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ホワイトオーク あかし バーボンカスク 江井ヶ嶋酒造 55%

カテゴリ:
AKASHI
White Oak Eigashima
4 years old
Bourbon Cask #1129
500ml 55%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:不明@頂き物
評価:★★★★(4)

香り:クリアでスーッとするアルコール感、ほのかな酸味や薬草のニュアンスを伴う香り立ち。香り立ちは良くなく、加水すると酸味のあるパンのような素朴なアロマ、駄菓子のような甘さを感じる。

味:やや粘性があり、スパイシーでヒリヒリとしたアタック。溶剤や薬っぽさを感じる甘み、ウッディなえぐみと植物感を伴う。全体的に味わいに乏しい。
余韻はハイトーンでスパイシー、軽い穀物風味と刺激が張り付くように残る。

加水すると香味とも素朴な要素が感じられるが、バーボンカスク熟成として期待される華やかでフルーティーな要素は得られず、あるのはニュートラルでライトな香味の江井ヶ嶋らしい味わい。


3年くらい前にリリースされた、江井ヶ嶋酒造のホワイトオーク・バーボンカスク4年熟成。厳密には4年4ヶ月のうち3年間ホグスヘッド、1年4ヶ月バーボンバレルで熟成したというフィニッシュタイプの構成ですが、どちらもリフィルだったのか、バレルはファーストフィルでも熟成期間が短すぎたのか、香味に乏しく度数だけ高い。

メーカーコメントを見ると、樽感よりもニュートラルな香味を狙った模様。そのコンセプトなら納得できる一方、いかにも一時期の江井ヶ嶋らしい酒質を感じることが出来るリリースとなっています。

(江井ヶ嶋酒造のポットスチル。かつて奈良にあった幻の蒸留所、シルバーウイスキーで使われていたスチル形状を踏襲している。)

この原酒が蒸留された2000年代後半の江井ヶ嶋にとって、ウイスキー作りは日本酒と焼酎仕込みの合間、夏の間に杜氏を遊ばせないように仕込ませるためのものという意味合いがありました。
そしてその方向性はまあ地ウイスキーとはこういうものさ」と言われると納得してしまうような、決して酒質で飲ませる味ではなく、課題を残す時期といっても過言ではありません。

その背景には、江井ヶ嶋がかつて海外にウイスキーを輸出した際、クリアでクセの少ないブレンドがヨーロッパの何処かで「これまでにない味わいだ」と大ヒット?(蒸留所スタッフ談)したのだとかで、そうした経緯からか、環境を活かした作りをするわけでも、ピートを炊いてアイラタイプの原酒を目指すこともなく、ただ癖を抑えたライトなブレンドに使える原酒が作られてきました。

また、1990年代の一時期ピーティーなウイスキーも仕込まれていたものの、これは麦芽を仕入れる際にピーテッド麦芽の方が安かったからという「商社の気まぐれ」説まであり。(本社側が、商社任せなのでピートレベルが変わっていたことを知らないとも。。。)
なんというか、酒質だけでなく作り手にも課題を残すウイスキーであったわけです。 

他方、ウイスキー冬の時代でも原酒を作り続けた企業方針は賞賛に値しますし、近年ではブームを受けて行程の見直しや、仕込み頻度も増えていると聞きます。
瀬戸内海にほど近い立地条件や、一時期垣間見た酒質的に、江井ヶ嶋はもっと上を目指せるはず。日本全国にクラフトが増えてきたからこそ、西の雄としてクラフト業界を牽引するような仕込みと仕上がりを期待したいです。

山崎 リミテッドエディション2017 サントリー 43%

カテゴリ:
SUNTORY
YAMAZAKI
Single Malt Whisky
Limited Edition 2017  
No Aged
700ml 43%

グラス:サントリーテイスティング
場所:BAR飲み
時期:開封後1〜2ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(5→6)

香り:華やかでドライ、ツンとしたウッディネス。リンゴのカラメル煮、オレンジチョコ、香木を思わせるアロマ。時間経過で蜜っぽい甘さも感じられる。

味:ウッディでやや刺激のある口当たり。ドライオレンジピールから杏子のジャム、微かなハーブ、濃く入れた紅茶のタンニン。ボディが軽くドライな質感が目立つものの、徐々に粘性も感じられる。
余韻はドライでスパイシー、ほのかな焦げ感。華やかな樽香が染み込むように残るビターなフィニッシュ。

