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夏本番 タリスカー10年で楽しむ ペッパーソルトハイボール

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実売3000円代という価格帯を考慮すると、言うことは何もない。いや、流石MHDというべきでしょうか。タリスカー10年は、ハウススタイルと美味しさを両立させたクオリティの高いオフィシャルボトルだと思います。
熟成はリチャードオークを交えたサードフィルあたりの樽が中心と推測。近年多く見られるバーボンオークのフルーティータイプではない、酒質ベースの香味に淡い樽香がのっているため、スモーキーフレーバーなどの個性が感じやすいのもポイントです。

タリスカー10年の飲み方で代表的なものは、やはりハイボール。そのレシピは、販売元たるMHDが推奨のハイボールに黒胡椒を挽いたスパイシーハイボール(別名、タリソーペッパー)。そして当ブログでも推奨している目黒発祥、四川山椒(藤椒)を挽いて爽やかな柑橘系の香りとビリビリとした刺激を加えた痺れるハイボール(シビハイ)が、愛好家の間でも認知されていると感じています。


元々タリスカーは余韻にかけてスパイシーな香味があり、それが酒質由来の要素で柑橘のニュアンスや、樽やピートフレーバー由来の要素で黒胡椒を思わせる香味が故、黒胡椒や山椒との親和性が高かったわけです。

ただスパイシーハイボールは食中酒としての相性は文句のつけようがないものの、それ単品で飲むと個人的にはちょっと胡椒の香味が強すぎるかなという印象も。そのため、胡椒以外のものを加えて足りないものを補えないか探求した結果。。。今年のバーショーのジョニーウォーカーブースにヒントを得てたどり着いたのが、"タリスカー・ペッパーソルトハイボール"です。


作り方はタリスカーを冷凍庫でキンキンに冷やすところから始まります。
今回は写真のようにグラスの縁に塩をつけるため、通常のハイボールの手順でステアが出来ないので関西式ハイボールの作り方を採用します。あるいは別容器で氷を加えてステアして、ウイスキーを冷やしてから移すという方法も可です。

まずはグラスのフチを濡らし、ソルティードックのように塩をつけていきます。使う塩は特に指定はないですが、にがりの味が少なく、粗挽きじゃない方が口当たりは良いですね。
そしてグラスに冷やしたタリスカーを注ぎ、こちらもよく冷やしたソーダを使って割っていきます。
先に書いたように、通常のハイボールなら常温のウイスキーに氷を加えてステアで温度をさげますが、今回それをやると塩が吹き飛んでしまいます。
ソーダ割りにした後、そっと氷を加えてもOKですが、やはりウイスキーもソーダもキッチリ冷やしておく方が出来は良く。最後に黒胡椒をミルで適量粗挽きすれば完成です。

一口飲むとタリスカーソーダの爽やかでスモーキーな飲み口に、炭酸と合わせてじゅわっと溶け出る塩気とコク、胡椒の風味がマッチし、強すぎる胡椒感を程よく抑えつつ美味しさが増している。これはちょっとしたカクテルとも言える香味の相性の良さが感じられます。
(塩を加えてステアしても良いのですが、飲んだ瞬間に混ざり合う感じが美味しさのポイントでもあるので、多少手順は増えますがこの形を推奨します。)

個人的に、このスタイルのハイボールにはタリスカー10年をオススメするものの、タリスカーが使われているジョニーウォーカーや、ソルティーハイボールならオールドプルトニーなど、様々な組み合わせも楽しめます。
なお、塩分の取りすぎは当然体に悪いので飲みすぎに注意は必要ですが、いよいよ夏本番という最近の真夏日、猛暑日の中にあっては適度な塩分摂取も必要。この日はクソ炎天下の河川敷で野球をやった後。一口目の旨さと言ったらもう。。。運動後の一杯はビールやノーマルなハイボールですが、その中でこのペッパーソルトハイボールもオススメしたいですね!

