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シングルモルト 長濱 3年 2017-2020 ミズナラカスク 53.7% #0002

カテゴリ:
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NAGAHAMA
Single Malt Japanese Whisky
Aged 3 years
Distilled 2017.3.20
Bottled 2020.4.22
Cask type MIZUNARA Cask #0002
500ml 53.7%

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★(5)(!)

香り:キャラメルを思わせるような濃縮感のある甘いアロマ。日本家屋や古い家具のような落ち着いた木香に、甘栗や干し草、ニッキ、クローヴ等のスパイス香、ほのかにお香のような要素も混じる。

味:干し柿や杏のペーストを思わせるようなねっとりとした甘いオークフレーバーに、若い原酒に由来する酸と微かに根菜系のピートフレーバー。続いてスパイシーでハーバルなニュアンスが混じる複雑な味わい。余韻はドライでウッディ、ほのかなタンニンの渋みが樽由来のキャラメルシロップのような甘さを伴い長く続く。

短熟ながら熟成環境に由来して樽感が強く、濃縮したミズナラフレーバーが特徴の1本。現時点ではまだフルーティーさやミズナラ樽に求める香木系のニュアンスが整っていないが、ニッキ系のニュアンスが強く出たり、ウッディなタンニンが強すぎたりという熟成の若いミズナラ樽にありがちなネガティブな部分が目立たず、面白い複雑さが楽しめる。将来リリースされるブレンドやシングルモルトの軸としても可能性を感じる1本である。

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長濱蒸留所、ファーストリリース三部作のうちの1つ。おそらく最も注目されているのではないかと思われるミズナラ樽熟成の1本。また、ほかの2本がノンピート仕様なのに対して、このボトルはライトリーピーテッド仕様となっています。

長濱蒸留所からは、これまで
・ノンピート(0ppm)
・ライトリーピーテッド(??ppm)
・ピーテッド(20ppm)
・ヘビリーピーテッド(45ppm)
と、ピートの強弱で4種類のニューメイクがリリースされていますが、今回のリリースに使われているライトリーピーテッド原酒は、ノンピート用とピーテッド用の麦芽を仕込み段階で混ぜ合わせているため、フェノール値が測定できないためか、数値としては明らかになっていません。

ただ、同仕様のニューメイクを飲んだ印象としてはフェノール値は10弱程度という感じ。ピートフレーバーは熟成によって減少していくため、長濱蒸留所の雑味が少なく柔らかい味わいの酒質と合わさって、スコットランドの内陸蒸留所のいくつかに見られるような、モルティーでほのかなピート香という熟成後の仕上がりを予想していました。
今回のリリースを飲んだ印象としてもそれは変わらず、順調にまとまってきていると感じます。

そして注目ポイントはもう一つ、ミズナラ樽由来のフレーバーです。
新しいミズナラ樽の短熟は、愛好家が求める所謂オリエンタルなフレーバーやフルーティーさよりも、ニッキ等のスパイシーさやウッディなえぐみが先行して出てしまいがちな傾向があります。
長濱モルトも1年未満のものはそうしたキャラクターが出ていましたが、熟成環境によるものか、樽の仕様によるものか、3年と短い期間でありながら樽由来の甘みがあって、既にリッチで複雑さもあるフレーバーが付与されているのです。

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(2017年に蒸留所を見学した際、試飲したカスクサンプル4種のなかに同じ仕様で蒸留日4日違いのミズナラ樽原酒があった。この時点では樽の甘みよりニッキ系のフレーバーが強く出ていたが、ここから約3年の間にこれだけの成長を見せたと思うと非常に興味深い。)



長濱蒸留所が火入れ(創業)式を行った際、記念式典と合わせて最初に蒸留された原酒を詰めた樽がミズナラ樽でした。次のミズナラ樽はピーテッドで仕込むことが触れられていますが、今回のリリースのカスクナンバーが2番であることからも、リリースされたのはまさに引用したFacebook投稿で書かれている樽ではないかと考えられます。

投稿では”ピーテッドモルト100%で仕込んだ原酒”とありますが、実際の仕様がライトリーピーテッドなのは、原酒の試作を進める中で方針の変更があったのかもしれません。
結果論ですが、それは正しかったとも思えるのがテイスティングを通じての印象でもあります。長濱のピーテッド&ヘビーピート原酒は、ベースの酒質のボディがそこまで強くないためか、ニューメイク時点ではちょっとピートが浮つくように感じていました。その点、自然にまとまりそうなライトリーピーテッドのほうがミズナラフレーバーとの馴染みも良さそうです。

