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オールドエズラ 15年 2010年代流通 終売間際 50.5%

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OLD EZRA 
RARE OLD Sippin' Whisky 
15 YEARS OLD 
Kentucky Straight Bourbon Whiskey 
2000-2010's 
750ml 50.5% 

グラス:シュピゲラウ テイスティンググラス
場所:BAR Harry's 高岡
時期:不明
評価:★★★★★★(6)

香り:チャーオークの濃厚なアロマ。ややドライで溶剤系の刺激、干し草、チョコウェハース、焦げたトースト、アーモンド。ドライクランベリーやチェリーを思わせる長熟バーボンらしい赤い果実香も伴う。

味:メローで甘酸っぱい、パワフルな口当たりだがすぐにウッディでビターな苦味、タンニンが支配的になる。樽感強く濃厚だが、甘味を持続させるコクが足りない。
余韻はビターでウッディ、軽いえぐみを伴ってドライ、スパイシーなフィニッシュが長く続く。

微かに赤みがかった濃い色合い。香りは長期熟成バーボンらしい濃厚さと果実味、素晴らしい部分が多いが、味は樽のドライさやエグミなどの要素が混じってしまっている。ただ充分美味しいバーボンであることは間違いない。加水すると多少マイルドにはなるが、ボディが軽くなりすぎてしまう。

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2010年前後で終売になったと思われる、オールドエズラ(エズラブルックス)の最長熟成品。ですが、終売後10年近く経ってなお在庫があるのか、近年も流通が。。。ってこの書き出しは先日も使ったのですが、今回のテイスティングアイテムはまさにその現在も流通している並行品(在庫)なので、これ以外の書き出しはないというか、決して手抜きではないのであります。

さて、オールドエズラの発売時期に加え、1990年以前に関する情報は、以下の時代のレビュー記事とコメントを参考にしていただければ、現在一般に知り得る事が出来る情報はほぼ網羅できると言えます。スコッチに比べ、バーボンの情報はインポーターのやる気か、あるいはアメリカ側の雑さからか、明らかに間違っている情報がそのまま広まっていたりするので、実際にモノを見てきた愛好家による記事の補足は本当にありがたいですね。

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(1980年代流通、ラベルデザイン的には2世代前に当たるオールドエズラ。中身はメドレー蒸留所の原酒と考えられ、なによりオールドバーボンらしい艶やかな甘味とコクが香味に感じられるのが最大の特徴と言える。流通時期考察等を含むレビューはこちら。)

今回のボトルは、前回さわる程度だった1990年代後半以降。ヘブンヒル蒸留所の原酒を用いていた終売間際の頃と思われるもの。
オールドエズラは1991年に一度生産を休止したものの、その後すぐに再版。ところが2000年代後半に再びメーカー生産中止となって終売。。。2008年にはリーマンショックがあり、不況の影響から販売計画を見直したか、あるいは旧ヘブンヒル蒸留所の火災が絡んでいるのでしょうか。
ヘブンヒル蒸留所は1996年に大火災が発生、44棟のウェアハウスのうち7棟90000万樽と、蒸溜設備が焼失するという大きな被害があったことは有名な話です。その後、ヘブンヒル関連の既存のリリースは一部縮小しながら残ったストックと、別蒸留所に委託して凌ぎ、ルイビルのバーンハイム蒸留所を1999年に買収して蒸留所名としては復活を遂げました。

旧蒸留所で作られていた限りある原酒とニーズの変化もあり、2000~2010年頃にかけて多くの長期熟成銘柄が姿を消すのと合わせ、このオールドエズラ15年もまた同様に終売となった・・・という情報があれば、2010年頃、日本からの要望を受けて原酒ストックを調整し数量限定で再び生産されるようになったという話もあります。
これもすぐに終売になったようで、そもそも本当に作られていたのか、在庫を並行輸入しただけだったのかは謎です。

まあ、ヘブンヒルの火災時期である1996年から、15年熟成を名乗れるのは2011年ないし2012年が最短の払いだしですから、ここがオールドエズラ15年のラストイヤーなのかもしれません。

