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エヴァンウィリアムズ 23年 1997年ごろ流通品 53.5%

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EVAN WILLIAMS 
Kentucky Straight Bourbon Whiskey
Years 23 old
Released in 1997
750ml 53.5%

グラス:SK2
場所:自宅
時期:開封後1年程度
評価:★★★★★★★★(8)

香り:キャラメリゼ、ベリーや柘榴、オレンジの甘酸っぱさ、艶のある香り立ち。ややドライな刺激もあるが、ハイプルーフ由来の強さが香りをより一層発散させている。

味:香り同様に甘酸っぱく、パワフルで香味にしっかりと芯のある口当たり。濃く入れた紅茶、メープルシロップ、ドライクランベリー、オレンジチョコレート。鼻腔にもしっかりと抜けていく。余韻はウッディーで微かにこげたようなニュアンスと共に、タンニンが染み込むように感じられるが、熟成感に対しては強くなくバランス良くまとまっている。

赤みがかった濃い色合いが美味しさを予感させる。陶酔感を伴う甘酸っぱい香りは、加水すると一気に開く。特にオレンジ系のニュアンスが後押しされる印象で、ロックにしても充分に長く楽しめるコシの強さがある。グラスは口がすぼまっているタイプより、多少開放的なほうがポジティブな要素を拾いやすい。

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銘酒と言われるバーボンは数多くありますが、閉鎖とか終売とか、禁酒法時代とか。。。そういう付加価値を除いてダイレクトに味だけで勝負した時。間違いなく高い評価を受けるのが、80〜90年代流通のエヴァンウィリアムズ23年であることに、異論の余地はないと感じます。

同銘柄は、1989年から1995年ごろまで、1966〜1972年蒸留の原酒をそれぞれ年毎に用いて、マッカランを思わせる熟成年数と蒸留年を表記した単一蒸留年リリースを行っていました。
ところが1973年以降の表記はリリースされておらず、流通時期としては1996年ないし1997年ごろのボトルから、熟成年表記のみに切り替わったようです。(時同じく、ボトルのデザインもやや角ばったものから、若干丸みを帯びたデザインへと変更されています。)



今回のボトルは、瓶底の加工から切り替わった直後のボトルであると推察。そうでなくとも、1990年代後半の流通品であることは間違いありません。
この仕様の変化が何を意味するかは定かではないのですが、スコッチタイプのブレンドとは異なり、バーボンでは熟成年数表記以上の原酒がふんだんに使われるような印象はなく。おそらく使われても年跨ぎか、せいぜいプラス1〜2年といったところと思われます。

パッケージチェンジであって構成原酒の条件に大きな変化があったとは考えらず、何れにせよ高いクオリティを維持しています。
長期熟成バーボンに見られる芳醇で艶のある甘みと、オールドシェリー樽にも共通するベリー系の赤い果実の甘酸っぱさを伴う豊かな樽香。熟成感に対して余韻のえぐみがあまり出ておらず、タンニンが甘みを引き締めていく。ああ、これは美味い。66年表記のボトルにも感じられるベリー感をそのまま継続し、こちらは濃縮したようなオレンジ系のニュアンスも混じる。
72年表記にも負けず劣らずで、同時開封ではないので一概に比較はできないものの、先日ウイスキー仲間との持ち寄り会で比較テイスティングした結果、むしろこちらの方がという声もあったくらいなのです。

※ご参考
エヴァンウィリアムズ23年 1966年蒸留
エヴァンウィリアムズ23年 1972年蒸留

それにしても、近年のバーボンは10年を超えない熟成でも、樽材由来と思しきえぐみが強く出ているものが少なくありません。
なぜこのエヴァンウィリアムズしかり、昔のバーボンの多くは、長期熟成であってもえぐみの少ない豊かな味わいに仕上げることが出来たのか。
製法や原料の違いもあるとは思いますが、それ以上に現行品の多くに感じられる、樽材の中に残るようなえぐみ的な香味の量等から察するに、樽材の仕上げに野外に干しておく期間が昔の方が長かったのではないかと予想しているのですが。。。その真相はオールドシェリー樽の真実同様に、予測はできても確定までたどり着けない謎の一つです。


アーリータイムズ 1970年代流通 イエローラベル 40% 特級時代

カテゴリ:
EARY TIMES
Kentucky Straigt Bourbon Whisky
"YELLOW LABEL"
4 Years Old
1970〜1980's
700ml 40%

グラス:テイスティンググラス
場所:BAR AIKA
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6ー

