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グレンダラン 20年 1978-1998 OMC 50%

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GLEN DULLAN
OLD MALT CASK
Aged 20 years
Distilled 1978
Bottled 1998
One of 299 Bottles
700ml 50%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:青みがかったニュアンスの伴う淡く華やかなオーク香。麦感と蜜っぽさ、王林系の林檎を思わせる果実香、ほのかにスモーキーで土っぽいアロマも混じってくる。

味:とろりとした口当たり、淡い華やかさを感じるウッディネス。青林檎や乾いた麦芽、奥にはピートの層があり、後半にかけてスモーキーフレーバーが主張してくる。
余韻はヒリヒリとしたハイトーンな刺激、軽やかな麦芽風味の香ばしさとピーティーなほろ苦さで長く続く。

使われている樽はリフィルシェリーホグスヘッドか。樽感は程よく華やか、酒質由来の味わいがしっかり主張し、奥行きも感じられる構成。ピートもいい仕事をしている。ストレートではハイトーンで勢いのある味わいだが、少量加水すると香りが開き、林檎のコンポートを思わせるやわらかくフルーティーな甘さを感じる。


今は懐かしいオールドモルトカスクの旧ボトル。リフィル系の樽感で酒質メインなスペイサイドモルトが飲みたくなり、抜栓しました。

近年のグレンダランはボディのライト化が進み、花と動物シリーズや、現在販売されている免税店向けのシングルトン・グレンダランも悪くないですが、40〜43%加水であることも手伝って穏やかすぎて個性がボケてしまっている印象。
対してハイプルーフのそれは、瓶熟向けとも言える結構やんちゃで重厚な酒質を楽しめるのが魅力です。

ただ、今回の蒸留時期は、グレンダランにあって少々特殊な歴史の中にあります。
グレンダランは1985年に蒸留所が新しい設備に切り替わっており、今回のボトルは切り替え前の蒸留。。。かと言うと、厳密には1962年に古くからあった蒸留所をリニューアル。1972年には6基のスチルを有する新蒸留所を新設。その後しばらく旧蒸留所と新蒸留所が平行して稼動し、1985年に旧蒸留所が閉鎖したという流れ。
丁度ど真ん中の時期に当たる今回のボトルは、新旧どちらで蒸留されたか、あるいは混ぜられたものかは判断つかない状況です。

つまり平行稼働期間となる13年余り、新旧2つの蒸留所がグレンダラン名義でモルトを生産していたことになるわけですが、いわばクライヌリッシュとブローラのような関係であった新旧蒸留所が同一名義。これが問題とならなかったのは、「当時の基準がおおらかだったから」で片付けるには疑問が残ります。
乱暴な整理ですが、グレンダランの原酒はブレンド向けで混ぜて使われる前提であるため、シングルモルトリリースに使われない事から問題にならなかった、ということでしょうか。
(1970年代から1980年代後半にかけての際どい時期に、12年表記のシングルモルトがリリースされているのですが。。。)

そんな過去に謎を持つグレンダランですが、ブレンド主体にするには惜しい、爽やかなフルーティーさとスモーキーさを持った、スコッチらしい個性のあるモルトです。
近年シングルモルト需要の高まりから、ブレンド向け蒸留所からも様々な銘柄がリリースされており、グレンダランがラインナップに加わる日も遠くないのではと期待しています。


オールドパー デラックス 1970年代流通 43%

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OLD PARR
De Luxe Scotch Whisky
1970's
760ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★★(6)

香り:スモーキーでカステラの茶色い部分を思わせる甘くほろ苦い香り立ち。あるいはパンの耳、穀物系の香りでもある。奥には若干古酒系のヒネ香もあるが、オールドらしさを感じる要素として楽しめるレベル。

味:とろりとした厚みのある口当たり。黒糖麩菓子、オールブラン、ほのかに草っぽい穀物風味とスモーキーフレーバー。余韻にかけてはピーティーで、カラメルソースを思わせるほろ苦い甘みが張り付くように残る。

香味に感じる色の濃い甘みは強い部類にあるが、同時に麦芽のほろ苦く素朴な味わいでバランスが取れている。加水すると鼈甲飴や林檎ジャムのような甘みも開いてくる。   
ボディのしっかりしたブレンデッドであるため、ストレート以外にロックがおすすめ。氷が溶けていく中でも味わいをキープし、まったりとしたひと時を楽しめる。

昭和の洋酒ギフトの筆頭候補。政治家、財界人などに様々な経緯から愛されたオールドパー。どこか不思議な存在感があると感じるのは自分が日本人だからでしょうか。
ジョニーウォーカー、バランタイン、シーバスリーガル、ホワイトホース、そしてオールドパー。オールドにハマった頃、この5銘柄はどこかに売ってないかとずいぶん探して回ったものです。
そしてずいぶんお金を溝に・・・いや、高い授業料を払ったものです。

