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グレンタレット 29年 1987-2017 シグナトリー 54.9% ブラインド

カテゴリ:
GLENTURRET
SIGNATORY
Aged 29 Years 
Distilled 1987.9.26
Bottled 2017.1.16
Cask type Hogshead#380
700ml 54.9%

【ブラインドテイスティング】
地域:北ハイランド
蒸留所:プルトニー、クライヌリッシュ
熟成年数:25年程度
流通時期:近年
樽:バーボンホグスヘッド
度数:53%程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ニスのような溶剤感のあるウッディネス。バニラやカスタードシュークリームを思わせる甘みもあるが、その上にある樽感が強く、鼻腔を刺激する。時間経過でワクシー、すりおろしリンゴのアロマ。

味:リッチな麦芽風味とすりおろしたリンゴ風味。熟したバナナ、おしろいっぽさ、オーク由来のリンゴのコンポートの落ち着いた甘酸っぱさも感じる。
余韻は少し粉っぽさを伴いつつ、カシューナッツ、麦芽と干し草のほろ苦いアクセントと近年系のトロピカルフルーツ。

ノージングではツンとした刺激に若干警戒させられるが、徐々に開くワクシーな甘さ。酒質の個性もあり、後半は樽感もホグスヘッド系のフルーティーさがうまくマッチしているおいしいシングルモルト。


今回のブラインドは、先日マッキンレーズなどのサンプルを交換頂いた、若きウイスキークリエイターNさんからの出題。
少しニスや溶剤っぽさというか乳酸系の酸味というか、独特の香りが混じることがちぐはぐさに感じますが、味わいはオーキーなフルーティーさと熟成感があって、味だけ見ればもう一つ評価を高くしても良いかなと感じるボトルでもあります。

ブラインドの結果を見ると完全にミスリードしているのが地域と蒸留所、そして微妙に熟成年数がズレてますね。これは地域からの予想というか、蒸留所を最初に決めてしまったため、そこに色々引っ張られている典型的な失着だったと思います。

個人的に、ブラインドの回答は各要素バラバラに行われるべきで、極端な例を出せば蒸留所まで予想する場合は地域はハイランドだけど、蒸留所はアイラみたいな話があってもおかしくはないと考えています。
それは熟成場所が蒸留所ではない事例がありえますし、ピートと麦芽がアイラ産ならそう感じる可能性もある。また、純粋にそういう風に感じたと言う回答は、後々の検証材料として貴重であるからです。
とにかく、「こんなリリースないよな」なんて先入観を持たないことが大事ですね。

今回は熟成感、味わいからボトラーズの内陸系、シングルカスク、30年熟成程度というイメージを持っていました。
一方で、香りに感じられた刺激や癖から、長期熟成の北ハイランド2蒸留所、特にプルトニーっぽいなと予想したのはブラインドなのでいいとしても、あそこはそんなに長熟はないよな・・・とか余計な推理が入り、熟成年数をちょっと若めに修正したりしてしまいました。こうなると、見事に迷走するわけです。
まあ仮に選択式だったとして、タレットを選択できたかはかなり怪しいのですが。


というのも、グレンタレットと言えばソーピーなフレーバーを特徴の一つとするモルトで知られています。
ただ1977年あたり、一時的にその要素が無い時期もありましたが、その後1990年代蒸留には再びそのフレーバーが復活したリリースが見られるところ。
今回のボトルにはその要素がはなく、むしろあるのはいい麦感とフルーティーさ。そう言えば1990年代のオフィシャルボトルにはそのフレーバーがなかったものもあるわけですが、この先入観を払拭できたかは・・・自信がないですね(笑)
良い出題を頂き、ありがとうございました!

