弁明させていただくならば、2019年にグレンリベット12年がグリーンボトルから今の12年ダブルオークにリニューアルした時、そのインパクトたるや凄かったんです。
アメリカンオーク樽の華やかさや林檎系のフレーバーが薄くなり、ドライな樽香に若干ニューポッティーですらあるフレーバー。
アンケートをとったわけではありませんが、少なくとも自分の周囲の愛好家、当時のFBやTwitterでは賛否の賛を探す方が難しかった。

著名な某テイスターは、3rdフィルの樽の比率が増えているのではないかとし、厳しいコメントを発信していたのも覚えています。

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一方で、同様にラベルチェンジをしたグレンフィディック12年(写真右)は、当時味がそこまで変わらず、固めの洋梨や林檎、麦芽にオークフレーバーという感じで、安定感が光る結果に。
数年前にグレンフィディック12年のレビューを書いた時も…

「同じく12年のシングルモルトで売り出している某静かな谷のように、リニューアルする毎に樽感が薄く若さが目立って、いったいどうしたのかという銘柄も散見されるなか。グレンフィディックの安定感が際立つ結果になっているようにも感じます。」
なんて書いてます。

ただこうして最新ロットをブラインドで飲み、意外な結果に驚いてもう1杯注文して、さらに比較で現行グレンフィディック12年とも飲み比べた結果。
認めざるを得ないわけです。グレンリベット12年が美味しくなっているということに。

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「認めざるを得ない」なんていうと、偉そうというか、何かこの蒸留所にネガティブな想いがあるかのように思えますが、決してそんなことはありません。
むしろ近年の市場でトレンドの味を抑えてきたことは流石大手メーカーだと思いますし、それ以上にグレンリベットが旧ボトル時代の樽感、クオリティを取り戻していたことは素直に嬉しいことです。

故に約束通り「ゴメンナサイ」しますが、嬉しい誤算、嬉しいごめんなさいなので全然OK。
グレンリベッットは政府承認第一号の蒸留所であり、全てのモルトの基本と言われた時代があり、同様にUnblended表記やPure Malt表記など、オールド好きには特別な想いがあるのがグレンリベットです。

グレンリベット12年ダブルオークは、アメリカンオーク原酒とヨーロピアンオーク原酒のバッティング。
酒質がこなれた瓶内変化ではなく、明らかにリニューアル当時と比較して樽感がリッチになっているあたり、1stフィルのアメリカンオーク樽原酒を増やし、そこにヨーロピアンオークでコクを与える、この安定感に大手の底力を感じました。
ちなみに比較したところ、現行フィディック12年が以前よりまたちょっと固く、青っぽくなったような気もしましたが、これは誤差の範囲かもしれません。

一方で同じく流通量の多いスコッチモルトのスタンダードだと、ボウモア12年の現行品が結構美味しいんです。ボディは緩いというか軽いのですが、グレープフルーツや赤系果実の混じるピートフレーバーは、以前のボウモアに通じるキャラクター。大手メーカーのリリースも、定期的に試してみないとその真価が測れませんね。
今回も良い経験をさせてもらいました。2019年〜2020年にグレンリベットに絶望した各位、裏ラベルにボトリングロットが書かれてますので、ぜひ今一度試してみてください。

アベラワー アブナック アルバ 58.9% Batch No,007

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ABERLOUR 
A’BUNADH ALBA 
ORIGINAL CASK STRENGTH 
Batch No,007 
Cask type 1st fill Bourbon Barrel 
700ml 58.9%

評価:★★★★★★(6)

【ブラインド予想】
地域:スペイサイド
年数:12〜15年熟成程度
度数:55%程度
樽:バーボンバレル
蒸留所:グレングラント

香り:勢いのある華やかでオーキーなトップノート。アメリカンオーク由来の要素がしっかり感じられ、乾いた麦芽や微かにナッツ、酒質の素性の良さを感じる。

味:コクのある口当たり、しっかりと広がりがある味わいで、蜂蜜や麦芽風味からじわじわ黄色系フルーツ、加熱した林檎。
余韻はほろ苦くウッディ、華やか。若干のスパイスとひりつくような刺激を伴う長いフィニッシュ。

バーボン樽熟成のミドルエイジ、スペイサイドモルトときたらイメージするだろうキャラクターの一つ。
比較的若い原酒と思われるが、複数樽バッティング故か口当たりに柔らかさがあるのも特徴。また、酒質に厚みがあり、樽感に負けず甘みやコクを主張するところが、近年のライト化に反した古典的な作りとして好感が持てる。確かに、これなら濃いめのシェリー感が付与されてもちょうど良く仕上がるだろう。