というのも、オールドパーのオールドボトルはキャップに難がある、というのはこれまでも散々記事にしてきた通りで、地雷率の高い銘柄の一つ。それこそ、年代によっては8割とは行かずとも、7割くらいは外れるんじゃないかという被弾率ゆえ、ある種の鬼門として近年は敬遠し続けてきました。
そんな中、Facebookのグループ上で何名かが果敢に地雷率の高い銘柄に挑んで開栓をされて、華々しく散っていく・・・といった流れがあったので、ならば自分も続かないわけにはと、大丈夫そうな雰囲気を感じたボトルを開栓したところ、キャップ汚染度は10段階のうちの1か2程度。味への影響はほぼ無く、本当に大丈夫な個体を引き当ててしまったわけです。(みんな、すまん・・・。)

前置きがずいぶん長くなりましたが、せっかくアタリをひいたのですから、テイスティングしていきましょう。
今回のボトルは先述の通り1970年代流通のデラックス表記。1980年前後でマイナーチェンジがあるのですが、キャップシールの印字が斜めなのか横なのかで、流通時期を判断します。1970年代流通の中でもラベルに微妙な違いがあり、1960年代はティンキャップなので一目瞭然です。
その味わいはキーモルトがクラガンモアとグレンダラン、特にグレンダランと言われると納得の、しっかりしたボディにほろ苦いオールブランやカラメルソースを思わせるモルティーさ、どっしりとしたスモーキーフレーバーもあります。

オールドのグレンダラン12年は先日記事にしていますが、こうした構成は結構好み。毎回このレベルのボトルに当たるなら、もっとオールド市場で評価される銘柄なのだと思いますが・・・。なかなか状態のいいボトルに当たらないのが難しいところです。

グレンダラン 12年 1980年代流通 特級表記 47%

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GLENDALLAN
Single Malt Scotch Whisky
Aged 12 Years
1970-1980's
750ml 47%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:個人宅(@KuMC)
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:土っぽさを伴う麦芽香、干し藁、パンケーキを思わせる焦げ感の落ち着いた甘い香りと、徐々にリンゴのカラメル煮を思わせる落ち着いたエステリーさも開いて来る。

味:どっしりとした口当たりと厚いボディ。ややオイリーで、オールブランを思わせるほろ苦さ。べっこう飴、カステラの茶色い部分。余韻は濃く入れた紅茶、土っぽいピートフレーバーのニュアンスが長く残る。


オールドパーの構成原酒として知られる、スペイサイドのグレンダラン。しっかりとしたボディと濃い麦芽風味。エステリーでスパイシーなニュアンスが経年で変化したと思われる、色の濃い蜂蜜や鼈甲飴を思わせるコクのある甘みがピートと共にじわりと染み込む。奇をてらったような要素はなく、その上当時のオフィシャル加水では珍しい47%仕様が嬉しい。王道的なオールドモルトの魅力を楽しめる1本です。

グレンダランは、1972年に増産に向けて新しい蒸留設備を建設。しばらく並行稼働したのち、冬の時代である1985年に旧蒸留設備を閉鎖し、新設した蒸留所で現在に至っています。
原料の違いもあるのでしょうが、新蒸溜所になってブレンド向け原酒としてライト化が加速。旧ボトルの方が味に厚みがあり、現行品はピートフレーバーの無い、華やかなタイプにシフト。カーデューやストラスアイラなどと同様に、ベースとなっているブレンドは超有名でもモルトウイスキーとしての知名度は高くない、縁の下の力持ちな原酒と言えます。

1970年代、日本でオールドパーの人気が高まっていく中、このボトルも正規代理店であるオールドパー株式会社(1973年設立)によって輸入され、日本向けボトルとして発売されていました。
そのため、現在も比較的オークションで見られる銘柄で、銘柄の知名度からも飛び抜けて入手困難なボトルと言うわけではありませんが、近年では徐々に価格が上がりつつあります。

オールドボトルを扱うBARなら置いてあることも多いボトル。王道的な魅力を楽しんでください。

オールドパー デラックス 1980年代流通 ウイスキー特級

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GRAND OLD PARR
Deluxe Scotch Whisky
1980’s
750ml 43%

グラス:ヴィノテクスピリッツ
量:ハーフショット
場所:BAR飲み(ARASAIDE)
時期:開封後1か月程度
構成原酒:グレンダラン、クラガンモア、など
評価:★★★★★(5)

香り;カラメルやみたらしを思わせる甘い香り立ちと若干の金属臭。奥にはオールブランのような麦芽香、ツンとしたエッジもある。 加水でスモーキーなニュアンスも。

味:古酒系のこなれた口当たり、ザラメ、黒糖ロール、麦芽と穀物の甘みの中で、ほのかにレーズンを思わせる酸味もある。徐々にスパイスの刺激、アーシーなピートフレーバーが感じられる。
余韻はスパイシーでクッキーを思わせる甘みが残る。

