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今飲んでおきたい、コアなウイスキーファンが薦めるモルトウイスキー銘柄

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昨今のウイスキーブームを受けてシングルモルトに興味を持たれた方もいるでしょうし、9月1日の余市、宮城峡シングルモルト4種のニューリリースから、似た傾向があるボトルとか、他のお勧めボトルは無いかと探される方もいらっしゃると思います。
以前「今飲んでおくべきボトルや、これは良かったというボトルは何がありますか」という旨の質問を頂いておりましたし、今回の更新では個人的にオススメするボトルを、前編、後編に分けて紹介します。

前編では特段縛り無く、自分なりにお勧めだと思う、スコッチシングルモルトを紹介します。
入門レベルではなく、ウイスキーをある程度飲み慣れてきた方にオススメしたい、中級者向けラインナップになります。
後編では9月1日にリリース・終売となった余市・宮城峡各種を基準とした、お勧めボトルを紹介していきます。

後編はこちら。
・今飲んでおきたい、シングルモルト余市好きに薦めるスコッチモルトウイスキー
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1039415162.html
・今飲んでおきたい、シングルモルト宮城峡好きに薦めるスコッチモルトウイスキー
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1039600651.html

共通する条件は、
「2015年時点でオフィシャルからリリースされているボトル」
(言い換えれば、今でも買えるボトル)
「値段は1万円程度まで」。

前編と後編では重複が無いようにチョイスしていますが、どれも一定以上のクオリティがあるボトルであることは間違いありません。
しかしオフィシャルから選びますので、本格的に飲まれている方からすれば、意外性の無いリストかもしれません。また「この銘柄を忘れてないか」「これがお勧めだよ」というご意見がありましたら、コメント頂けますと幸いです。


【コアなウイスキーファンがお勧めするシングルモルト5銘柄】


・グレンモーレンジ トゥサイル 46%
価格:11000円程度
当ブログでのレビューはこちら

古代大麦をフロアモルティングで仕込んで作った、モーレンジの2015年ニューリリース。
元々ハイランドモルトとして安定した品質を誇るのがモーレンジですが、このトゥサイルはかつてのモーレンジ10年を思わせる麦芽風味で、満足感の高いボトルです。
また、麦芽を原料とする全てのウイスキーにおいて、評価基準の一つにもなると思います。
ワインのように、買って10年単位で育ててみるのも面白そうです

ちなみに、よりフルーティーなモルトが好みであれば、 グレンモーレンジ18年は43% 加水で柔らかい味わいながらフルーティーさと麦芽風味のバランス が良く、1本を通して楽しめる完成度の高いボトルでこちらもオススメです。


・ラフロイグ18年 48%
価格:10000円~13000円程度

200周年を迎えて精力的なリリースが続くラフロイグ。
この蒸留所の素晴らしいところは、10年などのスタンダードからハイエンドまで、あるいはボトラーズを含めてもフレーバーのブレ幅が少ないところだと感じます。
「ラフロイグだなぁ」と思わせる個性があり、それがハイエンドになるに従って洗練されていく。この18年はその中でも価格と味わいのバランスがとれていると感じる、レベルの高い1本です。
9月現在、価格改定前の定価(9千円強)で販売しているお店もまだあり、なにより終売の噂もありますから今のうちに飲んでおきたいところです。


・ボウモア テンペスト Batch5 55%
価格:7000~8000円程度
当ブログでのレビューはこちら

これはボウモア蒸留所の最後の輝きなのではないかと感じさせる1本。
1990年代に入り脱パフュームを果たして、一部のパフュームラバーを除いて多くのドリンカーから歓迎されるボウモア。しかし2000年代に入ると紙っぽさを思わせるフレーバーが目立ちはじめ、コクも薄くなってきています。テンペストではBatch3~4はフルーティーですがだいぶ軽さ、荒さが目立ったところ。
そんな中リリースされたテンペストのバッチ5は90年代、あるいは60年代(であれば1969年)のボウモアを思わせるフレーバーもある、評価の高い1本です。
ここから復活するのか、はたまた蝋燭の火の消える直前か。出来れば前者であって欲しい。
なお、テンペスト以外では、ウイスキーショップWのボウモア15年は完成度の高い1本です。リリース時期から推察するに、1995年あたりの原酒がメインではないかと思います。
(売り切れても何度か在庫が復活しており、まだ買えます。こちらもオススメです。)


