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コンパスボックス フレイミングハート 6thリリース 48.9%

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COMPASS BOX 
FLAMING HEART 
BLENDED MALT SCOTCH WHISKY  
LIMITED EDITION 6th 
700ml 48.9% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封直後
場所:BAR Main Malt
暫定評価:★★★★★★(6ー7)

香り:しっかりとスモーキーで、角のとれた酸とアイラ要素を伴うピート香。蜂蜜レモンやグレープフルーツ、奥にはローストした麦芽や焦げた木材。熟成を感じる膨らみのある香り立ち。

味:粘性とコクのある口当たり。しっかりとピーティーだが、奥には洋梨のピューレやワクシーな麦芽風味、オレンジママレードを思わせる甘味と柑橘感も伴う厚みのあるフレーバー。
余韻はスモーキーでほろ苦く、適度にオーキーなウッディネスを伴いつつ長く続く。

アイラモルトのなかに内陸っぽいモルティーさ。上手く融合してひとつの香味のベクトルを作っている。パッと見は熟成したアイラだが、時間経過でワクシーなニュアンス、加水するとピートが弱まりハイランドモルトを思わせるいくつかのキャラクターが表面に出てくる。そのままで充分バランスの良いブレンデッドモルトであり、ストレートで楽しみたい。

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ウイスキーは”アート”であると、時に今までにない手法も取り入れ、最高のブレンド作りを志すコンパスボックス・ウイスキー社。
不定期にリリースされるブランドのひとつが、フレイミングハートです。

満足の行く原酒が揃ったか、あるいは納得のブレンドが出来た時のみリリースされるという位置付けなのでしょうか。前回の5thリリースも良い出来でしたが、昨年発表された6thも負けず劣らず良い出来です。
その印象を一言で言えば、熟成したアードベッグっぽさのあるカリラ。おっ、新しいの出たのかと、ブレンド比率もわからず注文しましたが、コクのあるボディにしゃきっと尖ったピーティーさが程好く馴染んで、レベルの高いブレンデッドモルトに仕上がっています。

原酒構成と比率はカリラ39%、クライヌリッシュ17%、ディーンストン29%・・・と言うざっくりした情報が日本の主な酒販サイトで公開されていますが、詳細なレシピは以下の模様。

・カリラ19年 39.5%
・ディーンストン15年 28.7%
・クライヌリッシュ15年 10.9%
・クライヌリッシュ23年 5.7%
・ハイランドブレンデッドモルト9年 7.7%※
・ハイランドブレンデッドモルト10年 7.5%※※

※ブレンデッドモルト9年内訳:クライヌリッシュ60%、ダルユーイン20%、ティーニニック20%
※※ブレンデッドモルト10年内訳:グレンオード、ベンリネス、アルターベーンが含まれている。比率不明。

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(海外ウイスキー情報サイトより引用。各原酒のキャラクターと、使われた樽等の情報はこの図を参照のこと。比率の表記は多少ざっくりめ。)

前作、フレイミングハート5thでは30年熟成のカリラを60%以上使っていて、もうほぼカリラじゃないかという味でしたが、今回カリラは全体の約40%。比率が下がったということもあってか、前作よりもブレンデッドモルトっぽさは感じやすくなったように思います。
しかしピーティーかつアイラ要素は全面に感じる仕上がりであり、ブレンドモルトの若さは目立たない。むしろクライヌリッシュとディーンストンのワクシーでフルーティーな原酒が、上手く全体をボリュームアップさせている。
クリアなカリラというより、どちらかと言えば15~20年程度熟成させたアードベッグやラガヴーリンベースのキャラクターにも近いと感じました。

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(フレイミングハート5thエディション。コンパスボックス・ウイスキー社の15周年を記念してリリースされた。3年前のリリースだが、今考えると非常に贅沢な原酒構成で味も文句なし。)

細かいことを言えば、モルト100%なのと色々な樽が使われているのもあって、各フレーバーの繋ぎ部分で若干の粗さを感じるところもあります。
ですが、主に感じられる樽の要素はリフィルのアメリカンオークホグスヘッドやバレルのそれ。過度に主張しすぎない樽香が酒質由来の香味を引き立てており、逆に言えば一体感がありつつも、それぞれの個性を拾うことが出来るバランスであると言えます。

