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グレンドロナック カスクストレングス バッチ5 55.3%

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GLENDRONACH
CASK STRENGTH
Batch 5
Cask type Oloroso Sherry & PX Sherry
700ml 55.3%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:個人宅
時期:不明
暫定評価:★★★★★☆(5→6)

香り:強いアルコールの刺激、スパイシーでミントの爽やかさを伴うウッディな香り立ち。奥からキャラメルソース、ドライプルーン、シーズニングオークの甘いアロマが開き、特に加水することでバランスがとれてくる。

味:スパイシーでハイトーン。ブラウンシュガー、ドライプルーン、アーモンドクリーム。香り同様の構成で、強いアタックの奥に粘性のある甘み。余韻はウッディでドライ、ヒリヒリとした刺激を伴い長く続く。

ハイプルーフらしい強いアタック。シェリー感は少々薄めだが、嫌味の少ないシーズニングシェリーで、加水するとまろやかな甘みのある香味を楽しめる。若くはあるが、酒質の素直さも光る1本。少量加水して楽しみたい。


グレンドロナックが2012年から毎年1~2バッチリリースしている100%シェリーカスクのカスクストレングスリリース。バッチ5は2015年のリリースで、昨年リリースされたバッチ6が最新。ファンの多い銘柄でもありますが、グレンドロナックはベンリアックらと共にブラウン社に買収されたため、今年バッチ7がリリースされるかは現時点で不明となっています。

その構成、位置づけはグレンファークラス105を彷彿とさせる、推定8~10年程度のヤングエイジのハイプルーフシェリーカスクです。
ただバッチ1~3のシェリーカスクはシェリーカスクでも、樽の内側をチャーした際に出るフレーバー、木のえぐみというかクレヨンっぽさが強く出ており、若い年数で樽感を強く出すためにシェリー樽をリチャーしたものが使われたのではないかという印象。自分は自宅での樽いじりの経験からこの手のフレーバーに敏感で、ましてシェリーのそれと混じった異物感が受け入れられず。バッチ1はウイスキー仲間からブラインドで出されて酷評、バッチ2、バッチ3も一応飲んでみたのですが、同様のイメージが変わることは無く。。。もうこのシリーズはいいやと、飲まず嫌いを決め込んでしまっていました。

それが先日、友人宅での持ち寄り会でバッチ5を飲んでみたところ、シェリー感はあまり強くないが素直なシーズニングタイプで、これまで感じていた異物感のない仕上がりになっていてびっくり。テイスティングにも書きましたが、ストレートではアタックが強いですが、少量加水するとまろやかな口当たりでぐっと飲みやすくなり、さらに良い感じ。類似のタイプとしては、タムデュー10年のバッチリリースNo,1あたりで、やはり飲まず嫌いはいけないなと、認識を改めさせられました。
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(グレンドロナック蒸留所のツアーにて。写真左奥、初留釜のネック部分の独特な形状に注目。2005年までは石炭直火蒸留が行われていたが、現在はスチームに切り替わっている。同蒸留所ニュースピリッツは雑味が少ない代わりに麦感が強い。現行品の中では色物扱いだが、本腰を入れて作ればシェリー樽以外のリリースも光るモノが生まれそう。Photo by K67)

グレンドロナックはシェリー樽が高騰する中にありながら、シェリー樽100%リリースに方針転換し、この6年間強リリースを続けてきたわけですが、1996年から2002年までの休止期間など谷間の影響もあり、徐々にシェリー樽以外のリリースも増えてきています。
昨年は15年が終売、21年は限定生産。タンク貯蔵していなければ18年以上の原酒オンリーとなっているアラダイス18年も、今年のロットがあるかどうかというきわどいところ。精力的にリリースが続く1990年代のシングルカスクシリーズもいつまで弾が続くのか・・・。

そうした中、このカスクストレングスシリーズのシェリーカスクは、再稼動後のドロナックメインと思われる新世代。樽でマスク仕切れていない若々しく強い勢いは、荒削り感のあるリリースといわざるを得ませんが、バッチ5には新しい可能性を見出すことが出来ました。

グレンドロナック 21年 1993-2014 Cask No,37 58.1%

カテゴリ:
GLENDRONACH
Aged 21 years
Distilled 1993
Bottled 2014
Cask type Oloroso Sherry Butt #37
Bottle No, 440/649

グラス:創吉テイスティング
量:30ml以上
場所:BAR飲み(TWD イベント)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★(7) 

香り:リッチな甘みと濃厚なウッディネス。木香、黒砂糖、プルーン、嫌味の少ないスパニッシュオーク系のシェリー香主体。ほのかにオールドシェリーに通じるニュアンスもある。