香り立ちに微かにツンとしたアタックを感じるが、チャーオーク由来のメープルシロップやドライオレンジを思わせる程よくメローなアロマ。柔らかいコクと、とうもろこし茶のような香ばしくも甘い口当たりから、ウッディなタンニンもほのかに感じられる。
多少若さに通じる荒さはあるものの、バランス良く、万人向けのお手本のようなバーボン。


懐かしの通称"イエローラベル"。アーリータイムズと言えば、現在は角瓶でやや背の低いデザインが特徴であるところ。1980年代以前はトールボトル、古いものはこうしてイエローベースに赤茶色を下地で銘柄名と、派手なデザインが採用されています。

1980年代以前のアーリータイムズの見分け方は、ボトル形状と度数にあります。
トールボトルのネック部分に丸みのあるものと、ストレートタイプのものがあり、後者は1980年代、前者は1970年代とざっくり区別可能。また、度数は1980年代に入るとイエローラベルは40%固定になるのに対し、1970年代は地域によって40〜43%仕様のものが混在していたようです。
これは、アーリータイムズ(ブラウンフォーマン)が、普及価格帯商品としてライト志向に合わせた低度数化を進めたためで、日本向けはサントリー経由(1978年以前)が41%仕様となっているものの、その後は40%仕様に切り替わっています。

前置きが長くなりましたが、今回のボトルはこれら条件から、1970年代後期から1980年代前半の流通と見ることが出来ます。
時代毎の香味の考察ができるほどアーリータイムズは飲んでいないので、この時代はこうと言い難いのですが、いくつか飲んだ中では、ややドライでボディが軽く感じられた90年代以降より、ピリッとしたアタックに柔らかいコクのある甘さの1970〜80年代の方が好みですね。


なお、特級時代末期になると、赤茶色の下地がなくなった現行品に近いイエローラベルや、薄茶色がかったクリーム色のラベルなどラベルデザインの変化に加え、角瓶形状のボトルも登場。時系列はトールボトル→角瓶とは思いますが、この辺の流通時期に大きな差は無く、複数種類のアーリータイムズがほぼ同時に日本市場に流通していたことが伺えます。
(中には37%仕様なんてボトルもあったようです。これ、連邦アルコール法上はバーボンにならないのでは。。。)


余談ですが、アーリータイムズと言えばミントジュレップです。(1987年にブラウンフォーマン社がケンタッキーダービーのオフィシャルドリンクに採用。)
今回のボトルを注文した福島県郡山駅前のBARアイカさんは、こだわりのフレッシュフルーツカクテルが有名なお店。ですが、ウイスキーも充実していて、バックバー及びディスプレイケースにはオーナーの趣味でずらりと並ぶ新旧様々なボトルの数々。

バーボンベースでオススメというミントジュレップを頼むと、この時は特級時代のイエローストーンがベース。
記事的には画竜点睛を欠くものの、そんなのどうでもいいくらい激ウマ。え、ホントにバーボンとシロップとミントですか!?という爽やかで微かな酸味を伴うコクのある味わい。
特級時代のバーボンとか贅沢なチョイスについては、「いっぱい仕入れたのがあるけど、誰も飲まないから(笑)」って、これが地域差か。。。
食事も美味しく、レストランとしても使えるBARで、是非ともうちの近所に欲しいお店でした。

Fruit Restaurant Bar Aika
営業時間 PM5:00~PM12:00 (定休日:無休)
http://fruit-aika.p2.weblife.me/ 


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オールドフィッツジェラルド 6年 1960年代流通 43%

カテゴリ:
OLD FITZGERALD
Kentucky Straight Bourbon Whisky
Aged 6 years
1960's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:持ち寄り会 KuMC@NS氏
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:リッチでメロー、キャラメルやメープルシロップの艶やかな甘み。林檎のコンポート、バニラ、トーストしたバケットのような若干こげ香を感じさせるウッディネス。

味:マイルドでとろりとした口当たり、メローな甘みの中にチェリーのシロップ漬け、ドライクランベリーを思わせる酸味がアクセントに。ボディは加水が効いて穏やか。余韻は若干ベタつくチャーオーク系の甘みがあるが、程よいタンニンが序盤の甘みを引き締め、バーボン特有のメローな香気を鼻腔に抜けつつ長く続く。

濃厚さの中に飲み口のマイルドさ、甘みと酸味と苦味、そして熟成感。全体のバランスが整ったバーボン。このメローな味わいをストレートでじっくりと楽しみたい。勿論葉巻を合わせても良い。出来れば熟成した柔らかいタイプのものを準備したいところ。


今は亡きスティッツウェル・ウェラー蒸留所時代のオールドフィッツジェラルド。
同ブランドは、2014年まではヘブンヒル・バーンハイム蒸留所で製造されていましたが、ブランド整理を受けて終売。最近はめっきり姿を見なくなってきました。