TALISKER 
Aged 10 years 
700ml 45.8% 

【テイスティングコメント】 
香ばしくほろ苦い香り立ち。スモーキーで焚き木のような焦げた木材、ヨード、奥には乳酸系の若いニュアンスもあるが、スワリングしているとハチミツ梅のような甘酸っぱさも感じられる。
口当たりは若さを感じる荒さが若干あるが、それもハウススタイルの一要素として上手くまとまっている。ピーティーで燻した麦芽や焦げた木材、ほのかに酸味も伴う。余韻にかけて塩水のコク、スパイシーでスモーキー。ピリピリとした刺激を伴い長く続く。 

ヘブリディーズ(タリスカー) 30年 1970年蒸留 キングスバリー 53.2%

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HEBRIDES (TALISKER)
Kingsbury Celtic Label
Aged 30 years
Distilled 1970
Bottled 2001
700ml 53.2%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:持ち寄り会@Nさん
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:芯のしっかりした麦芽香、奥にはエステリーなニュアンス。粘土質な土っぽさ、どっしりとしたピート香がじわじわと存在感を増して、燻したようなアロマへと変わっていく。

味:コクがありオイリーな口当たり、おしろいっぽさも伴う厚い麦芽風味、レモンジャムや洋梨系の果実味をベースに、しっかりとダシ感と土っぽいピート。スモーキーフレーバーが鼻腔に抜けていく。
余韻はピーティーなほろ苦さ、潮気とスパイシーな刺激、ビリビリと舌を刺激して長く続く。

樽感はプレーンで、ハイランド寄りとも言える麦芽風味が主体だが、合わせて感じられるピート、ダシ感、そして潮気がこのモルトの生い立ちの違いを物語っている。また余韻で唐突に感じられるスパイシーな刺激もらしさの一つ。少量加水するとピート香やヨード系のニュアンスが感じやすくなる。


イギリス、ヘブリディーズ諸島の名を冠したリリース。
この原酒が蒸留された当時、ヘブリディーズ諸島でウイスキーを作っていたのは、アイラ、ジュラ、マル、そしてスカイの4島ですが、主たる表記やその他リリースなどとの関連から、中身はタリスカーと言われています。

このタリスカーは、愛好家にとって注目すべき要素が一つ。それは同蒸留所が1972年にフロアモルティングを廃止する前の仕込みであることです。
タリスカー蒸留所は1960年に起こった大火災を受けて設備を改修し、1962年に再オープン。この時は従来の方式をほぼそのまま踏襲したことがエピソードとして知られていますが、そこから10年間後に親会社であるDCL(ないしSMD)社の方針からモルティングがグレンオードに移ります。

1970年代後半蒸留以降のタリスカーは、各ボトラーズのリリースや、UDないしディアジオのリミテッドリリースでテイスティングする機会があったところ。酸味を伴う独特のピートフレーバーの中に魚介っぽさ、ヨード、塩気などアイラにも通じる特徴も共通的に備えています。
他方で、フロアモルティング時代はこの辺りにブレが大きいのか、今回は近年使われている樽と同じようなプレーンカスクでありながら、ハイランドを思わせるモルティーさがメインで、単に熟成の変化だけではないスタイルの違いが興味深い1本でした。

ちなみに、写真の通り今回もやってしまったハイボールは、ボトルの持ち主推奨のスタイル。モルティーなボディがソーダを適度に受け止め、炭酸の刺激の中にピートが柔らかく香る、大変美味しい1杯でありました。

ハイボールシーズン到来! 強炭酸ナンバー1決定戦!

