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グレンスコシア 32年 1977-2010 シグナトリー 54.2%

カテゴリ:
GLEN SCOTIA
Signatory Vintage
Aged 32 Years
Distilled 1977
Bottled 2010
Cask type Hogshead #979
700ml 54.2%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml以上
場所:自宅 &サロンドシマジ
時期:不明
評価:★★★★★★★(7)

香り:強くは無いが存在感のある麦芽香、おしろい、上品なオークフレーバーはドライアップルやオレンジピール、蜂蜜などの甘みと淡い酸味。スパイスとほのかなスモーキーさも感じられる。また、時間経過で灰のようなニュアンスもある。

味:オーキーで粘性のある口当たり、アプリコットジャムやリンゴのコンポートー、中間は麦芽風味から徐々にピーティー、植物系の苦味を伴い、余韻は華やかで少し粉っぽいが染み込むようなピートフレーバーを伴いゆっくりと消えていく。


キャンベルタウンの2番手。話題性としては後から創業した(復活した)グレンガイル蒸留所に遅れを取ろうかというところもあり、このままでは3番手に降格か。
蒸留所のポテンシャルは決して低くなく、コアな愛好家が「おっ」と感じるリリースもある中で、キャンベルタウン衰退期からの不遇キャラが定着してしまっているなと感じてしまいます。

そんなグレンスコシアも、直近こそ親会社の変更からオフィシャルリリースが積極的に展開されるようになりましたが、1970年代から1990年代までは不遇の象徴とも言える、頻繁に変わる親会社に休止と再稼働の繰り返し。1978年から1982年に大改修が行われたものの、その直後1984年にまたまた所有者が変更となったようで、これらの背景からか1970年頃から1984年まで休止していたとする書籍も過去にはあったほどです。

今回のボトルはその大改修前のグレンスコシアで、同蒸留所では珍しい30年オーバーの長期熟成品。77年のスコシアは当時幾つか流通しましたが、度数がしっかり保たれていて熟成でへたれた印象はなく、バーボンホグスヘッドと思われる香味にスモーキーフレーバーを伴うコクのある酒質がしっかりマッチしている。これは確かに美味しいモルトです。

先日、広尾にあるサロンドシマジ本店に伺った時のこと「おい、今日はコイツを飲むぞ、これは美味いんだ」と島地さんが取り出してきたのが、このグレンスコシアでした。
バックストーリー充分、味わい充分、こういうのをしれっと出してくるあたり、流石だなあと感じてしまいます。

帰ろうかという頃「せっかくだから持っていって奥さんとゆっくり飲みなよ」と、この1本を含む写真の2本を頂いてしまいました。
家飲みしていたところ、掲載用の写真を撮っていなかったことに気がついて慌てて1枚。
しっかり堪能させていただきました!

グレンスコシア 15年 46% 2015年リリース オフィシャルボトル

カテゴリ:
IMG_2001
GLEN SCOTIA
Aged 15 years
Rich & Smooth
Cask type American Oak Barrel   
2015's
700ml 46%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:50ml程度
場所:自宅 (サンプル出題@Aさん)
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★(5)

【ブラインドテイスティング(TWDルール)】
地域:ハイランド
年数:15年程度
度数:43-46%
樽:バーボンからのワインや酒精強化系フィニッシュ。

香り:やや溶剤っぽさの混じる焦げた樽香とハッカの爽やかさ。オレンジジャム、カラメルシロップの甘みに乾いた植物感。樽香主体でリッチなアロマ。

味:焦げたような苦味と、徐々にぬるりとした甘みを伴う口当たり。香り同様に樽香主体、蜂蜜、カラメルソースから林檎のコンポートを思わせるオークフレーバーが広がる。
余韻はウッディーでほろ苦くビター、木材や植物のエグミ、焦げた樽感が最後まで続く。


今回はTWDでの「宿題」、メンバーのAさんから出題頂いたブラインド。
グレンスコシアが2015年にリリースしたオフィシャルボトルで、他にはダブルカスクとビクトリアーナがあり、後者はこのブログでも記事にしています。 
ビクトリアーナも樽香が強かったですが、この15年はさらに強い印象。細いボディに色々上乗せし、樽を無理やり押し付けているように感じられます。ラベルにかかれたRich & Smoothの通り、樽香はリッチですし飲み口もスムーズな部類に入る味わいですが、現時点ではバランスが良いとは言い難いですね。
       
まず樽ですが、チャーオークのこげ感に、オーキーなフルーツと粘性のある甘さを感じます。
バーボン系の樽の原酒とは感じましたが、この粘性のある甘さが浮ついて感じられ、フィニッシュかマチュアードかの後付けを予想しました。 
この手のフレーバーはアメリカンホワイトオークをチャーしての熟成でもつくはつくのですが、実際の表記はアメリカンオークバレルであるところ、これはバーボンバレルだけを指しているのか、それとも新樽や、最近作られているミニサイズのシェリー樽も含まれているのか。答えを見てますますわからなくなってしまいました。

酒質としては、ハイランド寄りであるものの線が細く、樽感の強さも相まって特徴を取りづらいと感じました。
2度目のトライで微かに塩気も拾ったものの確証には至らず。この手のいじり系の仕上がりはモレンジかなーと、免税向けにリリースされている近年リリースの何かだろうと、引っ掛かりを覚えつつも解答しました。 

結果、度数や熟成年数などのスペックはそう外してないものの、地域は寄せ切れなかったですね。
キャンベルタウンモルト、といってもスプリングバンク系列と親戚のグレンガイル、そしてスコシアしかないわけですが、この2系統の地域としての共通点をどう捉えるべきか、まだまだ経験値が足りないようです。