しかしそれ以上にオールドフィッツジェラルドと言えば、オリジナルのルーツを汲むスティッツウェル・ウェラー時代(1992年以前)に惹かれるのが愛好家というもの。
1870年に蒸留所オーナーであったフィッツジェラルド氏のプライベートブランドとして作られていた同品は、禁酒法を経た後、2代目オーナーであるヴァンウィンクル氏の元で一大ブランドに成長。今回のボトルはまさにその当時の1本。ライ麦ではなく小麦を使ったバーボンの祖にして、失われた味わいとしてバーボンファン垂涎のボトルであります。

口当たりは柔らかく、味わいは濃厚にしてマイルド。オールドバーボンらしく、コクと艶のある樽香がマッチして、実に飲み心地の良い1本です。
今回のボトルは当時のオールドフィッツジェラルドの中でもスタンダードクラスのブランドですが、これが熟成していくとさらに芳醇な味わいに仕上がっていくのですが、今回のボトルは今回のボトルで当時のスタンダードの中ではずば抜けてますね。

素晴らしいバーボンのテイスティング機会を頂き、ありがとうございました!

ヘブンヒル 15年 1990年代流通 50%

カテゴリ:
OLD HEAVEN HILL
Aged 15 years
Bottled in bond
1990's
750ml 50%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅持ち寄り会
時期:開封後2年程度
評価:★★★★★★(6)

香り:エステリーでツンとした香り立ち。クラッカーのような穀物感と乾いた草っぽさ、合わせてメープルシロップ、チェリーリキュールを思わせるメローな甘みが感じられる。

味:メローでコクのある口当たり。序盤はマイルドだが徐々に力強く、干し草とシロップ漬けチェリー、ブラウンシュガー、熟したバナナ。香り同様のニュアンスからドライでウッディな余韻に繋がる。

香味とも干し草のようなニュアンスを多少感じるが、熟成バーボンの濃厚な甘みに赤い果実風味の混じる豊かな樽香、何よりボディを支えるコクが全体のバランスに繋がっている。


自分にとっては懐かしいボトル。それ以上にバーボン好きにとっては感慨深さを感じるであろう、火災消失前のヘブンヒルです。
流通時期は丸紅さんの住所と、ボトルの表記などから1990年代前半から中頃。逆算して蒸留時期は1970年代後半から1980年ごろ、ということになります。

ヘブンヒル蒸留所は、現在も稼働し続けているバーボンウイスキーの代表的な蒸留所の一つですが、それは1999年にシェンレー社所有のバーンハイム蒸留所を買収してヘブンヒル・バーンハイムとして生産を継続した、全く別の蒸留所と言えるもの。
元々あったバーズタウンの蒸留所は、1996年の落雷に端を発した大火災で焼失しており、バーボンの平均的な熟成期間で考えれば、現在流通しているヘブンヒル銘柄、並びにヘブンヒル生産とされる銘柄の大半がバーンハイム産となっています。


(ヘブンヒル大火災の様子。60度強のアルコール満載の熟成庫は、一度火がつけば爆発するように炎上する。そのため各棟は間隔をあけて建てられているが、この火災により、蒸留設備と44棟中7棟の熟成庫(約90000樽)が全焼したという。画像引用元はこちら)

上述の通り、このボトルがリリースされた当時は旧ヘブンヒル時代。バーボンの流通は安定しており、熟成した原酒が安価に提供された結果、今回のボトル筆頭に多くの銘柄に美味しい熟成バーボンがありました。

当時のヘブンヒルの特徴は、加水リリースでもしっかりとコクのあるメローな甘みと軽い穀物感という印象。今回のボトルもその特徴が出ており、ハイプルーフ故のリッチな味わいでコスパも良好で、文句なしのリリースだったと記憶しています。
そんな長期熟成バーボンが姿を消したのもこの火災の影響と言われていますが。。。たしかに焼失した90000樽と、バーンハイム買収までの約4年間が与えた影響は少なくはなかったでしょう。他社からの原酒買取に加え、ストックを消費してその間を切り抜けたことは想像に難くなく、その後の各銘柄のラインナップに影響を与えたとしてもおかしくありません。

オールドヘブンヒル、ヴァージン、イエローオブテキサス、ベリーオールドセントニック・・・などなど、かつてのヘブンヒル産で姿を消した、15年以上熟成の長熟バーボンは片手で足りず。やはりこの時代のボトルを飲むと、懐かしさと失われた味わいに感慨深さを感じてしまうのです。

