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オーヘントッシャン 8年 1980年代流通 特級表記 43%

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AUCHENTOSHAN 
TRIPLE DISTILLED SINGEL LOWLAND MALT 
Aged 8 years 
1980's 
750ml 43% 

グラス:国際規格テイスティング
場所:お酒の美術館 神田店
時期:開封後1週刊程度
評価:★★★★★★(6)

香り:やや古酒感のあるアロマ。べっこう飴や乾いたザラメを思わせる甘いアロマに、やや醤油系のヒネ、干し草っぽさのあるドライなニュアンスを伴う。

味:スムーズだがハイトーン。エッジのたった口当たりに、きび糖のような雑味のある甘さ、微かにレーズンを混ぜたキャラメル、シェリー系の淡いアクセントが感じられる。
余韻はかりんとうやオールブランの軽い香ばしさとほろ苦さ、スパイシーな刺激を伴って長く続く。

3回蒸留らしくピリピリと尖ったような刺激が特徴的な香味構成があり、そこに素朴なモルティーさ、樽由来の甘味が合わさっている構成。少量加水すると、あまやかでコクとほろ苦い味わいがバランスよく延びるあたりに、ベース部分の良さ、時代を感じる。

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今回のボトルは、オーヘントッシャン蒸留所が1984年にモリソン・ボウモアに買収される直前の流通品。その後ボウモア社が1994年にサントリー傘下となったため、この辺りから日本市場との繋がりは強くなって色々リリースが増えていきます。
その反面、このモリソンボウモア買収前の時代は、日本市場では中々レアな銘柄だったのではないかと思います。

今このボトルがバックバーにあると、コアな愛好家が「オッ」と思うんでしょうけれど、1980年代前半頃は洋酒ブーム真っ只中とはいえ地味なラベルに誰も知らない(そもそもどのブレンドに使われているのかもわからない)オーヘントッシャンは、無名もいいところだったはず。
きっと売れなかったんだろうなぁと。ラベルにかかれた三回蒸留表記なんて、なんのこっちゃという感じだったんだろうなあと思われます。


さて、その3回蒸留の原酒ですが、特徴はプレーンでクリアな味わい・・・というよりは、クリーンな反面香味にあるトゲトゲしさ、エッジが立ったような刺激にあると感じます。(現行品のオフシャルスタンダードのオーヘントッシャンは、加水が効きすぎてこのシャープな部分がべったりとした感じに・・・。)
蒸留を繰り返すことで、丸かった酒質から香味、雑味が取り除かれ、シャープに削られていくことでそのような特徴が出るのではないかと予想。結果、その個性が良い方向に出ることもありますが、そもそも3回蒸留の原酒は樽と混ぜてもいまいち混ざりきらないというか、プレーンな樽で熟成させるならともかく、混ぜても何となく特異な質感が残るような印象があるのです。

酒質の引き算とも、あるいは鉛筆削りをしているようでもある三回蒸留ですが、これは昔の麦感が豊富で厚みのあった酒質では、プレーンな原酒を作る上で有効な手法だったのではとも感じています。
今回のボトルや、同銘柄の12年などを飲んで見ると、さすが70年代のまだ麦芽風味が強かった時期の作だなという麦芽風味が残っており、素朴な味わいを楽しむことができるのです。
少しばかり癖はありますが、これはこれで良いシングルモルトだと思いました。

宮城峡 マンサニージャウッドフィニッシュ 2018年リリース 48%

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NIKKA WHISKY
MIYAGIKYO 
SINGLE MALT 
MANZANILLA WOOD FINISH 
Bottled in 2018 
700ml 48% 

グラス:国際規格テイスティンググラス
場所:ジェイズバー
時期:不明
評価:★★★★(4ー5)

香り:ドライでかりんとうやアーモンドを思わせる香ばしい甘さがトップにあり、黒蜜と椎茸、デーツ、シェリーそのものが混じったようなアクセントから、ビターでサルファーなニュアンス。

味:ややベタつきのある口当たり。香り同様のシェリー感はチョコレートと椎茸出汁、微かにオランジェット。じわじわとウッディさが強く感じられる。若さはあまり目立たず、余韻はサルファリーさが漂うビターな風味。

宮城峡シェリー樽原酒らしい味と言えばらしい仕上がりだが、素性も香味も謎がある。マンサニージャの特徴?はさておき、何かシェリーそのものが混じったような仕上がりなのはフィニッシュの樽由来なのか。正直な話、良さを見つけづらい、閉口的一杯。