日本における洋酒ブームの象徴かつ、バブル期のギフトの代表格とも言える銘柄。
当時から飲まれている方ですと、ジョニーウォーカー等と同様に深い思い入れもあるのではないでしょうか。
私は当時の記憶などあるはずもないですが、その独特の高級感があるデザインに惹かれ、大学時代は研究室に届くギフト品のオールドパーを飲み散らかし、初任給で恩師に送ったギフトもオールドパーのスーベニアだったという、また違った思い入れがある銘柄です。

現行品は意外とスモーキーな味わいですが、オールドボトルもまた古酒系のこなれた甘味の奥から土っぽいピートフレーバーが感じられる。よく言えば飲みやすく、厳しいことを言えば際立った個性が乏しい、良くも悪くもブレンデッドであるなという味わいです。
飲まれたことが無いならば、BAR等で状態の良いものを一度飲んでみるといい経験になるかも知れません。

ラベルの遍歴は何気に細かい変更がぽつぽつあるのですが、大きくは1980年代後期から12年表記有り、1980年代初頭以前はデラックス表記。
1980年代は今回のボトルのようにキャップ部分のシール材が斜めにオールドパーと入っていますが、1970年代以前は横にオールドパーと書かれており、1960年代以前はティンキャップ仕様です。
同銘柄は現地よりもアジア圏の成功が大きく、1980年代に入るとそれまでの正規代理店である兼松江商の取り扱いから、新たに設立された日本オールドパー株式会社が取り扱うようになります。
国内正規品はその表記の有無もポイントになりますが、現在の中古市場では海外免税品や並行品等も多く流通しているため、全てのボトルには適用されないため注意です。

オールドパーのオールドボトルにおける最大の注意点は状態の悪さにあります。
ティンキャップもスクリューキャップも全時期共通とも言える金属張りキャップ仕様で、保管状況か味の傾向もあるのか、金属臭のついたボトルが多く見られます。
自分もそれに何度泣かされたことか。。。
今回のボトルは香りに若干そうしたフレーバーがありますが、味の方は問題なく許せる範囲というところ。
市場価格は決して高いものではありませんが、購入される場合は覚悟を決めてご注文ください(笑)。

プレジデント スペシャルリザーブ 1980年代流通

カテゴリ:

PRESIDENT
Special Reserve
DeLuxe Scotch Whisky
1980’s
43% 750ml
構成原酒:クラガンモア、グレンダラン、など
 
グラス:SK2、バカラクリスタルタンブラー
量:個人所有
場所:自宅
時期:開封3週間程度
評価:★★★★★(5)

香り:古酒系のヒネたニュアンスに、土っぽさの強い甘い香り。カラメル、檜、微かにレーズンやイチジクなどのドライフルーツの甘さ。時間経過でカラメルの甘みが強くなり、穀物のバニラを思わせる軽い香味も感じられる。

味:ねっとりとした濃い口当たりだが、スパイシーな刺激も感じる。イチヂクの甘露煮、モルトスナックやカシューナッツ、香り同様にアーシーなニュアンス。余韻はホットケーキシロップのような粘性のある甘さから、微かにスモーキーで内陸系のピートの苦味が残る。
この時代の飲み方はロックかなと試してみるも、ポジティブな変化は見られなかった。
氷が溶けてくるとスムーズで飲みやすくなる。シガーとの相性が良いと一部ウイスキー仲間にファンが居る模様。


オールドパーの上級品に位置づけられているブレンデッドウイスキー。
1980年代頃の上下関係は、プレジデント>オールドパー>サンディーマック=クレイモア、だったかな。比較的熟成された原酒が使われているためか、まったりとした味わいでありつつ、原酒由来のピーティーなフレーバーが余韻に残る構成となっています。
(ただ、時代を経るごとに兄弟分のオールドパー同様、ドライで辛口の傾向に振れていきます。)
 
現在は販売されていないボトルですが、中古市場では見かけることの多いボトルです。
その名前から特に免税品に需要があったようで、現在の国内中古市場に流通しているのは兼松が輸入した正規品ではなく、だいたいが免税店での個人購入品となっています。
流通量の多いオールドボトルの一つですが、難があるのがキャップです。
通常よりも径の大きいコルクを使用しているためと、保管の際に横置きされたボトルが多かったようで、コルク臭が強いボトルが多いのが最大のネック。
今回のボトルはコルクの状態から横置きされていた印象はなく、この銘柄としてはまともな部類であるものの多少そうしたニュアンスが香りの端々に感じられます。こればっかりはオールドの宿命でどうしようもありません。
 
ちなみに年代別の見分け方としては。
1960年代は同じデラックス表記でノンエイジですが、正面ラベルの度数・容量表記の下に引かれた金色の線がありません。
1970年代、1980年代は今回と同じデザインです。1980年代後半からは12年表記が入る等の変化があり、流通地域によっては玉付きボトルも出てきます。
コルクの直径が太いということは、折れてしまった際に通常のコルクでは替えが効きません。
抜栓の際は以前紹介させていただいたように、空気を入れる、厚いおしぼりを巻きつける等の折れない工夫をしてみてください。

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