2000年にファーストリリースが行われた、アベラワー・アブナック(アブーナ)。アベラワーの樽出し原酒をカスクストレングスでボトリングする、熟成樽へのこだわりを打ち出したスモールバッチリリースです。
アブナックといえばシェリー樽熟成原酒。長く10年熟成未満の比較的若いものをバッティングしたカスクストレングス仕様という位置付けでしたが、今回紹介する“アルバ”は、2020年ごろからリリースされ始めた、1st fill バーボン樽熟成のアブナックです。

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シェリー樽熟成のアベラワー・アブナックは80近いバッチまでリリースを重ねている人気のブランドですが、その香味は初期の頃と比べるとだいぶ異なってきています。
写真は比較的初期のバッチ、No,6。おそらく2002〜3年ごろのものでしょう。何が違うって色合いですね。最近のロットが手元にある方は、是非写真のものと比較してみてください。明らかにシェリー樽に由来する色合いが異なり、薄くなってきています。

これはアベラワーに限ったことではありませんが、増加を続けるウイスキー事業者と生産量の中でシェリー樽の調達、確保はどの蒸留所も非常に難しい状況にあり、大手会社であっても四苦八苦しています。
そのため、アベラワーもいつまでシェリー樽メインでリリースを続けるのか。ここまで薄くなってしまったアブナックは、いっそバーボン樽に切り替えた方がいいのではないか。そのような声も、愛好家間で聞こえてくるほどでした。

そんな中で、ふと気がついたらリリースされていたのが、バーボン樽熟成原酒を使ったアブナック“アルバ”です。
アブナックはゲール語で“起源”を意味するとされています。アベラワーのリリースは、古くはシェリー樽熟成のキャラクターを前面に出したものが多く、例えば同じ路線として位置付けられているのが1980年代ごろまで流通していた8年角瓶。ただ、近年はシェリー樽とバーボン樽の熟成で、ダブルカスクマチュレーションをアピールするなど、少し風向きが変わってきていたところ。
これがアベラワーもう一つの起源であると、アブナックからホワイトオークを意味する“アルバ”がリリースされたわけです。

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なお、このように書くと今回のリリースは苦肉の策であるかに聞こえてしまうかもしれませんが、ブラインドテイスティングで飲んで素直におどろかされました。
アメリカンオーク樽由来の市場で評価されているフレーバーが備わって、それでいて酒質は軽すぎず、過度なウッディさも若いフレーバーも目立たない。複数樽バッティングなので、単体ではトゲトゲしさが残る原酒でもあっても、多少丸みを帯びているのでしょう。

ブラインドでイメージしたのはグレングラント15年でしたが、グラントほど軽くないし華やかでもない、この酒質由来の蜂蜜や麦芽の甘みはどうも違う。バルヴェニーの12年シングルバレル?いやしかしあれはもっとドライだし、該当するリリースがない・・・。
いつもはシェリー樽に隠れていた酒質、その素顔。シングルカスクとも違うオフィシャルならではの仕上がりは想像以上に良いものでした。
願わくば、このクオリティがリリースを重ねても継続されていくことを願っています。

ロッホローモンド(オールドロスデュー)29年 1990-2020 for WuDC 48.2%

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LOCH LOMOND 
(Old Rhosdhu) 
Aged 29 years 
Distilled 1990 
Bottled 2020 
Cask type Refill Hogshead #416 
For Wu Dram Clan 
700ml 48.2% 

評価:★★★★★★(6)

【ブラインドテイスティング】
地域:ハイランド
蒸溜所:ロッホローモンド、ブナハーブン
年数:27年前後
樽:リフィルバーボンホグス
度数:48%程度
その他:現行品ボトラーズシングルカスク

香り:トップノートは華やかで、ライチや洋梨のような白系フルーティーさに、ボール紙のような紙っぽさ、ケミカル様の甘さ、薬っぽさ。モルティーな香ばしい甘さも混じる。

味:ややピリピリとした刺激のある口当たり、そこからオリーブ、オイリーでビターなクセのある要素。合わせてケミカル系の甘み、熟成感を感じさせる樽由来の華やかさ、フルーティーさがあり、乾いた和紙や枯感のあるオークのスパイシーさが混ざって長く続く。