以下余談。
そう言えば、ヘブンヒル蒸留所から火災前の1989年、1990年蒸留の原酒を使った27年熟成・バレルプルーフのバーボンが、この秋に限定リリースされるみたいですね。
なんの記念なんだかいまいちわからないのですが、27年というとリリースされたバーボンの中では、知る限り最長熟成にあたるスペックではないでしょうか。価格も某国産品ほどぶっ飛んでないので、BARに入るなら飲んでみたいです。

フォアローゼズ 1950年代流通 43% ブレンデッドウイスキー

カテゴリ:
FOUR ROSES
Fine Blended Whisky
1950's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人所有スペース持ち寄り会@OY氏
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(6ー7)

香り:カラメルソース入りの濃い紅茶を思わせる甘いアロマ。奥には淡い植物感を伴う穀物香、バニラ、若干のコゲ感を伴うしっとりとしたウッディネス。

味:メローでスムーズな口当たり。メープルシロップやキャラメリゼ、シロップ漬けチェリー。ややベタつくがコクのある甘み。
余韻はウッディでタンニンを伴いつつドライ。焦げたトーストと微かにハーブ香、ほろ苦くもスウィートで長く続く

香味ともスタンダードボトルとは思えない程しっかりした樽由来の甘みが特徴。全体的には良質なオークフレーバーが充実しているが、奥には穀物系の軽い香味、半世紀の経年を経てか、多少抜けたような部分も感じられる。


先日開催された持ち寄り会でテイスティングさせていただいた貴重な1本。フォアローゼズは1960年代流通は飲んだことがありましたが、50年代は初めて。ましてブレンデッド表記ともなれば未知との遭遇です。現行品のバーボンの中ではローゼズ推しなのもあり、ラベルだけでテンションが上がってしまいます。

何せこの手のスタンダードグレードのウイスキーは、流通時期的に日本に入らないだけでなく、普段飲みとして普通に消費されてしまうので市場に残りにくい傾向があります。
それこそ下の写真のように、コークハイあたりのジャンクな使われ方でガンガン飲まれたのではないかなと予想します。

(まさに意識が低い組み合わせの再現図。新旧合わさるこの構図が撮れて満足※今回は実際には混ぜていません。)

フォアローゼズブランドは、シーグラム傘下となる1940年代から一定期間、ストレートバーボンではなくブレンデッドウイスキー表記でリリースを行なっていました。

当時のシーグラム社はカナディアンウイスキーの蒸留所を所有していただけでなく、禁酒法明けの1934年、アメリカ市場にブレンデッドウイスキーであるセブンクラウンを投入。
フォアローゼズは禁酒法時代も生産を続けていた蒸留所で原酒が不足していたとは思えませんが、ライトなウイスキーが流行っている国内には 、ウッディで濃厚なバーボンタイプよりも、ライトでスムーズなブレンドが受け入れられると考えたのでしょうか。

米国酒税法における「ブレンデッドウイスキー」は、ストレートウイスキーが20%以上の割合を占めることとされていますが、スピリッツをブレンド出来ることと、この当時のボトルに限れば「アメリカン」表記がないことから、アメリカ以外で生産された原酒を使うことも可能でした。
流石に今回のボトルは甲類アルコールが混じった薄い味なんてことはなく、バーボン特有のしっかりとメローで濃厚な甘み、そこにカナディアンっぽい軽い穀物感が混じる印象で、飲んでいる時はこういうもんかと思いましたが、後から考えて成る程と・・・。何れにせよ、低品質なウイスキーというわけではありません。

このように、本国でのフォアローゼズはブレンデッド規格でリリースされており、これが一説では2002年のキリン傘下となるまで続いたとのこと。
ですが少なくとも海外市場においてはそうではなく、シーグラム社はアジアやヨーロッパにはバーボンウイスキーを輸出しており、1960年代に輸出されていたフォアローゼズ6年はケンタッキーストレートバーボン表記でした。
当時国内向けの商品はアメリカンブレンデッド表記であり、国内には国内の需要を満たし、世界的にはバーボンウイスキーとしてのブランドを確立していく戦略だったのだと考えられます。(似たような動きは、今の日本の一部企業にも見られますね。)
貴重なボトルを体験させていただき、ありがとうございました!


ちなみに余談ですが、フォアローゼズの由来としてFour Rose=4つの薔薇=求婚ストーリー、あるいは創業者に関する4人のローズ氏など、異なる名付けの由来が存在します。
現在、日本で広く知られているのはロマンチック?なバラのコサージュのエピソードですが、実際は後付けでシーグラムあたりが広告戦略として付け加えたのではないかと考えている派です。

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