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マッカラングランレゼルバ
MACALLAN
GRAN RESERVA
Aged 12 years
2008's
700ml 45.6%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:リッチでスパイシー、刺激は注ぎたてで強く感じられるものの、徐々にチョコレートやレーズンの濃い甘い香り、微かにハーブを伴う香木のウッディネス。シェリー樽由来の濃厚なニュアンスが開いてくる。

味:ピリッとした刺激を感じるが、その後はまろやかで甘くコクのある濃厚な味わい。ダークチョコレート、ドライプルーン、微かにクランベリーの酸味、スパニッシュオークらしい香木のアロマが鼻腔に届く。カカオや焦げたサツマイモの皮を思わせるウッディな苦味、タンニンが後半から余韻にかけて感じられ、ドライで長いフィニッシュ。

スパニッシュオークの旨いシェリー系ウイスキー。現行マッカラン12年の理想形の一つとも言える味わい。
多少力技というか樽感でカバーした故の甘みのしつこさはあるが、今のシェリー樽熟成のウイスキーのレベル(特にマッカラン)を考えれば、良心的かつクオリティ高いボトルであった。 是非ストレートで。
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良いヤツほど短命、あるいは「アイツ、いいヤツだったよな」なんていうドラマのお約束を見るようなリリースが、マッカラン・グランレゼルバ12年です。
元々年度毎の本数限定リリースだったということもあり、2007年から2009年まで、僅か3年間のリリースで展開を終えてしまいました。
(※リリース年度の違いは、2007はラベルにそのシールが貼られており、2008はサントリー㈱取り扱い、2009はサントリー酒類取り扱いで見分けられます。)

マッカランにとって、いや、その愛好家にとってグランレゼルバは特別なリリースです。
1997年、このグランレゼルバを冠した18年がリリースされたものの、同18年は1997年から2000年まで、12年同様に僅か4年で終売となっていました。
その理由はグランレゼルバを名乗るに相応しい良質な原酒が確保できなかったため、ということですが、当時の状況を考えると純粋に売れ行きも・・・と言う説があったりなかったり。
ただ、味は確かであり、特別感のあるブランド名も手伝って、現在の市場価格はとんでもないことになっています。

そうした背景があるためか、このグランレゼルバ12年、リリース当時は"グランレゼルバ"を名乗るなんて「おこがましい」と言わんばかりの厳しい声まであったことを覚えています。
一方で、最近のマッカランにしては頑張ったじゃん、という評価の声もありました。
2007年は、シェリーオーク12年(オフィシャル通常品)が丸瓶から肩張りの現行デザインにシフトし、味が落ちたと悲観される中のこと。もっともグランレゼルバ12年の価格は、当時のオフィシャル18年と大差なかったわけで、当然そうした声があったことも。つまりは賛否両論だったわけです。

改めて飲むと、スパニッシュオークの香木のニュアンスを纏う濃厚なシェリー感が特徴。現行品のマッカラン12年を構成する原酒のトップ、特にそうした要素の強いものを集めたのではないかと感じます。
業界の中でも早くからシーズニングシェリー樽のシステム確立に動いてきた同社だけに、近年マッカランが目指す、あるいは現行品で作りたかった姿なのではないでしょうか。

皮肉なことに、今のウイスキー市場で、高く評価されているフレーバーの一つが、がこの手のスパニッシュシェリー樽熟成ウイスキーのそれであり。。。もし今この瞬間、マッカラン・グランレゼルバ12年が発売されていたら、マッカランの本気として評価されていたかもしれません。
グラスを傾けるたび「こいつ、いいヤツだったな」と思うのです。