長期熟成の度数落ちを思わせる華やかさに、オイリーで紙っぽさとケミカル感の混じる独特の個性が印象的なモルトウイスキー。好みは分かれるが、良い部分を評価する見方も出来るバランス。
年程度熟成されたシングルカスクリリースであり、香味にある癖、オイリーさはロッホローモンドの年代前半の印象。個人的に馴染み深い香味であり、一択予想でも良かった。

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先日、ウイスキー繋がりの@SLAINTE_MHORさんから頂いたブラインドテイスティングの挑戦状。その回答と正解発表はスペース放送でLIVEで実施しましたが、ブログにもまとめていこうと思います。
第一問目はロッホローモンド。この蒸留所は個人的に非常に馴染みがあって、それこそ1990〜2010年代まで、隔年刻みで飲んでいるくらいキャラクターを把握しています。

そのため、今回のブラインドもノージングで「はい100%ロッホローモンド」と特定していたほど。年数、度数、樽とそのあたりのスペックも想像通りであり、またリリースはインポーター兼酒販のKyoto Fine Wine & Spiritsの代表である王子さんがメンバーとなっている、ドイツのボトラーズメーカーWu Dram Clanですが、今回のようなちょっと枯れた原酒にある強い華やかさは、このボトラーズメーカーが好んで選ぶ傾向があるもので、その点も答えを見て納得というリリースでした。

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ロッホローモンド蒸留所(オールドロスデュー)のモルトは、2003年蒸留あたりから酒質が向上。近年評価されるアイリッシュ系のケミカルフルーツ、いわゆるジェネリックトロピカルを量産しており、かつて濡れた段ボールだのユーカリ油だの言われた時代からは完璧に脱却した酒質となっています。
マネージャーが新規着任してその指揮の元でウイスキーの造りわけが行われたり、シングルモルトの需要が増えてブレンド向けではない意識で原酒が作られる様になったからか?
とにかく最近のロッホローモンドは、18年くらいまでなら間違いないと言えるリリースが多いです。

一方で、2000年以前、1990年代はどうかと言うと、これがなかなか難しい。フルーティーさが強く当たりもあれば、独特の癖が強く出ていてちょっとこれは。。。というものも。玉石混合とはまさにこのことですね。
個人的に1993〜1994年あたりは、ボディ軽めながらフルーティーさが強い原酒が多い様に感じていて、今回の1990年はクセ強目が多いなと言う印象。なのであとは運次第。ただ近年では熟成を経て樽由来のフルーティーさ、華やかさが強くなってきたものも見られており、今回はその中でも良い原酒を選んでリリースされたんだなと。選定者の酒類ブローカーやボトラーとの繋がりの良さ、樽の巡りの良さに流石だなーと思わされます。

また、最近では別ブランドでドラムラッドさんがリリースしたのが1993のロスデューです。この辺りもフルーティー系の、同様の仕上がりを期待出来るのではと予想しており、後日レビューをまとめたいと思います。

バルヴェニー 8年 1970年代流通 43% 

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BALVENIE 
PURE MALT WHISKY 
Over 8 Years 
1970’s 
750ml 43% 

評価:★★★★★★(6)

【ブラインドテイスティング】
蒸留所:グレンアラヒー、グレンフィディック
年数:12年程度
樽:アメリカンオーク系のプレーンカスク
度数:43%
その他:1970〜1980年代流通あたりのオフィシャルオールドボトル

香り:穏やかな香り立ち。モルティで土っぽさを伴う古典的麦芽香から、微かに林檎や柑橘(オレンジというよりは文旦、ジャクソンフルーツ系)。薄めた蜂蜜。少し若い原酒なのか、ピリピリと鼻腔を刺激するアタックもある。

味:使い古したアメリカンオーク樽での熟成と思しきプレーンな甘さと程よい華やかさ。加水で整えられた柔らかく素朴な麦芽風味は、ホットケーキや洋梨の果肉のような白い甘さ、柑橘系のフルーティーさがあり、余韻にかけては香り同様の刺激に加えてほのかにピーティー、土っぽい要素とほろ苦さが全体を引き締める。

幾らでも飲めそうな、しみじみうまい、癒し系のオフィシャル加水のオールドボトル。麦芽由来の甘さに厚みがあり、ピート香と合わせて地酒的というか田舎的というか、古き良き時代のハイランドモルト。こういうボトルを飲むと、下のラベルに書かれたような景色がイメージされて、ふと郷愁に駆られてしまう。