これは確かにアート、作り手の高い技術のうえに成り立つ作品です。
ごちゃごちゃしていると感じる飲み手もいれば、自分のように厚みがあって個性を楽しめると感じる飲み手もいると思います。
一方、近年のアイラモルトのリリースは短熟や若い原酒主体のNASが増えているなかで、ミドルエイジ以上のアイラシングルモルトを擬似的に再現しているようなブレンデッドであることや、価格も押さえられているのが嬉しいところ。
この熟成感のピーテッドアイラモルトは、今やオフィシャルでもボトラーズでも12~13kじゃ買えません。。。

フレイミングハート以外では、昨年リリースされたアードベッグ主体のノーネームも良かったですし、コンパスボックス社の上位ブランドは軸となる原酒の個性を伸ばして奥行きも備えさせるような、ブレンドとしての分かりやすさがありつつレベルが高いのが特徴。ウイスキーはとにかく味が一番という趣向の方にはオススメの1本です。

ブローラ 37年 1977-2015 リミテッドエディション 14th 50.4%

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BRORA 
LIMITED EDITION 
Aged 37 years 
Distilled 1977 
Bottled 2015 
One of only 2976 bottling 
700ml 50.4% 

グラス:木村硝子テイスティング
時期:開封後1年程度
評価:★★★★★★★(7)

香り:熟したグレープフルーツや蜂蜜レモン、ドライで綺麗なプレーン系のオーク香に加え、塩素、腐葉土や魚粉っぽさを伴うブローラらしい癖のあるピート香も感じられる。

味:ややオイリーで粘性のある口当たりだが合わせてウッディでドライ。甘酸っぱいグレープフルーツに、麦感は粥のような甘味、白粉っぽさ。そして香り同様の癖を感じるピートフレーバーが渾然となって感じられる。
余韻はドライでビター、リフィル系の樽と焦げ感のあるピート由来の苦味が、若干の魚粉っぽさを伴いつつ、収斂するようにまとまり、最後はジンジンと舌を刺激するウッディネスが長く続く。

ディアジオのリミテッドらしい綺麗な造りだが、少々樽由来のドライさ、ウッディネスが香味とも主張が強い。口開けはもっと強かっただろう。他方で度数もあるため、奥から柑橘系の果実味や、しっかりと特徴的なフレーバーが広がる。このあたりは1970年代のブローラと言える香味である。
少量加水すると、ピートが穏やかになりバニラやおしろいっぽさ、酒質の軸にある香味が主体になるが、個人的にはピートが主張するストレートを推奨したい。


近年の販売価格を見ると、貴金属でも溶け込んでいるんじゃないか、と思ってしまうブローラのリリース。ですが、それは同蒸留所のレアリティが認められてのこと。
これまでの更新で、ブローラ誕生の経緯や香味の変移については度々触れてきていますので、今日の更新では視点を変えて経緯を考察し、そして再稼働に向けた近況にも触れつつまとめていきます。

元々、ブローラは旧クライヌリッシュ時代を含めると、1819年創業という非常に長い歴史がありますが、ピーティーで野性味ある味わいの原酒をブローラとするなら、それは1969年から、主に1970年代のわずか10年という、短い期間しか作られていません。
ブローラは、1960年代にDCL傘下の各蒸留所が設備の切り替えや大規模な増設工事を行った際、旧クライヌリッシュ蒸留所では老朽化に伴って新しい蒸留所をまるっと建設していたことから、需要がある間だけ手の空いた古い設備を使ってブレンド用のピーテッドモルトを代替する目的で原酒を仕込んでいたというものです。
(時系列等の詳細は、こちらの記事でまとめています。※ブローラ1975 プロヴェナンス

こうして作られた原酒は、もし70年代以降もスコッチウイスキーの需要が増え続けていたなら、ブレンド用に消費されてしまったとも考えられますが、1980年代にウイスキー冬の時代が到来したことで原酒が過剰となり、蒸留所は閉鎖するものの急激な消費を免れた。
あるいは、1970年代のDCL傘下にアードベッグあたりがあったら、ブローラは作られなかったかもしれません。仮に稼働していても、1980年代閉鎖間際のような、ピートも個性も穏やかで、”野生の山猫”ではない”飼い猫”のような原酒を作っていた可能性もあります。
そう考えると、ブローラという存在は、いくつかの偶然があって現在に存在しているとも言えます。

そして1990年代から2000年代、シングルモルトに追い風が吹いてきたことを受けて、UD社が現在のスペシャルリリースにあたる、リミテッドリリースなどで、シングルモルトのブランド価値向上を図り始めます。
2003年に発売されたファーストリリースのブローラの日本流通価格が2万円程度。昨年のスペシャルリリースまでで全16作、最終的には20万円という価格にまで到達したのは、偶然のエピソードを長年の地道な営業努力で現在の地位に繋げた、販売戦略として見るべきところの多い事例ではないかとも思うのです。(飲み手としては、たまったものではありませんが・・・(汗)。)