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4月下旬頃から急に暑くなりましたね。関東は夏日という日もめずらしくなく、ハイボールが進んで進んで仕方ありません(笑)。

一方、ここ最近"強炭酸"を謳う市販炭酸水が増えており、「一体どれが一番強炭酸なんだろう」と素朴な疑問・・・。そこで今回は、広く入手が可能と考えられるコンビニ取り扱いの大手ブランドを中心に、自分の周囲で購入できるものを集めて炭酸の強さを比較をしてみました。

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単に炭酸水といっても市場には相当な種類があり、その流通も地域によって様々。ネット販売中心のものや、酒販店のオリジナル、さらにご当地的なブランドまであり、今回購入した比較的メジャーなものだけでも10種類以上あるのです。最初はその辺の酒販店とコンビに回れば網羅できるとか思ってたんですが、調べてみると出てくる出てくる・・・。

これらの比較の方法ですが、炭酸の強度である充填量(ガスボリューム:GV)を測定する科学的方法はあるものの、一般家庭で行えるものではなく。また、メーカーによっては充填量を公開しているところがありますが、炭酸の質の問題か、ボトリング前後で抜けてしまうのか、数値ほど強く感じないモノもあります。これはもう飲んで比較するしかありません。

ただし、飲むにしても開封して注いで時間が経つと抜けてしまうので、一度に比較するのは不可能。。。というか、すぐハイボールにして飲んでしまう炭酸水で時間をかけた評価はあまり意味がなく。
まずはこれらの炭酸水を2本以上調達、そのまま飲むだけでなく日々のハイボールで使ってみて、明らかに炭酸の弱いものは除外し、残ったものを同時に比較することにしました。


この過程で、ペリエやサンペレグリノら天然炭酸水、あるいは山崎の天然水ソーダなどは、強炭酸区分では惜しくも予選落ちということになってしまいます。
炭酸水には大きく3分類「天然炭酸水」「天然水炭酸水」「人工水炭酸水」があり、ガス圧を後から追加出来ない天然炭酸水はどうしても発泡が弱くなりがちです。

誤解のないよう補足をすると、ハイボールは炭酸が強いから美味いのではなく、水あるいは炭酸の質、炭酸ガス以外の添加物(塩化Ca,硫酸Mg,クエン酸Na・・・)、それ以外の要素としてグラスや氷の存在も重要。後はステアの技術もありますね。さながらカクテルのように、トータルで味が決まるものといっても過言ではありません。

先のペリエなどは鉱水で、普通の炭酸水とは味や舌当たりが異なります。これはオールドブレンデッドのハイボールに使うといい仕事をしますし、仕込み水などに硬水を使う蒸留所のシングルモルトのハイボールに用いてみるのも面白そうです。また、価格に目を瞑れば山崎のプレミアムソーダはまろやかさと上質な泡立ちで、ワンランク上のハイボールが出来上がると、ウイスキー仲間の間でも評判です。

一方これからの暑い日は、バチッと喉に刺激が残る爽快なハイボールが飲みたい時もあります。強炭酸で、クリアで、ウイスキーの味を邪魔しない・・・ここからの比較は、そういう視点でみてもらえればと思います。
予選を終えて残った銘柄は、全6種と参考品の1本(以下、あいうえお順)。"強炭酸"をラベルに謳っているのは、そのうち4銘柄ですが、どれもほぼ一定以上の強さがある炭酸水といえます。

①伊藤園 磨かれて澄みきった 日本の炭酸水 500ml
②ウィルキンソン タンサン 500ml
③カナダドライ 強炭酸水 ストロング・ザ・タンサン 490ml
④サントリーソーダ 強炭酸 490ml
⑤セブンプレミアム 強炭酸 490ml
⑥南アルプスの天然水 スパークリング 500ml
※ケープライス おいしい炭酸水 強炭酸 500ml (参考品)

同時比較にあたっては、可能な限り入荷が新しいものを、同じ形状のグラス(SK2)で比較しました。ただグラスは同じ形状で6脚以上持っていたのがSK2だけだった、という話でグラスにこだわったわけではありません(笑)※写真を撮っている間のロスを防ぐため、同時にグラスに注いだ写真はありません。