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今回のブラインドボトルは、以前、関内のBAR Old⇔Craft の米本マスターから出題いただいたものです。自分が所有していた5リットルのミニ樽を貸した際のお礼、ということで。飲み残しがあったのでレビューがてらサクッと掲載します。

バルヴェニー蒸留所はグレンフィディックと共に、ウィリアムグランツ(WG)社傘下の蒸留所。グレンフィディックに隣接する場所に建設され、第二蒸留所という位置付けながら、モルティング設備や大規模な熟成庫、ウイスキーの需要増と共にポットスチルも8基まで増設するなど、ウィリアムグランツ社におけるウイスキー生産の中核的な機能を有する重要な蒸留所となっています。

長らくグレンフィディックがシングルモルトを中心にリリースし、バルヴェニーはグランツなどのブレンデッド向けという位置付けでしたが、1973年にシングルモルトを初リリース。
最近はシングルモルトの需要増でバルヴェニーの人気も増えはじめてブランドを確立しており、結果、WG社ははブレンド向け蒸留所としてアイルサベイを建設・稼働することとなり、ますますシングルモルトリリースに比重が増えているという傾向があります。

今回の出題ボトルは、その1973年にリリースされた、同蒸留所における初期リリース時代のラベルとなります。
ボトルも当時のグレンフィディックと同じものが流用されており、ラベルはシンプルで・・・というかWG社が当時リリースしていた各ブランドから比較すると明らかに間に合わせ感のあるもので。フィディックが人気だからとりあえず出してみよう、また、仕上がり(樽使い)も独自路線でなくフィディック系統で良いだろう。だからグランツ向けのプレーンオーク熟成のものからバッティング・加水して出しておけ、そんな空気感すら漂ってくるようです。

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(同時期流通のグレンフィディック10年 JAPAN TAX付き(右)と、今回のバルヴェニー8年。飲み比べが面白そうに見えるが、当時にフィディックは闇落ち時代、1960年代前半の原酒を使っており激しくパフューミーであるため注意が必要。)

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(バルヴェニー シングルモルトリリースのラベル系譜。右の初期リリースから、1980年代のファウンダーズリザーブ、10年、そして1990年代には現在に通じる形状のデザインとなる。1970年代だけ明らかにやる気が…というのは気のせいだろうか。)

バルヴェニーのオールドというと、個人的に1980年代リリースからシェリー系の印象が非常に強く。今回のブラインドではオールドのオフィシャルで、酒質が麦系暑く甘め、ほのかなピートの当時らしい内陸系という整理からでは、悔しいかな正解まで導くことができませんでした。
むしろ、パフューム時代を抜けたグレンフィディックの1970年代後期、1980年代流通あたりのボトルに通じるところが多く、このあたりは同じ傘下の蒸留所と考えたら納得できるところですが、ラベルもハウススタイルも、キャラクターが定まっていない時代ゆえのリリースと言えるのかもしれません。

一方で、バルヴェニーは何もブレンド向けのプレーンな原種ばかりを作っていたのではなく、この1970年代あたりからシングルモルトを意識した樽使いを始めるのか、後のリミテッドリリース、TUN1401といった長期熟成原酒各種で非常に良質なリリースを重ねて、ブランドとしても確立していくこととなります。
とするならば、このシングルモルト8年は、現代のバルヴェニーへと通じるターニングポイントにして、始まりの1本。日本市場でもなかなか見かけないボトルであり、貴重なものをテイスティングさせていただき感謝ですね。
ただでさえ、米本マスターからはちょっとアレなブラインドを出題されることが多かったので(笑)

フィンドレイター 8年 シングルハイランドモルト 1980年代流通 特級表記 43%

カテゴリ:
フィンドレイターピュアモルト

FINDLATERS
A Single Highland Malt 
Pure Scotch Malt Whisky 
Aged 8 years 
1980's 
750ml 43% 

評価:★★★★★★(5-6)

香り:ほのかに青みがかった要素を伴う、厚みがあってリッチな麦芽香。蜂蜜や、微かに柑橘系の要素も溶け込む。ハイランドモルトらしい構成が中心だが、オリーブオイルやボール紙、あるいは籾殻のような若干癖のあるニュアンスがあり、これが垢抜けなさに繋がっている。