・エドラダワー10年 40%
価格:4000円~5000円程度
当ブログでのレビューはこちら

ここ最近リリースされたボトルに限るものの、非常に驚かされた1本。
コアなファンであればあるほど、ソーピーフレーバーから脱却し、かつてのエドラダワーと共通する純粋なクリーミーさを取り戻した味わいには、驚かされるはず。
バランスのいいシェリー感に独特なクリーミーさが後を引く味わい。全シングルモルトの中でもエドラダワーのみが持つその風味は、純粋な味わいとしてはもとより、飲み続けていく経験値としても1飲の価値ありです。
また、変わり種ですがエドラダワーがリリースするピーテッドモルト、バレッヒェン10年は、ラフロイグを思わせる味わいで面白い1本です。


・オールドプルトニー21年 46%
価格:10000円~13000円程度

実は今回の5銘柄、最後の1本として選んだのがプルトニー21年でした。
ここに何を入れるかは凄い悩んだのですが、純粋に評価が高く、またプルトニー蒸留所のラインナップの中でこれ以上の熟成となると個性が弱くなり、旨いけどコレジャナイ感が強くなる。一番熟成と個性のバランスが取れていると感じる1本だったのが決め手になりました。
最近インポーター側の仕入れ価格の関係で値上げがありましたので、値上げ前のボトルが見つかればラッキーです。
オイリーな口当たりから麦芽風味にドライフルーツ、そして穏やかなピートという、プルトニーらしさとハイランドモルトらしさのある特徴を備えています。



以上です。
一貫性の見えない選定になってしまいましたが、ハイエンドとの共通点や、評価の高いオールドボトルとリンクする要素を持ち合わせていることが、選定基準の一つになっています。
また、直接ヒアリングはしていませんが、ウイスキー仲間と普段やりとりをしている中で、これは良い出来だよねと言う話題に上がってくるボトルでもあると思います。
最終的には自分が旨いと思っただけという、勝手な評価でもあるんですが( 笑)。

こうしてお勧めを選んでみると、ハイランドモルトは実力伯仲というか、一定レベル達しているボトルが結構あり、スペイサイドに比べてコスパも良いように感じました。
キャンベルタウンが入らなかったのは、現行品1万円台までで感じるものが無かったためです。
中でもスプリングバンクの酒質は、長期熟成でより輝くのではと考えており、30年クラスの登場が楽しみです。値段は怖いですが・・・いくらになるのかなぁ・・・
え?ローランド? グレンキンチーとか悪くないんですけどね・・・。

なお、自分は酒業界の人間ではありませんし、アフィリエイトもしておりません。ポイント稼ごうとか、直接的に利益が絡む裏は一切ありません。
皆様のボトル選びの参考になりましたら幸いです。

エドラダワー10年 (2004-2015) シグナトリー・アンチルフィルターコレクション

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ニューリリースがあったら試してみようと考える蒸留所の一つが、エドラダワー。
昨年飲んで思わず購入したオフィシャル10年、その特徴であるクリーミーさは、シェリー、バーボン、どちらの樽とも相性が良いようで、直近のリリースではフェアリーフラッグにバレッヒェン、良い出来だと感じるボトルでした。

エドラダワーはボトラーズからのリリースは少ないですが、シグナトリー資本の蒸留所であるため、シグナトリーからは年何回かのリリースが行われてるようです。
今回、2015年詰めのニューリリース、アンチルフィルターコレクションのエドラダワー10年をテイスティングすることが出来ました。


Signatory Vintage
The Un-Chillfiltered Collection
EDRADOUR
Aged 10 Years
Distilled 2004 Nov
Bottled 2015 Jan
46% 700ml

暫定評価:★★★★★★(6)(!)

香り:お菓子のカラメリゼを思わせる焦げ感の少しある甘い香り、バタークリーム、プルーン。生木っぽさも少々あるが、全体的には嫌みの少ないふくよかで濃いアロマ。

味:口当たりは甘口濃厚でしっかりしたシェリー感、そこにエドラダワーらしいクリーミーさ。濃い目のシェリー感と合わせてカフェオレのよう。プルーン、葡萄の皮、タンニンがフィニッシュにかけて感じられる。コクのある味わいで、余韻も長い。
このクリーミーさが無ければ、ひどく単調なただの近年シェリー系ウイスキーになっていた。