実際、今回のリリースについても粗い部分は当然ありますが、ミズナラ樽由来のフレーバーの中でライトなピートフレーバーが程よいアクセントとなっており、同系統の樽があれば今後数年間の熟成で樽感はよりリッチに、そして酒質と馴染んで甘やかに。ピートフレーバーは隠し味にと、面白い仕上がりになるのでは・・・と。
また、こうした原酒はシングルモルトやブレンデッドを作る際にも力を発揮するもので、バーボン樽やシェリー樽原酒とのブレンドによる多層的なウッディさ、奥行きのある味わいは、例えばサントリーのブレンド等で既に高く評価されている組み合わせです。

今はまだその領域に届くレベルではないですが、限られた原酒で作られる蒸留所のファーストリリースは、将来の可能性をどれだけ感じさせてくれるかという点に魅力があり、今回のリリースは十分合格点であるように思います。


以下、同蒸留所繋がりで余談。
長濱蒸留所が同蒸留所のモルトと輸入原酒を使い、ブレンドに焦点を当てて作るオリジナルブランド”アマハガン”の3rd Releaseに、ミズナラウッドフィニッシュがあります。
このブレンデッドは昨年のWWAでジャパニーズブレンデッド部門でベストアワードを受賞するなど実績もあるのですが、以下の通り6月30日に新しいブレンドレシピによるミズナラウッドフィニッシュがリリースされるようです。

長濱蒸留所が保有する長期熟成の輸入グレーンは、自分もグレンマッスル2ndリリースで使わせてもらいましたが、「そのままボトリングしたい」という希望が出るくらい、クオリティの高いものです。モルトについても同様で、質のいい輸入原酒があるところに、長濱のモルトも上記の通り粗削りながら育ってきています。長濱モルトの個性がさっそくブレンドで活かされてくるのか、このリリースにも注目しています。


シングルモルト 長濱 3年 2017-2020 バーボンカスク 61.3%

カテゴリ:
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NAGAHAMA 
Single Malt Japanese Whisky 
Aged 3 years 
Distilled 2017.1.26 
Bottled 2020.4.20 
Cask type Bourbon Cask #0007 
500ml 61.3% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★★(5-6)

香り:柔らかい香り立ちから、オーキーな華やかさ。樽由来の甘いアロマは、バニラや林檎の蜜、微かに木材の削りカスのような粉っぽさを感じる。

味:口当たりはねっとりとしたオーク由来のフルーティーさと合わせて、若い原酒由来の刺激と酸味が混じる。加熱した林檎や黄色い果実、じわじわと柑橘の皮を思わせるほろ苦さ。フィニッシュはオーキーでドライだが、60%以上の度数を感じさせない柔らかさもあり、長く続く。

若い原酒にバーボン樽という組み合わせだが、温暖な地域で熟成されていたこともあってか、熟成年数に反して濃い目の樽感、オーキーなフレーバーが主体。樽感と合わさる長濱の原酒は、蒸留直後から柔らかくクリアな麦芽風味で、若さに由来するネガティブなフレーバーは目立たず、むしろ樽感と合わさることで蜜っぽい甘みへと姿を変えようとしている。ピークが短熟傾向にあり、現時点で3年とは思えないクオリティの高さ。2~3年後が楽しみな原酒である。

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長濱蒸留所のファーストリリースとなるシングルモルト3種のうちの1つ。2017年に蒸留された原酒を、バーボン樽に詰めて3年熟成させたシングルカスクで、この他にミズナラ樽、シェリー樽がそれぞれリリースされています(以下、写真参照。)

長濱蒸留所の原酒の特徴は、酒質の柔らかさに加え、若い段階でも発酵臭や硫黄といったニューメイクにあるネガティブな要素が少ないことが挙げられます。
ボディはライト~ミディアム程度で長熟向きではありませんが、逆に樽感が強く出やすい熟成環境と合わさることで、5年もあれば酒質の若さと喧嘩せず、バリっと樽が効いた仕上がりが期待できる。今回は3年ということでまだ成長途中と感じる部分はありますが、バーボン樽由来のオーキーさとフルーティーさの中にその片鱗があるというか、完成図が見えるようなリリースとなっています。