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さて、ブローラといえば、ポートエレンと共に再稼働に向けて動き出したニュースは周知のことと思います。
ポートエレンについては、敷地の一部が倉庫として使われているなど、設備の整備を行う前に”現在の利用者”と調整をしている最中で、まだ時間がかかるという話も聞いていました。しかしブローラはそうした調整が少なかったのか、本格的に整備と工事が進んでいる模様。アイラフェス前に現地を訪問していいた Bar Rosebankのマスターから、最新の写真(上)をお借りしました

Google Map(写真下)で見ることができるほぼ同じアングルのストリートビュー画像と比較すると、かなり大規模に工事しているのが伺える1ショットです。
考えてみれば、元々古かった設備に加え、閉鎖してから35年も経ってるわけですから、総入れ換えくらいの工事は必要ですよね。また、敷地も拡張していることと、キルン塔が取り壊されずに移動していますが、これは新蒸留所で再活用するということなのかもしれません。

クライヌリッシュ蒸留所はブローラ時代も含めると今年で200周年を迎えます。バイセンテナリーボトルは20年熟成品で、すでに蒸留所ビジターセンターでも完売というほどの人気だとか。
新生ブローラの足音を聞くことができた現地の写真と、タイミングよく飲むことが出来たブローラの味わい。気持ちよく酔わせてもらいました。


クライヌリッシュ 蒸留所限定 2018年詰め 48%

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CLYNELISH 
DISTILLERY EXCLUSIVE BOTTLING 
Cask type Ex-Bourbon 
2018's 
700ml 48% 

グラス:
場所:BAR Fingal
時期:不明
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:オーキーで華やか、合わせてワクシーさのしっかりある香り立ち。バニラやおしろいの甘いアロマ、すりおろし林檎、微かに黄色い柑橘のアクセント。

味:香り同様にオーキー、オイリーな口当たりから麦感厚く、骨格がしっかりしていてアタックもほどよい、口内をホワイトペッパーが刺激する。
余韻にかけてグレープフルーツなどの柑橘のニュアンス、ウッディでほどよくドライ、長く続く。

蒸留所の特徴がしっかり出たウイスキー。加水だが適度に酒質のパワーが残っており、それがアメリカンオークの樽感と合わさって素直に旨いモルト。バーボン樽との相性が良いのだろう。蒸留所限定品としての特別感もある。


クライヌリッシュ蒸留所で販売されている限定品。以前は同じバーボン樽熟成で57.3%のカスクストレングス仕様でしたが、2018年頃に加水仕様へリニューアルしたようです。
加水に変更されたことで少々残念な印象を持つかもしれませんが、加水は加水で良さがあります。

熟成年数はオフィシャル現行品の14年と同じくらいだと感じますが、完成度の高さは現行品と比べて頭一つ抜けている。樽がバーボン樽で構成されていることが、酒質と馴染みの良いフルーティーさに繋がっているだけでなく、酒質由来の香味も分かりやすい構成です。
そして加水されていることで、それらがまとまり、全体的なレベルの高さに繋がっているものと感じます。

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中身以外でもう一つ変更されたのが、ラベルデザイン。
以前のカスクストレングス仕様はオフシャル14年に近いものでしたが、写真のようにラベル下部に山猫のイラストが大きく書かれています。
クライヌリッシュと言えば山猫。元々野生のものではあるのですが、ラベルのそれを拡大すると結構リアルな感じだったんですね。
このイラスト、なんだか威嚇されているような・・・(笑)。

ただし威嚇されてはいるものの、頭を撫でたら以外とフレンドリーだった。そんな味わい。スコットランドに行く人がいるなら、お土産に買って損のないボトルだと思います。

クライヌリッシュ 20年 1997-2018 BARレモンハート 46%

カテゴリ:
clynelish-lemonheart
CLYNELISH 
KINGSBURY 
For BAR LEMON HEART 
Aged 20 years 
Distilled 1997 
Bottled 2018 
Cask type Hogshead 
700ml 46%

グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR LIVET
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:華やかなオーク香、ワクシーかつおしろいを思わせる麦芽香。すりおろしたリンゴや洋梨を思わせる品の良いフルーティーさを伴う。

