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グレンモーレンジ グランドヴィンテージ1990 25年 ボンドハウスNo,1 43%

カテゴリ:
GLENMORANGIE
Grand Vintage 1990
Bottled 2016
Aged 25 years
Cask type Sherry & bourbon
Bond House No,1 Collection
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅テイスティング会@Y氏
開封後:2〜3ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6ー7)

香り:華やかでナッティーなアロマ。柑橘、オレンジママレード、じわじわと乾いた牧草、素直でスウィートな麦芽香。奥にはほんの少しフローラルなニュアンスも混じる。

味:若干水っぽいがスムーズな口当たり。乾いたオーク、ドライオレンジ、グレープフルーツのワタ、ほろ苦さと微かにピーチを思わせる華やかさ。
中間から後半にかけてはコクがあり、余韻はフルーティな麦芽風味、薄めた蜂蜜の甘みが広がる。オーキーなウッディネスが染み込んでいくように穏やかなフィニッシュ。

ややボディの弱さを感じるが、負担なく飲み進められるバランスの良さがある。特に余韻にかけての開きは特筆もの。
少量加水すると多少の複雑さが犠牲になるものの、まろやかで余韻にかけて華やかな麦芽風味は変わらず残る。


グランド・ヴィンテージシリーズというべきか、ボンドハウスNo,1コレクションなのか、日本と海外サイトで呼び名が微妙に違う印象があるシリーズ。
第一貯蔵庫を蒸留棟に改築する蒸留所の拡張工事故、生産量が少なかったという1990年の原酒が使われているだけでなく、ただの木箱ではない磨き上げられた銅板(?)貼りのやたらと豪華な箱に、メーカー側の気合を感じます。

まあ外観はさておき、中身もレベルが高いです。
グレンモーレンジは、スタンダードクラスの10年だとバーボン樽主体の華やかで繊細な酒質、また18年はホグスヘッドタイプのドライながら華やかさが強調された、10年の進化系として香味ともに洗練されているレベルの高い1本であることは言わずもがなではあります。
そこに今回の25年は、シェリー樽原酒を加えることで華やかさはそのまま、ドライさを抑えてコクと複雑さのある味わいに繋げる。スタンダードラインナップの延長線上にあり、オフィシャルだからこそと言える完成度の高いシングルモルトとして仕上げてきています。

特にモーレンジらしい麦芽風味と、オレンジママレードのような甘みとコク、ほろ苦さが綺麗にまとまっているのがいいですね。
強いて言えば加水ゆえの弱さというか、突き抜けない印象も受けたのですが、モノとしてはIWC2017においてシングルモルト部門で第3位に入る評価に加え。日本国内でも名だたる愛好家や、聖地と呼ばれるBARのマスター達からもよく出来たモルトであると高い評価を受けているお墨付きもあります。

このボトル、半年ほど前に自宅で開催したテイスティング勉強会で、ウイスキー仲間のY氏が持参したものでしたが、タイミングを逃して掲載していませんでした。同氏曰く、開封直後のほうが突き抜けて美味かったというコメントがあったことや、私自身も先に書いたように抜けたような軽さ、水っぽさを感じたため、どこかで氏がベストと言った時期のものを飲んでからにするかなと。
それが先日「はよ載せんかい」とご指摘いただきましたので、感謝の気持ちとともに掲載します。
サンキューヤッス!(違)

Drinker's Lounge
"グレンモーレンジ グランドヴィンテージモルト1990"

・・・っていうか再テイスティング時の自分のコメント、メモ取りに温度差ありすぎませんかねぇ(笑)

トマーティン 39年 1976-2016 ケイデンヘッド 43.8%

カテゴリ:

TOMATIN
CADENHEAD
Age 39 years
Distilled 1976
Bottled 2016
Cask Type Bourbon Hogshead 
Bottle Number: One of only 162 bottles released 
700ml 43.8%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅持ち寄り会
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:バニラやドライパイナップル、微かにハーブ、乾いたウッディさの華やかなオーク香。合わせてケミカルなニュアンス、果実香が穏やかに香り立つ。

