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ギルビー ロンドンドライジン 1980年代 日本流通品 45%

カテゴリ:
GILBEY'S
LONDON DRY GIN
1970-1980's
Distilled from Grain & Bottled by NIKKA WHISKY
760ml 45%

グラス:スピリッツテイスティング
場所:自宅
時期:開封後1ヶ月程度
評価:-

ジェルやトニックなどの整髪料系のニュアンスを含むシトラスなどの柑橘香。ビターかつ爽やかではあるが、どこか安っぽさ、人工的なニュアンスを伴う。
含み香は柑橘の皮を思わせるフレッシュさと苦味、香りにある人工的なニュアンス。合わせてほのかな粘性があり舌に絡まるが、フィニッシュにかけてはドライでスパイシー。キレのよさも感じられる。

ロック、ジントニック共に該当する整髪料系のフレーバーは残る。甘口タイプのトニックウォーターだとそれが悪目立ちするが、ビターなタイプのトニックウォーターと合わせるとキレよく飲み進められる。少しソーダを加えてもいい。


先日、ジンなのにパフュってやがるという衝撃の味わいを堪能?させてくれたギルビージンのオールドボトル。
しかし記事に頂いたコメントから調べてみると、期間は不明ながら当時のギルビー社は主要な消費地に技術提携という形で生産方法(ボタニカルなどのレシピ)を伝え、該当する地域のものは該当する地域の提携企業が生産・流通させていたことが判明。つまり作り手が地域によって異なることがわかりました。

コカコーラ社が、世界各地にボトリング会社をもっているようなものですね。
ジンはビールなどの醸造酒のように鮮度命というわけではありませんが、当時の物流を考えれば、かさばるガラスのボトルをイギリスなどから輸出するより、レシピを伝えて現地でつくってもらったほうが安価でリスクも少ないという考えだったのではないかと思います。


ここで先日入手したギルビー・ジンのアメリカ向けボトルを見てみると、ラベル下部分にはNational Distillery社の表記。ここはオールドグランダッドなどのバーボンを手がけていた企業で、一方日本では1963年9月にニッカウイスキーが提携しており、生産者が異なっています。

飲み比べてみると、ジェルやトニックなどの整髪料を思わせるシトラス系の人工的な香りは共通するところですが、アメリカ向けのほうに感じられる例のフレーバーが日本向けにはありません。
Distilled from Grain & bottled の表記の通り、ボタニカルのレシピは同じでも、ベースに使ったグレーンスピリッツの違いということなのでしょう。ールド グランダッドはかつてバーボンでありながらパフューミーな香味があり、そもそもの原因は不明ながら今回の違いは得心がいく整理が出来ました。


なお、今回のボトルは上記きっかけとなるコメントを頂いたサトウさんが、比較してほしいと贈ってくださったものです。
実は問題のアメリカ向けボトルと合わせて日本向けも入手していたのですが、某S社が輸送中に破損。。。
情報だけでなく貴重なボトルまで頂き、ブロガー冥利に尽きる、大変光栄な経験をさせて頂きました。
この場で改めてお礼申し上げます。

ギルビー ロンドン ドライ ジン 1960年代流通 90Proof

カテゴリ:

GILBEY'S
LONDON DRY GIN
1960-1970's
1Quart 90Proof

シトラスを思わせる柑橘感と、タイムやコリアンダーなど針葉樹系の植物を思わせる、ハーブの爽やかなアロマが溶け込んでいる。ただし前面にはスーパー銭湯の脱衣所に置いてある安価なヘアトニックのようなニュアンスがあり、独特な香り立ちを構成している。
口当たりはオールドジンらしくとろりと柔らかく、柑橘の皮や穀物系のほろ苦さに加え、淡いソーピーさ。余韻は程よくドライ。
このソーピーさは、ソーダで割るとより主張してくる。ジントニックではあまり気にならなくなるが・・・香りで感じたヘアトニック感は健在で、まさに好みが分かれる個性的なジン。

(ボトルのオモテ面はフロスト加工がされているが、裏はクリア。ラベルには裏面にも印刷されている、現行品にはないちょっと凝ったデザイン。)

先日紹介したゴードンドライジンの比較用に、同時期流通のジンで購入したもの。
現行品はライトな香味で混ぜやすいというか、良く言えば癖が少なく、厳しく言えば香味が薄くただドライ。居酒屋チェーンなどでは使いやすいのかな?という、大量生産品の代表格であるようなジンですが、そうは言っても有名どころのオールドなら間違いないっしょ!
。。。そう考えていた時期が私にもありました。

ギルビーの誕生は1800年代とか、そういう話はメーカーサイトを参照頂くとして、今回のメインはその味わいです。
いや、衝撃でしたね。香りが"ヘアトニックそのもの"のようであるのも、製品の個性というには強烈で好みが分かれる部分ですが、よもやジンからソーピーなパフューム香が出るとは思いませんでした。
「今も昔も変わらないレシピ」ってのはメーカーの決まり文句ですが、いやいや流石にこれは味が違いすぎです(笑)。

ボタニカル由来なのか、ベースに使うスピリッツ由来なのか、あるいは経年変化によるものなのか。
経年変化というには香味に篭った感じはなく、何よりも鹸化反応に繋がる要素は連続式蒸留じゃ残りづらいだろうということで、おそらくは製造過程の何かが原因なのではと思います。
思えばバーボンも一時期のオールドグランダットでそう言うのがありましたし、連続式には連続式で、単式とは異なる地雷要素があるのかもしれません。
(このボトルは絶対飲みきれないので、興味を持たれていたウイスキー仲間のバーマンに寄贈しました。)


ちなみに、近年のギルビージンは製造場所がロンドンからフィリピン、そして韓国に変わったことで、味が落ちたとする評価を見聞きします。
確かに、味が変わったのは事実なのだと思います。ただ、日本酒やワインのような、気候の影響をダイレクトに受ける醸造酒なら兎も角、熟成させない蒸留酒で産地の影響は微々たるもの。つまり、逆に言えばロンドン(あるいはイギリス)だから必ずしも美味い訳じゃないと思うんですよね。

実際は近年のリキュールやスピリッツ類に多く見られる、混ぜやすいように香味のライト化とドライ化が、ギルビーは工場の移行と合わせて一気の進んだ結果なのではないかなと。
擁護する訳でも、否定する訳でもないですが、日本でもさまざまに美味しいジンが生まれている中で、ロンドン神話的なモノが気になったので補足してみました。

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