味:香り同様の構成。しっかりとした口当たりから、おしろい系の麦感と洋梨のピューレのようなフルーティーさ。微かに柑橘やアプリコット。余韻にかけてしっかりとパンチがある。フィニッシュはドライなウッディネス、華やかだがやや荒いオーキーさを伴って長く続く。

王道的なクライヌリッシュと言える個性を楽しめるリリース。加水だが、虚勢されているわけではなく、樽と酒質にはほどよい強さが残されている。


ウイスキー好きなら、あるいはお酒好きなら一度は見たことがあるであろう、漫画「BAR レモンハート」。最近はドラマも放送されていたため、より知名度が上がっているのではないでしょうか。

レモンハートは架空のBARですが、嘘から出た誠と言いますか、実際に東京・大泉学園前にBARレモンハートを作者・古谷さんが開業しただけでなく、昨年は酒販店も別途オープン。連載初期の頃に掲載されたものなど、終売などで入手が難しいものはさておき、漫画で知ったお酒を飲み、購入するという興味深いモデルが作り出されています。

今回のクライヌリッシュは、その酒屋レモンハートのオープンを記念して80本限定でボトリングされたものです。
ウイスキーではなくワインっぽいですが、ウェアハウスでテイスティングしているマスターの姿が、知ってる人には「おっ」と思わせるラベル。
中身のチョイスも一般に有名どころなウイスキーではなく、モルトラヴァーにファンの多いちょっとコアな銘柄代表とも言える、クライヌリッシュなのが惹かれますね。

それがまたテイスティングの通り、クライヌリッシュの王道的な味わいなのもポイントです。
ワクシーで、バニラや洋梨、あるいはおしろいのような甘い香りに、日本人に馴染みがあるところだと、お粥のようなとろりとした麦系のフレーバー。ここにオーク由来の華やかさとフルーティーさがマッチする。
リフィルシェリータイプの樽だと、酸味が強かったり多少くどくなる傾向もあるため、こういうのが良い塩梅だよなと。じっくり楽しませてもらいました。

クライヌリッシュ ブティックウイスキー 50.6% Batch No,2

カテゴリ:
CLYNELISH
BOUTIQUE-Y WHISKY 
Batch No,2
Release in 2013
500ml 50.6%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:ブラインドサンプル@Wennyさん
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

【ブラインド サンプルB】
地域:ハイランド
銘柄:ベンネヴィス
年数:20年程度
流通時期:2010年代
度数:48〜50%
樽:バーボンホグスヘッド
仕様:シングルカスク

香り:干草や乾いた麦芽のドライなアロマから、乳酸系の酸味、キウイフルーツや人工的なパッション香、時間経過でおしろいを思わせる甘みも感じられる。

味:少し水っぽさのある口当たり、バニラ味の風邪薬シロップ、おしろい、オーキーで黄色い果実味。後半にかけてヒリヒリとした刺激、ケミカルな甘みも伴う。
余韻はドライでほろ苦く、乾いたウッディネス。オーキーな華やかさの残滓を伴い長く続く。

ハイランド系の酒質と熟成感。人工的なニュアンスのあるフルーティーさとおしろいを思わせる麦感は、度数落ちホグスのベンネヴィスだろうか。同系統のフレーバーを出すものとしてはアイリッシュにしては麦系の香味が厚く、ロッホローモンドにしては熟成が長い印象。


リカーショップ、マスターオブモルトがリリースする、ブティックウイスキーカンパニーブランドのクライヌリッシュ。スペックの詳細は明かされていないものの、度数、樽、熟成年数、流通時期などの諸条件は、そこまで大きく外してはいないと思います。蒸留は90年代前半で、ボトリング本数から、樽はホグスヘッドでしょう。

しかしいただけないのが、蒸留所に結びつく特徴の捉え方。今回は白粉っぽい厚めな麦芽風味以外に、人工的なニュアンスのある甘み、リキュールやシロップのような果実味を強く拾ってしまい、こりゃ多少麦感もある90年代の前半から中頃くらいのベンネヴィスかなと。結果は大外し、麦系が強いクライヌリッシュだったワケです。
地域指定ハイランドと言えば予想は近いようですが、正直猛省ですね。

正解発表の後で改めて飲んでみると、ああ、これはクライヌリッシュだよというワクシーで白粉っぽい麦感の方が強く感じます。こんなにわかりやすいキャラクターだったのに、ピントが合わないとこうもズレる。
これが情報を飲むということであり、どこにフォーカス出来るかというブラインドの難しさ。まだまだだぞと良い刺激を頂いた出題でした。ありがとうございます!

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