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2018年にリリースされた、シングルモルト余市・宮城峡の限定品(生産4000本のみ)。
今さら感のあるボトルですが、ちょうど2020年新作のアップルワイン樽熟成の情報が出始めているところであり、たまにはこういうのもいいかなと、レビューを投稿します。
なお、本リリースについては疑問点がいくつかあり、テイスティングで得られた情報からその点に関する考察、予想を以下にまとめます。

まずニュースリリース上でのメーカー公開情報。
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これだけ読むと気合いいれて樽調達してきたなぁ、と思うわけですが・・・ふと冷静になって、これがマンサニージャシェリーであることで、それって50年間も熟成できるのか?という疑問があります。

◼️疑問点(1)ソレラシステムの樽?
マンサニージャはフロール(酵母の膜)を形成して熟成させるため、基本あまり長期間熟成出来ない辛口シェリーです。
スタンダードなグレードでは平均5年程度とかそういうレベル。マンサニージャ・パサダという熟成タイプもありますが、フロールを維持出来る限界が10~15年とされていることもあり。。。
50年も熟成させたら、マンサニージャではなく違う分類のシェリー樽(アモンティリャードシェリーに近い?)になってしまうと考えられます。

まあ実際はソレラシステムで若い原酒を継ぎ足し、フロールを維持させながら熟成を継続するため、今回の樽もソレラ樽ということなのだと脳内保管。(後々、WMJの特集記事では、ニッカの佐久間チーフブレンダーがソレラシステムで使われていた樽だと説明されていましたのを発見しました。)
ただ、そうだとしてもマンサニージャで累計50年間以上ソレラを組み続けていられるのかは、自分のシェリー酒に関する知識ではわかりませんでした。

◼️疑問点(2)ベース原酒のレシピ
一方で、サルファリーさとシェリー樽原酒がそのまま混じったような椎茸っぽさのある、質が良いとは言い難い濃厚な味わいは、このウイスキーの大きな謎。
いやある意味で宮城峡らしいと言えばらしい樽感の一種なのですが、果たしてこれはベースになったシングルモルト由来か、フィニッシュで付与されたものなのかが疑問点なわけです。

公開されている情報では、ベースのウイスキーは通常のシングルモルト宮城峡と同じようなことが書かれています。
とすると、ノーマルな宮城峡にはここまでの濃厚さはありませんから、フィニッシュで付与された香味ということになります。
これがオロロソシーズニング樽でのフィニッシュなら違和感はないのですが、説明上はマンサニージャ。それもソレラで50年間使われ続けたという樽。この手の長期間使用樽は、1年そこいらならもっとクリアな感じになるはずで・・・。

例えば、殺菌のため硫黄を炊きつつ、樽輸送時に内部を保湿するために使われる保存液が残った状態で原酒突っ込んだりすれば、18ヶ月でこんな混ぜたような味と特徴的なウッディさ、サルファリーな感じになってもおかしくはない。あるいはベースの原酒が通常の宮城峡ではなく、シェリー樽比率多めで蒸留所で売ってるシェリー&スウィート的なモノだったとかなら、それはそれで違和感は無いんですけどね。

この香味が純粋に好みじゃない、という点はさておき、どーにも説明と中身が異なるというか、リンクしない1本でした。

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今日のオマケ:2020年3月発売予定の余市&宮城峡の限定リリース。アップルブランデーウッドフィニッシュについて。

毎年リリースされているシングルモルトのリミテッドエディション。今年はアップルブランデーを28年間熟成していた樽で6ヶ月間フィニッシュした、甘口タイプのウイスキーになるようです。

ニッカ味と言えば新樽風味ですが、2000年から2010年頃、シェリー樽原酒を使ったことがPRされている限定品のなかに(特に安価なものに)、シェリー?と、今回レビューしたリミテッド同様に疑問符がつく不思議な甘さのあるリリースがいくつかありました。
それはシェリー樽というより、実はアップルブランデーの樽由来なのでは?という仮説をたてたことがあったのですが、ニッカ関係者に確認するとブランデー樽は熟成に使っていない、という話だったのを覚えています。

今思えば、何らかのバルクだったのかもしれませんが、この疑問点はともかくアップルブランデー樽がもたらす味わいには純粋に興味があります。今年のリミテッドリリースがどんな仕上がりか、今から楽しみです。


※身内の法事調整と、仕事の重要な会議が重なっており、作業に集中するためブログ&ネット断ちをこの週末からしていました。一応区切りをつけることができたので、今日からまたマイペースに再開です。