そして散々引っ張ってきて、あっさり結果に落としてしまうことを申し訳なく思うのですが、第一回強炭酸選手権、ナンバーワンは⑥南アルプスの天然水 スパークリングです!
1日以上冷蔵庫で安置し、同じように取り出して開封。グラスに入れた時の立ち上がる泡の強さ、水のまろやかさの後から喉にくる刺激。サントリーというより共同開発したスノーピークがすごいのか、予選の段階から「こいつ強くね?」と思っていたものが、やはり比較でも一歩リード。
ハイボールに使ってもベースがクリアでウイスキーの味を邪魔しませんし、強炭酸だからこその爽快感が喉越しに楽しめます。

他方、残りの炭酸水は、正直似たり寄ったりな部分もあって、順位付けするほど明確な差が感じられないものもありました。なので今回はAランクからCランクで3段階にわけると、以下の通りです。

【Aランク】
・南アルプスの天然水 スパークリング 500ml 

【Bランク】
・ウィルキンソン タンサン 500ml
・伊藤園 磨かれて澄みきった 日本の炭酸水 500ml
・セブンプレミアム 強炭酸 490ml

【Cランク】
・カナダドライ 強炭酸水 ストロング・ザ・タンサン 490ml
・サントリーソーダ 強炭酸490ml

比較して改めて感じるのが、ウィルキンソン タンサンの安定感。淀みないクリアな味わいと強い発泡で、割る対象を選ばない万能ソーダ。我が家でレビューに使ってきたのも、ウィルキンソンとカクヤスのプライベートブランドK-priceソーダです。今回はカクヤスブランドが全国区ではないので、参考品区分としていますが、こちらも安価で雑味が少なく発泡も強い、使いやすい炭酸水だと思います。

そして意外にも健闘したのが、伊藤園の日本の炭酸水。特に強炭酸とは明記してないものの、なかなか刺激が強い。BかCかで悩みましたが、暫定Bということで。実は会社に置いてある自販機で扱っているので、日常的に飲んでいた銘柄だったりします。
ただ、そのまま飲むのは良いのですが、ハイボールに使うと若干泡立ちが荒いというか、銘柄によっては苦味が出るような気がするので、銘柄を選ぶようにも感じます。

CMの煽りから期待していて残念だったのが、カナダドライの新商品。。。強炭酸水 ストロング・ザ・タンサン。同ブランド史上最強のガス圧という前振りでしたが、なんというか普通のレベル、しいて言えば、ちょっと泡が口の中で重いかな?というくらい。ただ味のキレは良いと思います。
保管状態の関係で抜けてしまったのかもしれないと、店頭以外に自販機でも購入して5本くらい試したのですが、他の6本と比較して際立った強さはありませんでした。

あとサントリークラブソーダ。リニューアルしたパッケージで5.0GVとスペック的には文句なしの強炭酸で優勝候補筆頭。。。ですが、数値ほどに感じない不思議。実は同じサントリー関連企業が作っているのがセブンプレミアムの強炭酸。これは同じく5.0GVの充填量ですが、ベースの水の硬度が異なっていて、感じ方の違いは水質との関係かもしれません。これくらいの強さがあればハイボールには充分だけど。。。うーん。

というわけで、今回の企画。比較的日本全国に広く出荷されているであろう、ラベルチェンジした新商品「南アルプスの天然水 スパークリング」が、現時点でくりりん的強炭酸ナンバー1の座に輝きました。
ただし調べてみると、ローカルブランドながら他の地域やネットショップには、まだまだ炭酸の強そうな商品があり、今回は「地区大会」という位置づけが適切でしょうか。例えば、一般的な炭酸水の1.5倍以上となる5.5GVを充填しているという強炭酸水KUOSは無視できない存在。これらを後日取り寄せて、「全国大会」を開催しても面白そうです。