味:ドライで華やかな口当たり。バニラ、ラスク、熟した洋梨、パイナップルキャンディ。ほのかにピリピリとした刺激も伴う。
序盤のフレーバーは大人しめで力強く広がる感じではないが、余韻にかけてはケミカルなトロピカルフルーツが広がり、ウッディなスパイスと共に長く続く。

美しい76トマーティン。この時期のトマーティン特有のケミカルなフルーティーさが過度に主張せず、序盤はホグスヘッドらしい華やかな樽感主体でドライ、余韻にかけて綺麗に広がる。


飲んでいた時期の関係もあり、1976トマーティンは数多く飲んできました、美味いボトルも、そこそこなボトルも沢山ありました。そのシングルカスクリリースの中で最も綺麗な仕上がりと感じたのが今回のトマーティンです。
先日レビューさせて頂いた175周年記念のカリラ同様に端正な仕上がり。長期熟成となって、熟成のバランスでプラスに作用しているボトルと感じます。

1976前後のトマーティンは、子供の風邪薬シロップのような、独特なフルーティーさに繋がっているケミカルなニュアンスが特徴であり、わかりやすい魅力でもあります。
しかしボトルによってはそれがしつこく、鼻についてしまうものも少なくないのですが、今回のリリースは熟成を経る中で酒質部分が削られ、度数が落ちたことが良い方向に作用。序盤はそのケミカルさが抑えられて適度にドライで華やかな口当たりが心地よく、そして余韻にかけてフルーティーなフレーバーが解き放たれていくのです。

個人的にウイスキーの熟成のピークは20〜30年くらいに多く、後は度数が落ちて酒質が枯れていくだけという印象があるのですが、突き抜けていくようなエネルギーはないものの、こうしてバランスが取れて長期熟成としての飲み頃を魅せてくれるボトルがあり、熟成の偶然や神秘の一つであると感じています。
他方、今後このようなリリースが続いてくるかというと、酒質に力のあった1960〜70年代だからこその産物とも考えられ、80年代、90年代はまた違った仕上がりになることが予想されます。

今だから出会えたことに感謝しつつ、将来には期待と不安(そもそも飲めるのかという話もあり)を感じつつ、様々な思いはあると思いますが、今飲んでいるからこそ楽しめるボトルを記憶していきたいですね。

グレンギリー 15年 1990年代流通 43%

カテゴリ:
GLEN GARIOCH
Aged 15 years
1990's
750ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:はちみつ梅やレモンのような柔らかい酸味を感じる香り立ち。続いて乾いた麦芽、干しわらの軽やかな香ばしさとオーク系の華やかなアロマが感じられる。

味:とろみのある蜜の甘みと干し草、麦芽風味。最初はオイリーで少し油のようなクセがあるが、徐々にドライでオーキーなフルーティーさ、余韻にかけて淡いピートフレーバーが染み込むように優しく残る。

華やかでらしさがあるグレンギリー。オフィシャルらしくバランスも整っているが、加水すると水っぽさが強くなりバランスが崩れてしまう。ストレートで。


グレンギリー蒸留所において、1980年代は魔の時代です。
それを好む人にとっては天国ですが、大多数の飲み手にとっては受け入れがたい、パフューム香の一つに分類されるソーピーなあの味わいが出てしまった時期。当時はボウモアも同じ病にかかっていましたが、どちらも所有者がモリソンボウモア社の時代でした。