ここまで読んで、つまり長濱蒸留所はカヴァラン系統ってこと?と感じる方も居るかもしれません。
確かに樽感が短期間で仕上がるという点は同じですが、カヴァランはニューメイク時点でボディが非常に軽く、樽の要素によってフルーティーさの出やすい、樽感を邪魔しない酒質である一方。長濱はカヴァランほどボディが軽くないモルティーな甘みの残るタイプで、樽感と混じることで蜜っぽい質感にもなっていくような系統の違いがあります。

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(長濱蒸留所、待望のシングルモルト・ファーストリリース3種。それぞれ使われている樽の特徴がはっきり出ているだけでなく、ネガティブ要素の少ない酒質が樽感に溶け込み、3年とは思えない仕上がりである。王道的な美味しさはバーボン、複雑さ・面白さはミズナラ、わかりやすい味としてはシェリーカスクという印象。残りの2種も追ってレビューする予定。)

長濱蒸留所は、1996年創業のクラフトブリュワリー長濱浪漫ビールが、その製造現場の一部を改装してウイスキーづくりの設備を併設したものです。
ウイスキーの入門書籍等で、ビールとウイスキーは親戚で、途中まで製造行程は同じなんて説明があったりしますが、長濱蒸留所はまさにその説明の通り、共有できる設備は共有したコンパクトな設計となっています。
それこそ下の写真だけで、麦芽の粉砕以外の、糖化(写真右)、発酵(写真上)、蒸留(写真中央奥)の3行程が含まれているだけでなく、併設するレストランまで映り込んでいるあたり、日本最小と言われるそのサイズ感が伺えると思います。

原酒の仕込みでは、ノンピート、ライトピート、ヘビーピートといったピートレベルの違いに加えて、コーヒーモルト等原料を変えたモノも仕込まれています。
今回リリースされたのは、スタンダードなノンピート仕様。酵母はDistilaMaxで、糖化・発酵は写真に写るクラフトビールと共同利用のタンク。蒸溜に使われているアランビックタイプの小型蒸留器2基(後に3基に増設)は、銅との接触面積が大きくなるためか、あるいは蒸留の際にそうした酒質を狙って蒸留器の温度や内容量、カットポイント等を調整しているためか、酒質は雑味が少なく柔らかいモルティな甘みが感じられる仕上がり。
この質感が、最近流行りのハイブリットスチルや、スタンダードなポットスチルによる原酒とは違う、長濱蒸留所の個性だと感じています。

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さて、ファーストリリースの話は残る2本の更新に先送りするとして(ここで書きすぎるとネタがなくなるw)、そろそろ長濱蒸留所”そのもの”についても紹介していきます。
写真だけ見ると、規模の小ささと効率化された設計が目立つように思えますが、個人的には、それら設備の繋ぎ部分の原始的な工程や、ビアパブ併設という一般のウイスキー蒸留所とは異なる環境が魅力であると感じています。

例えば蒸留行程では、まず2Fの発酵槽から蒸留器へとホースを垂らしてもろみを移し、蒸留後はスピリッツセーフがないので写真のような桶にためて、人力でスピリッツタンクに移すという重労働を1日に何度も繰り返していたり・・・熟成も、蒸留所から離れた場所にある関係上、樽詰めされた原酒がトラックで現地まで運ばれていたり・・・小さい蒸留所だからコンパクトで効率化されているわけではないという手作り感があります。

蒸留所の雰囲気としては、一般的なウイスキー蒸留所にあるような工場や酒蔵的なそれとは異なって、まさにパブの中の蒸留所。オリジナルビールを店内で作っているビアパブは珍しくありませんが、ビールとウイスキーを同時に作っているパブは、世界広しと言えど長濱蒸留所・長濱浪漫ビールだけではないでしょうか。
蒸留所見学を見学していると、同時に食事目当てのお客さんが多数来店され、ワイワイと楽し気な雰囲気が全体を包んでいるのです。

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ちなみに、この長濱浪漫ビールが作るビールのキャラクターは、主にホップをしっかり効かせたIPAタイプのビール。これが本場にも負けないレベルの美味さで、個人的に蒸留所訪問の楽しみでもあったりします。
スタンダード品でも十分レベルは高いのですが、定期的に限定品がリリースされるなど、面白い取り組みをいろいろ行っているため、ウイスキーと合わせて是非一度飲んで欲しいなと感じています。(ウイスキーファンにはIPA系のビールが好きな人、多いですよね。)