味:濃厚なシェリー風味。黒蜜のようなねっとりとした口当たり、ボディは強くパワフルでレーズン、香木、皮付き黒ブドウなどの充実したフレーバー。
余韻はウッディでドライ。ほのかにシナモンなどのスパイシーな風味もある。


TWDのテイスティングイベントにて。Yさんの持ち込みボトル。
スパニッシュオーク感バッチリのシェリーカスクで、香木を思わせるウッディネスとダークフルーツの甘酸っぱさがしっかり感じられるリッチで嫌味の少ない味わい。近年のグレンドロナックの中ではレベルの高い部類に入ると思います。 
例えば山崎のシェリーカスクなどが好みな方は、ストライクゾーンど真ん中でしょうね。
(某S氏が飲みまくって記憶を飛ばしたというのも、まあわからないでもない味だなと。)

ぶっちゃけ旨けりゃ良いんですが、このボトルの大きな謎は、そのボトリング本数にあります。
ボトリング総数649本。つまり約450リットルを一つのシェリーバット(約500リットル、実際は満タンに詰めないので480リットル程度)から払い出したということになり、エンジェルズシェアが21年間で30~40リットルしかなかったことになるのです。

同蒸留所では、以前から同様のこと(500リットルのシェリーパンチョンから647本がボトリングされたり)が発生しており、良く言えばカスクマネジメント、悪く言えば詰め替えをやった可能性が濃厚であるわけです。
愛好家の間では詰め替え説というか熟成庫内での集約説は間違いないと、中には蒸留所に確認している方も居ます。

他方、スペインでは近年のウイスキービジネスにあわせ、250リットルという小さなシェリー樽、さらには500リットルを越える大型のものまで、通常のシェリー熟成行程とは別に造られているという話も聞きます。ひょっとすると600~700リットルクラスの大型樽を使っているのかもしれません。(それをシェリーバットと言うのかは疑問ですが。。。)
あるいは、通常のシェリーバットでも、熟成庫の環境で中身がほとんど減らなかった奇跡の樽があるのかもしれません。
ただ、そういうのはポンポン出るとは思えませんし、実際は詰め替え集約後に1年以上の熟成を行い、"マチュアード"表記とし、表記された蒸留年月日は最も若いものか、あるいは同一蒸留日。最終的には原酒を集約した1樽からボトリングするので、シングルカスクとしてリリースしているという整理の方が現実的かなと感じます。

しかしなんというか、この謎多き部分を考察するのもまた、ウイスキーの魅力と言えるのかもしれませんね。

東京 インターナショナル バーショー 2016 にちょっと顔を出してきた ①

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先週末、5月14日、15日はTokyo International Bar Show Whisky Expo Japan 2016(通称、バーショー)が後楽園で開催されていました。
ウイスキーマガジンライブ時代は参加していたものの、バーショーになってからは特段惹かれるものもないなと不参加続きで、実に3年ぶりの参加となります。


結論から言うと、思っていた以上に楽しめました。エンターテイメント的な催しもあり、ウイスキーの試飲もニューリリースやカスクサンプルだけでなく、コアな飲み手が楽しめる工夫も随所にあってなかなか良かったなーと。
ひと昔前の、ボトラーズ含め長期熟成リリースの旨いボトルを飲みに行くというより、ウイスキーの体験、勉強をしに行くという内容。その点では悪くないイベントだったと思います。

せっかくなので印象に残ったブースとその内容を。まずは今回最も充実していた(長く滞在した)、ウイスク・イーさんのブース(ソサイエティ、ベンリアック、グレンドロナック、グレングラッサなど)から。

此方はベンリアック系列のコーナー。
試飲としては、6月に正規品がリリースされるベンリアックカスクストレングスや、グレンドロナック1995、その他リリース品の紹介に加え、各蒸留所のニューポットが飲めました。
また、テーブルの奥には夏頃にリリースする予定だという、グレンドロナック1993-2015のサンプルが・・・(これがキャラメルナッツを思わせる甘みとほろ苦さで旨いのです。)

ベンリアックのカスクストレングス バッチ1 (No age 57.9%)は、ブースで聞いた話ではシェリー樽やバーボン樽、そしてフィニッシュ(?)に新樽も使って仕上げたという、シングルカスクではなくバッティングのシングルモルトです。
体感熟成年数は10〜15年程度、ウッディーなエッジ、スパイシーな口当たりではあるものの、単純にオーキーなだけではない、単一樽では出ない多層感があります。麦芽、バニラ、オーク、ほのかにオレンジジャムのような酸味、美味しいモルトに仕上がっています。
正規品の価格は実売税抜き8000円程度を予定しているそうで、4月頃に入った並行品よりもお手頃価格。これは普通に良いリリースだと思います。