シングルカスク 余市 10年 2008-2018 マイウイスキーづくり 59% #409288

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NIKKA WHISKY 
YOICHI 
SINGLE CASK 
Aged 10 years 
Distilled 2008.5.24 
Bottled 2018.9.21 
Cask type New American Oak Cask #409288 
700ml 59% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:―
場所:自宅
評価:★★★★★★(6)

香り:焦げたチョコレートクッキーのような、ビターなトップノートと色濃い甘味。ウッディなアロマと合わせて焙煎した麦芽のような香ばしさ、微かに溶剤系のニュアンス。力強いアタック。

味:ウッディでスパイシー、パワフルな口当たり。チャーオーク由来のキャラメル系のメローな甘みの中で、オレンジやパイナップルの果汁を思わせるフレーバーがアクセントに。余韻は味わいの中で感じられた甘みを残しつつ、スパイシーで舌の上がざらつくような焦げ感を伴うウッディネスが長く続く。

樽感のしっかり溶け込んだウッディな味わいが主体。ビターな樽由来の香味構成に、余市らしい香ばしい麦芽風味と、フルーティーさに通じる酸がアクセントになっている。加水に負ける感じではないが、香りにワックスのような、味わいはビターオレンジのような、特に香りには異なる要素が加わる。


先日我が家に届いたマイウイスキーづくりの余市10年 Cask #411127。例によって購入できるだけ購入し、同様にウイスキー繋がりで違う年度のマイ余市を購入していた方々と、それぞれの余市をトレードしました。
こうして参加者同士で繋がりが生まれて、お互いのボトルをシェアできるのは参加者の特権というか、広義の意味で言えば樽オーナー制度ならではの楽しみだと思います。

今回のレビューアイテムは、北海道のSさんとトレードしたもの。自分のボトルよりも1年前の会のものです。
自分にとって節目の年だった、この2008年。企画そのものは知っていましたが、就職したばかりでとても平日休みをとれる状況になく・・・。2008年の余市は個人的に思い入れのあるボトルだったりします。

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(マイウイスキー余市の樽違い。同じ新樽で10年熟成だが、樽の状態、置かれた場所、あるいは熟成期間中の気候によって色合い、味わいが異なる。色合いだけで言えば中央と右2つはほぼ同じで、気持ち右側のほうが濃いような気もするが、香味はそれぞれ大きく異なる仕上がり。)

今回のボトルである、Cask #409288の特徴はビターなウッディネス。
ハイプルーフなカスクストレングスらしい、パワフルなアタックの強さ。フレーバーは焦がしカラメルのようなほろ苦さと舌の上でざらつくビターなウッディネスが主体としてあり、そこにチャーオークのメローな甘味、余市のニューメイクがもつ酸味が熟成によって変化した柑橘系のニュアンスがアクセントとなっています。

これが他の余市とどう異なるか。上写真の我が家で開封済みの同じ10年では、写真左の#411127はウッディーさが押さえ目な代わりにエステリーでフルーティーな果汁感があり。今回のレビューアイテムである#409288と、同じくらいの濃さを感じさせる色合いである#406599(右)は、仕込みが11月でボトリングも11月と熟成が最も短いが、熟成環境の違いか最も濃厚なウッディさとメローな味わいがメインにあります。
アルコール度数もほぼ同じですが、単に樽の強さだけでなく、アルコール感の感じ方、アタックの強さが異なるのも面白いです。

しかしこうして様々な新樽熟成の余市を経験して思うのが、新樽熟成とその樽感を受け止めるだけのパワフルな酒質を作り出す余市の偉大さ。たまにピークをはずしているものもありますが、どれも一定レベル以上に仕上がる安定感があり・・・。
決して万人受けの酒ではないと思いますが、我々愛好家としてはこれで良いんだよこれで、と思える尊いウイスキーなのです。

ジョン グラント (グレンファークラス) 17年 ピュアモルト 1980年代流通 43%

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THE JOHN GRANT 
Pure Malt Scotch Whisky 
(Glenfarclas)  
Aged 17 years 
1980's 
750ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:サンプル@BAR 1two3 
評価:★★★★★★★(7)

香り:レーズンや砂糖漬けのクランベリー、カラメルソースや少し焼き洋菓子を思わせる香ばしさも混じる、濃厚で甘酸っぱいアロマ。シェリー感の奥には加水ながら強めのアタックもあり、全体の骨格、リッチな香り立ちを構成している。

