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ティーニニック 43年 1973-2017 パーフェクトドラム 48.8% リンブルグウイスキーフェア向け

カテゴリ:
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TEANINICH 
THE PERFECT DRAM 
WHISKY AGENCY 
Aged 43 years 
Distilled 1973 
Bottled 2017 
Cask type EX-Sherry Butt 
700ml 48.8% 

グラス:サントリーテイスティンググラス
量:ハーフショット
場所:BAR飲み(BAR GOSSE)
時期:開封直後
暫定評価:★★★★★★★★(7-8)

香り:チェリー、枝付きレーズンあるいは黒葡萄、林檎のカラメル煮を思わせる華やかでフルーティーなシェリー香。やややドライ、徐々に渋みを感じるウッディネス、キャラメルコーティングしたアーモンドナッツのアクセント。

味:フルーティーでオーキーな華やかさが口当たりから広がる。レーズン、ドライマンゴー、シナモンアップルパイ。ハイトーン気味でヒリヒリとした飲み口の硬さもあるが、ボディはしっかりしており、樽香とのバランスは悪くない。
余韻はウッディでドライ。濃く入れた紅茶を思わせるタンニン、ナッティーなオークフレーバー、艶やかで長く続く。

高貴さの漂うフルーティーなシェリー香に、エージェンシーフレーバーとも言えるナッティーなリフィル系のオーク香が合わさって、充実した1本に仕上がっている。口開け直後のテイスティングだったが、過度な硬さは無くうっとりする味わい。加水は水っぽさがあり向かない、ストレートで。


つい先日開催された、リンブルグウイスキーフェア2017向け、ウイスキーエージェンシーからのリリース。何とも目を引くラベルは、同社代表であるカーステン氏の奥様がプロデュースしたとのことです。

ここ最近、ウイスキーエージェンシーからは1970年代前半蒸留となる"スペイサイド名称"の長期熟成モルトが集中的にリリースされています。 
同社はドイツ系ボトラーズメーカー。つまりこのリンブルグ向けは自国向けのリリースということにもなるわけですが、このリリースも最近集中しているスペイサイド・・・かと思いきや、銘柄はまさかのティーニニック。随分マニアックなチョイスだなと感じてしまいました。

こういうボトル、長期熟成リリースが枯渇している昨今においてはもっと注目されるべきと思うものの、ここまで短期間だとありがたみが無くなっていく不思議。味わい的にもテイスティングに書いたように、"エージェンシー味"と言える独特の樽感があって、だいたいその系統なのも一役買っているようです。
直近では信濃屋のNAGOMI、山岡氏がリリースに関わったスペイサイドリュージョン、海外のBARのプライベートボトリング・・・これらは一説にはグレンファークラスとも言われており、樽はリフィルシェリーホグスヘッドタイプだろうというオーク系の華やかな香味、長期熟成ゆえにややボディが硬く、ドライな味わいが共通するところです。 

このティーニニックも"そんな感じ"かと思っていたわけですが、共通するフルーティーさこそあれど、香りの段階からひきつけられる要素がいくつかあり。加えて近年中々見ることの無い、澱みの無いシェリー香は「間違いない」という確信に近い予感が沸き起こる。思わず口角が上がってしまいます。
   
ティーニニックの中ではかなり旨いリリースである一方、"らしさ"は開封時点ではほぼ皆無。目を瞑って飲むと「またスペイサイド出してきた?」と思ってしまうかもしれません。
それでも約49%の度数とボディが樽感を支え、樽しゃぶり系になりつつある長期熟成モルトとは一線を画している仕上がりに、エージェーンシーの自国向けボトルとしての本気を感じます。
また、最近増えたスパニッシュのコテコテシェリーボトルとは異なる、長期熟成によってこそ作られる華やかでよどみの無いフルーティーさが、懐かしくも、そして嬉しくもある1杯でした。

ブナハーブン 23年 1991年蒸留 2015年ボトリング TWA & ネクター

カテゴリ:
BUNNAHABHAIN 
THE WHISKY AGENCY & THE NECTAR 
Aged 23 years 
Distilled 1991 
Bottled 2015 
Matured in a Refill Sherry hogshead 
700ml 45.8% 

【ブラインドテイスティング(TWD方式)】
地域:ハイランド(グレンドロナック)
熟成年数:25年
度数:43%
樽:シェリーバット
評価:★★★★★★(6)(!)

香り:カラメル、ブラウンシュガー、 ほのかにベリー果実味のある充実したシェリー感。サトウキビやアロエのような植物感のある甘さ。微かに硫黄を感じるが時間経過で軽減される。

味:甘くスムーズな口当たり、シェリー感はレーズン、イチジク、 リンゴなどのドライフルーツと麦芽風味。中間からサルファリー、タンニンも感じられるがそれほどキツいものではない。 フィニッシュはほのかにスパイシーで焦がしたカラメルのほろ苦い 甘味、タンニンが舌に染み込むドライで長い余韻。

【フレーバー評価(5段階)※】
バランス:3
ボディ:3
香り:4
樽感:5
甘さ:5
複雑さ:3
熟成感:4
華やかさ:3
酸味:2
苦み:3
刺激:2
ピート:1

※テイスティングにおいて、 香味に関連するそれぞれの要素がどれだけ感じられたかを数値化し たもの。3で平均的、数値が高くなれば強く、濃く、 厚く感じられる。なおこの5段階評価は最終的な評価(★評価) には直結しない。