先に書いたように、このブースでは普段機会のない、ニューポットのテイスティングができました。
決して旨いとは言い切れないニューポットを飲む意味は、まずひとつはハウススタイルの要素を確認できることにあると思います。
熟成するとどうしても樽が出てしまい、酒質由来の部分が分かりづらい場合があります。ニューポットや若いウイスキーも飲んで、点と点を結んで線を引くように、自分の中で統計立てて蒸留所の特性を理解していくしかありません。

また、ワインの新酒評価のように、その時期の原酒の特性を知っておくのも、5年後、10年後に生きてきます。
例えばこのニューポットならこのタイプの樽で、これくらい熟成させれば美味しくなりそうだとか、あるいは酒質が軽いから、〜〜年以上は熟成に耐えられないだろうなとか、さらに踏み込んだ評価ができるわけです。

今回飲めたニューポット3種は、それぞれに特徴があって非常に面白かったです。
ベンリアックはノンピートタイプで素直な優等生。麦芽とコクのある風味が主体で、クセの少ない綺麗な酒質を感じます。
ただ素性の良さゆえ、20年を超えるような熟成では削ぎ落とされるものがなくなってしまい、ボトラーズなどにある樽の味しかしないモルトになりかねない原酒とも言えます。バーボンホグスあたりで10〜15年くらいで仕上げるのが丁度良さそうだなと感じました。 

グレンドロナックはベンリアックよりも麦芽系のフレーバーが強く、パンのような香味に、少し酸味、少々野暮ったさに通じる要素も。
グレングラッサは青みがかったフレーバーがいかにもという感じ。汗や乳酸系を思わせる酸味、荒い麦感。植物っぽさが潜んでおり、今は種の状態で芽吹きを待っているようにも感じます。


ドロナックはシェリー系の仕上がりを目指すと考えると、これくらい適度なクセのがあったほうが良いんじゃないかと思うのです。
グラッサは結構しっかりクセがあり、その仕上がりから「草っぽい」などを様々な評判があるわけで、この原酒もまたその傾向に進む種を持っている気がします。

お次はすぐ隣のソサイエティコーナー。
試飲の量と質では今回のバーショーでダントツだったと思います。
机の左側半分は全て無料で、入会してなくてもテイスティング可能。ソサイエティをかなり積極的にPRしてましたね。

個人的に一番ヒットだったのが無料試飲で飲めた4.208、ハイランドパークの23年。
オイリーでリンゴのコンポートのようなフルーティーさ、そして余韻にかけてハイランドパークらしいほろ苦いピートフレーバーが開く。これこれ、こういうのが良いんですよ。発売後、結構な期間売れ残っていたようで、1本欲しかったです。
その他にもアランやオルトモアが良い味してました。また、有料の方では余市の20年、グレンゴインのスパニッシュオーク系どシェリーなんてのもあり、これらも当然美味しい。
昨年親元が変わってどうなるかと思ったソサイエティですが、このボトラーズ受難の時代に安定したクオリティで、流石の底力だなと思います。

余談。
グレンドロナックは15年に引き続き、18年がそろそろ終売なのではないかという予想がされています。
ブースで聞いた話では、今後今年の割り当てが正規品として入荷するそうですが、その後は未定とのこと。当面大丈夫なのかもしれませんが、引き続きチェックしていきたいと思います。

次回に続く。

グレンドロナック15年 46% リヴァイバル いよいよ終売へ

カテゴリ:

GLENDRONACH
REVIVAL
Aged 15 years
700ml 46%
評価: ★★★★★★(6) 

香り:うっすらと香ばしさのある黒蜜やレーズンの甘いアロマ。ほのかに生木っぽさ、コクのあるバランスの良い近年系シェリー香。グラスの残り香はキャラメルを思わせる豊かな甘さ。

味:滑らかで濃厚な甘い口当たり。ドライプルーン、チョコレート、品の良いウッディネス、徐々に干した牧草。後半はべったりした甘さが口の中に残り、そこからコーヒーを思わせる苦味、微なピーティーさが戻ってくる長い余韻。
以前のロットよりエグミが少なく、ピーティーさを強く感じたような…。


グレンドロナックの正規代理店であるウイスクイーから、ついに15年リヴァイバル終売のニュースが届いてしまいました。
同蒸留所について直近10年間を振り返ると、2008年にベンリアック 社の傘下に入り、それまでのラインナップを一新。2009年には シェリー樽100%の15年リヴァイバル、18年アラダイスがリ リースされ、その仕上げとして12年もシェリー樽100%に切り替わり、 シェリー樽モルトの代表格の一角を締めるようになったのは記憶に 新しいところ。
当時自分はオールドドロナックのシェリー感に魅せられていたので、シェリー樽100%が復活するというニュースに歓喜したのを覚えています。