ボディは軽く、香りも浮ついたようで重厚な感じではないが、華やかなウッディさがあるボトル。サントリーらしさ、山崎らしさに通じる特徴的な樽香。ドライ気味でビターな味わいは、加水するとバランス良くなり蜜系の甘味が広がる。少量加水、あるいはロックも楽しめそう。


サントリーが毎年ギフト向けにリリースしている山崎の限定品。メーカーのテイスティングコメントは毎年同じですが、ブレンドの方向性という扱いのようで、年度毎に違う香味、仕上がりを楽しめます。

そのコンセプトは、シェリーやポート樽などによる20年以上の長期熟成原酒に、パンチョンやバーボン樽などの若い原酒をブレンドして仕上げるノンエイジ仕様。熟成で失われがちな香味のパワーを若い原酒で補った、両者のいいとこ取りということなのですが。。。この手のコンセプトは他社のリリースにもしばしば見られ、実態がかけ離れているケースも少なくなく。つまり、混ぜても香味や熟成感は完全に平均化されないので、下手すると若い原酒に食われていたり、嫌な部分が目立ってしまう場合もあります。

ブレンドには相反する要素が必ずあり、そこの間を埋めていかないと、一つの要素が孤立して目立ってしまうのです。(逆にギッチリ埋め過ぎても、それはそれで個性のぼやけた味になるのでバランスが難しいわけですが。)
この山崎リミテッドエディション2017はどうかというと、主たる香味の間を繋ぐ濃厚さのある原酒が少ないのか、長期熟成による華やかでウッディな樽感はしっかり感じられる一方、口当たりは妙にスパイシーでボディが軽い。同シリーズでは、特に2015からこうした傾向が顕著であり、今年はさらに突き詰めてきた印象があります。

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(先日久々に見学した山崎蒸留所。ちょうど蒸留器のメンテナンス中で、蒸留中のにおいを感じることは出来なかったが、これはこれで貴重なシーンを見学できた。)

華やかな樽香が感じやすい反面、全体的にはアンバランスとも言えるわけですが、加水すると水が架け橋となって間が埋まり、マイルドでフルーティーさを感じやすくなるポジティブな変化がありました。 
メーカーサイトには「まずストレートで飲んで欲しい」と書かれており、熟成した山崎らしい華やかな樽香をストレート感じた後は、ロックなど一般的なウイスキーの飲み方で肩肘張らずに楽しんでいけるのが、作り手のイメージなのかもしれません。

なお、テイスティングに記載したように、今回のボトルには香木に通じるウッディさがあります。
これはスパニッシュオークやアメリカンホワイトオークに由来する樽香、ブレンドの妙からくるものと思いますが、そうしたニュアンス漂う華やかでボディの軽い味わいは、サントリーがウリとする近年のミズナラカスクにも通じる方向性。個人的には"擬似ミズナラ"としても位置付けられる仕上がりで、意外な共通項にもブレンダーの技を感じました。

近年18年の出来がちょっとアレな中、そして12年が絶滅危惧種な中。この山崎リミテッドは代替品として案外良い仕事をするんじゃないかとも思います。

ブラックニッカ アロマティック フルーティー&スウィート 40% ニッカウイスキー

カテゴリ:
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BLACK NIKKA
AROMATIC
FRUITY & SWEET
Limited Bottled in 2017
NIKKA WHISKY
700ml 40%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封直後
評価:★★★★★(5)

香り:穏やかで甘くややドライな香り立ち。最初はあまり香りが立たず、穀物系の乾いたアロマと湿ったようなウッディネスがひっそりと感じられるのみだが、徐々にバナナクレープやパンケーキ、安価なオレンジジャムのような甘みが開く。 

味:口当たりはスムーズでまろやか、薄めたケーキシロップ、洋菓子、乾いた麦芽を思わせる仄かに香ばしいモルティーさ。中間からのっぺりとした舌当たりで、鼻腔に宮城峡のシェリーオークらしいアロマが抜ける。
余韻はほろ苦く、グレーンの穀物系の甘みが去った後で若い原酒のピリピリとした刺激や若干のえぐみが残る。