味:スムーズだがリッチな口当たり。香り同様のシェリー感があり、色濃い甘酸っぱさ、ダークフルーツを思わせるフレーバーが、酒質の強さに後押しされてウッディなタンニンを伴って広がる。
余韻はウッディでビター、微かな土っぽさ。カカオチョコレートにレーズン、ビターでドライなフィニッシュが長く続く。

濃厚なシェリー感、黒砂糖やダークフルーツの要素が詰まった秀逸なモルト。香りはふくよかで豊潤、口当たりはスムーズだがシェリー樽由来のとろりとした甘味の中には力強い骨格を感じさせるファークラスらしさが、しっかりと備わっている。少量加水すると少し水っぽさは出るが、クリーミーな甘味が感じられる。

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情報が少ないボトルですが、かつては日本で並行品が格安販売されていたらしいジョン・グラント名義のグレンファークラス。
1980年代後半から1990年代にかけ、グレンファークラス17年が日本市場向けの限定ボトルとしてリリースされていたため、同時期に同じタイプの原酒を使ったものをイタリア辺りに展開した一つではないかと推察します。(他に6年のリリースが確認できますが、これもまたほとんど情報がなく。。。)

グレンファークラス17年は、現オーナーのジョン・グラント氏がもっとも気に入っているオフィシャルグレードであることが紹介されていますが、それで17年でジョン・グラントなのかと紐付けるのは早合点。
蒸留所を経営するグラント一族は、代々同じ名前を息子につける伝統があるため、ジョン・グラントとジョージ・グラントは150年を越える一族経営の歴史の中で絶えず登場しており、それぞれ現在3代目。1865年に蒸留所を買収して一族経営を始めたのが初代ジョン・グラントであり、今回のラベルに書かれている肖像画のその人です。

よって、現在のオーナーの好みと初代とでは結び付かないエピソードですが、量産品でありながらこれだけのクオリティのシングルモルト、名前を使われても文句はないだろうと感じてしまいます(笑)。
特筆すべきは濃厚なシェリー感。近い熟成年数のオフィシャルと比較して、1990年代流通のダンピー仕様よりは間違いなく上質。角瓶時代と比較しても遜色のない印象。べたつかず、ダークフルーツとウッディネスのキャラクターも感じやすく、レベルの高い1本だと思います。


※先日に引き続き、愛知のBAR 1two3の村田さんと交換していた、サンプルのレビューです。村田さんからは、自分のブログに掲載されていない古く怪しげなボトルのオファーを良く頂くため、経験値的にも、情報をとりまとめる上でも大変助かっています。

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今日のオマケ:ロバート・モンダヴィ プライベートセレクション 
シャルドネ ”バーボンバレル・エイジド”
カベルネ・ソーヴィニョン ”バーボンバレル・エイジド”

カリフォルニアを代表するワイナリーから意欲作。バーボンウイスキーカスク熟成された、シャルドネとカベルネ(カベルネは一部該当ワインをブレンドしたもの)。ワインの樽熟にアメリカンオークが使われることは珍しくありませんが、ウイスキーカスクはあまり数はありません。
ロバート・モンダヴィについては、カリフォルニアワインの先駆者としての実績と歴史から、その品質は折り紙付き。ただノーマルのプライベートセレクションは、同銘柄のデイリーユースというかエントリーグレードに当たるため、個人的には些か雑に作ったような味の印象もありました。

シャルドネは、新世界らしく角のとれた包容力のある酸が広がる。。。ように見せかけて、中間からオーク由来かバニラ系統の甘味、トーストの焦げ感も微かに加わって酸を打ち消すように広がる個性的な仕上がり。
カベルネは。。。そもそものベースが濃厚な赤なので、どの辺がバーボン樽由来と言われても難しいのですが、中間以降のタンニンが多少クリーミーな質感をもって感じられるあたりに、仕事をしているのかもしれません。
双方中々面白いワインだと思います。

それにしても、このワインの熟成に使われたバーボン樽はどこのものなんでしょう。
これまで、ウイスキーは様々な酒類の樽を熟成に用いることで、個性を多様化してきた歴史がありますが、その逆の流れが生まれていることは興味深いことだと感じています。

ラガヴーリン 10年 2019年リリース 免税店向け 43%

カテゴリ:
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LAGAVULIN 
Aged 10 years 
For Duty free Travel retail 
Release in 2019 
700ml 43% 

グラス:国際規格テイスティンググラス
場所:-
時期:開封直後
評価:★★★★★★(6)

