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キングスランサム 12年 1980年代流通 ラウンドザワールド

カテゴリ:
KING'S RANSOM
DeLuxe Scotch Whisky
Aged 12 Years
"ROUND THE WORLD"
1980's
43% 750ml

グラス:グレンケアン
量:ハーフショット
場所:BAR飲み(RASEN)
時期:約5年前
評価:☆☆☆☆☆
※だいぶ弱っており評価をする状況にない。

香り:くすんだような麦芽香、ミルクキャラメルの甘みとほのかにオレンジピール。スワリングするとソーピーなパフュームが柔らかく立ち上がってくる。

味:エドラダワーらしいクリーミーな口当たりから揮発するようなソーピーさが鼻まで抜ける。こなれた麦芽、ママレード、微かにみたらしを思わせるヒネ香。後半はほろ苦い麦芽風味と淡いパフューム。

伝説?はたまた幻?とブレンデッドウイスキーの中でもちょっとした話題性があるのがキングスランサムです。
おおよそ大それた名前であることの多いブレンデッドウイスキーの中でも、「王様の身代金」という大層な名前に加え、マリッジの際に帆船で世界を一周させたというこだわりの製法、さらにはポツダム会談の会食で使われたという歴史的な背景、そこに流通量の少なさが加わって、名前は知っているけれど飲んだことは無いというケースが多いウイスキーの一つになっているわけです。
漫画レモンハートでもマスターが「これだけは持ってないんです」とポップアップだけでボトル紹介を済ませてしまったことも、一役買っているように思います。

今回のボトルはその漫画レモンハートで書かれていた、1980年代流通のキングスランサム。
ハウスオブローズを記事にした際にも書きましたが、この後1990年代に入ると親会社の原酒使用方針の変更によって終売となり、現在は販売していない銘柄となります。
ただしキングスランサムを作ったウィリアムホワイトリーがこだわったという、帆船による世界一周マリッジは既に行われなくなっており、原酒の一部に当時のものが使われているというレベル。中身はほとんどハウスオブローズと変わらない状況だったと言えます。
(そのためか、ROUND THE WORLD表記も随分目立たなくなってしまって・・・ボトルは非常にかっこいいんですが。)

前置きが長くなってしまいましたが、今回のボトル、構成原酒はハウスオブローズ同様にほぼエドラダワーと言われており、蒸留時期的には1970年代のエドラダワーということで、当然ソーピーなパフューム香が強く感じられます。
このボトルは開封したのが5年前、経緯については説明を省略しますが、開封時に自分も飲んでおり、その後何度か飲んで、先日まだ残っていたのかということでテイスティングしてみました。
口開け当時からカラメル系の甘みとソーピーなフレーバーが特徴だったところ、開封後変化で甘味が弱くなった結果かソーピーさが序盤から広がるように出てきて、鼻腔まで一気に抜けていきます。余韻は結構弱っていて、名残を拾う程度なレベルになっています。
仮に万全であっても、パフューム系のフレーバーがあるだけに好みが分かれるボトルではありますが、ウイスキーそのものの完成度は低くは無いので、大丈夫な人はそれなりに楽しめるボトルだと思います。

ハウスオブローズ 8年 1980年代流通 ウイスキー特級

カテゴリ:

HOUSE OF LOADS
Deluxe Blended
Aged 8 Years
1980's
43% 750ml
構成原酒:エドラダワーなど

グラス:SK2、創吉テイスティング
量:所有ボトル
場所:自宅
時期:1週間程度
評価:★★★★(4)

香り:微かなヒネ香を伴うブラウンシュガーの甘い香り、麦芽の香ばしさと若い原酒のツンとしたえぐみから、徐々に植物性のクリームのようなクリーミーさと、おしろいやソーピーなアロマが開いてくる。所謂パフューム香。

味:まろやかな口あたり。香り同様の構成だが、中間以降に開いてくるパフューム香はより存在感がある。アルコールは古酒らしくこなれており、麦芽、ザラメ、ほのかにみたらし。
余韻は染み込むようなパフュームと、モルティーな香ばしさ、少しのえぐみ。ゆっくりと消えていく。


スコッチの司祭、ウィリアムホワイトリーが手がけたブレンデッドウイスキー。 化粧品メーカーでも音楽バンドでもありません。
ブレンデッドとは言うものの、実際はほぼエドラダワーのグレーン割りとのこと。一般的なブレンデッドのように複数蒸留所の原酒が使われ、その中からキーモルトとされるいくつかの要素を探すまでもなく、このボトルの場合は飲めばそこに居る、はっきりとエドラダワーの存在を感じられるのが特徴です。 

(ハウスオブローズの裏ラベル。グレンフォレス・グレンリベットはエドラダワーのこと。)

ハウスオブローズは"王様の身代金"で知られる、キングスランサムの兄弟銘柄に当たります。
名前はイギリス国会上院の通称で、数多にあるそうした名称のスコッチとは異なり、本当にイギリス上院御用達(それ以外には身分ある貴族や高級ホテルでしか飲めない)だったという話です。
しかし実際はそういうワケでもなく、単に街の酒屋が置こうとしなかっただけという説もあります。
また、銘柄間の違いとしてはキングスランサムの世界一周マリッジをしていないバージョンという整理だったようですが、キングスランサムのフェードアウトと共にその整理も曖昧になっていきます。
最終的には、90年代にシングルモルトの安定供給を目的に原酒の買い戻しが行われ、終売となりました。

