タグ

タグ:オフィシャル

キルホーマン 10年 2008-2018 日本市場向け 56.5% #266/2008

カテゴリ:
IMG_20190710_213415
KILCHOMAN 
THE FIRST EVER 10 YEARS OLD SINGLE CASK FOR JAPAN
Aged 10 years 
Distilled 2008 
Bottled 2018 
Cask type Bourbon #266/2008 
700ml 56.5%

グラス:シュピゲラウ
時期:不明
場所:BAR ハリーズ高岡
評価:★★★★★★(6)

香り:角のとれたピーティーなスモーキーさ、塩素を纏ったほのかなヨード香、薄めた蜂蜜と柑橘、合わせて土っぽいアロマと干し草、若干武骨な要素を伴うウッディネス。

味:香り同様に角のとれたピーティーさ、ほろ苦い口当たりに蜂蜜レモン、微かに根菜のような土っぽさ、後半にかけてピートフレーバーが盛り上がるよう。余韻はスモーキーで程よいウッディさ、徐々に乾いた麦芽風味を感じさせつつ長く続く。

適度な熟成感、ウッディネス、そしてアイラらしいピーティーさの整った、若いなりにバランスのとれた構成。近年のアイラ10年熟成と考えれば充分合格点と言えるだけでなく、大器の片鱗を感じさせる。


昨年リリースされた、キルホーマンの日本向けボトルとして初めての10年熟成シングルカスク。キルホーマン全体としては、2018年時点で12年熟成や、話題になったシェリー樽のエクスチェンジ向け(これも10年熟成)など10年熟成以上のものが複数リリースされていましたので、若干後追い感はあります。

ただ、キルホーマンのバーボン樽熟成で、特に7~8年以上のものは適度な厚みの麦系のフレーバーに、オーキーなフルーティーさが合わさって熟成したラフロイグ等に通じる要素を備えた仕上がりとなっているものが多く、短熟だからと軽視できない仕上がり。
2000年代以降のアイラモルトは、紙っぽさや溶剤系のような要素を伴うなど、一時期に比べて仕上がりに陰りが見られるものが少なくありませんが、キルホーマンはここ最近のアイラモルトのなかでは最も将来性が感じられるわけで、その日本向けというだけで期待してしまいます。

そういう経緯から、今回のテイスティングも上記のようなフルーティーさが強化されたような仕上がりかと思いきや、思っていたのとフルーティーさの系統がちょっと違う。総合的に良くできているのは間違いなく、これはこれでアリなのですが、類似のキャラクターだとカリラやラガヴーリンのような・・・ちょっと系統が違う仕上がりであるように感じられました。

IMG_20190710_215853
(同日飲み比べた、キルホーマン6年2011-2019 メモリーズオブスコットランド(右)。こちらのほうがフルーティーさに柑橘プラス近年トロピカル系統が分かりやすい。総合的な完成度としては熟成感がある日本向け10年のほうが好みだが、分かりやすさと自分の求めるキルホーマンのキャラクターはメモリー~のほう。)

キルホーマンは100%アイラシリーズとして、蒸留所所有の農場(ロックサイドファーム)で生産された麦芽をフロアモルティングで仕込むなど、モルトスターから仕入れた通常の原料以外も使って原酒を蒸留しています。樽の質以外でそうした原酒部分の違いも、熟成後のキャラクターに影響しているのではないかと推察。
実際、これまでオフィシャルでリリースされている100%アイラシリーズは、ボディがあるというかフレーバーに厚みが感じられるように思います。

今後、これらの原酒がどのように育っていくか。3年熟成のリリースが2009年に話題になったあとは、ハネムーン期間の終わりというか、一時期話題になりづらかったキルホーマンですが、その間酒質は確実に良くなってきて、いよいよ飛躍の時を迎えたというのが2018年から2019年にかけて。
初期の頃のものは20年以上持つ酒質ではないと思いますが、15年熟成くらいで他のアイラを圧倒するようなリリースを楽しみにしています。(できればそれも、日本市場向けがほしいですね。)

IMG_20190728_102215

今日のオマケ:ローソンの1000円ワインシリーズから、ブルガリアのシラーズ&カベルネ、ロゴダジ2015。アテは夏休みの勢いで作ったローストビーフ。
このワイン、色合いのとおり濃厚ではあるんですが、ボディがちょっと軽いというか、そこまでしつこくないので食中酒に使いやすい印象。柔らかい酸味としっかりめの甘味、微かにベリーとスパイス。これはデイリーに使えるコスパ良好な一本でした。