パフューム香の原因は、蒸留設備の汚れ、熱交換器による過冷却、糖化の際の菌による仕業、発酵時の泡の発生を抑える薬剤、熟成時の害虫駆除剤散布、蒸留所マネージャーの趣味、ボトリング後の熱変化・・・など、確度の高そうなものから噂レベルまで、様々な要因をこれまで耳にしてきました。
確たるものは分かっていないとされているものの、グレンギリーもボウモアも、1990年代にはパフュームから脱却し、かつてに通じる味わいを取り戻した訳で、メーカー側は何が原因かある程度突き止めているのではないかと考えています。(ソースが定かではないですが、モリソンボウモアの場合は熱交換器が問題だったという説が有力ですね。)
今回のボトルは、熟成年数を差し引くと魔の時代にかかろうかという時期の流通品。後の世代である"鹿のイラスト"がはっきりと書かれた15年はしっかりソーピーです。
恐る恐る口に含むと・・・これがセーフ。蒸留時期は恐らく1970年代後半頃で、麦芽風味とスモーキーさ、そしてほのかにオイリーなクセのある好ましいグレンギリーの味わいが、華やかなオークフレーバーと合わせて広がります。

近年のグレンギリーは1997年からノンピート仕様主体に切り替わっており、こうした古き良き時代のグレンギリーは絶滅危惧種になりつつあります。
加えて、上述のパフューム時代から脱却した後のグレンギリー12年(ダンピーボトル)が、日本への正規輸入終了のみならず、本国でも生産終了という話も聞こえてきました。
ノンエイジのグレンギリーも悪くないのですが、ちょっと熟成感が足りない気がするんですよね。。。それほど高騰しているボトルでもないですし、ギリー好きな方は探してみても良いかもしれません。

オールドプルトニー 29年 1984-2014 GMリザーブラベル 57.8%

カテゴリ:
IMG_5646
PULTENEY
GORDON & MACPHAIL RESERVE
Aged 29 years
Distilled 1984
Bottled 2014
Cask type Refill Bourbon Barrel #10171
Exclusively Bottled for JIS
700ml 57.6%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅持ち寄り会
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(7) (!)

香り:穏やかで熟成を感じる香り立ち。ほのかに溶剤的な要素を伴うバーボンオーク。麦芽やバニラの甘み、レモンピール、微かにハーブを思わせる爽やかさも。

味:コクのあるクリーミーな口当たり。刺激を伴う麦芽風味、バニラや洋梨の品の良い甘み。序盤はプルトニーらしいトーンの高いキャラクターから、余韻でドライパイナップル、黄色系のトロピカルフルーツ、オーク由来の華やかさが一気に開く。

香味ともプルトニーらしさがありながら、長期熟成故の熟成感、樽由来の要素も備わっている。プルトニーにおける熟成のピークのひとつ。酒質と樽が自然なバランスを保っている、実にうまいウイスキー。 
私事ですが、1984年生まれの自分にとって「生まれ年のスコッチモルト」で、これというボトルに出会えないのがスコッチ業界のあまり嬉しくない事情の一つ。1984年に限らず、同世代である方々は同じ問題を抱えているわけですが、これはスコッチ業界の冬というより暗黒時代が背景にあります。

当時、消費量の落ち込みから多くの蒸留所が生産を縮小、そのいくつかは閉鎖、操業停止に追い込まれている話は言うまでも無く。製造行程においては麦の品種改良からか何らかの原因で原酒にコク、深みが無くなっていった点に加え、樽の使い方が安定せず、代表的な事例としてシェリー業界の動向から1960、70年代は手に入りやすかったシェリー酒の古樽が入手困難となり、熟成の浅い青臭い木香が漂うシェリー樽や、シェリー酒を直接混ぜたような質の悪い樽によるウイスキーも見られるなど、単に蒸留所が閉鎖されただけではない、ウイスキー全体として質、量ともに落ちた時代でした。

もちろんその中でもすべてが悪かったわけではなく、素晴らしいと思えるボトルに出会えることもあります。
特にあまりファーストフィルシェリー樽に頼っていなかったと考えられる蒸留所は、バーボン樽やリフィル樽へのシフトがスムーズで、大きな落差がないように感じます。
それが中々1984年ではなかったというだけですが、今回のプルトニーは樽感と酒質の熟成によるバランスが素晴らしく、ウイスキーとしての高い完成度を感じられるものでした。