それこそ、高品質なビールがあるということは、ウイスキーとのタイアップも期待できるということですし。今後ウイスキーのリリースが拡充されていけば、ウイスキーに加えてビール、そして美味しい料理と酒飲みの楽園のような環境が蒸留所内に充実していくことにもなります。
現在はなかなか現地に行くことが難しい状況ですが・・・、長濱浪漫ビールのビールはメーカーサイトの直販に加えて、提携しているリカーマウンテンでも購入可能です。最近気温が上がり、ビールが美味しい季節にもなってきました。今回のリリースを通じて長濱蒸留所を知ったという方は、ウイスキーと合わせて長濱のビールも楽しんでみてほしいです。

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(写真上:長濱蒸留所併設レストランの近江牛のたたきと長濱ハイボール。写真下:長濱ロマンビールから季節限定ビールの第4弾・レモンホップIPA。IPAらしくホップがしっかり効いた味わいに、レモンの爽やかさと甘酸っぱさ。室内の照明の関係で色の映りが悪いが、個人的にはかなりヒットなビール。)

シングルモルト 白州 ノンエイジ 2020年リリース 43%

カテゴリ:
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SUNTORY
HAKUSHU
SINGLE MALT WHISKY
No Age
Release 2020
180ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:自宅
評価:★★★★★★(5-6)

香り:ややドライだが品のいい香り立ち。バニラや洋梨を思わせる甘さ、干し草、微かにグレープフルーツの皮を思わせる爽やかさ。原酒の若さからか、樽香がささくれているようなイメージで、多少の刺激を伴うものの、総じて華やかでオーキーなアロマが主体。

味:若い原酒由来のピリピリとした刺激、香り同様のオーキーな含み香を伴う粘性のある口当たり。酒質由来か刺激の中に柔らかい甘さ、膨らみがあり、すりおろし林檎や柑橘の皮を思わせるフレーバーも。
余韻はドライでほろ苦いウッディネス。華やかなオーク香が鼻腔に抜けていく。

類似のタイプを挙げるなら、スペイサイドやハイランドモルトのバーボン樽熟成10~12年モノという系統の構成。若い原酒のフレッシュさとオークフレーバー、木々のアロマ、すなわち森の蒸留所。白州NASのリリース当初から変わらないキャラクターでもある。
味わいに適度な厚みと熟成感もあり、少量加水すると若さが軽減され特に香りのまとまりが良く、口に含むと徐々にフレーバーが膨らむように広がる。ストレートでは粗さがあるが、ハイボール良好、ウイスキーフロートも面白い。

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 先日、2020年ロットのシングルモルト山崎NASが美味しくなった、というレビューを書かせていただきました。その要因としては、全体的な熟成感の向上、一部キーモルトとなる原酒の風味が厚くなったことで、山崎らしさが感じられるようになったことが印象としてありました。

ならば、もう一つのシングルモルトである白州も美味しくなったのでは。。。と考えるのは愛好家の性。ハイボールブームを受けての原酒増産にかかる効果に加えて、原酒のやりくり。それこそ白州は12年を休売としているわけですが、関連する原酒をNASリリースにまわしている可能性も考えられます。
機会を見つけて飲んでみたいと思っていたところ、このタイミングで出荷停止となっていたノンエイジの180mlボトルが復活しており、コンビニを中心に展開されていたので、さっそくテイスティングしてみます。

 ※2020年ロットのシングルモルト山崎。このロットから表ラベルにJAPANESE WHISKYの表記が入る。白州も同様の整理。昨今整備が進むジャパニーズウイスキーの定義に沿ったものだろうか。

結論から言うと、香味のベクトルは以前の白州NASと同じ。しかし熟成感が若干向上して、美味しくなったようにも感じられます。あくまで個人的な印象ですが、例えば数年前のロットが6~10年の原酒をブレンドしていたとして・・・それが6~12年に広がり、平均熟成年数としても若干増えた結果なのではないかという感じです。
そのため、若いニュアンスは変わらずあるのですが、刺激の中に感じられる熟成を経た原酒由来の粘性のある甘みや、オーキーなフルーティーさ。全体に厚みと華やかさがあるのではないかと思います。