香り:ドライで強くスモーキー。乾いた麦芽香や根菜っぽさに加え、ピートフレーバーはややシャープな質感と、塩素を思わせる薬品香も伴う。スワリングすると貝類や磯っぽさ、アイラ要素を強く感じる。

味:柔らかくオイリーな口当たり。スモーキーな含み香に加え、ハマグリのスープのような潮だしを思わせるややクリアなアイラ要素。微かにグレープフルーツの柑橘感。
ほろ苦く香ばしいピートフレーバーが味の後半を支配し、余韻はドライでスモーキー、焚き火の後のような焦げ感を伴うフィニッシュ。

しっかりとアイラ要素の詰まったラガヴーリン。若いモルトだが、加水でバランスよく整えられている。SMOOTH・INTENSE・SMOKY・WARMING というコンセプトの通り、オイリーでありつつ引っ掛かりの少ない口当たりから、強いピートの存在。またその味わいは、スペイサイドの10年ものにあるような軽やかで冷涼なイメージに比べ、暖かみのある広がりとも言える。


2019年8月から一部の免税店向けでリリースの始まった限定のラガヴーリン。
スタンダードで8年がリリースされ、GoTとのタイアップ企画で9年がリリースされたと思いきや、次は10年ですか。量産の限定品で徐々に年数が上がっているこの現象に、次は11年がどこかのマーケット限定とかで出るんでしょ?と思って調べたら、アメリカ向けにオファーマンエディションなるボトルがリリースされてましたよw

構成としてはスタンダードの8年の延長にあるヤングアイラなのですが、加水が効いているのと熟成が少し延びたことで、口当たりのシャープな感じが落ち着いています。
また、構成原酒のタイプが多少異なるのか、あるいは加水との相乗効果か、出汁っぽさが強めに出ているのが特徴。個性はしっかりと出ているため、43%といっても物足りなさはあまり感じません。

熟成に使われたのは、リチャーしたものを含むリフィルアメリカンオーク樽がメインと推察※。リチャー樽によって色や若干の焦げ感が備わっているのはオフィシャル16年にも共通するベクトルです。
プレーン寄りの構成で、華やかさやフルーティーさが控えめな代わりに酒質ベースの味わいがダイレクトに感じられる、ディアジオらしい樽使いだなと思います。

個人的にはもう少しアメリカンオーク由来のフルーティーさが混じり、多彩さがあるほうが好みなのですが・・・それは12年以上のグレードにてって整理ですかね。少なくとも価格相応の味わいは備わったボトルだと思います。


※なお、テイスティング後に調べたところ、この10年熟成のウイスキーには、以下の3種の樽が使われているとのことでした。

・リフィルカスク
・バーボンカスク
・ニューリチャード リジュヴェネーテッドカスク

3番目の聞きなれない樽はなんでしょう。そういえば、先日ブラインドをぶっこまれたアイラフェス限定のラガ18年にも、そんな表記があったような。Newがどこにかかっているのかにもよりますが、Rejuvinatedは「若返らせた」という意味ですから、使い古した樽の内側を削って再度焼いた、再利用新樽的な意味なんでしょうか。
この手の古樽はこれまでブレンドに回されるなど、メインに出てくることはなかったと思うのですが、使い古されていることで灰汁も抜けて、案外良い熟成感に繋がるのかもしれませんね。



Port-Ellen

今日のオマケ:ポートエレンが蒸留再開に向けての計画を開始したというニュース。
Port Ellen distillery secures planning permission - The Spirits Business (2020/1/2)

少々強引ですが、ディアジオ繋がりでこんな話題。
2017年に発表されていた、ポートエレンとブローラの再稼働計画。ブローラに続いて、ポートエレンもいよいよ工事が始まる模様です。

時間かかりすぎやろ、って声が聞こえてきそうですが、ポートエレンは蒸留設備等が既に撤去され、そうしたスペースの一部を倉庫として貸し出すなど、工事する前に整理しなければならない既存契約があったと聞いています。これらの整理が完了し、工事計画がアイラ島を管轄するアーガイル&ビュート評議会で昨年5月に承認され、2021年までに再稼働するという実効的な計画が動き出したそうです。

どこまで当時の味を再現できるのかは気になるところですが、ポートエレンは1973年から現在も稼働する精麦工場とのツーマンセル。つまり仕込み環境が変わっていないなかで、閉鎖直前の1980年代は近年のラガヴーリンタイプの強くピーティーな原酒を仕込んでいました。それこそ、今回の若いラガヴーリンのような味になるんじゃないかと予想しています。

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