ブキャナンズ リザーブ 1970年代流通 43%

カテゴリ:
IMG_20190726_195041
BUCHANAN'S
RESERVE 
FINEST BLENDED SCOTCH WHISKY 
1970-1980's 
750ml 43% 

グラス:国際企画テイスティング
時期:開封後数週間
場所:お酒の美術館 神田店
暫定評価:★★★★★★(5ー6)

香り:スモーキーなオールドピート主体の乾いたアロマ。干し草、薄めた蜂蜜。時間経過でおしろいっぽい麦芽香も感じられる。

味:口当たりはマイルドで、柔らかい蜜のようなコクがあり、カルメ焼、干し草、オレンジピール。甘味とあわせてビターで乾いたフレーバー。内陸系のピートフレーバーを伴いつつスモーキーなフィニッシュへ。

香味の奥行きはやや単調気味だが、柔らかいコクのあるスモーキーさがらしさであり、12年程度熟成したと思われる原酒が使われたマイルドで飲みやすいブレンドに仕上がっている。一方で加水するとボディが水に負けてしゃばしゃばになってしまう。飲むならストレートか濃いめのハイボールだろうか。

IMG_20190726_195127

ブラック&ホワイト、ロイヤルハウスホールドで知られるジェームス・ブキャナン社がリリースする、自社名を冠したブレンドがブキャナンズです。
キーモルトはダルウィニーとグレントファースで、この当時のブキャナンズにはスモーキーさの強いピーティーな時代のハイランドモルトがしっかり効いた、モルティーな味わいが特徴であると言えます。

今回レビューするリザーブは、1970年代後半頃にリリースされたブキャナンズの普及品というか姉妹品?的な位置付けの一本。
以下のデラックスと同系統の味わいが感じられると共に、1980年代後半には同じ12年表記がつくことから、原酒の熟成年数はこの年代もほぼ同じ仕様と考えられます。
ただグレーン比率が高いというかプレーンなタイプのモルトの比率が高いというか、美味しいのですが厚みと複雑さがもうひとつ足りないのが惜しいところ。良く言えば個性を押さえて飲みやすくしたと言えるのか。。。。特に加水するとその違いが明確になるようにも感じられます。

IMG_20190630_100726
(1970年代流通のブキャナンズ・デラックス。今回のリザーブとほぼ同じ流通時期か、少し前。リザーブよりも厚みとスモーキーフレーバーが強く、古きよき時代のスコッチと言える一本。)

これはこれと言う感じの1本ではありますが、デラックスとリザーブ、どちらが好みかと言われたら迷うことなくデラックスです。
ただ現在の流通価格はリザーブが非常に安価なので、コスパ重視で手軽にブキャナンらしさを楽しむならリザーブもアリなのか。。。
なお、1980年代に入るとブラック&ホワイトから同じボトルを使って12年がリリースされるなど、熟成年数と価格帯の住み分けが曖昧となりますが、そのなかでもブラック&ホワイトの方向性とブキャナンズの方向性とでは、キャラクターの異なる仕上がりになっているので飲み比べも面白いと思います。

アードベッグ ベリーヤング 1998-2004 58.3%

カテゴリ:
IMG_20190816_110506
ARDBEG 
Very young 
Distilled 1998 
Bottled 2004 
700ml 58.3% 

グラス:グレンケアン 
時期:不明 
場所:Bar Eclipse 
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:強くシャープ、ややクリアなピーティーさが全面にあり、ヨードと合わさって鼻孔を刺激する。土っぽいアロマ、微かにシトラス、ハーブ、金属っぽさを伴う塩気も感じられる。

味:勢いがあってパワフルな口当たり。ピーティーでビター、飲み口から鼻孔までピートスモークが広がる含み香。徐々に魚介出汁のスープのようなコクが感じられ、微かに焦げたようなニュアンスも伴う。フィニッシュは序盤同様ピーティーでスモーキー、レモンピールの柑橘系のほろ苦さを伴いつつスパイシーで長く続く。

若いアイラ特有のシャープで強いピーティーさと、ヨード香がもたらす甘さが樽材の要素にマスクされずダイレクトに感じられる。一方で若さ由来の未熟感、ニューポッティーさは香味ともほぼない。突出して素晴らしい訳ではないが、若いなりのアードベッグの良さを嫌みなく味わえるのが、このボトルの飲みどころと言えるのかもしれない。

IMG_20190609_011810

アードベッグ蒸留所の紆余曲折についてはこれまでも度々触れているので省略。話は1997年、グレンモーレンジに買収され、再び本格的に操業を開始した地点から。
この新生アードベッグから、将来的なオフィシャルリリースの切り替えにあたり、原酒の切り替え、新しいアードベッグのハウススタイルの体現、ブランド確立等を目的として2004年にリリースされたのが、ベリーヤング、スティルヤング、オールモストゼアー、ルネッサンスの4種類です。(以下、画像参照)