評価の難しいウイスキー。通常は平凡というか癖と個性の少ないブレンデッドなのだが、ほんの一瞬輝く瞬間(林檎のカラメル煮の華やかな果実味や、キャラメルナッツの香ばしさ)が感じられる。しかしそれは持続しない。 
少量加水すると刺激が収まり、まろやかでスムーズな飲み心地へと変化する一方、奥にあった火薬のような硫黄香も前に出てきてしまう。
ロックは甘みが引き立ち、刻々と変化する香味に加え、飲み口にコクが感じられて最もバランスが良い。ハイボールも同様に良好で、夏場にぐいぐいと楽しみたい。
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ブレンダーズスピリット、クロスオーバーと続いてきたブラックニッカ3部作のトリを飾るのが、このアロマティックです。
アロマティックは宮城峡のモルト原酒やカフェグレーン、カフェモルトをベースとしたブレンデッドで、メーカーPRでは「これまでの2作と比べて最も華やかでフルーティー」とのことですが、個人的にはそこまではっきりとした個性はなく、如何にも万人向けの味わいに仕上がっている、というのが第一印象でした。

グレーンとモルトの比率は、ブレンダーズスピリットよりグレーン感が強く、クロスオーバーと同じくらいでしょうか。
ただしピートの強弱、カフェモルトなどの使われた原酒のキャラクターから、穏やかで癖が少なく、グレーンの風味も感じやすい仕上がり。特にピーティーさの際立っていたクロスオーバーとは、対極にあるようなブレンデッドです。
それ故、テイスティングの際に「今回は平凡な仕上がりのブレンドだなあ」と感じたのですが、飲み進めて行くと意外に奥行きがあり、そこにキラリと輝く要素というか、ただ平凡なだけではない何かがある事にも気がつきます。

調べてみると、構成原酒の中にはシェリー樽熟成原酒や20年以上熟成したモルト原酒も使われているとの事。主体的に感じられる熟成感はそれほど長期ではなく、平均8〜10年程度という感じですが、そうした幅広いレンジの原酒が織りなす多彩さが、「平凡なだけではない何か」と、全体のバランスの良さにも繋がっていると感じます。
特にロックにするとその真価が発揮され、飲み口のまろやかさやコク、香味に変化と伸びが感じられる。この点はハイボールも同様で、ストレートや常温加水よりも、ロックやハイボールにして飲むべきウイスキーのようです。


今回のブラックニッカ・アロマティックは、20代から30代のウイスキーエントリー層をメインターゲットとしており、確かに第一印象で感じた通り、これまでのブラックニッカのリリースより万人向けで、言い換えれば広く親しまれやすい1本です。

ニッカのラインナップでは、ブラックニッカクリアから入って、リッチあたりを飲んで、次のちょっと上位グレード用という感じ。度数が43%から40%仕様となっている点も、飲みやすさを重視してということかなと。
それ故、飲み慣れた人だと物足りなさを感じる場合もありそうですし、個人的にもさらに香味のはっきりした46%仕様のアロマティックを飲んでみたくもありますが。。。エントリーユーザーで考えれば、ウイスキーを嗜み始めて強い酒を色々飲んで行く中でストンと落ちてくる「心落ち着く美味しさ」のあるウイスキー。
ブラックニッカ・アロマティックはそんなブレンデッドの一つだと思います。


以下余談。
ブラックニッカのリミテッドは、過去2作とも販促サンプルで先行してレビューを公開していました。今回もそのつもりだったのですが、ここ数ヶ月間本業のプロジェクトが山場を迎えていて、業務時間がえらい事に。あっという間に時間が過ぎて、サンプルも発売日もすっかり忘れてました(汗)。
気がついたのは、発売前にゲットした知人のSNS投稿という始末。。。
何れにせよ普通に買うんでいいんですが、ちょっと祭りに乗り遅れたような気持ちも感じつつ、本日のレビュー更新です。

若鶴酒造 三郎丸 22年 1994-2016 ヘビリーピーテッド 50%

カテゴリ:
WAKATSURU
SABUROUMARU
Hevry Peated
Aged 22 years
Distilled 1994
Bottled 2016
Cask type Bourbon Barrel
700ml 50%

グラス:サントリーテイスティング
場所:BAR飲み@Y's Land IAN
時期:開封後10ヶ月程度
評価:★★★★★(5-6)(!)