グレンファークラス30年 1987-2017 サイレンスバー30周年記念 44.5%

カテゴリ:
IMG_6179
GLENFARCLAS
THE FAMILY CASKS
Aged 30 years
Distilled 1987
Bottled 2017 
For Silence Bar & Shinanoya
To Commemorate the 30th Anniversary of Silence Bar
Cask type Refill Sherry Hogshead #3813
700ml 44.5%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★★(6→7)

香り:最初はややビター、カカオチョコやウッディなえぐみが前に出ているシェリー感だが、徐々に樽由来のオーキーな華やかさ、ビスケット、甘栗、レーズンとドライアプリコットなどの黄色系のドライフルーツの甘みが開き、香りが充実してくる。

味:とろりとした甘み、キャラメルやレーズン、少しニッキのようなスパイス。乾いたウッディネスとあわせ、じわじわとオーキーな華やかさ、ドライアップルやアプリコットのフルーティーさがシェリー樽由来の甘みとともに広がり、鼻腔に抜ける。
余韻は少し粉っぽい樽感、オーキーで淡いタンニン、レーズン、ほろ苦く長く続く。

時間と共に樽系のニュアンスが開いてくるだけでなく、少量加水すると多少分離感のあったシェリーの甘みとオーキーな華やかさの一体感が増し、近年系トロピカルフレーバーを思わせるフルーティーでウッディな余韻へ繋がる。時間をかけ、グラスの中での変化を楽しんだ後は是非少量加水をしてほしい。詰め手が何を見出したのかが伝わってくるようである。

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香川県丸亀市、瀬戸内海のに面する漁港のほど近く、ここに日本の中でも有数のウイスキーBARとして名を馳せる、サイレンスバーがあります。佇まいに加え膨大なウイスキーのストック量は、さながら漫画のBARレモンハートを思わせるような雰囲気があり、モデルになったBARの一つではないかいう話もあるほどです。

そのサイレンスバーが1987年の創業から昨年で30年を迎え、信濃屋経由でボトリングした記念ボトルが今回のグレンファークラスです。
近年のグレンファークラスと言えば、国内に多く流通したボトルではメインモルト&キャンベルタウンロッホの1989、信濃屋プライベートボトル10周年記念の1991と、高い評価を得たボトルが複数あり。あのサイレンスバーの記念としてリリースされるのだから、間違いなく良いものを詰めて来るはずだと、期待していた飲み手も少なくなかったと思います。

さて、その中身は予想に反して?きれいな近年系シェリー。
正直、最近流行りの一撃必殺濃厚スパニッシュオーク系だろうと思っていたので、一口目は「なんだかはっきりしないシェリー感だな」とさえ感じたところ。
ただ、後半にはシェリー感と共に熟成を感じさせるオーキーなフルーティーさが広がり、グレンファークラスでいうプレーンカスクに通じる要素がある。
それが少し浮ついたというか、シェリーとの分離感があるようにも感じられるのですが、ホグスヘッドにするにあたって鏡板を新しくしたとかで、シェリー以外の要素が強めに出たからかもしれません。おそらく元々の樽は70年代くらいの アメリカンホワイトオークと思われます。

先述の1989や1991はスパニッシュオークでの熟成と思われる香味。材質から異なるため、フレーバーの傾向も当然変わります。
こうした長熟スパニッシュオークシェリー樽の、甘みと香木っぽさがある味わいはそれはそれで良いんですが、最初からどかーんと来てしみじみ楽しむという感じではないんですよね。
今回のファークラスは時間経過でグラスの中で開き、馴染む味わいがポイント。余韻にかけてじっくり楽しんでいける方向性は、オーセンティックな雰囲気を感じさせると言うか、なんて言うかシブいですね。
将来性も十二分に感じさせるボトルだと思います。

タムデュー 25年 43% 2010年頃流通

カテゴリ:
TAMDHU
Aged 25 years
Single Malt Fine Scotch Whisky
2005-2010's
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅持ち寄り会に持参
時期:開封直後
評価:★★★★★★(6)

香り:しっとりとした粥のような甘さを感じる麦芽香、蜂蜜やオレンジママレード、アーモンドクリーム、ほのかにきび糖を思わせる古酒系のニュアンスも感じられる。

味:マイルドでスウィートな口当たり。ボディはミディアム程度で、甘く香ばしい麦芽風味は、薄めたメープルシロップ、おこし系の甘みやナッツの軽い香ばしさを思わせる。
徐々にドライでウッディ、蜜っぽい甘みとピリピリとした刺激を伴うスパイシーさを感じるフィニッシュ。