プルトニーは加水されてしまうとらしさが大きく軽減されて、46%であっても去勢されたような印象を受けることがあります。
かつてGMがリリースしていた長期熟成の蒸留所ラベルはもとより、オフィシャルでは21年はなんとか、しかし30年、35年は美味しいけれどプルトニーじゃなくても良いだろうというくらい樽感が主体的で、加水は20年くらいまでだなあというのが個人的な印象です。

それが今回のボトルは高度数のカスクストレングスゆえボディに力があり、樽感をしっかり受け止めて、まずは酒質由来の要素を味わった後で樽由来の華やかさが余韻で広がる。絶妙なバランスを味わえる構成に、熟成のピークとはこういうことかと感じられます。
しいて言えば、スケールという点ではさほど大きくないのが"時代"とも言えそうですが、そこは重箱の隅。自分の生まれ年で、こうしたボトルに出会えたことが嬉しい1杯でした。

グレンモーレンジ 30年 オロロソカスクフィニッシュ 44.3%

カテゴリ:
GLENMORANGIE
Oloroso Cask Finish
Rare Aged 30 Years Old
Distilled 1972
Cask Changed 1989
Bottled 2004
700ml 44.3%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅持ち寄り会
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★★★(8)(!)

香り:注ぎたては黒砂糖や黒蜜を思わせる古酒感、コクのあるアロマ。スワリングすると華やかな陶酔感あるシェリー香、レーズン、コーヒーチョコ、徐々にビターなウッディネス。

味:スムーズな口当たり。深いコクのある甘みとほのかな酸味を伴うシェリー感、陶酔感も伴う。黒蜜、枝付きレーズン、チョコブラウニー、奥には微かに麦芽風味も潜んでいる。
余韻はベリージャムやブラウンシュガー、コクのある甘みが穏やかなウッディネスと共に染み込むように長く残る。

カスクストレングスらしくフレーバー一つ一つに存在感があるだけでなく、一体感が素晴らしい。深く甘美な甘みがありながら、過度な苦味とウッディネスがない、熟成のいいとこ取りと言える構成。まさにカスクフィニッシュの最高峰。

カスクフィニッシュの先駆けとも言えるグレンモーレンジの同ジャンルには、なんとも評価し難いモノがある反面、とてつもないモノもいくつかあるわけですが、今回のボトルは後者に該当する"とてつもないフィニッシュ"です。

1972年蒸留年の原酒をバーボンホグスヘッド樽で熟成させた後、1989年にオロロソシェリーバットに移し2004年まで約15年間熟成させた、複数樽バッティングのカスクストレングス仕様。
15年間のフィニッシュって、もはやそれはダブルカスクマチュアード表記なのではという疑問はさておき。全体の熟成期間は少なく見積もっても31年熟成なのですが、キリが悪かったのか、樽から移してる移行期間を差し引いたのか、ラベルの表記は30年となっています。

グレンモーレンジの1970年代前半蒸留には、通常ラインナップから限定品まで高い評価のボトルが多く、ベースは間違いありません。加えて、本来シェリー樽で30年となるとグレンモーレンジの酒質ではウッディさが強く出すぎるケースも考えられましたが、今回のボトルはホグスヘッドで酒質の荒さを取り除いた後、長期間の後熟で良い部分だけ取り出したような味わいと、全体的な一体感は特筆モノです。

シングルモルトウイスキーにおいて、一つの樽で熟成を通すシングルカスクの出来栄えが自然なものとすれば、カスクフィニッシュのボトルは手作り感、"狙って作られた"という別な意味でのイメージがあります。
しかし今回のボトルは、そのスケールがとてつもないというか、例えるなら一流のシェフが素材から調理法まで厳選して丹精込めたスペシャルなフルコースのような、「手作り」などとは言い難いスケールが感じられるわけです。

これまで様々なボトルを飲んできましたが、ウイスキーを知れば知るほど感動出来るボトル。シェリーカスクフィニッシュの最高峰であることは間違いありません。 
そして、これを「よくわからないモーレンジのオロロソカスクフィニッシュ持って行くよ」とだけ言って会に参加してきたウイスキー仲間にただただ感謝です。

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