ただ、山崎NASと比べてしまうと、個人的に白州のほうは明確にこれと感じるような違いではありません。 お、なんかよくなったかも。。。というレベル。
そもそも白州NASはリリース当初から方向性が定まっており、軸になっていたのはバーボン樽、アメリカンホワイトオーク系のフレーバー。若いなりに良い仕上がりのシングルモルトでした。
それがリリースを重ねるごとに、原酒不足からかちょっとオーキーなフレーバーが薄くなって、若さが目立っていたのが2~3年前時点のロットという印象。今回のリリースは良くなったという話もそうですが、初期ロットの頃の味に”先祖返り”したと言うのが適切かもしれません。

白州NASは、山崎同様にこれがプレ値ではなく正規価格で買えるなら、納得感あるクオリティ。最近のジャパニーズウイスキー市場の中でのコスパも十分です。
しかし水を差す形になりますが、冷静に考えるとこの手のフレーバーはスコッチモルトに結構あるタイプなだけでなく、スコッチのほうが安定して買えてしまうという点が・・・。
例えば、5000円以下の価格帯でアラン・バレルリザーブ(新ボトル)や、グレンモーレンジ10年、グレンフィディック12年、グレングラント10年or12年・・・など、アメリカンオーク系フレーバーを主とする蒸留所のオフィシャルリリースと、モロかぶりしてしまうのが少々ネックです。

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この点はノンエイジというエントリーグレードでありながら、唯一無二と言える日本的な個性を持つ山崎に対して、白州は王道というかスコッチ寄りのキャラクター故に、独自の個性・ハウススタイルのためにはさらなる熟成が必要なようです。
白州は”森の蒸留所”と言われていますが、オフィシャルシングルモルトは12年、18年、25年と熟成年数が上がる毎に、その"森"が深くなっていくような印象があります。
例えるなら、25年は深山幽谷の深く立ち込める森の空気も、NAS時点では木々が細く、日も差し込み、風も抜けていくような、若い森の姿なのです。

今回のリリースでは、白州という”森”に成長(あるいは伐採からの回復)の兆しが見られたのが、明るい話題です。
それは一時的なものなのか、今後さらに良い変化があるのかはわかりませんが、今は純粋に、一定以上のクオリティがあるジャパニーズウイスキーを手に取れる機会と、その味わいとを楽しみたいと思います。

シングルモルト 山崎 ノンエイジ 2020年リリース 43%

カテゴリ:
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SUNTORY 
YAMAZAKI 
SINGLE MALT WHISKY 
No Age 
Release 2020 
700ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:やや粗さはあるが、オーキーで複雑なウッディネスを感じる香り。その樽香は、アメリカンオーク由来のバニラと華やかさに、ミズナラ香のアクセント。微かにワイン樽由来と思しき果実香やハーブなど、複数の樽が交じり合う山崎らしさがある。

味:口当たりはマイルドで、香り同様に複数の樽由来のフレーバーが粘性の中から主張する。バニラや砂糖漬けオレンジピール、微かに杏子や干し柿。鼻孔に抜けるオークの華やかさと香木を思わせる樽香。奥行きはそれほどでもなく、余韻にかけてスパイシーさ、若さ由来の刺激も若干あるが、フレーバーティーのような甘味を伴うタンニン、ほろ苦いウッディネスと共に長く続く。

山崎12年系統のフレーバーが感じられ、バランスが良くなった山崎NAS。さながら山崎12年レプリカといったところ。多少の粗さはあるが、特筆すべきは香味のなかに感じることが出来るミズナラ香。全体の軸になるアメリカンオークの華やかさが熟成感を増し、微かに混じるワイン樽のベリー香と余韻の苦味が、香味全体にボリュームを与えている。
加水すると香りはさらにオーキーな華やかさが主体に、味わいはややビターな印象であるが、サントリーのウイスキーらしく香味のバランスは保ったまま伸びる。

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美味しくなった、という話を聞いていた山崎のノンエイジの2020年生産ロット。サントリーやニッカは毎年毎年原酒の調整からか、微妙に味を変えてくる傾向があり、それが良い方向に作用しているという話です。

以前の山崎ノンエイジは、リリース初期の頃だとワイン系の原酒が強く、それで若さを誤魔化したような印象があり。。。数年前に購入して飲んだものは、そのワイン系の味わいが穏やかになって山崎12年に共通する香味が感じられる一方、パンチョンの若い原酒がメイン?というくらいに華やかさよりも乾いた木のドライでビターな主張が目立つ、ハイボール用かと思う構成が印象に残っていました。