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余談:酒質と樽感のバランスとは。
酒質がグラスで、樽感がビール、と言うふうに自分は感じています。グラスにはそれぞれ許容量があり、注げる量が限られているのは言わずもがなですが、熟成を進めれば樽感は強くなり、つまりグラスにビールが注がれていく状況になります。
グラスの容量を越えるほど注いでしまうと当然アンバランス、また少なすぎると飲むことは問題ありませんが、足りないなという気持ちが生じることもありますし、ピッタリ注いでも注いだモノ自体の泡と液体のバランス、質があり、渋みが強かったり、甘みが強かったりとかいろいろあるわけですね。

などという事を、ちょうど先日発売したばかりのプレミアムモルツの黒ビールを飲んでいたので書いてみました。
(この黒ビール、味噌や醤油っぽいというか、ちょっと前まで販売されていた黒蔵系統の味があって自分は嫌いじゃないです。)

グレンスコシア ビクトリアーナ 51.5% NA

カテゴリ:
GLEN SCOTIA
VICTORIANA
Finished in the Finest Deep Charred Casks
(No Aged)
700ml 51.5%

グラス:SK2
量:30ml以上
場所:自宅
時期:開封後2週間程度
評価:★★★★★(5)
※加水後の評価は★6

香り:注ぎたてはあまり香りが立たないが、徐々に栗の渋皮煮を思わせる甘くほろ苦いオーク香。オーク香の裏には若い酸味も隠れている。少量加水するとお菓子のキャラメルやビスケットのような甘い香りとスモーキーフレーバーが開いてくる。また、削った木材のようなアロマもある。

味:ねっとりとした口当たり。ママレードジャムを思わせる柑橘系の香味と、ガラムマサラのようなスパイス風味、炒った銀杏のような香ばしさと苦味もある。非常に独特な麦芽風味。中間はチャーオーク由来の焦げたような香味。鼻抜けは乳酸系の若いフレーバー、余韻は軽くスパイシーで無糖ココアのようなほろ苦さと少し粉っぽさを感じた後で長く残る。
少量加水すると乳酸系のフレーバーが収まり、甘みが出て全体的にバランスが良くなる。またピートフレーバーが余韻にかけて存在感を増す。


スプリングバンクと比べると大きく知名度が落ちるものの、キャンベルタウンに残る2蒸留所のうちの1つ。
オフィシャルボトルはこれまでもリリースされていましたが、今回新しいオーナーの下でラインナップを一新して3種類のボトルをリリース。中でも価格的にハイグレードに位置づけられるのがビクトリアーナです。

新生グレンスコシアにはNAのダブルカスク、15年、ビクトリアーナの3種類がありますが、カスクストレングスはビクトリアーナのみ。飲んでみると若い原酒の影響は多少あるものの、加水すると複雑さも出てきて中々楽しめる味わいになっています。というか、このボトルはストレートより加水のほうが良いですね。

他のボトルを飲んでいないのでなんとも言えない部分はありますが、このビクトリアーナについては長熟原酒に加えて若いフレーバーも混じる、幅広い原酒のバッティングであるように感じます。
この香味を良しとするかどうかは飲み手の好み次第といえますが、独特の麦芽風味、フィニッシュに使用した樽由来かチャーオーク香に加えてスパイスの香味、ボトル単体で際立った個性が感じられるため一度は飲まれても良いかもしれません。

ブラックプリンス 12年 1980年代流通

カテゴリ:

BLACK PRINCE 
Aged 12 Years 
1980’s 
43% 750ml 
構成原酒:グレンスコシアなど?

グラス:SK2など
量:個人所有
場所:自宅
時期:開封後2ヶ月程度
評価:★★★★(4)

香り:ハーブのような薬品香、乾いたコーンの軽やかな穀物香、バニラを思わせる甘み、徐々にビターでほのかにレーズンの酸味。
基本的にはライトなグレーンの香りが主体だが、麦感にリキュールを思わせる不思議なアロマもある。

味:ライトな口当たり。香り同様に穀物由来の風味と乾いた干し藁のような植物感。バニラ、サトウキビ、ウェハース。
余韻はシュガーシロップの甘さとほろ苦い麦芽風味、微かなピート。
古酒っぽい風味はあるが、オールドラヴァーの間でも好みは分かれそう。

なんともセンスというかやる気の無いロゴが特徴のブレンデッドスコッチウイスキー。
などと言うと本ボトルの由来である、英仏100年戦争における英国側の英雄、"黒太子(ブラックプリンス)"ことエドワード王子のファン並びに現地の方々に痛い視線を頂きそうですが、ここは極東の島国ですので安心してこのボトルを評価しようと思います。
エドワード王子は、かのジャンヌダルクと対を成す歴史上の登場人物でもあるのですが、自分の美的センスでは、どう見てもこのラベルから英雄と呼べるオーラを感じることはできないんですよね、これが価値観の相違というヤツなんでしょうか。
では中身はというと、グレーン感の強い味わいで1980年代の零細企業チックなブレンド。
グレーンやカナディアン等が好みな方は琴線に触れるかもしれませんが、これまた価値観の相違というヤツで自分はちょっと苦しいです。

ブラックプリンスは1988年(1990年代?)にバーンスチュワート社が商標を買収、それまではグレンスコシアがキーモルトだったようですが、その後ディーンストンやトバモリー等も加わって原酒の安定供給がされるようになったそうです。
当時の洋酒辞典などを開くと、球体のジャグボトル等と合わせてラインナップが掲載されています。
銘柄としてはその前からリリースされており、本ボトルは1980年代後期の流通品、リリース元はバーンスチュワート社とは異なるメーカーとなっています。(流通時期によってはバーコードのあるラベルも見られます。)

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