甘くマイルドな麦芽風味が、如何にもタムデューらしいタムデュー。加水は必要なし、ハイボールは麦系の風味がくどく、ストレートで。


ショートエイジのリリースが多いタムデューのオフィシャルラインナップから、かつて数年間リリースされていたミドルエイジ以上のボトル。
当時はウイスキーが全般的に低価格で、ボトラーズも1960〜70年代が1万円台でバンバン出ていた頃。。。そのため、このボトルは同価格帯であまり注目されていなかったリリースでした。

ただ、それが2010年頃からの超円高を受けて並行品の価格が七千円前後となり、しかも終売になるという情報もあってスポット的な話題に。自分も家飲み用に最適、なんて当時のブログで記事を書いた懐かしいボトルでもあります。

そこから約7年、久々にこのボトルを飲んでみると、スウィートでスパイシーな風味の主要な部分は変わらないものの、余韻にかけて感じられたオーキーな華やかさがマイルドで麦芽風味、蜜っぽい樽のニュアンスに置き換わっていたのが印象的でした。
これはこれでタムデューらしく、ロット差というより、経年での変化かもしれません。

(タムデュー蒸留所全景。精麦工場が併設された同蒸留所は、古典的な蒸留所としての景観に工場的な要素が組み合わさっているのが特徴。

っていうかタムデューらしさって何やねん、という話もあるかと思います。
オールドにしても近年リリースにしても、オフィシャルはシェリー系の樽感が主体のものが多く、これという個性がないモルトと言われることもしばしば。
ただ、この2000年ごろに流通していたタムデューのオフィシャルは、樽の系統がバランス寄りだったため、逆にそうした酒質部分の要素が分かりやすくもあります。
やはり自分にとってこの蒸留所は、麦の甘みなんだなと再認識しました。

グレンファークラス 20年 1978-1998 カスクストレングス 58.1% ドイツ向け

カテゴリ:
GLENFARCLAS
CASK STRENGTH
Distilled 1978
Bottled 1998
For Karstadt Müllerstraße 20 Jahre
Bottle No,60/96
700ml 58.1%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR飲み(Y's Land IAN)
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ハイトーンで強いアタック、黒砂糖やチョコブラウニーを思わせる甘い香り、ほのかに古酒感も伴う。スワリングでドライプルーン、アーモンドを思わせるニュアンスも。

味:しっかりとパワーのある口当たりで、香り同様に刺激も強い。ほのかの青みがかった甘みのある樽感、薄めた黒蜜やドライプルーン。
余韻はハイトーンでドライ、ヒリヒリとするアルコール感。淡いウッディネスを伴うビターなフィニッシュ。

強いアタックで奥行きを感じ取りにくいが、加水すると蜜っぽい甘味が開き、ふくよかな香味に変化する。適量の加水がオススメ。


ドイツのデパート、カールシュタット(Karstadt)が、その地域での開業20周年を記念して発売したと思われる、プライベートボトルのグレンファークラス・カスクストレングス。
なんでそんなボトルが極東の島国にあるのか、酒の縁を感じるところですが、これも該当するウイスキーを長きにわたって収集してきたBARだからこその出会いと言えるのかもしれません。

ドイツ向けのファークラスは過去良いリリースがいくつもあり、このボトルも来るか!?と身構えましたが、今回のリリースは荒削りというか、割と近年寄りのスタイル。
淡くオールド系の香味が漂うものの、例えば樽がリフィルホグスなのかシェリー感が全体的に少し薄めで、そこにハイプルーフなファークラスらしいハイトーンでアタックに強い酒質を感じます。