※2016年~2017年流通の山崎ノンエイジ。当時感じた感想と、今回のボトルとの違いは平均した熟成感とミズナラのニュアンスにある。当時からオークフレーバーはあったが、若さが目立っており、最新ロットにかけて全体が整ったであろうことが、コメントを比較することで見えてくる。

そのため、良くなったと言っても、ちょっとオーキーな華やかさが強くなったとか、そんなもんでしょ?と。侮っていたのですが、これは飲んで驚きです。
勿論、これまでのNAS山崎と比較してベクトルが大きく変わった、というわけではありません。しかし山崎に求める香味がはっきりしたというか、軸となるべき原酒の熟成感が増したというか。12年に比べたら粗さはあるものの、要所を抑えているような印象を持つシングルモルトに仕上がっているのです。

シングルモルト山崎の魅力は、複数の蒸留器で作り分けられる原酒に、バーボン、シェリー、パンチョン、ミズナラ等、多様な樽の使い分け。恐らく単一蒸留所としては世界最高峰と言える原酒の作り分けと、それを活かしたブレンド技術によって作られる、響以上に重厚なウッディネスだと思っています。
こうしたウッディさは温暖な熟成環境である日本らしさに通じる一方、熟成を経ていかなければまとまらず、昨今多くのクラフトが苦労しているように、サントリーもまた若い原酒の使い方で苦労していた印象はあります。それがここに来てハイボールブームを受けて増産していた原酒が使えるようになってきたのでしょうか。粗削りながら、より12年に通じる原酒構成に変わってきたと感じます。

それこそ、価格、入手難易度等を総合的に考えると、現在手にはいるジャパニーズシングルモルトのなかで、家飲みで楽しむならこのボトルで良いのではないかと思えるほど。
こうなると、同じグレードとなる白州ノンエイジも良い変化が出ているのではないかと気になるところ。追ってモノを調達して、レビューしたいと思います。


※6月6日追記:最新ロットを購入し、レビューを公開しました。こちらも過去のロットに比べて良い変化を感じられました。

グレンマッスル No,3 テイスターコメントやBAR入荷情報について

カテゴリ:
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4月13日に発売された、グレンマッスル No,3 New Born Little Giantおよびその構成原酒。
現在の社会的状況下でのリリース故、不安はありましたが、まさかの数分で完売。
今回のボトルは、イベント等で事前に飲む機会もなく。3作目とはいえ、素性のよくわからない決して安くもないウイスキーに、ここまでの関心を持っていただけて本当に感謝です。

SNSを見ると、買えなかったけど飲んでみたい、どこのBARで飲めるのかわからない。オフィシャルの○○に比べたら割高なのではないか等の様々な反響もありました。
飲めるBARについては、これまで第1作、第2作でも掲載しており、今回も可能な範囲で情報をまとめましたのでこの記事で紹介していきます。
また、先に公開したNo,3のレビュー記事では、ブレンドの行程や三郎丸蒸留所の紹介を主としており。”グレンマッスルとは”の部分を省略していましたので、メンバーのコメントと合わせて改めて記事にまとめたいと思います。

※記事構成
・グレンマッスルのブランド位置付け
・テイスターレビュー(座談会形式)
・グレンマッスルNo,3が飲めるBARリスト

※参考:本ブログでのレビュー

■グレンマッスルとは
グレンマッスルはウイスキー好きのためのオリジナルブランドであり、愛好家が飲んで楽しめるような、笑顔になるようなリリースを目指しています。それは何を基準としているかというと、オフィシャルスタンダードとは異なる領域で、”美味しいだけでなく、ちょっと尖った魅力のあるリリース”であることです。

尖った要素としては、ワクワクするようなバックストーリーや、あるいは特定の個性を強調するような、オフィシャルのそれとは異なるバランスであるとかです。
従来、このジャンルは主にボトラーズリリースが担っていた領域です。
もちろん現在もそうなのですが、原酒の枯渇や価格の高騰から、選択肢は減少傾向にあります。予算を増せば手に入るのは当たり前ですが、ボトラーズメーカーを介して1万円前後という価格帯で、該当するリリースを実現することは困難な状況と言えます。 

