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DOMAINE DE FONFOTIN
2011
FLEURIE 
Cru Beaujolais
750ml 12.5%

香りはイチゴ系のベリー感、果実香豊か。酸味は落ち着いているがフレッシュさもまだ残している。奥から微かに木材やミネラル、ブラウンシュガー。
口当たりは柔らかく、新酒のガチガチとした硬さはない。香り同様のベリー感に染み込むタンニン、フィニッシュは葡萄の皮を思わせる苦味と適度な酸味が残る。


今日はボジョレー・ヌーヴォーの解禁日です。昨晩日付変わると同時に、またフライングで昨日のうちに飲まれた方も多いのではないでしょうか。
ここで「高い金払ってあんな不味いもの・・・」なんてアンチな主張をするつもりはありません。
これはお祭り、お祭りは楽しんだもの勝ちですからね。

ただ、ボジョレー・ヌーヴォーは、ボジョレー地区においてブドウの収穫を祝い、そしてその出来を確認することを目的に作られる、試作品とも言える新酒です。 
おそらく日本では、ボジョレーヌーヴォーだけ飲んで終わってしまう人が大半ではないでしょうか。
毎年「ブドウの出来」だけは確認して、その後通常の製法で作られるワインの出来は確認していない。これはちょっと勿体無いなと感じてしまいます。

また毎年この時期は、誰が付けたかわからないボジョレー・ヌーヴォーの評価(キャッチコピー)も話題になります。
なぜか毎年出る"10年に1度クラス"という、ドラフト会議も真っ青なあの指標。
今年の評価は「今世紀最高と称された2015年を思い起こさせる。一層溌剌としていて、優美さという点でもレベルが高い」のだそうです。
なんというこの既視感。。。はさておき、せっかく毎年評価が出ているのですから、評価されたワイン(ブドウ)の行く末を確認しないというのも、勿体無いと思うわけです。

そんなわけで、今年の解禁日はヌーヴォーではなくボジョレー地区のワインを飲もう、という企画を一人考え、Google先生にまずはお伺いすると・・・ヌーヴォーしか出てこない。
Googleの日本語検索アルゴリズムは、すっかりボジョレー=ヌーヴォーに染まっています。
まあ世界への出荷量のうち、半分が日本で消費されているという統計もありますから、検索結果がこうなるのも自然なことなのか。
ならばと会社帰りに信濃屋さんで「ヌーヴォーじゃないボジョレーワインあります?」と聞いて出てきたのが、今回のドメーヌ・ド・フォンフォタン フルーリー2011です。


フルーリーはボジョレー地区の中にあるクリュ・ボジョレー(ボジョレー地区の中でも特に優れたワインを作っていると認定されている10地区)の一つ。
ちなみに、2011年のボジョレー・ヌーヴォーの評価は「過去最高と言われた2009年に匹敵する」「21世紀最高の出来栄え」とする、総じていつもの高評価を受けたグッドビンテージです。

元々ボジョレー地区のワインはガメイ種を使って、その特徴からフレッシュな果実香に比較的軽いワインが多いとのことですが、だからこそ5年ほどの熟成はちょうど良い塩梅と言えそうです。
今回のワインもスイスイ飲めてしまう飲み口に、好ましい要素としてイチゴ系の果実感。余韻のタンニンがしっかり蓄積するタイプですが、普段ウイスキーを飲まれている方ならそこまで気にならないと思います。
むしろベリー系のニュアンスは、ウイスキーにおけるグッドシェリーカスクに通じる要素としても感じられるので、抵抗なく楽しめるのではないでしょうか。
21世紀最高の出来栄えかはわかりませんが、普通に美味しいワインだと思います。

このワインが2000円しない中、新酒は3000円前後が珍しくないのは、エアーでの輸送コストなどの上乗せがあるにしても、市場効果だなぁと感じてしまいます。
いよいよ今日が本番のボジョレー・ヌーヴォー解禁。これから飲まれる方、あるいはもう飲まれたという方。次はボジョレーワインを試されてみてはいかがでしょう。