先にも述べたように、炭酸水といっても成分や炭酸の強さなどから全てが同じというわけではなく、ウイスキーとの相性があり、様々な組合わせが考えられます。そういう意味で、今回の炭酸水比較は、単にナンバーワンを決めただけではなく、炭酸水そのものへの理解が深まる良い経験になったなと感じています。

なお、ハイボールのベースとなるウイスキーでは、ちょうどタリスカー10年がスパイシーハイボールキャンペーンを実施中。燻製黒胡椒が必ずついてくるタリスカー10年が、お店によっては税抜き3000円を切る価格で販売されているので、まさにこれからのシーズンにうってつけ。勿論当ブログ推奨のシビハイにも・・・。
そしてそこに使う炭酸水は、キリッと冷やした南アルプスのスパークリングを試してみてください。

※(5/21追記)本記事について多くの反響をいただきありがとうございます。
記事公開後、比較方法についての疑問をメッセージいただきました。私自身も同様に感じるところあり、改めて上記6本の比較をすることとしました。確認後、変更がある場合は改定または訂正として記事を更新させていただきます。ご意見いただき、ありがとうございました。

タリスカー ディスティラーズエディション2017 45.8%

カテゴリ:
TALISKER
Distillers Edition 2017
Distilled 2007
Bottled 2017
Amoroso Cask Finish
700ml 45.8%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み@Y's Land IAN
時期:開封後数日以内
暫定評価:★★★★★(5ー6)

香り:焦げたような樽香、塩素、ヨード、ほのかにアーモンドや梅干しの酸味に通じるシェリー香もあるが、焦げたようなアロマが強い。

味:マイルドな口当たりから焼き芋を思わせるチャーオーク系の樽香、徐々にピートや燻した麦芽、ビターでスモーキーな風味が盛り上がる。
余韻は焦げ感、ピーティーでほのかにピリッとした刺激。ベタつきはなくスッキリしている。

好みを分ける樽香が香味共に前面にあるが、荒さをさほど感じないのはフィニッシュのシェリー樽由来のコクがカバーしているのだろうか。シェリー感はそこまで強くなく酒質主体のピーティーさ、麦芽風味も伴う。
時間経過で焦げ感は落ち着く印象があり、開封後の変化に期待したい。


今年日本でリリースされたDE(ディスティラーズエディション)2017の中で、違和感のあった2本のうちの1つ。
これまでタリスカーDEはシェリー系の甘味の濃さ、あるいは酸味といったニュアンスが特徴としてありましたが、それが近年は年々薄くなっている印象があり。。。昨年のボトルは塩気や焦げ感が強くなっていたところ、今年のボトルは昨年のそれからシェリー系のニュアンスが落ちて、コクのある甘み程度になってしまったようなイメージなのです。

この焦げ感はピートではなく樽由来のもの。アモロソシェリーはオロロソとPXのブレンドで、焦げに繋がる香味ではなく。また、他のDEにもここまでの強い香味は感じられないため、フィニッシュ用の樽を作る際、リチャーの工程で焼きを強くするなど他と異なる仕様として差別化につなげているか、あるいは、ベースとなる原酒がこのタイプの樽で熟成されていたのではないかと推察します。
実際、タリスカーはダークストームなどでそうした樽を使っている実績もあります。

(タリスカー蒸留所のポットスチル。その特徴とも言えるのが、初留釜の独特なラインアーム形状。直角に伸びた先で再度直角に折り曲がる。これによって蒸気の還流を促している。Photo by T.ishihara)

タリスカーは波飛沫の舞う海辺のロケーションに、爆発するようとも例えられるスパイシーさ、あるいは酒の王者とも賞されることから、ついヘビーでパワフルな酒質を連想しがちですが、近年は然程ヘビーというわけではなく樽によっては比較的マイルドに仕上がるウイスキーです。(昔のボトルはかなりどっしりした味わいでしたが、原料のみならず、蒸留の速度なども関係しているのかもしれません。)

