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GILBEY'S
LONDON DRY GIN
1960-1970's
1Quart 90Proof

シトラスを思わせる柑橘感と、タイムやコリアンダーなど針葉樹系の植物を思わせる、ハーブの爽やかなアロマが溶け込んでいる。ただし前面にはスーパー銭湯の脱衣所に置いてある安価なヘアトニックのようなニュアンスがあり、独特な香り立ちを構成している。
口当たりはオールドジンらしくとろりと柔らかく、柑橘の皮や穀物系のほろ苦さに加え、淡いソーピーさ。余韻は程よくドライ。
このソーピーさは、ソーダで割るとより主張してくる。ジントニックではあまり気にならなくなるが・・・香りで感じたヘアトニック感は健在で、まさに好みが分かれる個性的なジン。

(ボトルのオモテ面はフロスト加工がされているが、裏はクリア。ラベルには裏面にも印刷されている、現行品にはないちょっと凝ったデザイン。)

先日紹介したゴードンドライジンの比較用に、同時期流通のジンで購入したもの。
現行品はライトな香味で混ぜやすいというか、良く言えば癖が少なく、厳しく言えば香味が薄くただドライ。居酒屋チェーンなどでは使いやすいのかな?という、大量生産品の代表格であるようなジンですが、そうは言っても有名どころのオールドなら間違いないっしょ!
。。。そう考えていた時期が私にもありました。

ギルビーの誕生は1800年代とか、そういう話はメーカーサイトを参照頂くとして、今回のメインはその味わいです。
いや、衝撃でしたね。香りが"ヘアトニックそのもの"のようであるのも、製品の個性というには強烈で好みが分かれる部分ですが、よもやジンからソーピーなパフューム香が出るとは思いませんでした。
「今も昔も変わらないレシピ」ってのはメーカーの決まり文句ですが、いやいや流石にこれは味が違いすぎです(笑)。

ボタニカル由来なのか、ベースに使うスピリッツ由来なのか、あるいは経年変化によるものなのか。
経年変化というには香味に篭った感じはなく、何よりも鹸化反応に繋がる要素は連続式蒸留じゃ残りづらいだろうということで、おそらくは製造過程の何かが原因なのではと思います。
思えばバーボンも一時期のオールドグランダットでそう言うのがありましたし、連続式には連続式で、単式とは異なる地雷要素があるのかもしれません。
(このボトルは絶対飲みきれないので、興味を持たれていたウイスキー仲間のバーマンに寄贈しました。)


ちなみに、近年のギルビージンは製造場所がロンドンからフィリピン、そして韓国に変わったことで、味が落ちたとする評価を見聞きします。
確かに、味が変わったのは事実なのだと思います。ただ、日本酒やワインのような、気候の影響をダイレクトに受ける醸造酒なら兎も角、熟成させない蒸留酒で産地の影響は微々たるもの。つまり、逆に言えばロンドン(あるいはイギリス)だから必ずしも美味い訳じゃないと思うんですよね。

実際は近年のリキュールやスピリッツ類に多く見られる、混ぜやすいように香味のライト化とドライ化が、ギルビーは工場の移行と合わせて一気の進んだ結果なのではないかなと。
擁護する訳でも、否定する訳でもないですが、日本でもさまざまに美味しいジンが生まれている中で、ロンドン神話的なモノが気になったので補足してみました。