グレンドロナック15年はリヴァイバル、"古き時代の復活"と名付けられた、まさに昔のグレンドロナックをイメージしたボトルの一つ。
12年、15年、18年、21年とオフィシャルラインナップがある中で、濃厚でありながらバランスが良く、コスパも良いシェリー樽モルトとして上位グレードの18年や21年以上にファンを獲得していたと思います。
自分は18年推しなので、それこそニコ生放送などでは少数派な立場に置かれることもありました(笑)。

確か1~2年くらい前だったと思います。 グレンドロナック蒸留所を訪問した方から「 そろそろシェリーカスクの質と在庫がヤバイ、15年と18年は買っておくべき」という話を聞き、潮目が変わりつつあるなと。 元々グレンドロナックは1996年に一時蒸留を休止し、2002年に再稼動するまで6年間分の原酒がありません。そのため、15年、18年に関してはいずれ6年間の"死の谷"にぶつかる状況にありました。
そして21年の通常生産終了の決定と、グレンドロナックヒーランの発売。 ヒーランはシェリー樽とバーボン樽のバッティングで、蒸留時期は再稼動後の新世代に当たるボトル。価格帯は12年や15 年の間に落ちる5000円前後で、どっちかが値上げか終売になるんじゃないか、なんて言う話もしていた矢先、いよいよ来るものが来たという感じです。

輸入停止ではなく蒸留所側での生産終了の一報ですから、在庫が並行品で入る可能性こそあるものの、いずれ本格的な終売となります。また、15 年だけでなく、18年についても上述6年間の休止期間から、2014~2015年生産までは原酒が確保できているものの、今年以降なんらか影響が出ていくことが予想されます。
まさに今飲んでおくべきシングルモルト。ファンの方はこれを機に何本か買われても良いかもしれませんね。

ティーチャーズ ロイヤルハイランド 12年 1980年代後期流通

カテゴリ:
TEACHER’S 
Royal highland 
12 years old 
1980’s 
43% 1liter 
評価:★★★★★(5) 

香り:ドライなピートフレーバー、燻した麦芽、青リンゴ、微かにカラメルを思わせる甘さ。穏やかなグレーン風味。

味:とろりとした口当たり。シリアル、ホットケーキシロップや青みがかった瓜の甘みから、穀物系のエグミ、徐々に土っぽいピートフレーバーでスモーキーな風味が開いてくる。かみごたえのある味わい。余韻はピーティーでビター。あっさりしている。

 
ティーチャーズロイヤルハイランドはグレンドロナックの比率が高く、とろりとした甘味豊なブレンデッド・・・らしいのですが、シェリー感の濃淡については流通時期によるところが大きく、かつ現在のドロナックを象徴するようなこってりシェリーのボトルは、まだ出会ったことがありません。
どちらかというとバランス系のブレンデッドであり、特に1980年代についてはその傾向が強いです。
 
今回のボトルは、その1980年代の後期あるいは1990年頃の本国向け。日本国内向けの正規輸入もあり、比較的見かけるオールドボトルの一つ。
ドロナックというよりアードモアを思わせるピートフレーバーの存在感があり、甘味は平均的。ボディもそこまで薄くなく、微かに近年系ブレンドにありがちなえぐみも感じますが、全体的にはバランスの良い味に仕上がっています。
 
一方、今回のボトルと同じラベルデザインでも、古いものだと1970年代後期~1980年頃の760ml仕様まであるため、初期と後期ではさすがに味に違いが見られます。
数年前に1本開けて飲んだものは、1980年代初期から中期と思われる750mlの従価特級表記で、今回のボトルよりは甘味とコクを強く感じました。
ドロナックといってもシングルモルトにはこってりタイプと淡いタイプの2パターンありましたし、アードモアもありますから、ブレンド比率による違いもあったのでしょう。ティーチャーズは、作られたブレンドの味が変わらないことで「スコッチの先生」と呼ばれたブレンダーに由来を持つ銘柄とはいえ、時代時代の流れには逆らえなかったようです。
 
ちなみに、1970年代中ごろよりさらに古いボトルとなると、シール材が銀色、青地だった12年表記も銀色と、メタリックな色合いが強くなります。このボトルもまた国内流通はありましたが、数が少なかったためか現在はほとんど見かけません。見かけたら飲んでみたいボトルの一つです。

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