ならば自分達で作ることは出来ないか。具体的には国内蒸留所やウイスキーメーカー協力のもと、彼らが保有する原酒を用いてメンバーがブレンドやリリース全般の監修、テイスティング(評価)等を行うもので。。。言い換えると、実例と共にメーカー側に愛好家としての意見を伝えているとも言えます。
そしてそれを実際に作るか、アレンジを加えてリリースするかは、メーカーの判断に委ねられています。

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■グレンマッスルテイスターの評価
No,3に対する自分の感想は、先日熱く語らせてもらった通りです。ではメンバーはどう感じているのか。
本リリースは4月13日発売ですが、JWフェスに合わせてのもので、2月中旬の時点でボトリングは完了、うち1本をサンプルとして取り寄せ、都合のついたメンバーで状態確認をしていました。
その際のメンバーの感想を、トーク形式でまとめていきます。これからグレンマッスルNo,3を飲まれる方は、その手引きとしても楽しんでもらえたら幸いです。


※2020年3月 新宿ウイスキーサロンにて
”ありえたかもしれないマッスルトーク”

くりりん:三郎丸蒸留所からグレンマッスル3のサンプルボトルが届きました。我々がレシピを作った時点から、ちょっとだけ各原酒の熟成も進んでいるので、改めてテイスティングしてどうでしょうか。

静谷:度数はあるのに、思ったより香り立ちが優しいですね。ドライでそこから焚き木を思わせるスモーキーさが、柑橘系の要素と共にある。

木下:・・・(ええやん)。

倉島:黒土や根菜、内陸系のピート香ですが、潮気も伴うような。アルコールの刺激、あとはジンジャーやスパイスを思わせる要素が複数感じられる。ちょっとBBQっぽい煙と甘さも出てきます。

くりりん:香りはそうなんですが、口に含むと一気にきますね。

倉島:確かに。最初はオイリーな感じですが、生き生きとしたピートとスパイシーな刺激に切り替わる。それをふくよかなモルティーさが支えています。

静谷:オレンジビターズみたいな柑橘感、ほろ苦さは味でも感じます。スモーキーさは囲炉裏のような穏やかな感じにまとまっていくんですが、スパイス系のフレーバーが残りますね。

くりりん:若い原酒由来のニュアンスがありつつも、ネガではなくフレッシュな部分に現れていると思います。オイリーでボディのしっかりした酒質や柑橘系のニュアンスは、三郎丸らしさでもあります。

木下:・・・(味もええやん)。

倉島:若さはありますが、このバランスというか複雑さというか、杯が進んでしまうボディ感が良い。

静谷:加水も良いですね。柑橘系の酸味がはちみつ林檎酢みたいな柔らかい感じに変化する。ああ、これはハイボールも良さそう。ちょっと贅沢ですが(笑)

木下:・・・(これはロックやな)。あ、静谷さんロックグラスと氷もらって良いですか?

くりりん:度数は58%ですが、なんだかんだみんな杯が進んでますね(笑)。

静谷:シェリー樽原酒の比率がちょうど良いですね。これ以上多かったら加水やハイボールでバラけてたかもしれません。

倉島:バーボンオーク由来の甘みだけでなく、シェリー樽由来の甘味もちゃんとあるのが面白い。ブレンデッドらしさですね。味で感動するウイスキーではないかもしれないけど、飲んで笑顔になる楽しさ、力強さがあると思います。

木下:・・・(ロックええやん)。

くりりん:将来性という点ではどうでしょう。マッスル4(仮)に向け、現在進行形で同じブレンドの熟成が進んでいるわけですが。

静谷:ちょっと樽の繋ぎというか、余韻にかけて樽感が足りない印象が補われてくれたら面白いですね。

倉島:これはこれでまとまってるけど、完成していない要素もある。追熟の樽はバーボンでしたっけ。

くりりん:バッファロートレースの1st fillだと聞いてます。それを三郎丸蒸留所の冷温熟成庫に保管です。サンプリングして、樽感が足りないようなら、リリース時期や熟成場所を変えて貰うのも手です。
※冷温熟成庫:若鶴酒造にある日本酒用の原料を保管するための倉庫。原酒の一部はここで保管されている。温度は夏場でも20度に届かず、湿度も保たれており、スコットランドに近い環境となっている。

倉島:比較してテイスティングしたら面白そうですよね。そういう意味でも今回のリリースは様々な楽しさがあると思います。

くりりん:比較という意味では、構成原酒もあります。三郎丸蒸留所の可能性を楽しんでもらうというコンセプトとして、現在地、将来のイメージ、双方を比較して楽しんでもらえたら嬉しいですね。

静谷:現時点でも美味しいですが、若さはある。それが熟成を経て良くなっていく姿がはっきりイメージ出来るのが、すごくポジティブな感じだと思います。飲んでて元気でてきました。

くりりん:リリースがますます楽しみですね。リーダー、尺もあるんで最後に今日の総括いただけますか?

