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オールドフォレスター 1990年代流通 43%

カテゴリ:
OLD FORESTER
KENTUCKY STRAIGHT BOURBON WHISKY
1990-2000's
750ml 43%

グラス:グレンケアンテイスティング
場所:BAR エクリプス
時期:不明
暫定評価:★★★★★(4ー5)

香り:溶剤感強く、シンナーのような刺激。革製品のワックス、奥にはバニラやチェリー、黒パンのような穀物感と酸味も感じられる。

味:口当たりはメローだがピリッとしたスパイシーな刺激を合わせて伴う。ホットケーキに薄めたメープル、徐々に革製品やワックスを思わせるクセも感じられる。
余韻はスパイシーで乾燥した植物感と、淡いチャーオーク香、ドライなフィニッシュ。

ドライでスパイシーなバーボン。樽感はそこまで強くない印象であるが、樽材由来なのか、ワックスや溶剤系の癖も目立って感じられる。ボディはそれほど厚くなく、加水すると崩れる。好みが分かれる印象。


ブラウンフォーマン社がリリースするバーボンの代表銘柄の一つ。この当時日本ではサントリーが正規輸入を行なっていたため、比較的見かけることが多いオールドバーボンの一つでもあります。

前回がブラウンフォーマン蒸留所時代のオールドフォレスターでしたので、今日はその流れでアーリータイムズ蒸留所時代の同銘柄のレビューと続けます。
上記蒸留所の違いにかかる詳しい話は昨日の投稿もご覧いただければと思いますが、オールドフォレスターは1980年頃までルイヴィルのブラウンフォーマン蒸留所で製造されていましたが、同時期にアーリータイムズ蒸留所を買収し、1980年代中頃から製造場所が移転されていたという話。
その製造設備によるものなのか、同時期にマッシュビルが変わったのか、樽が変わったのか・・・いずれにせよ蒸留場所移転後の原酒が使われたリリースは、それまでのものと比べて香味構成が変化しているように感じられます。

ご参考:オールドフォレスター ボンデッド 1980年代流通

上記ボンデッド以外に、43%加水で特級時代のオールドフォレスター(旧蒸留所時代)ももちろん飲んだことがあります。
今回のボトルはそれに比べて甘みが控えめ、ドライでスパイシーで・・・また、革製品に使うワックスのような癖があり、好みが分かれるように感じられました。正直、自分は苦手ですね、コレ。

一方同じ蒸留所で作られている同時期のアーリータイムズはそこまでという印象はないのですが、むしろそっちはそっちで香味が薄く、率直に言えば安っぽい印象を持っています。何かで割ったりする分にはいいんでしょうけれど、ストレートだと物足りない。
アーリータイムズのマッシュビルはコーン79%、ライ11%。オールドフォレスターはコーン72%、ライ18%、モルトは共に10%ということで、コーンベースか、ライベースかという違いはそもそもあるのですが、それ以外に改修した蒸留所の癖的なモノか、どうにもそれ以前のリリースに比べてキャラクターの違いが際立っている両者だと感じるのです。

ちなみにこれが現行品だとどうなるか・・・というと、すいません、実は現行品のオールドフォレスターは飲んだことがありません(汗)。
昨年2018年からアーリータイムズではなく、オールドフォレスター蒸留所を新たに建設して蒸留を開始したというニュースもありますので、機会があればこれが切り替わる前に飲んでおこうと思います。

オールドフォレスター ボンデッド 1980年代流通 50%

カテゴリ:
IMG_8825
OLD FORESTER
BONDED
Kentucky Straight Bourbon Whisky
Aged 4 years
1980's
1000ml 50%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR BRACK HEART
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:香り立ちは軽いセメダイン感や柑橘類の酸味から、メープルシロップやバニラ、メローなウッディネス。合わせてポップコーンなどの軽い穀物感、干草、香ばしさも伴う。

味:口当たりはややドライでパンチがあり、そこにメローで芯のある甘み。チェリーのシロップ漬けと薄めたカラメルソース、ウッディでビターなフィニッシュ。香りで感じられた穀物由来の香ばしさと華やかさが混じり合って鼻腔に抜ける。