香り:ツンとした刺激、ハチミツや風邪薬シロップのような甘みのある樽香、若干のえぐみを伴うウッディネス、土っぽさ、奥からスモーキーフレーバー。

味:粘性のある重い酒質、駄菓子のパイナップルシロップ、シリアルのような穀物風味。スパイシーで後半からピーティーなフレーバーが存在感を出してくる。
余韻は牧場のような香りが鼻腔に。。。発酵したようなクセを伴うスモーキーさ。ほろ苦く長く続く。

開封直後は麦系の香ばしさやピートフレーバーが強かったが、ラスト1杯は酒質由来のクセの方が強く感じられた。ピーティーかつ洗練されてないクセのある原酒にスコッチ的な熟成感、ある意味で完成された富山の地ウイスキー。


今から約1年前、若鶴酒造が挑戦した蒸留所改修のためのクラウドファンディングが、目標とした2500万円を大きく上回る約3800万円を集める大成功。当初の計画に加え、新しい設備の調達も含めた改修プロジェクトとしてスタートしたのは記憶に新しいところ。
そして同時期、クラウドファンディング成功を記念し、同社が所有する原酒の中からリリースされたのが、今回の1本です。
リリース直後から何度か飲む機会があり、これは結構面白いリリースというのが自分の印象。Y's Land IANに介錯直前のボトルがありましたので、記録に残すことにしました。

若鶴酒造は60年以上前からウイスキー蒸留を行なっていましたが、改修前まではステンレス製のスチルに、密造時代を思わせるような手作業主体でウイスキーづくりが行われ、品質が安定しないところがありました。
そのため、これまでリリースされてきたブレンデッドやシングルモルトの評価は決して高くはなく、この三郎丸1994に期待した飲み手も少なかったとも思うのですが、これが冒頭述べたようにちゃんとウイスキーしてる熟成感に、地ウイスキーらしい癖もある、なんとも際どいバランス感が魅力と言える1本に仕上がっています。

(改修された三郎丸蒸留所の蒸留現場を建屋2Fから眺める。発酵槽、糖化タンク、銅製の蒸留器、そして右奥には熟成スペースのラックや樽も見える、他の蒸留所にはない独特な設計。改修前のウイスキーづくりについてはこちらを参照。)

三郎丸蒸留所では、日本のウイスキーとしては珍しい50PPMというピーティーなモルトを主体に製造を続けていて、今回のボトルもまたしっかりとピートフレーバーが感じられます。
それだけでクセのある原酒なのですが、上述の作り方からくる荒削りな要素が良い方向に作用すると、今回のように地ウイスキーとしてならこれはこれとして良いんじゃないか、と思える原酒が出てきます。

また、熟成庫兼用で酒粕用の低温貯蔵庫に樽を保管していた関係から、偶然にも湿度と温度が日本よりもスコットランドに近いところとなり、バーボン樽でも20年間かけても問題ない、じっくりと熟成が進んで今回の味わいが形成されました。
ある程度計算づくで綺麗で洗練されたウイスキーが作られる大手メーカーに対し、このように偶然が積み重ねって出来たウイスキーというのも面白いと感じます。

他方そんな経営者泣かせなウイスキーですが、クラウドファンディング達成から約1年、改修工事を経た今年7月の新生三郎丸蒸留所の操業で、新しい姿に生まれ変わろうとしています。
新しい原酒はこれまで感じられた、発酵香、硫黄香のようなネガティブなニューポッティーさが大幅に軽減され、それでいて個性の一つである重みのある酒質とピートフレーバーははっきりと。さらに上述の酒粕熟成庫と通常の熟成庫を併用することで、原酒の幅も持たせようという計画もあると聞きます。

今後の3年、5年とあるであろう短熟リリースも楽しみですが、地ウイスキー的な魅力を追求する中で、メインターゲットとなるのは今回のボトル。今から22年後の2039年、さらに美味しいウイスキーが富山の地から出来上がってくる事を期待しています。

笹の川酒造 安積蒸留所ニューポット ピーテッドモルト初蒸留記念 63.4%

カテゴリ:
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SASANOKAWA
ASAKA Peated Malt
No Aged (New Pot)
Mashing 2017.7.11
Distilled 2017.7.16
Bottled 2017.7.28
Phenol 50ppm
250ml 63.4%

【テイスティング】
柔らかい酸味と穀物を思わせる軽い香ばしさ、ほのかな甘み。奥から重みのあるピート香と、時間経過でニューポッティーな乳酸系と発酵香も漂う。
口当たりはシャープな刺激があり、そこから程よくコクのある甘み。香りではスモーキーな主張はあまり強くないが、味ではピートフレーバーが余韻にかけて焦げたようなニュアンスも伴って広がる。