味:スムーズで柔らかい口当たり。香り同様に垢抜けない麦芽風味が、ややオイリーで粘性を伴う質感をもって広がる。例えば生焼けのホットケーキのよう。そこに柑橘の皮、特に和柑橘を思わせる渋みがあり、若い原酒がメインであるためか、加水で整い切らない粗さと共に口内を軽く刺激する。
麦芽風味は余韻まで残る。加えて、蜂蜜の甘み。徐々に微かなピーティーさがじんわりとほろ苦く、染み込むように広がる。

一時期のハイランドモルトのキャラクターの一つと言える、麦芽風味主体の味わい。イメージとしては甘いお粥のような白系統のフレーバー。若い原酒であるためか多少粗さもあるが、この麦感はブレンデッドスコッチ・フィンドレイターに通じる、構成原酒の一つとしてリンクする。ただし、ちょっと青みがかった要素というか、蒸溜所の個性とも言える風味が目立つところもあり、ここが好みを分けそう。

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【ブラインドテイスティング回答】
地域:ハイランド中心
年数:12年程度
樽:リフィル系主体、あまり強くない
度数:43%
その他:80-90年代流通くらいの、オールドっぽい感じのモルトウイスキー。

微かにスモーキーでハイランド系の麦感主体、蜜っぽい甘味もある。しみじみ旨い系。加水仕様と度数のわりにアタックが強いが、熟成が若いのか。余韻がぼやける感じもあり、複数原酒のブレンドモルトだろうか。正直銘柄はよくわからない。
ただ、この当時のハイランドモルトらしい厚みと垢抜けなさのある麦感は、ダルウィニーやディーンストン、あるいはフェッターケアンのちょい古いヤツなんてのも連想される。少なくとも、大手資本有名どころ第一線ではないモルトだと思われる。

――――――


久々にブラインドテイスティングの記事、そしてオールドボトルの記事です。

上のコメントが、記事掲載に当たってオープンテイスティングしたもの。下のコメントが当時回答として出題者に返信したものです。
このサンプルは昨年、ウイスキー仲間のK君が送ってくれた出題で、自分のブログに掲載していないオールドブレンドの類だったので、情報保管も兼ねて出題してくれたようでした。ホンマありがたい限りやで。。。

ということで、今回はスコッチウイスキー銘柄、フィンドレイターのシングルモルトボトリングです。ラベル上でPure表記とSingle malt表記が混在しているのが、80年代後半らしさというか、時代を感じさせる要素ですね。
構成原酒の情報はありませんが、香味等から察するに、おそらく中身はディーンストンだと思われます。厚みはあるが垢抜けない麦芽風味、ちょっと青みがかったニュアンスは、当時この蒸留所の原酒を使っていたブレンデッドや、同様にシングルモルトとしてリリースされた他のフィンドレイターにも共通するニュアンスです。

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(70年代から90年代にかけてフィンドレイターブランドとしてリリースされた、ハイランドシングルモルトの一部。何れも熟成年数は違うが、今回のボトルと共通するフレーバーが備わっている。)

当時、フィンドレイターを手掛けていたのはインバーゴードン系列で、構成原酒として用いられたハイランドモルトは、タムナヴーリン、タリバーディン、ディーンストン、ベンウィヴィスの4種とされています。

どうしてここまでマイナーどころが。。。というのはさておき、幻のモルトであるベンウィヴィスが選択肢なのは愛好家にとってのロマン。ただし、写真にある一連のリリースとの関係性に加え、1980年代後半リリースボトルで、77年閉鎖のベンウィヴィスを8年表記では使わないだろうなということで惜しくも除外です。

一方で、ディーンストンも1982年に原酒の生産調整から一時閉鎖しているのですが、当時の価値観では閉鎖蒸留所だからプレミアがつくなんてことはなく、普通にブレンドに使われていた時代です。
余ってるからシングルモルトで、くらいの発想があってもおかしくはありません。

近年のモルトは香味がドライに振れているので、今回のボトルのような麦系の甘味が強く出ているモノは少なくなってきています。オールドシングルモルトも値上がり傾向ですから、こうした銘柄不明のオールドモルトで昔ながらの味を楽しむというのは、知る人ぞ知る楽しみ方みたいで、なんだかお得感がありますね。
この8年は若い原酒ゆえの粗さも多少ありますが、当時の魅力、個性を楽しめる選択肢として、あるいは加水の癒し系として。家飲み用にアリな一本だと思います。


※以下、後日談※

後日談

( ゚д゚)・・・

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゚д゚)!!??

い、いやあ先入観というか、節穴でしたねぇ。
まぁ結果間違ってないから「ヨシッ!」ということで(笑)


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