この手のウイスキーは少量加水すると真価を発揮することが多く、今回ボトルもその部類。加水していくことで好ましい変化が感じられ、バランスが取れてきました。
こういう酒質だからこそ、30年以上の熟成にも耐えうるし、濃厚なシェリー感と43〜46%の加水の中でバランスが取れて来るんですね。
近年、短期間での仕上げを目指してか、クラフトを中心に柔らかくてスムーズな、綺麗なニューポットを作るスタイルが増えてきた気がしますが、こういうモルトを飲むと熟成期間と酒質と樽とのバランスを考えさせられます。


BAR IAN WLN2018先行試飲会、いよいよ本命プライムモルト3連発と見せかけて、更新し損ねていたファークラスです。
飲むタイミングが難しいですが、どちらかと言えば締めの方ですかね。
ただ当日は更新の順番で飲んでいたわけではないですが、まさに締めの方で飲んだところ、度数とアタックも合わせて結構舌にきました(笑)。

グレンダラン 20年 1978-1998 OMC 50%

カテゴリ:
IMG_5878
GLEN DULLAN
OLD MALT CASK
Aged 20 years
Distilled 1978
Bottled 1998
One of 299 Bottles
700ml 50%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:青みがかったニュアンスの伴う淡く華やかなオーク香。麦感と蜜っぽさ、王林系の林檎を思わせる果実香、ほのかにスモーキーで土っぽいアロマも混じってくる。

味:とろりとした口当たり、淡い華やかさを感じるウッディネス。青林檎や乾いた麦芽、奥にはピートの層があり、後半にかけてスモーキーフレーバーが主張してくる。
余韻はヒリヒリとしたハイトーンな刺激、軽やかな麦芽風味の香ばしさとピーティーなほろ苦さで長く続く。

使われている樽はリフィルシェリーホグスヘッドか。樽感は程よく華やか、酒質由来の味わいがしっかり主張し、奥行きも感じられる構成。ピートもいい仕事をしている。ストレートではハイトーンで勢いのある味わいだが、少量加水すると香りが開き、林檎のコンポートを思わせるやわらかくフルーティーな甘さを感じる。


今は懐かしいオールドモルトカスクの旧ボトル。リフィル系の樽感で酒質メインなスペイサイドモルトが飲みたくなり、抜栓しました。

近年のグレンダランはボディのライト化が進み、花と動物シリーズや、現在販売されている免税店向けのシングルトン・グレンダランも悪くないですが、40〜43%加水であることも手伝って穏やかすぎて個性がボケてしまっている印象。
対してハイプルーフのそれは、瓶熟向けとも言える結構やんちゃで重厚な酒質を楽しめるのが魅力です。

ただ、今回の蒸留時期は、グレンダランにあって少々特殊な歴史の中にあります。
グレンダランは1985年に蒸留所が新しい設備に切り替わっており、今回のボトルは切り替え前の蒸留。。。かと言うと、厳密には1962年に古くからあった蒸留所をリニューアル。1972年には6基のスチルを有する新蒸留所を新設。その後しばらく旧蒸留所と新蒸留所が平行して稼動し、1985年に旧蒸留所が閉鎖したという流れ。
丁度ど真ん中の時期に当たる今回のボトルは、新旧どちらで蒸留されたか、あるいは混ぜられたものかは判断つかない状況です。

つまり平行稼働期間となる13年余り、新旧2つの蒸留所がグレンダラン名義でモルトを生産していたことになるわけですが、いわばクライヌリッシュとブローラのような関係であった新旧蒸留所が同一名義。これが問題とならなかったのは、「当時の基準がおおらかだったから」で片付けるには疑問が残ります。
乱暴な整理ですが、グレンダランの原酒はブレンド向けで混ぜて使われる前提であるため、シングルモルトリリースに使われない事から問題にならなかった、ということでしょうか。
(1970年代から1980年代後半にかけての際どい時期に、12年表記のシングルモルトがリリースされているのですが。。。)

そんな過去に謎を持つグレンダランですが、ブレンド主体にするには惜しい、爽やかなフルーティーさとスモーキーさを持った、スコッチらしい個性のあるモルトです。
近年シングルモルト需要の高まりから、ブレンド向け蒸留所からも様々な銘柄がリリースされており、グレンダランがラインナップに加わる日も遠くないのではと期待しています。


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