木下:ええやん!(ええやん!)

くりりん:皆さん、本日はありがとうございました。


■GLEN MUSCLE No,3 が飲めるBAR
本リストは、ご購入いただいた旨のご連絡、確認がとれたBAR・飲食店のリストとなります。この他、新たに情報がわかりましたら、随時更新していきます。(2020年4月14日時点)

BAR BOTA (北海道 小樽)
BAR Fish born (北海道 帯広)
BAR 無路良(北海道 札幌)
バルハルヤ(北海道 札幌)
洋食屋さん りもーね(岩手 滝沢)
BAR Harry's 高岡(富山 高岡)
BAR 無駄話(茨城 下妻
BAR レモンハート(東京 大泉学園)
旬味 菜野(東京 北千住)
BAR Boushu 蔵前(東京 蔵前)
BAR Groovy(東京 神田)
BAR Eclipse first(東京 神田)
BAR Algernon Sinfonia(東京 赤坂)
BAR もるとや(東京 池袋)
Jam Lounge (東京 高田馬場)
BAR Unite(東京 新宿)
BAR Louge(東京 新宿)
BAR 新宿ウイスキーサロン(東京 新宿)
BAR LIVET(東京 新宿)
BAR Highlander Inn(東京 人形町)
BAR Shu-shu(東京 葛西)
BAR Shanty Shack(神奈川 横浜)
&BAR Old⇔Craft(神奈川 関内)
BAR BARNS(愛知 名古屋)
BAR Rubin's Vase(愛知 名古屋)
ANNIE HALL BAR (京都 ハトヤ瑞鳳閣)
BAR Kaguya(京都 宇治)
BAR シルバームーン(京都 伏見)
BAR TANKS(京都 今出川)
BAR MINMORE HOUSE(大阪 北新地)
BAR SIMON(大阪 難波)
BAR Hotaru (大阪 神山町)
憩処ありがとう(岡山県 笠岡)
BAR TRANSENDANCE(広島 中区胡町)
BAR Shamrock(香川 高松)
BAR Higuchi(福岡 博多)
BAR poco rit(沖縄 松山)

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■最後に
今回のグレンマッスルリリースは、新型コロナウイルスの感染拡大の最中という、大変難しい状況の中で行われました。
ご購入いただいた皆様もそうですが、製造元である若鶴酒造、ならびに三郎丸蒸留所の皆様は、別途ニュースにもなっている高度数アルコール製造対応の真っ只中で、本リリースを行っていただいたということになります。
本当に、頭が上がりません。。。

今回のリリースにあたっても、ジャパニーズウイスキーということを考えれば、価格設定は強気にすることもできたはずです。
しかし我々が贔屓目抜きにみても、プライベートボトルとして妥当(むしろ安い)と思える設定や、蒸留所見学やブレンド作りにおける各種サポート等、本企画に理解をいただいた、三郎丸蒸留所の稲垣マネージャーの「愛好家と一緒にウイスキーを楽しみたい」という心意気があったからこそ、今回のリリースは実現したのだと思います。

レビューや裏ラベルでも触れていますが、グレンマッスルNo,3は、三郎丸蒸留所の将来を、可能性を楽しんでもらうウイスキーです。
それは時間が経てばなんとかなるだろう、という無責任なものではなくて、間違いないというある種の確信を持ってリリースするものです。
その将来のイメージを形にしたのが、No,3 New Born Little Giantであり、現在地が同時にリリースした構成原酒#274です。

勿論、トータルでの完成度としてはオフィシャルの同価格帯でもっと良いものがあると思います。ですが、前置きのとおりグレンマッスルはその領域でトップを目指すものではありません。
このリリースから感じられる将来への期待、ワクワクする気持ち、そしてオフィシャル加水リリースにはない尖った個性、通常のリリースでは語られないようなバックストーリー。。。それらを是非楽しんでいただくと共に、次のリリースにも期待頂けたら幸いです。

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……Special thanks to Saburomaru distillery manager T.Inagaki

See you Next Muscle No,4.

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