他方、だからこそ近年のそれはピリッとしたスパイシーな刺激が際立つのでしょうか。メーカー側もその点を意識した樽使い、ブレンドをしているように感じます。
今回のDEは現時点でマイルド寄りなタリスカーでしたが、個人的には何方も好みなので、あとは違和感になる樽香が馴染んでくれればいいなと感じています。



タリスカー ストーム 45.8% シビハイにもオススメ

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TALISKER
STORM
700ml 45.8%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後2週間程度
評価:★★★★★(5ー6)

香り:焦げたような香ばしさ、スパイシーでちくちくと鼻腔を刺激する。ドライオレンジ、じわじわと塩素、奥から甘いヨードのようなアロマも感じられる。

味:とろりとしたコクが感じられた後ですぐにスパイシーな刺激、酸味を伴うオレンジ、黒コショウ、荒さのある構成。余韻は焦げた麦芽や木材のようなニュアンス、舌の上に残る塩気、ほろ苦くピーティーでスモーキー。

酒質由来の香味がメイン、安心して飲めるデイリーモルト。加水すると麦芽香が開いてくる反面、味わいは水っぽさがすぐに出てしまう。半端に加水するくらいなら思い切ってハイボール。 
ペッパーハイボールも良いが、最近当ブログイチオシの「四川山椒のシビハイ」とも当然相性は良い。 

※シビハイについてはこちら
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1066753705.html

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タリスカー蒸留所のあるスカイ島。不毛の地、荒れやすい気候、波打つ海の飛沫が舞う。
"ストーム"はそうした風土によって得られるとされる潮の香りと、原酒由来の個性である黒コショウを思わせる味わいをさらに濃く、強調するように仕上げた1本。
メーカーPRでは「タリスカーの理想の味わい」とされており、確かに飲んでみるとそうしたキャラクターが感じられます。

樽構成は3rdフィルくらいの比較的プレーンなモノを中心に、チャー済みの焦げ感と甘みを出すように仕上げたリフィル樽での短熟がアクセントしょうか。
香り、味共に淡い酸味を伴うピーティーさ、そうした酒質由来のキャラクターを出しやすいようにプレーンな樽を中心に熟成した原酒をチョイスしていると思われます。
この辺は10年にも共通する要素であると共に、タリスカーに限らずディアジオの最近のリリースによく見られる構成です。

また、スパイシーで荒々しさが甘みや焦げ感と共に感じられるのは、タリスカーのキャラクターもさる事ながら、比較的若い原酒にチャーオークで樽感を付与し、その原酒をブレンドすることで狙った味わいを作り上げているためと考えられます。
作り手のタリスカーのハウススタイルに関するイメージ、解釈が、こうした原酒構成にあらわれているんでしょうね。 



ちなみに、タリスカー蒸留所の原酒のうち、スカイ島の貯蔵庫で熟成されるのはごく一部。それ以外のほとんどがスコットランド本土にある大規模な集中熟成庫に送られ、その他ディアジオ傘下の蒸留所の原酒と共に熟成されています。
集中熟成庫の場所は公開されていなかったと記憶していますが、Google先生のお力で空から覗いて見ると。。。エジンバラの近く、フォース川のほとり、緑豊かな景色の中に明らかに異質な倉庫群が(笑)

かつて効率化から、各蒸留所のフロアモルティングを廃止し、モルトスターでの精麦に切り替えたのはディアジオの前身たるDCL社でした。
そして現在は熟成場所による個性の違いは大きく無いという結論に行き着いたのか、集中熟成庫による原酒管理が行われています。
ただ、今回のボトルは塩気やスパイシーさなど、蒸留所のキャラクターをPRしている中で、果たしてどちらで熟成された原酒なのか・・・ そして内地で熟成されているならば、この塩気はどこからくるのか。熟成環境に関する疑問は尽きません。

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