ベリーヤングが約6年熟成に始まり、それから8年、9年、10年。蒸留は1998年で同じですが、リリース毎に熟成年数を増す形式がとられており、10年のリリースを完成と考えれば他はワークインプログレスという仕様となります。
正直どれも悪くないというか、それぞれ良さはあるのですが、ベリーヤングはファーストリリースであることと、あえて約6年という短期熟成の原酒がオフィシャルからリリースされたというインパクトもあってか、実際の完成度はさておき一連のシリーズのなかで特に高い評価を受けていたように記憶しています。

IMG_20190816_110534
(アードベッグ10年熟成への旅、4種。良い意味で熟成と樽に邪魔されておらず、インパクトがあってわかりやすい味わいはベリーヤングであるが、逆に良い意味で熟成を通じて個性も整っているルネッサンスが個人的には好みで、完成度も高いと感じている。この辺は嗜好品故の個人個々の好みの差でもあるだろう。なおスティルヤングやオールモストゼアーは中間にあってか半端な印象があるかもしれないが、それぞれヤングアイラの特徴は捉えやすく、決して悪い出来ではない。)

自分が本格的に飲み始めた頃には、ルネッサンスに加え、スタンダードの10年がリニューアルされた後だったわけですが、アードベッグは10年より若い方がいいね、なんて評価をイベントのブース等で聞いたこともあったくらいです。
当時は長期熟成のこなれたモルトがオフィシャル、ボトラーズ問わず多くリリースされていた時期でしたので、若い原酒で樽感に邪魔されない、パンチのある味わいが逆に重宝されたというのもあるのでしょう。ピートの強さで言えば間違いなく強かったのはベリーヤングです。

今のウイスキー市場から見ればなんとも贅沢な話だったようにも思います。
一方で、この当時1990年代のアードベッグをはじめとしたアイラモルトは、若くても今ほど粗さが目立たないというか、オイリーなコクと麦感があって、それはそれで良さが感じられるモノが多いようにも感じています。
例えば、ラガ12年のスペシャルリリースも初期の頃と今とでは大きな差があります
アードベッグについても、今回久々にベリーヤングを飲みましたが、近年のボトラーズからリリースされる6~7年程度の熟成の若い原酒等のように、ただピートが刺々しく、浮わついたようにならないのが、経年での変化を差し引いても印象的でした。

ジョニーウォーカー 18年 ゴールドラベル 1990年代流通 43%

カテゴリ:
IMG_20190802_220442
JOHNNIE WALKER 
GOLD LABEL 
Aged 18 years 
1990-2000's 
750ml 43% 

グラス:国際企画テイスティンググラス
場所:お酒の美術館 神田店
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★★(5ー6)

香り:柔らかいスモーキーさと、杏や蜂蜜梅、奥にはみたらし、熟成した角のとれたウッディネスと乾燥した植物っぽさも伴う。

味:マイルドで穏やかなコクがあるが、後半にかけてウッディなえぐみと軽い引っ掛かりの感じられる口当たり。薄めた蜂蜜、林檎、あんずジャム、徐々に干し草や乾いたウッディネス。余韻はピーティーでしっとりとしたスモーキーさに、角のとれた酸味と軽いえぐみを伴う。

熟成した原酒のマイルドな口当たり、フレーバーの広がりから、1990年代以降のジョニーウォーカー味といえる、軽い酸とウッディなえぐみ、そしてカリラやタリスカーを思わせるピーティーさが特徴の1本。ボディはやや軽めであり、ストレートよりもハイボールがオススメ。出来れば濃いめで。

IMG_20190802_220511

1990年代後半、1992年から15年熟成でリリースされていたジョニーウォーカーゴールドラベルが、18年に熟成年数を上げてリニューアルした、その最初のラベルデザイン。近年では2012年にプラチナにブランド名を変えた後、ノンエイジ表記の上位グレードとしてゴールドラベル・リザーブがリリースされています。

ゴールドラベルのキーモルトはクライヌリッシュとされており、裏ラベルにもそれが書かれています。しかしこのボトルも近年のそれも、熟成したクライヌリッシュのスムーズでワクシーなモルティーさや、厚みのあるボディ感はグレーンで引き算されて分かりにくく。むしろ個人的には、タリスカーやカリラの個性のほうが感じやすいように思えます。
以前現行品をブラインドで出されたとき、タリスカーベースで大手が頑張ってそうな何かって答えてしまったのが、悔しい思い出だったりするほど(汗)