15年オーバーの長熟のようなねっとりした味わいではないが、樽感は比較的しっかりついてメローでウッディな要素が主体的。そこにハイプルーフらしく酒質部分にはまだ力強さ、刺激が残っており、甘さの中にしっかりとパンチのある味わいでもある。ロックや少量加水で。

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ウイスキー関連企業の中でも、世界的に大きな勢力の一つであるブラウンフォーマン社が、1860年の創業当時にリリースしたバーボン銘柄がオールドフォレスターです。名前の由来はいくつか説があるようですが、有力なのは医者の名前説でしょうか。まあその辺はぐぐって頂くとして・・・。

当時同社は自前の蒸留所を持っておらず、他社から買い付けた原酒で製品を作っていたようです(他社に先駆けて瓶詰めでウイスキーを販売した、というブランドエピソードに該当する時代)。
その後紆余曲折を経て、禁酒法後に自社蒸留所としてブラウンフォーマン蒸留所をルイヴィルに建設。1980年代まで生産を継続した後、今度はアーリータイムズ蒸留所を買収・改築して原酒の生産をシフト。現在は2018年に新設・稼動したオールドフォレスター蒸留所で、将来に向けて蒸留を行っています。

このブラウンウォーマン蒸留所時代と、アーリータイムズ蒸留所時代の見分け方は、日本向け正規品の場合は特級時代であること。並行品や今回ようなボンデッドの場合は、ラベル下部や裏面ラベルに書かれたロットナンバーで判断します。つまり、「DSP KY 414」がブラウンフォーマン時代。「354」と書かれている場合は、アーリータイムズ時代となる整理です。

アーリータイムズの買収時期と、稼動後に原酒が仕上がるまでの期間等を考えると、原酒の切り替わりは1990年ごろだったと推測されます。
そのため該当するナンバーそのものが書かれていない日本正規品でも、特級時代で末期を除けば、蒸留はまずブラウンフォーマン時代だったと考えられます。
一方、1990年ごろに流通した現地向けのボンデッドを見ると、Distiller 354、Bottler 414という表記もあり、ボトリング設備は引き続き旧蒸留所のものが使われている形式だったようです。

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(バーボンには葉巻と肉料理!この日はバーボンに合わせて料理を注文したのではなく、料理に合わせてマスターがバーボンを開栓。程よく焼きあがった牛ヒレ肉に、オールドフォレスターをハーフロックの要領で1:1の濃いソーダ割り。この「ちょいソー」スタイルが抜群に合う)

オールドフォレスターはライ比率が18%と、ハイライ傾向のマッシュビルに加え、また発酵の時間も長いことから、クリアで華やか、フルーティーな酒質をハウススタイルとPRしています。
では上記414時代と354時代、マッシュビルが同じとしてどちらがそれを好ましい傾向に仕上げているかというと、自分は414時代を推します。
酒質だけでなく樽の違いも考えられるため、蒸留所の違いがもたらす要素が必ずしもとは言い難いですが、コクがあってメローかつ華やかな414時代と異なり、354時代のものは溶剤っぽい要素が強く、スパイシーでドライ。。。

該当する刺激はライらしさと言われればそうなのですが、比率の高さが良い方向に作用していないように思うのです。
オールドフォレスターは昨年から銘柄の名を冠する新しい蒸留所での生産を開始していますが、その原酒がリリースされるのは来年以降。果たしてどのような仕上がりになるのでしょうか。

(トリビア:オールドフォレスターは禁酒法時代でも薬品として販売を継続していたウイスキーの一つ。当時は上記のような許可証が、銘柄毎に発行されていたという。)

以下雑談。 
自分が酒屋めぐりをし始めたのが2009年頃。特級時代のシングルモルトは中々出土せず、むしろ1990年代~2000年ごろのオフィシャル・ボトラーズから選んでいくという感じでしたが、バーボンだけは色々と出土していた時代でした。
良く残ってたなという出会いの記憶と、悔やまれる多くの思い出がある中で、自分の実家近くの酒屋に少なくとも6本あったのが、このオールドフォレスターのボンデッド。ええ、勿論スルーしてしまいましたよ。
これは比較的軽症なほうですが、何で買わなかったかなぁ、という気持ちにさせてくれた今回のテイスティングでした。

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