TWDにて、Yさんからの出題。
これは中々面白いボトルで、 解散時にYさんから強奪いたしました(笑)。
ブナハーブンは何気にシェリー系のリリースが多い蒸留所、 かつてオフィシャルからリリースされた1968等は抜群に旨いの ですが、1980年代、1990年代のシェリーカスクは、 えぐみが強いというかゴムっぽいというか・・・ 正直如何ともしがたいところ。
現在販売されているもので、 濃いシェリー系だとオフィシャル25年は閉口モノですし、 ボトラーでも突き抜けたレベルのものはなく。 やっぱりバーボン系のほうが良いんかねーという認識が固まっていました。

ところが、 このボトルは古典的なシェリーを思わせる柔らかい甘さ、 ドライフルーツの風味も感じられる、甘味、樽感の濃さ、 ともに近年モノとしては文句ないレベルです。
ただ少々硫黄感があり、ここが自分にとっては残念で、これさえなければ・・・と。しかし時間経過で軽減されるようで、昨日の夜確認のため飲んだところ、最初に飲んだ時よりずっと良くなっていました。
他のボトルで例えるなら、アランのエンジェルズリザーブや20周年記念ボトルが大丈夫ならこのボトルもまた口開けから濃厚で良いシェリー系のボトルとして楽しめると思います。

そう言えば1990年前後蒸留のシェリーホグスヘッド原酒は、他蒸留所含め味の良いモルトが増えているように感じます。
樽を組み替える際に鏡板等で何か工夫をしているのでしょうか。それとも1960年代蒸留で1990~2000年頃にかけて増えたボトラーリリースのどっかんシェリー、その樽のお古が出回り始めたのか。何れにせよこういうリリースが進化して欲しいです。


TWDの活動で使っているテイスティングシートが多少形になってきたので、今回は写真ではなく文字で起こしてみました。一般的なウイスキーのテイスティングノートは、点数と香り、味、の3項目(あるいは味がフィニッシュと分かれて4項目)ですが、結局ボディがどれくらい厚いのか、樽の強さなどは文字ではわかりにくい部分も多く。
記載は長くなってしまいますが、こういうまとめ方はどうかなと試験的に使ってみました。
テイスティングコメントは極力フレーバーの抽出のみにして、各要素の強さは5段階評価にしたという感じです。
これも何回か使ってみて、伝わりやすいテイスティングフォームの工夫をしていきたいですね。

ベンネヴィス18年 (1996-2015) ウィスキーエージェンシー & THE NECTAR

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昨日に引き続き、 今日もスコッチモルトの2015年リリース品です。
最近国内流通の多いベンネヴィス、 前回記事にしたアランビック向けはあまり心に響きませんでしたが 、今回は割と好みなボトルでした。アランビックも改めて飲み直したいですね。
このボトルはウイスキー仲間のYさんから頂き(強奪し)ました。 いつもありがとうございます!!

THE WHISKY AGENCY  & THE NECTAR
BEN NEVIS
Aged 18 years
Distilled 1996
Bottled 2015
Matured in a Refill hogshead
700ml 52.7%

評価:★★★★★★(6)

香り:青さを伴うケミカルなフルーティーさ。サトウキビ、パイナップル、ハーブの爽やかなアロマ。
味以上に鼻腔に刺激を感じるが、度数相応でもある。少量加水すると香りのなじみがよくなり、ケミカル系のフレーバーや刺激が和らぐ。また、蜂蜜レモン、麦芽を思わせるアロマも開く。

味:青みがあるパパイヤや、ケミカルでパイナップルのようなフルーティーさと麦芽風味。
口当たりはとろりとした粘性があり、テクスチャーは比較的丸みを帯びている。後半は微かなスパイスも伴う。
フルーティーさはピートに代わり、ミネラル、灰、乾燥した牧草を思わせるほろ苦さ。
フィニッシュはスモーキーでピーティー、序盤のケミカルフルーティーさの名残を伴う長い余韻。
加水すると青みが軽減され、代わりにケミカルなフルーティーさが前に出てくる。


ベンネヴィス蒸留所はここ数年90年代蒸留のリリースが多い蒸留所の一つ。
安定した旨さで人気があるため、インポーター経由で国内への輸入も多いですね。
不安定な稼働状況が続いた1980年代を経て1989年にニッカウヰスキーが取得。90年代のリリースが増えてきたのは、ニッカ傘下に入った後の生産が安定しており原酒買い付けに応じているからでしょう。
他方でニッカウイスキー(アサヒビール)所有蒸留所の割に、シングルモルトの定番商品は10年のみという少なさ。
2000年頃には21年もあったようですが、確かあればブレンデットだったような・・・。
オフィシャル定番品をリリースするにはある程度の原酒の量と幅が必要ですが、余市や宮城峡のラインナップが絞られた今こそ、15年や18年を限定品ではなく通常販売品として出しても良いんじゃ・・・とも思います。

ベンネヴィスのキャラクター・・・は語れるほど飲んではいません。すいません。
今まで飲んだ中でイメージとしてあるのは、60年代や70年代、そして90年代蒸留に共通するのは紙っぽさ、草っぽさ、そしてフルーティー。90年代はケミカル系のニュアンスを伴う、ともすれば作為的とも思えるほどのフルーツ感があるボトルも。このフルーティーさはハマってしまう人もいると思います。
またボトルによってピートの有無がはっきりしており、これはあるなと思うボトルもあれば、あまり気にならないボトルもあります。
今回のボトルはピーティーな部類で、中間以降に出てくるピートが良い仕事をして、分離してしまいそうなほどのフルティーさをしっかりと押さえつけています。

アイラにありがちな俺俺俺と主張してくるピートではなく、ハイランド系のじんわりと染みこむようなピートが好物な自分は、この手のピーティーなモルトは歓迎です。


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