シェリー樽は影響が強いので、スペイサイド・ハイランド系は全体の完成度で比較することが多い中、エドラダワーは濃い味わいの中でも個性が感じられるのが特徴だと思います。
このボトルもこってりとしたシェリー感に現行エドラのクリーミーさがマッチ。先日記事にしたフェアリーフラッグにも似た構成です。加えて値段が5000円程度になるということで、流石資本元のボトラーズリリース。
猛暑の夏には閉口してしまう構成ですが、秋の新作としては店頭に並ぶのが楽しみなボトルです。

それにしても、エドラがここまで面白い蒸留所だとは思いませんでした。
まだ直近のリリースで突き抜けたボトルに出会ったことはありませんが、将来性を感じる味わいです。
昨今、ボディというかコクというか、ウイスキーそのものの味が薄くなったということは、たまにテイスティングの中で触れますが、このコクをクリーミーさが補ってくれて、飲み応えのある味わいに仕上がる傾向が感じられます。
オフィシャルの通常進化はもとより、例えば2000年頃の蒸留で、25年くらいでバーボン樽、ピーテッドで48%とか良さそうだなあと、先のリリースにも期待しています。

キングスランサム1960年代流通

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昨日は7月17日、第二次世界大戦におけるポツダム会談が始まった日です。
日本としては負けた戦争の話をネタにせんでもって話ですが、そのポツダム会談の晩餐の場で出されたのがキングスランサム。あまりの旨さに王様の身代金に匹敵すると言われた名前の由来や、日本では漫画レモンハートでの幻のボトルという解説、ラウンド・ザ・ワールドのこだわりの製法等、役の多いボトルだけに興味をもたれているドリンカーも多いと思います。
ポツダム会談当時からは新しい時期の流通になりますが、比較的状態のいいボトルを入手することが出来、じっくり飲み進めています。やはり今日の更新は、このキングスランサムが相応しいでしょう。

KING'S RANSOM
"ROUND THE WORLD"
GLENFORRES GLENLIVET BLEND
1960's
43.2% 750ml
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評価:★★★★★★★(7)

香り:馥郁とした濃く甘い香り。メープルシロップ、プルーン、微かにアーモンド。時間を置くと微かなハーブ、マッカラン系のスムーズなシェリー香。

味:クリーミーな口当たり、でリッチなシェリー感と濃い甘さから、徐々にカラメルのビターさ、麦芽、胡桃。
甘いメイプルシロップの香りが鼻に抜ける。フィニッシュはビター、ウッディーなタンニンが程よく口の中を引き締め長く続く。


まるでマッカランのように濃厚でスムーズな、そして程よいタンニンが染みこむシェリー系のブレンデットウイスキー。
ブレンデットっていうかほぼモルトじゃないかって構成です。実際、先日エドラダワー蒸留所のパフュームが無くなって美味しくなったという記事は書かせていただきましたが、そのクリーミーさを味わって、まず真っ先に思い浮かべたのがこのボトルでした。
キングスランサムは、ウイスキーの司祭と呼ばれた名ブレンダー、ウィリアム・ホワイトリー氏が、そのブレンドの理想のひとつとして作ったもの。原酒は彼が求めたエドラダワーがふんだんに使われているとのことで、同蒸留所の酒質変化の影響をダイレクトに受けている銘柄でもあります。

1950年代、1960年代流通のキングスランサムはクリーミーなエドラダワーの香味。こってりとしたシェリー、カラメルの風味ともマッチしています。しかし1970年代の後期流通、1980年代流通のキングスランサムは見事なパフューミーで、まぁ好きな人は好きなんでしょうけど、自分はちょっと持余します。
少なくとも、愛した姿とベツモノになってしまったエドラダワーを天国からホワイトリー氏はどう見ていたのか・・・。

同氏がエドラダワー蒸留所の買収に成功したのが晩年となる1925年。そこからまず同氏はエドラダワーを使ってハウスオブローズというイギリス上院議会向けのブランドを手がけます。
そしてその後作られたキングスランサムはさらにもうひと手間、ブレンド後のマリッジを世界一周航路の帆船の中で行う”ラウンド・ザ・ワールド”の手法がとられており、氏のこだわりを徹底的に具現化したウイスキーとなっています。
マリッジに使った樽はもちろんシェリー樽。真偽のほどはわかりませんが、常にじめじめとした湿度と、適度な揺れのある帆船の船底は、ウイスキーの貯蔵に最適だったのだとか。
ちなみに船側としてはバラスト代わりに樽を積むのは問題ない話で、世界1周どころかプライベートブランドでは世界を3周したウイスキーもあったそうです。

時期的には同氏のブレンダー人生の集大成でもあったボトル。まだオークション等での購入も可能ですが、BARでも出してくれるところはあるので、気になる方は是非飲んでみてください!
良い仕事してるウイスキーだと思いますよ!