当ブログのキングスランサムに関する記事は以下。

上でも少々触れましたが、このウイスキーの主たる原酒はエドラダワー。今回のボトルの流通時期から逆算すると1980年、あるいは1970年代後半となり、同蒸留所がパフューミーだった時期に該当します。 
ブレンドの構成としては、多少若い原酒のえぐみが感じられますが時間経過で開く印象。味にも奥行きがあり、1980年代後半流通のスタンダードクラスにしては、なかなか高いレベルにあるブレンドです。ラベルは汚れてますが、状態も悪くないです。

他方でどうにもならないのが、パフューミーで当時の個性がバッチリ出ていること。思い返せばパフューミーなブレンドって、キングスランサムとハウスオブローズの70年代から80年代流通くらいで、これはこれでレアとも言えます。
自分がウイスキーにおいて受け付けない3大要素が、キャップ臭、硫黄、そしてパフューム香で、特に最も致命的にダメなものです。今回のボトルも好きな人は★6くらい行くんでしょうけど。。。
じゃあなんで買ったんだって?怖いもの見たさというか、エドラダワーには1980年代後期流通の水彩画ラベルにパフュームのないロットがあり、ひょっとしたらこれもエドラダワーのクリーミーな風味がメインで出てくれるかな〜なんて淡い期待もあったりしたんです。
グラスの中の変化では時間で開く印象もあり、これは自分じゃ持て余すタイプ。その筋の人に飲ませて終わりそうです(笑)。


キングスランサム1960年代流通

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昨日は7月17日、第二次世界大戦におけるポツダム会談が始まった日です。
日本としては負けた戦争の話をネタにせんでもって話ですが、そのポツダム会談の晩餐の場で出されたのがキングスランサム。あまりの旨さに王様の身代金に匹敵すると言われた名前の由来や、日本では漫画レモンハートでの幻のボトルという解説、ラウンド・ザ・ワールドのこだわりの製法等、役の多いボトルだけに興味をもたれているドリンカーも多いと思います。
ポツダム会談当時からは新しい時期の流通になりますが、比較的状態のいいボトルを入手することが出来、じっくり飲み進めています。やはり今日の更新は、このキングスランサムが相応しいでしょう。

KING'S RANSOM
"ROUND THE WORLD"
GLENFORRES GLENLIVET BLEND
1960's
43.2% 750ml
IMG_2987

評価:★★★★★★★(7)

香り:馥郁とした濃く甘い香り。メープルシロップ、プルーン、微かにアーモンド。時間を置くと微かなハーブ、マッカラン系のスムーズなシェリー香。

味:クリーミーな口当たり、でリッチなシェリー感と濃い甘さから、徐々にカラメルのビターさ、麦芽、胡桃。
甘いメイプルシロップの香りが鼻に抜ける。フィニッシュはビター、ウッディーなタンニンが程よく口の中を引き締め長く続く。


まるでマッカランのように濃厚でスムーズな、そして程よいタンニンが染みこむシェリー系のブレンデットウイスキー。
ブレンデットっていうかほぼモルトじゃないかって構成です。実際、先日エドラダワー蒸留所のパフュームが無くなって美味しくなったという記事は書かせていただきましたが、そのクリーミーさを味わって、まず真っ先に思い浮かべたのがこのボトルでした。
キングスランサムは、ウイスキーの司祭と呼ばれた名ブレンダー、ウィリアム・ホワイトリー氏が、そのブレンドの理想のひとつとして作ったもの。原酒は彼が求めたエドラダワーがふんだんに使われているとのことで、同蒸留所の酒質変化の影響をダイレクトに受けている銘柄でもあります。

1950年代、1960年代流通のキングスランサムはクリーミーなエドラダワーの香味。こってりとしたシェリー、カラメルの風味ともマッチしています。しかし1970年代の後期流通、1980年代流通のキングスランサムは見事なパフューミーで、まぁ好きな人は好きなんでしょうけど、自分はちょっと持余します。
少なくとも、愛した姿とベツモノになってしまったエドラダワーを天国からホワイトリー氏はどう見ていたのか・・・。

同氏がエドラダワー蒸留所の買収に成功したのが晩年となる1925年。そこからまず同氏はエドラダワーを使ってハウスオブローズというイギリス上院議会向けのブランドを手がけます。
そしてその後作られたキングスランサムはさらにもうひと手間、ブレンド後のマリッジを世界一周航路の帆船の中で行う”ラウンド・ザ・ワールド”の手法がとられており、氏のこだわりを徹底的に具現化したウイスキーとなっています。
マリッジに使った樽はもちろんシェリー樽。真偽のほどはわかりませんが、常にじめじめとした湿度と、適度な揺れのある帆船の船底は、ウイスキーの貯蔵に最適だったのだとか。
ちなみに船側としてはバラスト代わりに樽を積むのは問題ない話で、世界1周どころかプライベートブランドでは世界を3周したウイスキーもあったそうです。

時期的には同氏のブレンダー人生の集大成でもあったボトル。まだオークション等での購入も可能ですが、BARでも出してくれるところはあるので、気になる方は是非飲んでみてください!
良い仕事してるウイスキーだと思いますよ!

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(キングスランサム1960年代流通の背面ラベル。世界一周航路としてケープタウンを出発して最終的にスコットランドに戻ってきていることが書かれている。)

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