エズラブルックス(オールドエズラ)15年 1980年代流通 特級表記 50.5%

カテゴリ:
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EZRA BROOKS (OLD EZRA) 
RARE OLD Sippin' Whisky 
Aged 15 years 
1980's 
750ml 50.5% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:BAR BRACK HEART
時期:不明
評価:★★★★★★★(7ー8)

香り:しっかりとメローで濃厚、艶のある甘み。キャラメルソースのかかったバニラや赤いドライフルーツ、微かに溶剤系の刺激も伴う。

味:ねっとりと濃厚、フルボディな口当たり。メープルシロップ、カステラの茶色い部分、しっとりとした甘みに微かにソーピーな要素もある。余韻にかけてウッディでドライ、チャーオーク由来だが角のとれたメローな甘みと共に、焦げ感、タンニンがビターなフィニッシュとなって長く続く。

オーソドックス、メローでウッディな新樽の熟成香だが、溶剤系の刺激やえぐみは少なく、むしろゾクゾクするような艶のある甘みが備わっているのが最大の特徴。
こういうバーボンを1日の終わりに飲めたら、どんなに幸せだろうかと思う。

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現行品はすでに終売となっていますが、どこかに鉱脈があるのか、在庫がたまに流通しているエズラブルックスの上位グレード、オールドエズラ。その15年熟成品は1980年代、日本市場に向けにリリースされたという情報がありますが、海外を調べてみるとエズラブルックス表記でUKやヨーロッパ流通の1970年代流通品や、果ては1960年代というものまであります。

1960年代は少々眉唾ですが、08バーコード表記のないボトルの存在を確認するに、1980年ジャストか1970年代後半にリリースがあったというのは間違いなさそうです。
一方1980年代後半、日本市場はバーボンブームがあり、各社が長期熟成のプレミアムクラスをリリースしている状況も考慮すると、エズラブルックスではなくオールドエズラとして日本に輸入・販売されたのが1980年代、特に1980年代後半だったのではないかと推察します。(下写真参照)


エズラブルックスについて調べると、1957年にホフマン蒸留所からリリースされ、その後1978年にメドレー社がブランドを取得。1988年にはメドレー社解散並びに蒸留所閉鎖に伴ってグレンモア社へ移り、1991年にはグレンモア社がUD傘下に、そして1993年に現在のLuxco社の関連へとブランド販売権が移っていることが、情報の粒度に多少の違いはあれど多くのサイトでまとめられています。

ここに上述の15年のリリース時期等を重ねて考察すると、メドレー社の時代にエズラブルックス表記の15年がリリースされ、1988年に表ラベルの表記をオールドエズラに。また1991年に同銘柄は一時的に販売を休止しているのですが、これはメドレーの遺産を使ってリリースしていたものを、UD傘下、すなわち旧ヘブンヒル産の原酒で製造するためラインを切り替えたことで生じたタイムロスとすれば、時期的に矛盾はなく、違和感のない話だと感じました。

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(特級時代末期、1988年ないし1989年流通のオールドエズラ。時期的にエズラシリーズの版権をメドレー社から取得したグレンモア社が製造したと思われるもの。表ラベルのオールドエズラにRマークが見られないのも、この時代の特徴である。濃厚で実に旨いバーボンだが、メドレー時代のものより少々ドライ。)

前置きが長くなりましたが、今回のボトルは以上の整理から1980年代前半にメドレー社が製造していた時期のもの。
蒸留時期は1970年代前半ないし1960年代後半。この時代だとホフマン蒸留所の原酒はまだ残ってそうですが、ホフマン蒸留所そのものはヴェリーオールドセントニック社が取得したとの情報もあるため、移ったのは版権だけで中身は初期からメドレー蒸留所の原酒だったとも考えられます。

オールドのターキー等のようにフルーティーさとか華やかさとが突出した構成ではありませんが、何より素晴らしいのが甘味の艶やかさ。良質なオーク樽を使った長期熟成バーボンならではの、濃厚でウッディでメローなオーソドックスに旨いバーボンという構成。
こういう香味は一言で「エロい」。なにか違うところを刺激されるのか、ノージングでゾクゾクしてくるのがたまらないのです。

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