IMG_2989
(キングスランサム1960年代流通の背面ラベル。世界一周航路としてケープタウンを出発して最終的にスコットランドに戻ってきていることが書かれている。)

エドラダワー・ニューリリース2品 「フェアリーフラッグ」「バレッヒェン10年」

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ブログ開設から100日ちょい、気がつくとアクセス数が20万を越えていました。
っていうか6月のアクセスが月半ばにして10万越えですので、もうなんていうかニッカショックぱねェ・・・。

特段お祝いムードでもないなか、いつも情報を頂いているSさん経由で嬉しいボトルが手に入ったのは一昨日の事。それが郵送されてくるはず。
じゃあ毎日更新し続けた自分に、ささやかなご褒美をあげようじゃないかと、「俺、帰ったらボトル開けるんだ・・・」なんて余裕こいてフラグ立てたら…。
本当にフラグになっちゃったんですよね。

帰ったのは今朝の5時でした。エーエム5時(´Д` )
飲み会じゃないですよ、仕事ですよ仕事。
とある仕事で先輩社員の不手際で経理部門がブチギレし、明日までに書類雁首揃えて持って来いや!と。
それでなぜか自分だけが居残りで朝までコース。なので今回は飲んでる暇なんてありません。
暫定評価ですが、先日の面白かったボトル2本、ネタにしておこうと思います。


スコットランド最小の蒸留所、エドラダワー。高い評価とそうでもない評価が混在する蒸留所ですが、最近、このエドラダワー蒸留所が面白いと感じています。
最近と言っても今現在がどうかはわかりません。少なくとも10~15年前の蒸留の現行品エドラダワーが面白いのです。パフュームがなくなり、エドラの特徴とも言えるクリーミーなフレーバーが戻ってきています。
先日の衝撃を受けたオフィシャルスタンダード10年に始まり、今回の2本のファーストインプレッションも中々良い出来でした。


エドラダワー
フェアリーフラッグ
15年 46% 700ML
暫定評価:★★★★★★(6)

"ミルクチョコレートを思わせる甘いアロマ、砂糖漬けのレーズン、徐々にウッディネス。
口当たりは濃厚な甘さとエドラクリーミー、プルーン、徐々にタンニン、かすかに焦げた木。舌先に刺激を感じる。"

エドラダワー
バレッヒェン 10年 
700ml 46度 
暫定評価:★★★★★★(6)

"バニラ、スモーキー、時間とともにグレープフルーツピールと柑橘のアロマが裏からちらほら。ヨードっぽさも感じる。
口当たりはクリーミーでピーティー、しっかりしている。焦げたピート、バニラ、レモンピール。どこか軽い印象があるが、それをクリーミーさが補っている。スモーキーな余韻。"


シェリーのほうは限定品で、15年熟成のシェリー樽原酒。エドラダワーのクリーミーさがシェリー樽の濃厚な風味とうまくマッチし、近年詰めとしては珍しく嫌みの少ない濃厚系に仕上がってます。
これはこれで良いのですが、それ以上に面白かったのがバレッヒェン10年。
もうなんていいますか、ラフなんですよね。ラフロイグ(笑)。
注意深くしていると微かにエドラダワーのクリーミーなフレーバー、アロマが感じられるのですが、それ以外はほぼラフロイグだと感じる味わいです。

エドラダワーといえば2002にラフロイグを引退したイアン・ヘンダーソン氏をマネージャーに抜擢。そのイアン氏が仕込んだのがピーテッドなエドラダワーです。これがイアン氏がエドラダワーに再就職する条件だったとか・・・。
ラフロイグを思わせる風味に仕上がっているのは、偶然か、果たして狙い通りなのか。

オフィシャル10年のラフロイグよりちょっと値は張りますが、美味いし面白いボトルだと感じます。ここ数日で4本も買っているので財布と相談して自重しましたが、抱えて加水にハイボールにと、色々試してみたいと思ったボトルでした。
特にブラインドテイスティングで出したら、何も知らない参加者は全員驚愕だと思いますよ。腹黒認定はされるでしょうがw


追記:いつもご覧いただいている皆様、ありがとうございます!
これからもいろいろ試しながら書いて行きますので、よろしくお願いします。

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