安積蒸留所がリリースした、初仕込みのピーテッドモルトです。
操業から1年と少々、ついにピーテッド原酒の仕込みが本格的にスタートしました。
元々安積蒸留所の計画段階では、ピーテッドスタイルを中心に蒸留するという案も聞いていましたが、ご存知の通り、まずはピーテッドではない原酒作りからスタートしていました。 

この背景には、ノンピート(あるいは数PPM程度の超ライトピート)のほうが、原酒のベース部分の出来を確認しやすいという品質管理の面がひとつ。そしてもう一つが、普段ノンピート原酒を作り、1年のうちのメンテナンス期間前にピーテッドを作るというスタイルはありえても、ピーテッド原酒を作っていてノンピートに切り替えることは、蒸留設備への影響を考えると困難であるという、製造面の要素があるようです。

大手メーカーなら設備を切り替えるなど、同時平行で原酒を作ることも出来るのでしょうが、設備を一式しか持たないことが多いクラフトディスティラリーはそうはいきません。
実際、厚岸蒸留所など、2種類の原酒を作るクラフトは、このスタイルで操業されているようですね。

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さて、今回の初仕込みピーテッド原酒。安積蒸留所はノンピート原酒では素直で素朴なキャラクターのニューポットを作ることが出来ていましたが、ピーテッドモルトはまた違う難しさがあると聞きます。
そんなわけで「お手並み拝見といきますか」なんて若干尊大な気持ちでテイスティングしてみると、これが中々悪くない。ベースとしてはノンピート原酒同様酸味が強めながら、口当たりはシャープな刺激、嫌味の少ないプレーンなニューポッティーさに、ピートフレーバーが馴染んでいて、後はここからの成長次第というスタートラインに立っている原酒だと感じます。

スコッチに例えるなら、カリラ7:ラガヴーリン3くらいの比率で混ぜたようなキャラクター。
シャープな刺激もある香味はカリラのようであり、余韻にかけてしっかりと広がるピートフレーバーはラガヴーリンを思わせる要素に通じる。後は後述する植物的なニュアンスで、レダイグ的な要素も少し混じっている感じもあります。
近年、入手する麦芽の種類からか、ラフロイグを思わせる味わいのピーテッドモルトが一部クラフトからリリースされていますが、それらとは異なる仕上がりが期待できます。

ネガティヴ要素をしいて言うなら、酸味の奥に植物感、発酵した漬物というか、野菜のようなニュアンスが混じっているので、これが強くなりすぎると嫌味になるのですが、気になったのはその点くらい。 
そもそもニューポットは、産まれたばかりの今この瞬間より、その後の影響の方が将来の製品化においてウェートが大きく、一定のレベルがあって、"スタートラインに立てているかどうか"がポイントだと考えます。
そして我々消費者としては、今もさることながら、今後どう育つかという先も見据えて楽しむものかなと。

その先については、安積蒸留所が所有する樽で考えると、リフィルのシェリーバットやウイスキーカスクで10年熟成を目指すか、ファーストフィルバーボンなら3年くらいの短熟で出しても、ベースが素直なので短熟ピーテッドとして面白いかなという印象。逆に5年以上の熟成では、安積蒸留所の環境だと樽感が強くでるので、ピーティーさとチャーオーク系のフレーバーがこってりでた、濃厚なタイプに仕上がりそうです。
いずれにせよ、ここから数年先のリリースが楽しみです。



話は少し変わりますが、先日発売された雑誌Pen(11月15日号)に"ウイスキー最新案内"という特集が組まれています。
主要なクラフトディスティラリーの動向から、大手メーカーの最新リリース傾向、オールドボトルの特集など、非常に充実した内容で、自分の周囲のウイスキー愛好家からの反応は上々。
通常この手の特集は、どうしても大手メーカーの関与を邪推されがちですが、それよりも書き手の愛というか、現場の空気感がしっかり伝わる特集だったことが、評価される要素にあったようです。

この特集の中には安積蒸留所の取材記事もあり、今回のニューポットのテイスティングとしてもジャストタイミングでした。
まだお会いしたことはないのですが、安積蒸留所のクラフトマンは私と同世代。記事中から、日々悩み、考え、工夫しながらウイスキーづくりにあたられている姿と、今回のニューポットを重ね、その真摯な努力が実を結びつつあるのだなと、合わせて楽しむことが出来ました。
今後も引き続き地元に愛され、世界に評価されるようなウイスキーを目指し、頑張って欲しいです。

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