さて、ジョニーウォーカーの各ブランドは、1990年前後のラベルチェンジで、80年代までの濃厚な甘さとコク、スモーキーな味わいからボディが軽くなり、樽感に酸味と軽いえぐみを伴うような構成にシリーズ全体でシフトしていく傾向があり。この時代のゴールドラベルにも、ほぼ同様の特徴が備わっています。
蒸留時期を振り替えると1960~1970年代には、ブランドを所有するDCL傘下の蒸留所で規模拡大や製造効率化のための改修工事が行われているのですが、その影響が1990年代にかけて徐々に出てきたのかもしれません。加えてDCLからUDにシフトしたことでの、作り手側の販売戦略の変化や、スコッチ業界全体での樽不足もあるのでしょう。
この特徴が近年のジョニーウォーカーに至るまで変わらないキャラクターになっており、時代時代のボトルを飲み比べると、1980年代後半から1990年代にかけて大きな動きがあったことがハッキリとわかります。

何がトリガーとなっているのかは、複合的すぎてハッキリと断定出来ないのが悔しいところではありますが。。。その経緯を推察しながらあーだこーだと飲み進めるのも、オールドボトルの楽しみ方ですね。

IMG_20190810_144818

追記:ここのところ更新が途切れ気味です。純粋に仕事が詰まってたところに出張やイベントが重なって、落ち着いて記事を書けなかったのです。後はあまりの暑さで飲む気がしないってのも。。。ちなみに今は家族旅行中。暫くこんな感じで不定期になりますが、そのうちまたいつもの感じに戻りますので、よろしくお願いします。

サントリー 北社 12年 ピュアモルトウイスキー 40%

カテゴリ:
IMG_20190801_085757
SUNTORY 
PURE MALT WHISKY 
HOKUTO
AGED 12 YEARS 
660ml 40% 

グラス:国際企画テイスティング
時期:開封後1ヵ月程度
場所:お酒の美術館 神田店
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:華やかでしっかりとオーキー、洋梨や林檎の蜜、微かに干柿のような甘みと香木を思わせるオリエンタルなウッディネス。奥には干し草のような乾いたニュアンスも感じられる。

味:白色系の果実を思わせるやわらかい甘さとウッディな口当たり。香り同様の構成で、オーキーな華やかさとほろ苦さが含み香で広がり、ほどよいコクもあるが、余韻にかけてはドライでやや単調でもある。

響というよりは当時のローヤル12年とも共通する華やかでオーキーな熟成香が、ピュアモルトである分ダイレクトに感じられる。序盤に比べて余韻は広がりに欠ける印象もあるが、個性の強いモルトを飲みやすくまとめた作りであれば、こういうあり方もありだろう。少量加水、ロック、多用な飲み方で楽しめる。

IMG_20190801_085826

サントリーから、2004年にピュアモルトが、2006年ブレンデッドがそれぞれリリースされた北杜シリーズ。
ブレンデッドウイスキー北杜は50.5%のハイプルーフ仕様が売りのひとつで、これは当時の富士山麓樽熟50%(2005年発売)を。そして今回レビューするピュアモルト12年は、竹鶴12年ピュアモルト(2000年発売)を。
北杜市には白州蒸留所があり、その名の通り、白州蒸留所の原酒をキーにしたウイスキーですが、その位置付けは他社が独自の色を出して話題になったところに、対抗馬とわかるリリースをほぼ同価格で打ち込むという見え方で、なかなかに露骨でした。

しかしこれも、少しでも再浮上のきっかけを掴みたいと形振りかまっていられなかった、当時のウイスキー業界事情があったとも言えます。
最終的に北杜シリーズは2010年頃に終売。この頃にはハイボールブームに火がつきはじめており、角瓶の出荷調整が起こるなどサントリーとして低価格帯で重視するジャンルが定まってきた時期です。選択と集中もあって様子見で展開していたものを引き上げた、ということなのだと思います。

北杜12年はこれまで何度か飲んでいる銘柄でしたが、今回のボトルは自分が過去飲んだものとは印象が異なって熟成香が強く、オーキーな華やかさだけでなく、ミズナラを思わせるオリエンタルな要素も混じって感じられた点には驚きました。以前飲んだものも華やかでしたが、バーボン樽の白州強めというか、もっとあっさりしていたと記憶していました。

裏ラベルに書かれた内容の後半、「なお北杜は~~」の箇所が、「2004年秋に誕生する市の名前」と未来を指しているので、それ以前の発売、つまり発売初期の気合いをいれて作ったロットだったのかもしれません。(少なくとも、ロットが切り替わった後のボトルからは該当する説明文が消えているようです。)
これが2000円台というのは、かなりのコスパ。今そこにあるなら、迷うことなくケースで買うなと考えた脳裏を過るのは、3年ほど前6本以上の在庫を見かけた某都内酒屋の存在。きっともうないんだろうなぁ。。。

このページのトップヘ

見出し画像
×